日々熱闘を繰り広げられている関東学生リーグ戦。男女フルーレから一夜明け、次に行われたのは男子サーブルだ。昨年は1部4位という結果で悔しい思いをした早大。しかし試合の流れが相手に傾くとその流れを変えることができず、挙げた勝ち星は1つのみ。結果は1部5位と、2部との入替戦は逃れたものの、課題の残るシーズン開幕戦となった。
1日目は中大、明大、法大と矛を交えた。初戦の中大戦、序盤は取って取られてのシーソーゲームを展開する。しかし、中盤に入り徐々に押され出すと、第8セットが終わった時点で10点ビハインド。最後回りの安部凌(スポ5=島根・安来)が、30-44から怒濤(どとう)の8連取で食い下がるも、追い上げ虚しく敗北を喫する。続く明大戦は45-24で快勝した男子サーブル陣。だが法大戦では中大戦と同様、踏ん張ることができなかった。3点先行して迎えた第6セット、この日不調の茂木雄大(スポ2=神奈川・法政二)がリードを奪われると、最後まで追い付くことができずに33-45で敗戦。初日は1勝2敗と、悔しい結果に終わった。
安部はプレーと声でチームを鼓舞した
2日目、最初に対戦したのは専大だ。茂木が5-1で第1セットを終え好調な滑り出しをみせるが、徐々に詰め寄られ第3セットで逆転を許してしまう。その後、茂木の果敢な攻めで一時は追いつくが、再び離されるとその差を最後まで埋められずに40-45で敗北した。最終戦となった日大戦では、気持ちを新たに臨みたい早大であったが、「びびって負け腰になってしまった」(茂木)と思うようなプレーが出来ない。序盤で連続失点を許すと徐々に突き放され、いつの間にか9点差に。しかしここで茂木と竹下昇輝(スポ3=静岡・袋井)が9点差を2点差に縮める驚異の追い上げを見せ、38-40で最後を安部に託す。もしかしたら、という思いが観客の頭をよぎったが、必死の攻防の末に42-45で惜敗した。今大会では1勝4敗という結果に終わった男子サーブル。「誰かが崩れると一気に崩れてしまうもろさがある」(茂木)、「ここまで点差がついてしまったのはメンタルの問題」(安部)と語るよう、精神面においても課題が見えた。
悔しさを見せる茂木
しかし見つかったのは課題だけではない。ルーキー高木良輔(スポ1=埼玉・立教新座)は3試合に出場し、思い切ったプレーを見せる。今後、サーブル陣を支えていくことを予感させた。男子サーブル陣にとってほろ苦い試合となったが、この経験を糧に秋にはより成長した姿で戦いに臨んでくるだろう。
(記事 佐藤諒、辻本紗支子 写真 加藤佑紀乃)
※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。
※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。
結果
▽男子サーブル
早大〔安部凌(スポ5=島根・安来)、山本隼大(スポ4=香川・三本松)、竹下昇輝(スポ3=静岡・袋井)、茂木雄大(スポ2=神奈川・法政二)、高木良輔(スポ1=埼玉・立教新座)〕 1部5位
1試合目:●38-45中大
2試合目:○45-24明大
3試合目:●33-45法大
4試合目:●40-45専大
5試合目:●42-45慶大
関連記事
男子フルーレ、3年ぶりの王座へ!女子フルーレは悔しさ残す/関東学生リーグ戦(5/20)
コメント
安部凌(スポ5=島根・安来)
――この2日間を振り返っていかがですか
全体を通して調子は悪くなかったです。ただ、僕と茂木雄大(スポ2=神奈川・法政二)が二人で点を取ってくるというチームだったのですが、初日は茂木が調子良くなくて、2日目が僕のほうが調子が悪くて二人とも完全に実力を出せた試合がほとんどなくて、それで少し悔いが残りました。最後の日大戦は、あとがなくなってみんな体の底から力を出しきった試合になったので、悔しかったですけどやり残したことはあまりないです。
――悔しい気持ちが強いですか
日大戦の後に、練習会場に帰って僕と雄大は二人で男泣きしました。やり切ったのですが、悔しさがあって。日大戦が悔しくて、雄大もきっとそうだと思うのですが、連鎖的に他の試合の自分の悪かったことをどんどん思い出してきて泣いてしまいました。
――4試合で最後回りを務めていましたが
去年からずっと最後回りをやっていて、プレッシャーもあるんですけど、そっちのほうが力が出ます。一度、専大戦の時に僕は最後回りではなく中回りだったのですが、その時にいつもやっているのと違う順番だったのでちょっと調子が狂ってしまいました。緊張も、もちろんしますけど心地よい緊張です。会場を沸かせることが僕の中の原動力なので、そういうことをしたいと思ってやっています。最初と最後に出番があって、見せ場が多い最後回りはやりやすいです。楽しめました。
――応援席に向かってガッツポーズをされていましたが、意識的にやられていましたか
ガッツポーズまでは無意識にやるんですけど、その後のパフォーマンスはみんなが盛り上がるかなと思ってやりました。そしたら相手にもプレッシャーかけられるかなと(笑)。自分の気持ちも盛り上がっていい調子でできました。
――今回新チームで挑む初戦となりましたが、チームの雰囲気はいかがですか
顔ぶれはほとんど変わっていないので、去年の引き続いてそのままという感じです。悪くない感触だと思うので、このままいけたらいいなと思います。
――次につながる課題や収穫はありましたか
やはり個人の力としては、他の大学と今回の試合で点差に表れてしまったほどのそこまで大きな差はないと思います。点差がついてしまったのは僕たちのメンタルも問題だと思うので、試合に向けて自分の気持ちを作ることが今後の課題になりますね。
――秋までにどのように練習していきたいですか
まずは基礎からやり直しです。動ける体をもっと動けるようにしたいです。自分がこれだけ基礎能力を上げてきたのだからと考えると、自分の気持ちにもプラスに働くかなと思います。乗り越えたから俺たちはできるんだという、達成感が得られるような練習をしないと次に気持ちが持っていけないので、心を鍛えるためにきつい練習をします。
茂木雄大(スポ2=神奈川・法大二)
――2日間を振り返っていかがでしたか
ただただ悔しいです。
――ご自身の調子はいかがでしたか
1日目が特に悪くて、自分が点を取らなきゃと気負いすぎて自分が何やっているか分かっていなくて空中分解しているというか、いっぱいいっぱいになってしまっていました。2日目にそれを修正しようと思ったんですけど、いざというときに弱気になってしまっていつも通りのプレーは出来なかったと思います。
――専大戦では最終回りでしたがどういう気持ちで臨みましたか
1日目がすごく悪かったのでとりあえず結果にこだわらず自分の持っている力を出すことを意識しました。結果として個人スコアは良かったんですけどチームが勝てなかったので、自分が良くても周りを盛り上げないと勝てないんだなというのを改めて感じました。
――日大戦では9点ビハインドで回ってきましたがその時はどういう気持ちでしたか
1回り目の時にびびってしまって負け腰になってしまって、点数を取られてしまったので、その分を返そうという気持ちでした。
――新チームの初戦でしたがチームの雰囲気はどうですか
雰囲気はすごく良いんですけど、誰かが崩れると一気に崩れてしまうもろさが自分も含めてなんですけどあると思います。チームがまとまっているようでまとまってないというか。これから練習でカバーしていくしかないと思うので次に向けて自分を見つめ直してやるしかないと思います。
――新入生についてはいかがですか
高木(良輔、スポ1=埼玉・立教新座)は今日思いっきりやってくれたし、前向きで素晴らしい選手だと思います。勝てなかったのが申し訳ない気持ちでいっぱいです。
――次の試合に向けての目標をお願いします
個人戦が9月にそれぞれのカテゴリであるんですけど、とりあえずその個人戦にむけてそれぞれ頑張りたいです。チームとしてはミーティングをして、今日もボロボロにやられたわけではなくて徐々に詰められたので、何が足りないのか自分たちで考えて切り替えないといけないと思います。
高木良輔(スポ1=埼玉・立教新座)
――今回が大学でのデビュー戦となりましたが、いかがでしたか
初日はすごく緊張してプレッシャーに押しつぶされそうになったのですが、先輩たちから取られてもいいから思い切りやってこいと言われて、気持ちが楽になりました。でも緊張しました。
――2日目のほうが緊張はほぐれましたか
そうですね、はい。
――2日間を振り返って一番印象に残った試合はありますか
一番楽しかったのは明大戦です。勝った負けたうんぬんより、チームの雰囲気が一番良かった試合かなと個人的に思っています。楽しかったです。
――先輩から大会が始まる前に声をかけられましたか
1年生を出すということは俺たちもギャンブルだから、思い切ってプレーしてこい、勝敗は時の運だから自分のできる最高のプレーをしてこいと言われました。
――ご自身のプレーを振り返って良かった点はありますか
あんまり納得はできていないんですが、前に前にいけたのが良かったかなと思います。
――大学の雰囲気には慣れましたか
はい、慣れました。すごく楽しいです。
――フェンシング部の同期や先輩の印象は
いい部活のメンバーに恵まれたなと思います。
――今後どのように練習して、次につなげていきたいですか
この2日間で学べたことは大きいかなと思うので、それを生かして、分からないことがあれば先輩たちに聞いて、日々課題をクリアしていけたらと思います。