日本のフェンシングの試合の中で最高峰に位置するのが、全日本選手権(全日本)だ。年齢を問わずハイレベルな争いが繰り広げられ、実力があっても上に行くのは容易ではない。早大からは男子サーブルに3人、女子エペに1人出場した。男子サーブルは茂木雄大(スポ2=神奈川・法政二)のベスト32が最高順位。女子エペは昨年2位だった才藤歩夢(スポ2=埼玉栄)はベスト8に終わった。
★上位進出を逃す結果に(男子サーブル個人)
茂木との一本勝負に敗れ座り込む高木
男子サーブルからは、竹下昇輝(スポ3=静岡・袋井)、茂木、高木良輔(スポ1=埼玉・立教新座)が出場。プール戦の結果、1回戦で茂木と高木は同士討ちとなる。前半、茂木が7連取して大量リード奪う。このまま茂木が勝利を呼び込むかと思いきや、ここから高木が反撃を開始。前に出ることを恐れず、じりじりと詰め寄り14-14。勝敗の行方は一本勝負に託されることになる。しかし意地を見せた茂木が強いアタックで一本取り、先輩後輩対決は茂木に軍配が上がった。その茂木は2回戦、シード1位のストリーツ海飛(鹿児島クラブ)と対戦。序盤から大苦戦し思うようにさせてはもらえない。1-8と大量ビハインドでインターバルを迎える。最後は3連取するも、相手のスピードあるアタックには対応し切れず6-15で2回戦敗退となった。一方、竹下は1回戦、序盤自陣に攻め込まれてもアタックを決めるなど好調ぶりを見せる。しかし後半は相手に圧倒され追い上げを許し、最後は一本勝負に。勢いに乗った相手を止められず、一本に泣く結果となった。
(記事、写真 加藤佑紀乃)
★収穫も課題もあった6位に(女子エペ個人)
才藤は2回戦でインカレの準決勝で当たった相手と剣を交えた
昨年この大会で2位となり、鮮烈なインパクトを残した才藤。しかし今年はプール戦でいきなり2敗を喫する。「今年はそこまでうまくはいかない」(才藤)という試合前の予想通りの苦しい幕開けとなった。しかしここで立て直すのが才藤の強さ。本戦ではいつも通りのプレーを披露する。2回戦では全日本学生選手権(インカレ)の準決勝で当たった実力者・黒木夢(日大)と対戦。インカレでは相手を追いかける展開となったが、今回は才藤が終始ペースを握る。接戦とはなったものの、逆転を許さず15-13で勝利し最初の山場を乗り越えた。3回戦も落ち着いた試合運びで白星を挙げ、2年連続ベスト8に進出。だが次の試合では、同じようなタイプを相手に自分の距離をつかめず苦戦する。最後まで対応することが出来ず11-15で敗れた。「自分の距離でどの相手でも戦えるようにするのが課題」(才藤)。悔しさの残る個人戦となったが、次はディフェンディングチャンピオンとして臨む団体戦が控える。関東学生選手権、インカレの悔しさを晴らすために挑戦者として今季ラストの戦いに挑む。
(記事 山田周史、写真 加藤佑紀乃)
※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。
※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。
結果
▽男子サーブル個人
茂木雄大(スポ2=神奈川・法政二) ベスト32
1回戦:○15―12 高木良輔(早大)
2回戦:●6-15 ストリーツ海飛(鹿児島クラブ)
竹下昇輝(スポ3=静岡・袋井)1回戦敗退
1回戦:●14-15 森翔一(日大)
高木良輔(スポ1=埼玉・立教新座)1回戦敗退
1回戦:●14-15 茂木雄大(早大)
▽女子エペ個人
才藤歩夢(スポ2=埼玉栄)6位
1回戦:○15-12 曽根一葉(専大)
2回戦:〇15-13 黒木夢(日大)
3回戦:○15-8 大石栞菜(山九株式会社)
準々決勝:●12-15 馬場晴菜(日大)
コメント
才藤歩夢(スポ2=埼玉栄)
――今大会を振り返っていかがですか
去年は2位でうまくいきすぎていたので今年はそこまでうまくはいかないとは思っていました。そこまで内容は悪くなかったのですが、予選で2敗してしまい、最後に勝てる試合を落としてしまったのももったいなかったです。ただ2日目の最初の試合でいつも負けている人に勝てたのは自信になりました。
――2、3回戦は才藤選手のペースだったと思いますが、振り返っていかがですか
最初から競るだろうと思っていたので無駄な失点をしないように心がけました。簡単に出てしまって点を取られるところもありましたが、インカレ(全日本学生選手権)で当たった時よりは油断せずに自分のプレーができました。
――準々決勝は中盤の3失点が響いたように思われましたが、振り返っていかがでしたか
準々決勝は自分と同じようなプレースタイルの相手だったのでやりづらく、自分が普段やっていることを相手にやられてしまい、対応できないまま点を重ねられて終わってしまいました。途中で対応を考えられていればなと思いました。
――試合途中に剣の曲がりを気にする場面が見られましたが、何か狙いはありましたか
剣の曲がりを結構気にする方なので、試合中思い通りにならなかったので途中で変えてやっていました。
――今大会で見つかった課題はありますか
良かった試合は距離の取り方がうまく出来ていて、悪かった試合は遠い距離からいってしまったりしたので、自分の距離でどの相手でも戦えるようにするのが課題です。
――最後に全日本の団体に向けて意気込みをお願いします
昨年優勝しているので目標は2連覇ですが、インカレも関カレ(関東学生選手権)も優勝出来ていないので挑戦者の気持ちで臨みたいと思います。