【連載】インカレ直前特集『Beyond the Bottom』【第1回】 遠藤里菜×仙葉楓佳×千葉朱夏×登尾早奈×溝口礼菜

フェンシング

 関東学生選手権(関カレ)では1年生のみのチーム編成で挑んだ早大女子フルーレ陣。今回は遠藤里菜(スポ1=群馬・高崎商大付)、仙葉楓佳(社1=秋田・聖霊女短大付)、千葉朱夏(スポ1=岩手・一関第一)、登尾早奈(スポ1=愛媛・三島)、溝口礼菜(スポ1=千葉・柏陵)のルーキー五人に、早大に入学するまでの経緯や、1年生チームならではの良さや苦労、全日本学生選手権(インカレ)に向けての意気込みなどについて語ってもらった。

※この取材は11月3日に行われたものです。

出会いは小学校時代

談笑する仙葉(写真左)と溝口(写真右)

――自分の左隣に座っている人の第一印象や現在の印象をお聞きしてもよろしいでしょうか

溝口 千葉ちゃんはとてもフレンドリーで…、食べ物とかどこが美味しかったって話してくれます。フェンシングでもフェンシング以外でもみんなを盛り上げてくれる役というか、チームを盛り上げつつまとめてくれる人だなって思います。これ結構恥ずかしい(笑)。

千葉 遠藤里菜は…いつもほわほわしていて。フェンシング以外ではほんとほわほわしていて天然なところもあるのに、フェンシングのことになると粘り強くて、点を取られていても最後まで粘り強くやるというのが持ち味だと思います。うん、恥ずかしい(笑)。

遠藤 うれしいけど…恥ずかしいな、ほわほわしているとか(笑)。

一同 間違いないね(笑)。

遠藤 (登尾)早奈は…1番小さいんですけど。

登尾 1番小さいって褒めてる!?(笑)

遠藤 褒めてる褒めてる、大丈夫だから。小さいけど、すばやくて手の力が強いので自分的に1番やりにくいですね。団体戦で言えば頼れるし、普段で言えばノリがいいです、すごく(笑)。

登尾 褒めてる!?

一同 褒めてるよ。

遠藤 やっぱり明るい子ですね、はい。

登尾 ありがとう。(仙葉)楓佳は、自分の考えをしっかり持っていて、周りの人にいい意味で左右されない芯の通った人で尊敬しています。フェンシングのこともすごく考えていて、試合の後とかにここがどうだったかとか時々話すんですけど、そういうところがすごく真面目でいいなと思います。普段は…ドSです(笑)。

仙葉 間違いないね(笑)。

一同 (笑)

登尾 時々悲しくなる(笑)。

仙葉 ごめんね!?溝口礼菜は…これ言っても大丈夫かな?怖かったです。

溝口 だよね。

仙葉 フェンシングが強くて。私の中で強い人=怖いっていうのがあるんです。怖いっていうのは悪い意味じゃないんですけど。自分の試合前のルーティンとかいつもすることが決まっていたり、自分の世界に入って試合をしたりっていうのが、印象としては怖いイメージだったんです。今までは試合会場で会っても挨拶するくらいだったんですけど、大学に入ってからの印象は全然そんなことなくて、すごくフレンドリーで明るくて元気でムードメーカーみたいな感じです。

――ありがとうございます。挨拶をするということは高校時代には試合場で会うことはあったのでしょうか

千葉 みんな小学生からです(笑)。結構長いですね。

物心ついた頃にはフェンシングをやっていた(溝口)

――なぜフェンシングを始めようと思ったんですか

千葉 自分は母がもともとフェンシングをやっていて。ちょうど地元(岩手)で国体があったので、国体を目指すために始めたことがきっかけです。

遠藤 自分はお父さんが八王子フェンシングのコーチをやっていて、子供がたくさん入ってきたときに右利きの選手ばっかりで左利きの選手がいなかったので、その練習相手としてやらされました。

一同 やらされた(笑)。

遠藤 やらされましたね。

登尾 自分は特に親とかがやっていたのではなくて。妹が幼稚園でフェンシングクラブに入ったので、それに便乗して始めました。

仙葉 自分も親がやっていたのではないんですけど、兄がやっていたので始めました。

溝口 私は母がやっていて、母の先輩が運営しているフェンシングクラブに連れていかれて入ったんです。だから、物心つく前からフェンシングをやっていて、自分から始めたとかではなく気付いたらフェンシングをやってました。小さいころからやっているとだんだん勝つようになって、それで大学まで来ちゃった…みたいな感じです。

登尾 物心ついた時からってなんかかっこいいね(笑)。

――進路を決める際、ワセダに決めた理由やきっかけはありますか?

千葉 自分はスポーツに関する学部に入りたいと思っていました。しかもワセダはコース別で自分がやりたいコースを選べるというのがあると聞いて、スポーツを学ぶならワセダがいいなと思って選びました。

遠藤 中学の頃にも1度練習に来たことがあったんですけど、その時に先輩たちや部内の空気がすごく良かったと感じたので入ろうと決めました。

登尾 高校の先輩がワセダに入ったというのと、私も里菜と同じで練習に参加させてもらった時の空気が良かったので入ろうと思いました。

仙葉 大きい理由は兄も早稲田大学に通っていることなんですけど、高校の時に厳しい部活だったので良い意味の自由な活動をしてみたくて入りました。

溝口 高校の私の恩師が早大出身で、早大が気になって練習などに参加させてもらったり、自分でいろんな情報を集めたりして、ここが一番いい環境だなと思ったのがワセダでした。

――大学に入学する前にも練習に来られていたとのことですが、入部前と入部後では部内の印象は変わりしましたか

千葉 先輩後輩の仲がいいなというのは、入ってからより感じました。

遠藤 同じく(笑)。

登尾 一緒です(笑)。でもやっぱり自分でやりたいことを見つけて自分で練習メニューを作らないと、上には行けないなと思いました。

仙葉 私もだいたい一緒なんですけど、留学がしたいんです。(フェンシング部は)オフ期間とかもほかの体育会に比べたら長くて、そのオフ期間にもちろん練習もそうなんですけど、勉強と両立できるとかそういう面は入ってみないと分からなかったなと思いました。

溝口 (千葉・遠藤と)同じくです。

――1年生同士ということでチームメイトであり、刺激を与えあう相手でもあると思います。今右隣に座っている方の尊敬しているところやここがすごいと思うところはありますか

溝口 楓佳はファイティングという練習試合が終わった後に「なんでさっきのポイントはランプがつかなかったのか」とか、決められなかったところにちゃんと疑問を持って、同級生の私にも「なんでだと思う?」と聞いてくるので、強くなろうとしているところが伝わってくる選手だなと思います。

仙葉 早奈は尊敬しているところの多い選手なんですけど、その中でも特にフィジカルの強さや身体能力がすごいなと思います。多分(身体能力は)同期の中で一番すごいんじゃないかと…。強化練習期間というのが1カ月間春と夏にあるんですけど、高校の時から厳しい練習に耐えてきたからこそ1番できていたんだと思います。それもフェンシングに通用する強さだから、フェンシングも強いんだと思います。

登尾 里菜は集中力と粘り強さがすごいなと思います。簡単には負けないというか、自分とかはあっさり負けてしまうこととか結構多いんですけど、里菜は最後まで粘ってくるし、最後まで諦めないんです。集中力は上を目指すために必要だと思うし、里菜の集中力はピカイチだと思うので、自分も欲しいなと思います。

遠藤 千葉ちゃんはとにかく真面目で、たぶん同期の中で誰よりも練習していると思います。練習が終わった後も先輩がファイティングで残っていたらそこに混ざりに行って。昨日もずっと一人で最後まで頑張って練習していたんです。とにかく真面目で一生懸命で尊敬します。

千葉 礼菜はほんとに強くなりたいって気持ちがこっちにも伝わってくるくらい行動力があります。たとえば普段は男女分かれて練習しているんですけど、男子のほうに自分から混ざっていっていっぱい試合したりだとか、ほんとに行動力があるのがすごいところだなと思って尊敬しています。

1年生だけで不安だった

これまでの試合を振り返る千葉(写真左)、遠藤(写真中央)、登尾(写真右)

――春の関東学生リーグ戦(リーグ戦)は大学入学後初めての試合だったと思いますが、高校の時の試合との違いを感じることはありましたか

溝口 まず雰囲気。あと1年生の仕事とか。ほとんどの人が高校では強いのが1人とかでそんなにいるわけじゃなく、仕事とかそんなになくて、1人で試合に行くみたいな感じだったんですよ。だけど大学に入って、チームで行動しないといけないのがまず違うな、と思いました。1年生がやることをやるとか、気遣いとかも必要だなって。

千葉 同じです。

仙葉 特に1年生が試合をしている時、上級生の先輩方がみんなで声を出して応援してくれます。高校でもあったんですけど、団結力の違いをすごく感じました。

――関東学生選手権(関カレ)個人を振り返っていかがでしたか

千葉 大学入って初めての関カレは、すごく緊張したとかいうのはありませんでした。ただ雰囲気が全然分からなくて。こういう感じか、っていうふわっとした感じで。試合して、上にいけばいくほど高校とは違って強い選手がいっぱいいるので、そういうところで勝っていくのは難しいな、とすごく感じました。

遠藤 最初に、大会の審判機の準備とかの設営を下級生がやってから自分たちで試合をやったので、あんまりガチガチの試合みたいな緊張感がなくて、自由に試合に臨めたかなと思いました。でももう1つ勝ちたかったなというのと、さっきふうちゃん(仙葉)も言っていたんですけど、大学の試合って先輩たちが応援してくれるので、それを聞くと嬉しいというか、試合をやっていてすごく楽しいなと思いました。

登尾 自分もインターハイの時よりも自由というか緩い感じだなっていう印象が強かったです。ただやっぱり戦って上にいくと、小さい頃から強い選手が残ってくるんで、レベルは上がっているなというのは感じました。あと先輩たちがたくさん応援してくれるんで、それに応えられるような結果を来年から残せていけたらいいなと思います。

仙葉 私も1番印象強かったのは自由っていうところで。大学の個人戦は初めてだったんですけど、個人的に負けた試合も含めて試合を全体的に楽しめたかなと思いました。ですけど、勝ち進めるところをしっかり勝ちたかったなというのはあるので、頑張りたいと思います。

溝口 (遠藤)里菜と一緒で、関東の大学生が全員集まる大きな試合だったんですけど、準備も審判も自分たちでやってたので、そんなに大きい試合じゃなくない?みたいに思っちゃって(笑)。

一同 (笑)

溝口 先輩らの試合をその後見て、先輩みたいに声を出したり、先輩みたいに勝ちたいと思ったり、自分はしていなかったなと終わってから思って。もっと気合いを入れられるところは間違いなくあるので。個人戦は周りの人より気合いが足りなくて、一本勝負とか取れないんだなと改めて思いました。

――関カレ団体は、初の狩野愛巳選手(スポ3=宮城・仙台三)抜きでの試合だったと思いますが、リーグ戦との違いは感じましたか

千葉 リーグ戦では狩野先輩がいて、狩野先輩がいれば大丈夫だっていう安心感がありました。でも関カレでは自分たち1年生だけでやっていたので、どこに頼ったらいいんだろうという感じのところはあって。後ろからアドバイスはもらっていたんですけど、いざ試合すると、ここで自分じゃなくて狩野先輩だったらって思うところも結構あって。狩野先輩に頼り過ぎていたというのはあったので、もっと自分たちで盛り上げて、自分たちで勝ちにいけるようにできればいいなと思いました。

遠藤 リーグ戦のときは2部の試合だったんですが、今回の関カレは結構強いチームと当たって、リーグ戦のときと比べて厳しい試合が多かったんですけど、1年生だけという中で頑張れたかなと思います。でもOGの来てくださった先輩に、「ベンチがお葬式みたいだよ」と言われてしまって、確かにそうだなと思ったので、インカレ(全日本学生選手権)の時は盛り上げていきたいと思います。

登尾 狩野先輩がいないメンバーで、頼られるし頼るみたいな関係が1年生の中でしかつくれないということで、もっと責任感を持ってプレーすることが多かったです。1つ1つのやりとりがすごくシビアで、粘り強さとかここってところで取れなかったポイントがすごく多くて。それが原因で点数離されたりとか無駄に点数取られたりとかがすごく多かったので、もうちょっと目標を持って練習に臨んだり、課題を持ってファイティングしたりというのを、練習からもっと意識してやっていかないといけないな、と負けた後に思いました。

仙葉 私は関カレの団体戦のメンバーじゃなかったんですけど、リーグ戦のときはみんな言うように狩野先輩の存在が大きくて。関カレは上から応援していて見ていたんですが、確かにベンチの雰囲気が悪いわけじゃないと思うし、実際声を掛けたりしていたと思うんですけど、もっと盛り上げてもいいんじゃないかというのは思いましたね。

溝口 暗かった?

仙葉 うん。

一同 (笑)

溝口 自分たちでやっていて暗いとかは思わなくて。でも相手チームは3、4年生がいて、団体戦のチームのまとめ方とか戦い方とか、ここでこういう声出しをしたらいいとか、全てを知ってるわけで。自分たちは1年生で団体戦もちゃんとしてきたわけじゃないので、何を声掛けていいのかとか、負けて帰ってきたらなんて言えばいいかが分からないし。だからそこの違いも大きいかなと思いました。

――団体戦で誰がどのタイミングで出るかというのはどのように決めていましたか

溝口 狩野先輩が全部決めていました。

――1年生主体のチームならではの良さと課題は何だと思いますか

千葉 1年生ということで、他のチームよりは勢いやフレッシュさがあるのが良さなんじゃないかなと思いました。課題としては団体戦とか大会の雰囲気とかに1年生でまだ慣れてない部分が多かったと思うので、そこはしっかりベンチがお葬式みたいにならないように、みんな一人一人が盛り上げられるようにできればいいかなって思います。

遠藤 良さは、普段もそうなんですけど、元気のいい人が多くて、溝口筆頭に(笑)。そこはこれからも伸ばしていきたいです。足りないところは千葉ちゃんと一緒です。

登尾 1年生同士なんで思ったことはちゃんと声掛けできています。課題としてはその声掛けの内容が薄く、欲しい言葉が掛けてあげられなかったりするので、何を言ってほしいのかとか、もうちょっとプレーしている選手のこと考えて声掛けができたらいいなと思います。

仙葉 大体一緒です。良さは元気と勢い、明るさとかそこらへんで。個人個人はみんな強さを持っていると思うし、普通に戦えば良いと思うので、課題はみんなが言ったように、タイミングと状況を見て的確なアドバイスをできるようになることだと思います。

溝口 良さはみんなと一緒で。(試合を)やって終わって反省点だなあと思うのが、団体戦をする前に話し合いをしていなくて、個人個人の強さで団体戦を乗り切ろうとしていて。でもそれは全然駄目で。この相手には抑えようとか、取られちゃったらどうしようとか全く話してなくて。他の大学はそれを話しているのが当たり前なんですよ。でもそんなのほとんどしてなくて。そこをインカレでは個人戦だけじゃなくて、団体戦をみんなで話し合って、勝ちにいきたいなと思います。

課題を克服して臨む

――インカレに向けてどのような練習をされてきましたか

千葉 自分は関カレでスタミナ切れが課題だと思いました。インカレではスタミナ切れがなくなるように、ファイティングでできるだけ残れるようにとか、ファイティングが足りなかったら、練習が終わった後に誰かにお願いしてやるとか、そういうスタミナ関係でもうちょっと力を付けようと思って練習しています。

遠藤 自分はフィジカルが甘い部分があるのでそこを鍛えるのと、今はちょっとけがをしているので、まずはそれをしっかり治していこうと思います。

登尾 自分はミスが多いのでミスを減らそうと思って練習しています。でもやっぱり的を外しちゃったり、突かなかったり、突く距離感を間違えちゃったりとかが多いので、まだまだだなと思います。

仙葉 私は関カレの課題がポイントの正確性だったので、そこを特に気を付けています。練習の中でこの1試合は足を動かす試合にしようとか、剣をさばいて試合しようとか、前よりもそういう明確な目的を持って取り組むようにしています。

溝口 考えてフェンシングしていなくて、感覚でフェンシングしていたので、関カレが終わってちゃんと考えて1試合1試合やろうと思って。分からなかったことは先輩に「(ここは)何ですか」とか聞くようにしていました。

――それぞれのインカレでの個人と団体の目標を教えてください

千葉 個人ではベスト8を目指して頑張ります。団体では優勝を目指せないわけではないと思うので、目指すところは優勝で頑張りたいと思います。

遠藤 個人はベスト8で、団体は優勝したいです。

登尾 同じです。

一同 (笑)

仙葉 私も同じです(笑)。個人ベスト8、団体優勝。

溝口 個人優勝、団体優勝!

一同 おおー!

――ありがとうございました!

(取材・編集 宇根加菜葉、柴田侑佳)

意気込みの色紙をそれぞれ持つ五人

◆千葉朱夏(ちば・あかね)(※写真左)

1998(平10)年8月20日生まれ。161センチ。岩手・一関一高出身。スポーツ科学部1年。プロテインダイエットがマイブームらしいです。頑張ってください!

◆遠藤里菜(えんどう・りな)(※写真左から2番目)

1998(平10)年5月8日生まれ。160センチ。群馬・高崎商大付高出身。スポーツ科学部1年。オフの日はショッピングをすることが多いそうです。買い物ではなくショッピングと言うところがおしゃれですね。

◆登尾早奈(のぼりお・さな)(※写真中央)

1998(平10)年4月29日生まれ。151センチ。愛媛・三島高出身。スポーツ科学部1年。暇があれば寝るというほど睡眠が大好きだそう。練習の疲れを取って、インカレで活躍することを期待しています。

◆仙葉楓佳(せんば・ふうか)(※写真右から2番目)

1998(平成10)年9月8日生まれ。159センチ。秋田・聖霊女短大付高出身。社会科学部1年。オフの日には美味しいものを食べに行ったり、同期の誰かと一緒にいたりすることが多いそうです。

◆溝口礼菜(みぞぐち・れいな)(※写真右)

1998(平成10)年7月27日。160センチ。千葉・柏陵高出身。スポーツ科学部1年。オフの日は、ショッピングをしたりや動画を見たりして過ごすそうです。