山村 アジアで得たものを手に、最後の舞台へ

フェンシング
 アジアU-23選手権は28日に女子エペ個人、31日に女子エペ団体が行われ、早大からは予選会を1位通過した山村彩和子(教4=岡山・玉野光南)が出場した。

 個人戦では1回戦で日本人の同士討ちを制すると、2回戦では第2シードの中国人選手と対戦。大事な先制点を獲得すると、第2セット終了時で4-4と互角の戦いを見せた。しかし、第3セットで一気に4点差まで離されてしまう。残り数秒になっても諦めず突きを決めるが7-12で敗北した。

 団体戦は早回りとして登場した。準々決勝は主導権を渡さず45-23で勝利すると、迎えた準決勝で対戦したのは第1シードの韓国だ。ロースコアが続き第3セット終了時で6-6。しかし、試合が大きく動いたのは第4セット、韓国がパワーのある攻撃で得点を稼ぎ点差が離れてしまう。28-45で敗れ決勝進出とはならなかった。

 引退まで残り2か月となった山村が今大会に臨んだ思い、そしてラストイヤーに向けての思いを伺った。

一本が悔やまれた個人戦

強豪相手につかんだ手応え

  団体戦最終日に行われた女子エペ。他種目の日本チームは決勝戦のみ行われる特別なピスト「Podium Piste」で戦い、3つの優勝を手にした。それに続きたいところだったが韓国のカベは厚く決勝には進出できず。「韓国と中国が強いと分かっていても、あの大きいピストで戦いたかった」。しかし、山村がアジアの強豪と戦って得た収穫は確実にあった。

――今の率直なお気持ちはいかがですか

 団体戦の1日目と2日目が日本の結果がすごく良かったので、韓国と中国が強いと分かっていても、あの大きいピストで戦いたかったなという気持ちはあります。

――準決勝ではその韓国と当たりましたが、今日の団体戦を振り返っていかがですか 

 自分だけのスコアを見るとそんなに悪いわけではないのですが、やはりスピードも作り方も相手の強さを感じました。これからあと少ししか期間はないのですが、インカレ(全日本学生選手権)や全日本(全日本選手権)に向けていいところを見習って自分の動きを改善していけたらなと思っています。

――きょうは早回りでしたが、自分のチーム内の役割はどのように考えていましたか

 普段中回りなので、早回りを大学でやってないのですが。ふつう早回りはのびのびしてどんどん点数を取るという役割があるのですが、特に韓国戦の時はどこも厳しい戦いしかなかったので、とにかく早回りだからというよりは点を取られずにロースコアに抑えてなるべく最後に戦いやすいようにするというのを考えてやっていました。

――台湾戦の後に、長い間コーチからアドバイスを受けていましたが、何を話されていましたか

 スコアという点では台湾戦はプラスだったのですが、他の選手に比べて私がもたついた試合をしてしまったので。特に次が強いと分かっていたので、フットワークなどそこに向けて改善できる部分をたくさんお話していただきました。全部をするというのは厳しいので、パターン化して自分のできることをして相手の技を制限していくことを話してやっていました。

――それは実践できましたか

  その前が結構リズムだけで動いていたのですが、韓国戦の時は失点を減らそうとあまり無駄に動きすぎずチャンスだけ作れるようにと落ち着いて考えていたので、アドバイスはちょっと生かされたかなと思います。

――個人戦もありましたが、振り返っていかがですか

 個人戦の中国の選手との試合の時は、一本が明暗を分けたんですよ。「あの一本が」というのが悔やまれるという気持ちもあるのですが、最初はいい戦いができました。やはり駆け引きの中でどんな時も勝負の中ではそういう一本の積み重ねが大きく勝ちにつながってくるので、そういう失敗をしないようにしていきたいと思います。

台湾戦の反省をもとに挑んだ韓国戦。山村は短期でも確実に改善し、さらにいいプレーを目指す

ラストイヤーを『彩』って終えるため

  「本当に、後悔のないようにしたい」。本格的な競技人生は大学が最後であり、引退までは残り約2カ月。関カレでは団体で3位、個人では2回戦敗退と悔しい結果となった。最後は笑顔で終わるために、今回の収穫を手に気持ちを新たにチャレンジャーとして挑む。

――関カレ(関東学生選手権)からあまり期間が空かずにこの大会を迎えましたが、どういった準備されてきましたか

 ジスやナショナルトレーニングセンターの方で練習をしてきました。今回は即席チームなので団体をやったり、日本に比べて(他国が)フットワークが速いので、そのフットワークにどう対応するのかというのを練習したりしていました。

――団体では男子エペ、女子フルーレ、女子サーブルが優勝し個人でもいろいろな選手が表彰台に上りましたが、やはり刺激にはなりましたか

  そうですね。種目によって差が出るというのも、女子エペはまだまだだなと思われなくていいように個々の力を上げていけたらなと思いますね。

――卒業後も競技は続けますか

  続けるのですが今までのようにはできないので、とりあえず大学までというのを考えて全力でやっていきたいと思います。

――あと引退までは約2カ月となりましたが、どういったプレーをしていきたいですか

  本当に、後悔のないようにしたいです。関カレが本当に大学自体も自分も成績もあまり良くなかったので、インカレでは一からチャレンジ精神で最後やっていって、表彰台に立てるようにしたいと思います。

――ありがとうございました!

(記事 加藤佑紀乃 写真 藤岡小雪、加藤佑紀乃)

トロフィーを受け取り、表彰台の上では笑顔を見せた(写真一番左)

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

結果

▽女子エペ個人 ベスト16
 1回戦 〇15-10 馬場晴菜(日本)
 2回戦 ●7-12 XU Nuo(中国)

▽女子サーブル団体 3位
日本〔山村、黒木夢(日大)、馬場晴菜(日大)、原田紗季(東京・慶應義塾女子高)〕
 
準々決勝 〇45-23 台湾
 準決勝 ●28-45 韓国

◆山村彩和子(やまむら・さわこ)

1994年(平6)10月29日生まれ。岡山・玉野光南高出身。教育学部4年。会場内では日本チームがお互いの種目を応援する姿が。前日の男子エペの試合を女子エペが応援し、この日は男子エぺは女子エペのピストのそばで試合を見守っていました。エペ陣はこういうシーンが多く見られ、仲の良さがうかがえました