泣いた、叫んだ!白熱の関カレ最終日

フェンシング

 関東学生選手権(関カレ)も最終日を迎え、この日は男子エペ団体、女子サーブル団体が行われた。男子エペは2回戦で因縁の相手である専大に勝利。準決勝、3位決定戦では惜しくも敗れ4位で終えた。女子サーブルは初戦から強豪・法大と対戦。序盤はリードを奪うが接戦にもつれこみ最後は敗れてしまう。しかし、この激戦で得た収穫があったと感じさせる試合となった。

★熱戦に続く熱戦!総力を結集し4位に(男子エペ団体)

大接戦となった専大戦、最後回りの小野は勝利したと分かると叫んだ

 1回戦を勝ち抜くと、2回戦で対するのは専大だった。昨年の関カレ、インカレ(全日本学生選手権)で敗れている相手である。先手を打たれると、第5セット終了時点で15-20。第6セットで小野真英(スポ2=埼玉栄)が魅せた。得点を積み重ねていく小野に、ベンチからは「流れ来てるよ!」のエールが届く。その後は同点まで追いつく大健闘。続く北原達也(スポ3=長野・伊那北)も離されないように最後まで奮闘した。32-35。バトンを受けたのは三好修平主将(社4=愛媛・三島)だ。「任しといて」とチームメイトに笑顔を見せピストに立つ。そして最初から同時突きを含む5連続得点。その言葉通りのプレーで38-38と相手を追い詰めた。運命はアンカーの小野に託される。攻防が続き41-43。2点のビハインド、残りは1分半を切っていた。しかしここで意地を見せ1点、さらに1点。43-43、先に取ったほうが準決勝進出に王手をかける、そんな緊迫した雰囲気の中で小野は見極めていた。前に走り出した相手の隙をに突く。勝利が決まった瞬間、小野はマスクを取って、勝ったことを確かめるかのように2回叫んだ。ベンチと観客席は沸き、試合終了後4人は抱き合って喜びを表した。

遠征から帰国直後にもかかわらず、まさにブラボーな活躍をした安

 準決勝、3位決定戦には、遠征から帰国したばかりの安雅人(スポ1=茨城・水戸一)が出場。準決勝の相手は第2シードの中大。序盤は相手ペースだった。第3セットに三好が足を痛めてしまい暗雲が立ち込める。10点を追いかける展開で迎えた第8セット、安は7連取し負けじと粘り34-39。逆転は射程圏内に近づいた。最後回りの小野は離されまいと必死に食らいつくが、41-45で敗れた。3位決定戦は早慶戦となる。強気の慶大相手に、安が10連続得点で逆転に成功。続く北原も3分という時間をうまく使ってわずかな点差を守り抜く。その後もシーソーゲームは続くが、ラストはあと一歩が届かない。敗れてしまうと小野はピストにへたり込んだ。「相手がやはり上手でした」(小野)。春の関東学生リーグ戦(リーグ戦)で活躍を見せた加納虹輝(スポ1=山口・岩国工)が不在、安は途中出場という中、フルーレ陣の三好、北原のファインプレー、そして初めてアンカーを務めた小野の健闘など一人一人の力を結集させて戦いに挑み善戦した。特に小野は『最後回りは、勝てばみんなのおかげだけど負けたらの自分の責任』という先輩からの言葉を肝に銘じ、「みんなのおかげで勝ったと言えるように頑張りました」と語る。団体戦は一人の力では決して勝てない。ワセダのチーム力は個人の力をさらに引き出す力がある。それを最も表した日となった。

★強豪を脅かす善戦も、勝機を逃す(女子サーブル団体)

木村(左)が得点を挙げるとベンチが沸いた

 佐々木陽菜(社2=東京・大原学園)が復帰し、フルメンバーで臨んだ団体戦。初戦の相手はリーグ戦で大敗した法大である。最初から相手と互角に渡り合い、第3セットには木村結(社1=山口・柳井学園)が3点のリードを奪う。試合の流れを作り、法大を焦らせた。一時は逆転されるが、第8セットに木村が同点に追いつくと、勢いそのままに3連取。40-37で最後回りの佐々木へ。しかし、なかなか得点を挙げられず敗北。目の前に迫った勝利は、無念にも逃す結果となる。試合終了後、佐々木の目には涙があった。ただ、強豪相手に善戦したことは収穫にもなったはずだ。リーグ戦では二部降格も経験した女子サーブル。インカレでは念願の白星を挙げたい。

(記事 加藤佑紀乃、写真 渡邉歩)

5日間の熱戦を終えたワセダ。インカレは全員で一丸となって臨む

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。

結果

▽男子エペ団体
早大〔三好修平主将(社4=愛媛・三島)、北原達也(スポ3=長野・伊那北)、工藤功輝(社3=東京・早大学院)、小野真英(スポ2=埼玉栄)、十河昌也(スポ1=香川・三本松)、安雅人(スポ1=茨城・水戸一)〕 4位
 1回戦:○45-29青学大
 2回戦:○45-43専大
 準決勝:●42-45法大
 3位決定戦:●41-45慶大
 
▽女子サーブル団体
早大〔永瀬夏帆(スポ4=宮城学院)、佐々木陽菜(社2=東京・大原学園)、木村結(社1=山口・柳井学園)、佐野友香(スポ1=静岡・沼津西)〕 1回戦敗退
  1回戦:●43-45法大
 

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コメント

小野真英(スポ2=埼玉栄)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

初めてアンカーということで責任は大きかったのですが、自分なりの試合はできたかなと思います。

――2回戦の専大戦が勝敗が最後まで分からないような試合になりましたが、振り返っていかがですか

去年関カレ(関東学生選手権)、インカレ(全日本学生選手権)で専大に負けていて、ことしも1年生の加納(虹輝、スポ1=山口・岩国工)と安(雅人、スポ1=茨城・水戸一)がいない状態でどういう状態か分からなかったのですが、フルーレやってた修平先輩(三好、社4=愛媛・三島)と達也先輩(北原、スポ3=長野・伊那北)が頑張ってくれたので自分も頑張んないとなという思いで挑めました。

――準決勝を振り返っていかがですか

昨日個人戦で当たった水口さん(紘輝、中大)が本当に強くて、自分も相性は悪くないと思っていたのですが、最後というより自分の最初の入りが悪すぎて、少し足を引っ張ってしまったかなと思います。メンバーが揃えば勝てない相手ではないので、インカレで当たった時は勝ちたいですね。

――3位決定戦も競り合う試合になりました

3位決定戦は早慶戦ということで、絶対に負けられない試合だったのですが、相手がやはり上手でした。

――先ほどきょうはアンカーだったという話がありましたが、きょうの最後回りはプレッシャーがかかる場面が多かったと思いますが

去年の津江先輩(碧、平28スポ卒)や、弘貴先輩(小野、平28社卒)に「もしアンカーをやるとしたら、勝てばみんなのおかげだけど負けたらのお前の責任だから」と言われたのを肝に命じて、みんなのおかげで勝ったと言えるように頑張りました。

――きょうベンチからもよく声を掛けられていましたが、それはやはりご自身が男子エペ陣で最上級生となったからでしょうか

そうですね。あと、修平先輩、達也先輩も結構声を掛けてくれるので、それに負けないように自分も声を掛けて盛り上げようかなと思いました。

――1年生の男子エペ陣の活躍も目覚ましいですが、どんな印象を持っていますか

チームメイトとしては心強いですけど、下が強いので自分も頑張んなきゃなという思いがあります。負けてられないです。

――昨日のことになりますが、個人戦を振り返っていかがですか

昨日は予選で調子悪くないなと思っていたのですが、気の緩めで一敗してしまって。(トーナメントの山に)どこ入るか分からない状態で。フワフワした状態で1回戦に突入してしまいました。同じことをやりすぎて、そこにこだわりすぎてもう反対のことをやられていたので、最後は切り返してできたかなと思います。

――ケガからいつ頃復帰されましたか

復帰自体は9月の強化練習からですね。

――調子は大分戻ってきているのでしょうか

そうですね、大分良くなってきました。

――インカレでは全員揃って上を目指すと

はい、もちろん。個人戦、団体戦共に狙いに行きます。

――今後に向けて意気込みをお願いします

今回はフルーレ陣2人だったのですが、インカレ以降はちゃんとメンバーが揃います。1試合1試合集中して勝っていきたいなと思います。