昨年、公式戦無敗そして五冠を成し遂げた女子エペ。柱を担っていた山根司氏(平28スポ卒)が抜け、関東学生リーグ戦(リーグ戦)に新体制で挑んだ。初日は快勝するも、2日目は波乱の連続だった。専大戦は接戦となり何とか制す。最終戦となった日大戦では、追いかける展開となり、意地を見せるも惜しくも敗北。早大を含め3校が4勝1敗となり、このうち上位2校しか全日本学生王座決定戦(王座)に出られないというまさに激戦区。得失点差により2位となった早大は、ことしも王座への出場を決めた。
初戦は、昨年の全日本選手権の決勝で対戦し、今着実に力をつけてきている法大。序盤から競り合いが続くが、第6セットに山村彩和子(教4=岡山・玉野光南)が同時突きを含む連続4得点で、30-28に持ち込むと、主導権は完全に早大へ。振り返ってみれば45-34と点差を突き放しての勝利となった。続いての相手は明大。大量リードを得ると、その後も追随を許さず白星を挙げた。
活躍を見せた伊藤(左)と山村
2日目は主力の山村が不在という状況での戦いになったが、チーム一丸となって見応えのあるプレーを展開した。日体大戦は「失点を抑えることができた」(伊藤由佳、スポ4=栃木・宇都宮中央女)と納得の試合運びで快勝。ルーキーの澤浦美玖(スポ1=群馬・沼田女)も2セット目に登場し、堂々の大学デビュー戦となった。続く専大戦は途中まで順調に得点を重ねていったが、6セット目以降は相手に主導権を握られ逆転を許してしまう。しかし最後回りを担う才藤歩夢(スポ2=埼玉栄)の怒涛(どとう)の追い上げによって、5点ビハインドからの勝ち越しに成功した。最後に対戦したのは強豪・日大。序盤から両者が拮抗する展開が続いていたが、強気で攻め続けた日大にゲームの流れを奪われる。4セット目以降につけられた点差を縮めることができないまま、迎えた最終セット。そこには今まで最後回りを務めていた才藤ではなく伊藤の姿があった。プレッシャーを一身に背負いながらも最後まで粘りのプレーを貫く。しかし、一歩届かず惜しくも苦汁をなめる結果となった。
一本を突きにいく才藤
この女子エペの混戦模様は、ことしも強豪が拮抗していることを表している。頂への道はやはり容易いものではない。リーグ戦で得たものを武器に変え、王座こそは表彰台の真ん中へ。決戦はもうすぐだ。
(記事 加藤佑紀乃、大浦帆乃佳、写真 熊木玲佳、中村ちひろ)
※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。
※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。
結果
▽女子エペ
早大〔伊藤由佳(スポ4=栃木・宇都宮中央女)、永瀬夏帆(スポ4=宮城学院)、山村彩和子(教4=岡山・玉野光南)、才藤歩夢(スポ2=埼玉栄)、澤浦美玖(スポ1=群馬・沼田女)〕 1部2位
1試合目:○45-34法大
2試合目:○45-34明大
3試合目:○45-23日体大
4試合目:○45-43専大
5試合目:●40-45日大
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コメント
伊藤由佳(スポ4=栃木・宇都宮中央女)
――2日間の試合を振り返っていかがですか
初日はフルメンバーで臨めたので、抑えるところは抑えて、繋げるところは繋げて、というふうにやっていました。2日目は自分の同期がいなかったので不安もあったんですけど、だからこそ伸び伸びやろうというか。挑戦していこうと思ってたんですけど、最後は自分の力不足で(笑)。
――きょうの3試合はいかがでしたか
日体大戦は抑えるところは抑えて、無駄な失点を少なく試合を運べたのはすごくよかったです。逆に専大戦は自分が流れを崩してしまって、歩夢(才藤、スポ2=埼玉栄)に負担をかけてしまったので反省点があるかな、と感じてます。専大戦で勝てたことが王座(全日本学生王座決定戦)出場に繋がったので、チームのみんなには「ありがとう!ごめん、次は頑張るわ(笑)」って感じですね(笑)。
――日大戦では最後回りをされましたが、どのような意図があったのですか
自分でもびっくりしたんですけど(笑)、上で歩夢と試合を見ているときに、歩夢が「日大の黒木選手と自分の相性が怖いです」と言っていて。最後回りだと相手もガツガツ来るじゃないですか。それだとあんまり相性が良くない印象があるので、そこの相性を考慮して最後回りをすることにしました。最初の方だと相手もあまりガツガツ来ずに、遠い距離からのやり取りができると思うので、それだと歩夢のリーチも生かせるし、伸び伸びとプレーできると思って。自分でも驚きました(笑)。
――プレッシャーはありましたか
ものすごくありましたね(笑)。正直、相手が攻めてくるのに対してだったらやりやすいかなって思っていたので、最後回りまでに、できれば同点か少しリードがほしかったんですけど、それが逆に負担になってしまって。申し訳ないな、と感じています。1点取ったあとに「このままいけるかも」って思った矢先、結構相手の点数が続いてしまう場面があって。欲が出ちゃいましたね。点差を詰めなきゃいけないので、そこを我慢して、相手がしびれを切らすところを狙ったら次に繋げやすかったんじゃないかと思います。次は頑張ります。絶対勝ちたい!(笑)
――約1年ぶりの敗戦となりましたが
正直、悔しいという気持ちはあるんですけど、次リベンジするときにはフルメンバーで臨めますし、そこで変に勝ちにこだわりすぎずに、次に繋がる試合をしたいなと思います。また、自分と山村(彩和子、教4=岡山・玉野光南)が卒業した後も、やっぱり早稲田に勝ってほしいと思うので、そこまで繋がるような試合展開だったりを後輩と一緒に組み立てていきたいし、練習からやっていきたいと思います。悔しいですけど、次を見据えて、って感じですかね。
――王座に向けて、意気込みをお聞かせください
絶対勝ちたい!っていうのと、満足せずに、次にどんどん繋げていくということを意識していきたいです。失点を少なくしたり、試合展開とか、自分のできることは変わってくると思うので。一本一本確実に点を取り、少ない失点で勝利できればな、と思います。
澤浦美玖(スポ1=群馬・沼田女)
――きょう、デビュー戦となり一度試合に出ていらっしゃいましたが、緊張されましたか
いや、そんなにしなかったです。
――試合前に先輩から声をかけられましたか
先輩からアドバイスをもらっていたので、言われたことをできるだけやろうと思ってやりました。
――エペのチームの雰囲気はいかがですか
エペの団体に出るのが、初めてだったのですが、すごい和やかな感じでやりやすかったです。
――大学生活始まったばかりですが、どのような目標がありますか
私は実力がないので、先輩から吸収して上達したいと思います。