関東、関西の激戦を勝ち抜いた各2校が集い、日本一を決める全日本学生王座決定戦(王座)がついに幕を開けた。ワセダからは関東学生リーグ戦(リーグ戦)でそれぞれ2位となった男子フルーレと女子エペが出場。男子フルーレは決勝まで進むも、法大に力負け。女子エペは決勝でリーグ戦にて1位となった法大と対戦。45-31で大勝し、見事王座連覇を成し遂げた。
男子フルーレは打倒法政を果たすべく、この大舞台に挑んだ。初戦の愛工大戦では、序盤からリードを保ち第4セット終了時には6点差をつける。しかし、第5セットに相手の積極性に押されて9失点。2点差まで詰め寄られてしまう。ここで登場したのは三好修平主将(社4=愛媛・三島)。連続得点を挙げ三好が叫ぶと、一度変わりそうになった流れを早大に引き戻した。その後は徐々に突き放し、45-34で決勝進出を決めた。決勝で当たったのは、関東王者の法大。リーグ戦で唯一の負けを喫し、何としても勝ちたいではあったがその壁は厚かった。序盤から少しずつ離れていった点差が、徐々に積み重なって大きく引き離されてしまう。「チャレンジ精神で食らいついていくしかない」(三好)と、ところどころで粘りを見せるも、攻め切れず32-45で敗北。「ミスを誘う前に、やはり自分でゲームを作れなかったというのが一番の敗因」(竹田陸人、社2=神奈川・法政二)と振り返るよう、試合の主導権は握ることができないままであった。
粘り強く攻め、得点を挙げてガッツポーズする三好主将
チームワークで成し遂げた連覇だ。しかしこの日は苦戦する場面も見られた。初戦「普段の動きができていなかった」(山村彩和子、教4=岡山・玉野光南)と語るよう、序盤は相手にリードを許す展開となる。しかし3セット目で、山村が同時突きも含む一挙7得点を挙げ、逆転に成功。その後は相手の攻撃を何とか凌ぎ45-36で勝利した。迎えた決勝。相手はリーグ戦で1位となった法大だ。最初はお互いに狙い所を探すといった状態となり、ロースコアが続く。第3セット終了時で7-11と、4点ビハインド。ここで順番が回ってきたのは伊藤由佳(スポ4=栃木・宇都宮中央女)。リーグ戦では得失点差で法大に負けたことがふと頭をよぎったという伊藤。「捨て身でもいいから思い切りやるしかない」と気持ちを切り替え、同点まで追い付く見事な攻めを見せた。続く才藤歩夢(スポ2=埼玉栄)が、このセット13得点を挙げ25-19まで差を広げ、山村も同時突きを含む5連続得点とチームは調子を上げていく。その後も主導権を譲らず、45-31で勝利。優勝が決まった瞬間笑顔を見せた。
狙いを定めて攻撃を決めた山村
リーグ戦での雪辱を果たし、昨年に続いて日本一に輝いた女子エペ。「ひとりひとりの得意なところで勝負できている」(才藤)とそれぞれがつないでつかんだ快挙となった。一方、2位に終わった男子フルーレ。三好は「チームの雰囲気もやっているフェンシングの内容としても3月からの強化練習の成果が出た」と確実に手応えはつかんでいる。この悔しさを糧にし、秋に挑んでくるだろう。次の舞台で、剣士たちはどんな姿を見せてくれるのだろうか。
(記事 加藤佑紀乃、写真 茂呂紗英香、加藤佑紀乃)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
2連覇を成し遂げた女子エペ
2位と健闘した男子フルーレ
閉会式終了後の集合写真
※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。
※フルーレ:頭・両足・両腕を除いた胴体部への突きのみが得点となる。 両者がほぼ同時に突いた場合は、どちらの攻撃が有効だったかを主審が判定する。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は攻撃を防御してから攻撃しなければならない。
※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。
結果
▽男子フルーレ
早大〔三好修平主将(社4=愛媛・三島)、北原達也(スポ3=長野・伊那北)、竹田陸人(社2=神奈川・法政二)、加納虹輝(スポ1=山口・岩国工)〕 2位
1回戦:○45-34愛工大
決勝:●32-45法大
▽女子エペ
早大〔伊藤由佳(スポ4=栃木・宇都宮中央女)、山村彩和子(教4=岡山・玉野光南)、才藤歩夢(スポ2=埼玉栄)、澤浦美玖(スポ1=群馬・沼田女)〕 1位
1回戦:○45-36関学大
決勝:○45-31法大
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コメント
▽男子フルーレ
三好修平主将(社4=愛媛・三島)
――きょうの試合を振り返って
着実に一本ずつみんなで取れたかなとは思いますが、法大に勝てなかったのは悔しいです。リーグ終わって法大だけには勝ちたかったのですが、点差もリーグと同じぐらいとなって、素直なところ実力かなと思います。
――初戦の愛工大戦を振り返って
初戦は他の2人の調子があまり良くなくて、竹田(陸人、社2=神奈川・法政二)は時々点数を取ってくれたのですが、みんないい状況ではなかったので、自分が取らないといけないなという気持ちはありました。
――法大戦では粘っている様子が印象的でした
自分たちはチャレンジ精神で食らいついていくしかないので、どれだけ負けていても点差があったとしても、1点ずつ点数取って食らいつく気持ちでがんばりました。
――今年の春のシーズンを振り返って
チームの雰囲気もやっているフェンシングの内容としても3月からの強化練習の成果が出た試合となったかなと思います。
――今後、秋に向けどのように練習していきたいですか
1回明日明後日で、今大会で何が駄目で何が良かったかのかをもう一度ミーティングしようと思います。チームとしての問題点と個人としての問題点を明確にして、次の練習からがんばっていくだけですね。また強化練習が9月からスタートするので、それまでに問題点を直し、また9月からは体づくりをしっかりやって、関カレ(関東学生選手権)、インカレ(全日本学生選手権)に臨みたいと思います。
北原達也(スポ3=長野・伊那北)
――きょうの試合を振り返って
最初はやはり緊張で固くなっていた部分もあり、序盤とか一気に点数をつけられて、見ている人をヒヤヒヤさせる試合展開になってしまいました。少し悪いことがあると、そこから連続して点数を取られてしまうのが結構あったのでそこが課題です。法大戦は、挑戦する気持ちで思い切ってできたので、それはよかったです。
――ベンチから三好修平主将(社4=愛媛・三島)などに声を掛けられていましたか、何と声を掛けられていましたか
ベンチワークを大切にしようと、男子フルーレでは試合前から決めていて、試合で少し点を取られても具体的なアドバイスをし、負けて戻ってきてもあれが良かったから大丈夫ですよと言って、士気を高めたままにしようと決めていたので、そのような声掛けをしていました。
――ことしの春のシーズンを振り返って
1、2年のときは、何回かはあったのですがメンバーに入ったのはことしからで、高校の時も団体戦はいくつかやったのですがそれとはまた違った点もあり、チームの雰囲気や団体戦には、最初は慣れない部分もありました。あと無駄な点数をあげてしまって、もったいなかったので、そこをもっと抑えられるような選手になりたいなと思います。
――緊張するタイプですか
緊張するタイプなのですが、そこを振り切ったら思い切ってできますね。いいプレーもあるよと言われるので、そこを出して無駄な点数をあまり与えないようにしたいです。3年で上級生となったので、プレーを安定させていけないなと思いました。
――今後に向けて
今後は、無駄な点を相手に与えないことと、自分から前に行く時に落ち着いて次のプレーをしっかり考えて進んで、点を取られても連続して点を取られていかない、1回どこかで気持ちを切り替えて、自分が先に点を取ることを意識してやっていきたいと思います。
竹田陸人(社2=神奈川・法政二)
――きょうの試合を振り返って
1試合目の愛工大戦では、関東の大学は関西の大学に絶対勝たないといけないと思っているので、しっかり勝ちにいこうと思っていました。しかし内容はあまり良くなかったです。
――ご自身の調子はいかがでしたか
ふつうです、良くもなく悪くもなく。
――きょうに向けてどのように練習されてきましたか
リーグ戦(関東学生リーグ戦)が終わって少し空いたのですが、一息つくということなく、王座(全日本学生王座決定戦)を見据えて練習してきました。練習としては結構やってきたと思います。
――法大戦を振り返って
法大は自分よりもみんな格上の相手で、その中でいかに相手のミスを誘えるかというのをチームで話していました。しかしミスを誘う前に、やはり自分でゲームを作れなかったというのが一番の敗因かなと思います。相手の動きに合わせて自分も(攻めに)出たりしていたので、それでは相手の思うつぼでミスを誘えないので、自分からしっかり出て相手のミスを誘えたら良かったと思います。
――改めてことしの春を振り返っていかがですか
まずは王座に出場できたというのは、自分の中でも嬉しいことで、目標としていたことなので良かったかなと思います。チームの雰囲気もすごく良くて、そのおかげで王座2位という結果が出たと思いますし、引っ張っていただいた先輩方には感謝したいです。ただ2位という結果は決して良くはないので、やはり秋にもこの経験を生かし、今後は来年僕が上級生になったときに下級生を引っ張っていけるような先輩になっていきたいです。
▽女子エペ
伊藤由佳(スポ4=栃木・宇都宮中央女)
――優勝おめでとうございます。今のお気持ちは
良かったです、ほっとしました。
――プレッシャーはありましたか
プレッシャーというよりかは、自分の中で試合に臨む心の準備があまり今日はできていないままプレーに入ってしまいました。ふわっと入ってしまいました。
――それには何か原因があるのですか
気持ちの問題だと思います。昨日や一昨日になかなか練習に参加できなくて、きょう動いてみて、あれきょうやばいかも、何しようとちょっと思いました。今までどうしていたかなと考えてすぎてしまったのが良くなかったと思います。
――関学大戦を振り返って
まさに今言った通り、個人的には何しようという感じでした。あとの2人はしっかりやってくれるのですが、自分の番になるとどうしようという思いがありました。あ、ごめんって感じでした。
――法大戦までに気持ちを切り替えられたのですか
法大戦では、1回目の自分の入りの時は、まだ初戦の時と同じような状態でした。気持ちで負けちゃいけないところが、自分の唯一他の人に勝てるような部分だと思っているのですが、そこが欠けていました。自分の番が2回目に回ってくる時、リーグ戦の時の得失点差で負けたということが頭をよぎり、このままだとまた自分何もできなくて、足を引っ張ったまま負けていいの?というのをふと思って。いやだめだ、捨て身でもいいから思い切りやるしかないと気持ちを少し切り替えて、それがうまくはまって良かったかなと思います。
――後半は点数を離す展開となりましたが
このまま気持ちを切らさずぶつけようとしか考えてなかったです。点差をどうするとかよりも、やるだけやろうという気持ちだけで臨みました。
――2連覇となりましたが
2連覇とかはあまり考えてなかったです。言われてみればそうかなという。
――チームの感触はいかがですか
メンバーはそこまで変わってないので、先輩の存在も大きいですけど、そこまで全て変わるわけではないです。もっと改善できることもありますが、チームワークや雰囲気はとてもいいと思います。
――今後に向けて
まだ考えていて、はっきりとしたことは言えないのですが、まずはいつでも自分のプレーができるような精神面は崩れないようにしたいです。
山村彩和子(教4=岡山・玉野光南)
――優勝おめでとうございます。今のお気持ちはいかがですか
率直なところリーグ戦(関東学生リーグ戦)で優勝を逃しているので、その分王座(全日本学生王座決定戦)で優勝できたのはうれしいです。
――きょうの試合を振り返っていかがですか
最初の関学大戦では、みんなふわっと入ってしまったというか、普段の動きができていなかったと思うので、なるべく声掛けで締めるようにしました。法大戦では持ち直せたので、流れも良かったし自分たちの動きができたと思うので、やっていくうちに改善できて良かったです。
――関学大戦と法大戦で順番を変えたのには理由はありますか
私が去年のインカレの時に、関学大にマイナスしていたことがあったので、私を早回しにして、由佳(伊藤、スポ4=栃木・宇都宮中央女)を後にしました。法大戦の時は、いつも通りの回りにしました。
――法大戦では、後からつき離す展開となりました
私自身は4点差離れていた時も焦りはなくて、大丈夫だろう、ここからという気持ちでした。由佳が同点まで追いついてくれて、歩夢(才藤、スポ2=埼玉栄)もたくさん点を取ってくれて、あまり気にせず安心して見ていられたので、これがチームワークなのかなと思って見ていました。
――山根司氏(平28スポ卒)が抜けた穴を感じることはありませんか
やはり右フレンチで司先輩のポイント力はすごかったのでいてくれたらと思いますけど、去年からこの3人はちゃんとメンバーとしてやっていたので、チームとしての不安はないですね。
――チームの他の選手によく声をかけられていましたが、何とかけていました
ベンチから見ているといつもの動きと、きょうの動きの違いが分かるし、自分きょうやった感想をちゃんと伝えれば、2人はすぐに順応してできるので、なるべく自分が感じたことを伝えるようにして、あとは委縮しているときにのびのびと自分の動きをすることが優先ということを伝えました。
――ことしラストイヤーとなりますが、心持ちに変化はありますか
今のチームワークを維持したうえで、自分たちがいかに戦術を立てて、最後の年ですけど自分の実力を上げて成長していければなと思っています。
――今後の目標は
これから(次のシーズンまで)空いてしまうので、オフシーズンで練習をどれだけうまくしていくかが次の関カレ(関東学生選手権)やインカレ(全日本学生選手権)につながっていくと思います。その期間でしっかりフェンシングと向き合って、自分と向き合って弱いところは直していきたいと思います。
才藤歩夢(スポ2=埼玉栄)
――優勝おめでとうございます。今のお気持ちは
リーグ戦(関東学生リーグ戦)では優勝できなかったので、王座(全日本学生王座決定戦)では絶対優勝するという気持ちで臨んだので、優勝できて良かったと思います。
――ご自身の今日の調子はいかがでしたか
最初の関学大との試合では、腕を引いてしまって体から動いていたのですが、法政との試合では、それを修正できたのでそれが良かったかなと思います。
――法大戦では、才藤選手の回りの時に相手をつき離すこととなりました
序盤がロースコアだったので、自分が最後回りをするので、その最後に回ってくる時に、マックスの40点ないと厳しいかなと少し思っていたので、そこで点数を重ねられたらいいかなと思って、点数を挙げられるようにしました。
――昨年も王座で優勝し、プレッシャーなどはありませんでしたか
逆にリーグ戦の時に、少しプレッシャーがあったので、今回はあまり気にせず楽に普通に一試合一試合勝てるようにということを考えていました。
――いまのチームの雰囲気はいかがですか
(昨年と)大きくは変わらずベンチも盛り上げて、試合もひとりひとりの得意なところで勝負できているので、いいチームだと思います。
――最後回りのプレッシャーはありますか
先輩方が勝った状態で回してくれるので、最後自分としては楽に試合ができています。
――リーグ戦と王座を振り返って
リーグ戦は優勝を逃したのですが、王座で優勝できたので、秋も関カレ(関東学生選手権)、インカレ(全日本学生選手権)で優勝できるように頑張りたいと思います。
――今後どのような練習をしていきたいですか
やはり試合中にミスが結構多いなと自分で感じているので、失点を秋までに抑えるように、もったいない点を減らせるように練習していきたいと思います。