全日本選手権は2、3日目男子エペ個人と女子サーブル個人が行われ、早大から5人が出場し全員が1回戦を突破した。加納虹輝(スポ1=山口・岩国工)と佐々木陽菜(社2=東京・大原学園)はリオ五輪代表選手と対戦。特に加納は敗れはしたものの、互角の勝負を演出し「自信になりました」と語った。
★加納、2年連続ベスト8で成長を実感(男子エペ個人)
準々決勝では加納は見延と対戦。白熱した試合を繰り広げた
男子エペは全員が1回戦に駒を進めると、2回戦では加納と小野真英(スポ2=埼玉栄)の同士討ちに。加納は立ち上がりからテンポ良く得点を重ね、試合の主導権を握る。「試合中は勝つことしか考えていなかった」(加納)と集中力を切らさずそのまま勝利を収めた。続く3回戦でも手の内知れた相手と対戦。ロースコアのまま試合は進むが、第2セットでリードを許す。しかし最終セットで連取して試合を振り出しに戻すと、勝敗の行方は一本勝負にもつれこんだ。約40秒間の均衡を破ったのは加納。勝負所でメンタル面の強さを発揮し、シーソーゲームを制した。次に待ち受けていたのはリオ五輪代表の見延和靖(NEXUS)。格上の相手だが、加納は引けを取らない熱戦を繰り広げた。先制点をもぎ取ると、第2セットまで粘りのプレーで点差を2以下でとどめる。しかし第3セットで連続失点を食らうと、その勢いに飲まれ敗戦。加納は試合後「同じことの繰り返しで点を取られてしまった。でも手応えもあった」と笑顔で語った。課題も見つかったが、それ以上に自身の成長を実感できた大会となっただろう。
(記事、写真 大浦帆乃佳)
★佐々木はリオ五輪代表の青木に敗れる「もっとのびのびと試合ができたら」(女子サーブル個人)
3回戦で青木と剣を交えた佐々木
女子サーブルには早大から2人が出場。中でもシーズン後半になり調子を上げてきている佐々木は、1回戦、2回戦「自分のペースで自分らしく試合ができた」と振り返るよう相手に隙をほとんど与えず快勝する。続く3回戦の相手はリオ五輪代表の青木千佳(NEXUS)。強豪相手に大事な先制点を挙げるが、相手ペースに飲まれてしまう。「最後まで中途半端で終わってしまった」(佐々木)と悔しい敗退となる。今季はケガからのスタートとなり思うような結果が出せない時期もあった。しかし、だからこそ得たものもあるだろう。佐々木は今後の課題を「戦術を考えながら、自分の動きをのびのびできるように」と語った。佐々木に戦術面の強さが加わったら、さらなる進化が期待できる。これが、佐々木があと1つ上に行くためのカギとなりそうだ。
(記事、写真 加藤佑紀乃)
※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。
※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。
結果
▽男子エペ個人
加納虹輝(スポ1=山口・岩国工) 6位
1回戦:〇15―7 古川真明(諫早クラブ)
2回戦:〇15-2 小野真英(早大)
3回戦:〇12-11 古俣聖(中大)
準々決勝:●11-15 見延和靖(NEXUS)
小野真英(スポ2=埼玉栄) ベスト32
1回戦:〇15―7 川淵哲也(近畿大)
2回戦:●2-15 加納虹輝(早大)
安雅人(スポ1=茨城・水戸一) ベスト32
1回戦:〇15―7 關大生(慶大)
2回戦:●13-15 林茂樹(警視庁)
▽女子サーブル個人
佐々木陽菜(社2=東京・大原学園)ベスト16
1回戦:〇15-3 尾﨑由依(和東クラブ)
2回戦:〇15-6 松﨑麻美(日女体大)
3回戦:●5-15 青木千佳(NEXUS)
木村結(社1=山口・柳井学園)ベスト32
1回戦:〇15-7 林秋香(日大)
2回戦:●5-15 福本かな(愛媛クラブ)
コメント
佐々木陽菜(社2=東京・大原学園)
――今大会を振り返っていかがでしたか
予選から程よい緊張感と集中力で動けたと思っていました。トーナメントも1回戦、2回戦、自分のペースで自分らしく試合ができたかなと思います。最後、自分より実力ある選手に当たり、そういう選手にもっとのびのびと試合ができたら良かったかなという悔しさはすごくあります。
――今大会の目標は定められていましたか
ベスト8には入りたくて、もっと欲を言うとメダルは欲しかったなと思います。
――3回戦はリオ五輪代表の青木千佳選手(NEXUS)との対戦では、点数も取られてしまいましたが3連取した場面もありました
自分が何を考えていたというのを覚えていないんですが、その時ものびのび吹っ切れてやったとかではなく、取れてラッキーかなという気持ちでした。いまいち自信も持てないまま、最後まで中途半端で終わってしまったように思えます。
――もうほぼシーズンが終わりますが、1年を振り返って
半分くらいケガでリハビリに費やし、復帰してからもなかなか思うように結果が出なかったです。だんだん調子も上がってきてやっと前みたいに動けるようになってきたところでほぼシーズン終わりなのですが、動けるだけじゃ駄目だなということを改めて感じました。もっとフェンシングは頭使っていかなきゃいけないので、戦術考えながら、自分の動きをのびのびできるように、試合で実力発揮できるようにしていくことが今後の課題かなと思います。
――来季に向けての手応えはありましたか
動き自体はいいのですが、動きを点数につなげられていないかなと思っています。それをどうしたらいいのかをまだよく分かっていないので、それを試行錯誤しながら模索していけたらいいかなと思っています。
加納虹輝(スポ1=山口・岩国工)
――今大会を振り返って
悔しい気持ちはあるんですけど、(準々決勝で)見延さん(見延和靖、NEXUS)に互角の戦いができたので、そこは自信になりました。
――2回戦では同じ大学の小野真英選手(スポ2=埼玉栄)と当たりましたが
余裕で勝てるとは思ってなくて、気を引き締めて戦った結果、気づいたら勝っていたという感じです。先輩と当たっちゃって申し訳ないなって感じで複雑でした(笑)。戦っている最中は本当に勝つことしか考えてなくて、終わったあと複雑でした(笑)。点数は気にせずに勝ちにいきました。
――3回戦ではローゲームの末、一本勝負を制しましたね
相手が普段一緒に練習している人で、お互い手の内が分かっているので、警戒しながら試合をしていたらロースコアになっちゃって。最後は一本勝負で勝てたので、そこはメンタル面で上回ってたかなと思います。
――リオ五輪代表の見延選手とも接戦でした
すごく手応えがあって、今回でも勝てる気がしていました。次当たったら勝ちます。
――去年と同じベスト8という結果について
目標はベスト4だったんですけど、この大会は一発勝負ですし当たりとかの関係で大きく変わってきちゃいます。ベスト8は最低条件で、勝つべき相手には勝てたので、満足はしてないですけど、ちょっとだけほっとしています(笑)。
――今大会の良かったところと悪かったところを教えてください
良かったところは(点を)離されている時とか競っている時、負けそうな時に食らいついていって点を積み重ねていって、メンタル面で成長できたなと思えたのが良かったです。悪かった点は、準々決勝で同じことを繰り返しで食らっちゃったので、そこは「こうしておけば」っていうのが残っています。そこは練習です。