ことしもシーズン開幕の季節が到来した。新体制となって初の公式戦となる関東学生リーグ戦(リーグ戦)。2日間にわたって6チームが総当たり戦を行い、上位2校に全日本学生王座決定戦(王座)の出場権が与えられる。まずは、男女フルーレが決戦に挑んだ。男子フルーレは初日に2連勝で勢いをつけるが、2日目に行われた法大戦で終盤に差を広げられて敗戦。しかし、残りの2試合でしっかり勝利を収め、4勝1敗で2位となり、3年ぶりとなる王座への出場を決めた。一方女子フルーレは、試合の主導権を握れず全敗。2部との入替戦に回ることになり、悔しいスタートとなった。
男子フルーレは、昨年チームの主軸を担っていた仙葉恭輔氏(平28スポ卒)が卒業し、かつ松山大助(スポ4=東京・東亜学園)、松山恭助(スポ2=東京・東亜学園)が不在という状態。しかしそんな中でも、「へこたれているわけにはいかない」(三好修平主将、社4=愛媛・三島)、「僕らががんばるしかない」(竹田陸人、社2=神奈川・法政二)とチームの一人一人が意地を見せた。初戦の中大戦では、一時は7点差までリードを広げるも、中盤に連続失点し逆転を許してしまう。しかし25-30で回ってきた第7セット、ルーキー加納虹輝(スポ1=山口・岩国工)が粘りの姿勢で相手を追い詰め、29-31に。流れは早大へ傾きつつあった。そこでその次を受けた竹田が、一挙11得点を挙げる活躍で形勢逆転、勝利を手繰り寄せた。続く日体大戦では圧勝し2連勝を決める。2日目には強豪・法大と対戦。中盤まで必死に相手に食らいつくも、一度点差を離されると追いつくことができず敗北を喫してしまう。次の日大戦は、王座出場を目指すならもう落とすことができない大一番。序盤から点を積み重ねて10点リードすると、相手の粘りの攻めも何とかかわすことに成功する。「ここで勝てたのが一番大きかった」(三好)と大きな一勝を挙げた。最後の慶大戦もしっかり勝ちぬき、2位に。全員で助け合ってつかんだ王座への切符だ。
チームに勢いをつける活躍を見せた竹田
女子フルーレは、なかなか流れを引き寄せられなかった。初戦の専大戦では、突き放されそうになるところを食らいつくが一歩及ばず。続く法大戦は、攻撃の隙を与えられず完敗してしまう。日体大戦では、つかず離れずのシーソーゲーム状態に。緊張感が漂う中、最後回りの永瀬夏帆(スポ4=宮城学院)に27-23と、4点リードで回ってきた。一時はリードを6点差まで広げるも、相手に果敢な攻めに対して攻撃を仕掛けられず、徐々に点差が縮まっていく。そして残り約6秒で同点となり、鳴り響くブザー。勝負の行方は一本勝負に託された。両者のにらみ合いあい続くが、一歩踏み出したのは相手が先だった。突かれた瞬間、崩れ落ちる永瀬。37-38というあまりにも惜しい敗戦となった。何とかして白星を挙げたい早大だったが、2日目も相手ペースで試合が進み、得点を積み重ねられない。全敗で2年連続で2部との入替戦に回ることになった。「点数を取られないように、点数を取るということがあまり今回できなかった」(永瀬)という課題をいかに修正できるかが今後のカギとなるだろう。
最後回りを務めた永瀬
結果として男女で明暗は分かれたものの、それぞれの収穫や課題も明確になった。今後の指針につながる大きな一歩となっただろう。また「チーム力はどの大学よりも勝る」(竹田)が語るように、チーム内でお互いを支え合う姿が幾度となく見られた。この2日間で見せた団結力は、勝利を呼び込む起爆剤となるはずだ。まだ戦いは始まったばかり。さらなる活躍に期待がかかる。
(記事 加藤佑紀乃、写真 山下夢未、熊木玲佳)
※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。
※フルーレ:頭・両足・両腕を除いた胴体部への突きのみが得点となる。 両者がほぼ同時に突いた場合は、どちらの攻撃が有効だったかを主審が判定する。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は攻撃を防御してから攻撃しなければならない。
※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。
※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。
結果
▽男子フルーレ
早大〔三好修平主将(社4=愛媛・三島)、北原達也(スポ3=長野・伊那北)、竹田陸人(社2=神奈川・法政二)、加納虹輝(スポ1=山口・岩国工)〕 1部2位
1試合目:○45-36中大
2試合目:○45-17日体大
3試合目:●31-45法大
4試合目:○45-32日大
5試合目:○45-37慶大
▽女子フルーレ
早大〔永瀬夏帆(スポ4=宮城学院)、山村彩和子(教4=岡山・玉野光南)、才藤歩夢(スポ2=埼玉栄)、木村結(社1=山口・柳井学園)〕 1部6位
1試合目:●32-45専大
2試合目:●22-45法大
3試合目:●37-38日体大(一本勝負)
4試合目:●27-45日大
5試合目:●15-45日女大
コメント
三好修平主将(社4=愛媛・三島)
――この2日間を振り返っていかがですか
法大にはちょっと負けてしまったんですけど、とりあえずは王座(全日本学生王座決定戦)に出られることができたのは自分たちにとって結果につながったのかなという、うれしいところがありますね。しかし法大には負けてしまったので、王座で勝ちたいなという気持ちです。
――5試合やった中で一番印象に残っているゲームはありますか
きょうの日大戦ですかね。きのう中大と日体大に勝って、きょう法大に負けてしまったのですが、自分たちがいい得点で勝っていて、法大にも結構得点をとっていて、日大に勝てればほぼほぼ王座出られるかもというというところの大勝負だったので、そこで勝てたのが一番大きかったところかなと思います。
――すべての試合で最後回りを務めていましたが、プレッシャーはありませんでしたか
かなりプレッシャーです。自分が最後回りをしたのも今回の試合が初めてですし、やはりそこまで点数を取ってきてくれたメンバーのことを思うと怖いところもありました。ただ自分としては勝ちたいし、しかも毎回勝てた試合はすべて点数が勝っている状態で回ってきたのです。それでやっぱりみんなの一本一本が自分に最後しめるだけと思わせてくれました。プレッシャーですけど、それを強い気持ちに変えられかなと思います。
――よくチームの皆さんに声をかけたり、点数を取った後声を出したりして雰囲気を変えた印象がありましたが、意識的に声を出されていましたか
そうですね。メンバーの中で最上級生が自分だけで、どうしても4年生が自分の種目で一人だけなので、同期がシンガポールに行っていていないので。すごく寂しいところではありましたが、自分が一番上なので、へこたれているわけにはいかないし、最後回りということもあるし、チームを引っ張ってかないといけないので。試合の結果もそうですけど、ベンチとか、試合中とかにもチームを盛り上げていい流れを持っていけるように。そんな考えていたわけではないですけど、まあ自然と出てきたかなというのはあります。
――新チーム初戦となりましたが、他のメンバーの印象はいかがですか
今日の日大戦においては、本当に自分は全然点数取れなくて、法大戦でもあまり取れなくかったです。きのうは調子が良かったのですが、きょうは苦しい場面が自分は少し多く、あんまり調子は良くなかったですね。しかし、みんなが下の子たちが、本当に助けてくれて点数を取ってきてくれて、自分が負けていてもまた次で盛り返してくれて、きょうはチームの後輩たちに感謝しきれないですね。
――ラストシーズンとなりますが、気持ちの変化はありますか
自分としては、最上級生なので結果にこだわりたいです。みんな勝ちにはこだわっていると思うのですが、有終の美じゃないですけど、最後に結果を残したい気持ちもあります。
――王座に向けての意気込みをお願いします
王座は絶対優勝だけを目指します。いまのチーム作りはもう結構完璧だと思うので、しっかり調整して気持ちを作って法政に挑むだけだと思っています。関西の大学と初戦で当たると思うのですが、関西の大学にもしっかり勝って、初戦から気を抜かずに一本一本、一試合一試合、チーム全員で点数つなげられたらなと思います。
竹田陸人(社2=神奈川・法政二)
――この2日間の戦いを振り返っていかがですか
僕は出だしが悪かったのでどうなるかなと思ったのですが、1日目の後半くらいから結構ポイントもつくようになって、調子も上がってきました。最後から2番目の日大戦では結構いいパフォーマンスができたんじゃないかなと思います。
――きょうのほうが調子が良かったのですか
きょうのほうが良かったです。
――4勝1敗という結果に関してはどのように考えていますか
最初から法大にはもちろん勝つ気でいましたが、それよりも日大戦に備えて体を慣らそうと考えていました。法大が一番強くて、それより日大戦で強い人が出てくることはないだろうという軽い気持ちでやりました。法大にも得失点としてはいいほうでしたし、結果2試合目の日大戦にも勝てたので良かったと思います。
――昨年は5位という結果に終わり、ことしは2位となりましたが
昨年は1日目の後半の試合から出たのですが、勝てなくて、どの大学にも負けて終わってしまいました。ことしは去年の失敗もしっかり考えて、チームや個人の力に生かせたのではないかと思います。
――新チームで挑んだ初戦となりましたが
3番手が加納(虹輝、スポ1=山口・岩国工)という、エペ専門の子なのですが、その作戦が吉と出るか凶と出るか分からなかったのですが、結果的に吉と出てくれて対戦相手もやりづらそうにしていたので、その点に関しては、加納、エペ陣を出して良かったかなと思います。僕もちょっと足を引っ張ってしまったのですが、このチームでやって良かったと思います。
――2日間で得た収穫や課題はありますか
収穫よりも課題のほうが大きいです。課題はピストをもっと広く使う、もっと動くということです。もっと使えないと王座はちょっと厳しいので、動くことに重きを置いてやっていきたいと思います。収穫はあんまり緊張しなくなったことです。
――去年、フルーレの主軸を担っていた仙葉恭輔氏(平28スポ卒)が抜けた穴は大きいですか
そうですね。恭輔先輩と、恭ちゃん(松山恭助、スポ2=東京・東亜学園)が半年間休学していて、その穴が大きいと思う中で、それ言っていてもしょうがないなと修平先輩(三好修平主将、社4=愛媛・三島)と話していて、そこの穴をどうやって埋めていくか、僕らががんばるしかないと考えて練習をしてきました。その結果が2位という形であらわれたのは良かったです。
――ことしのチームの強みは何だと思いますか
団結力はすごくあると思います。チーム力はどの大学よりも勝ると思うので、団結力で勝っていきたいと思います。
――全日本学生王座決定戦に向けて意気込みをお願いします
法大に負けてしまったので、関西のリーグ戦での1位と当たりますが、それはもちろん勝って、決勝しっかり進んで法大をしっかり倒したいと思います。
永瀬夏帆(スポ4=宮城学院)
――今大会を振り返っていかがですか
正直フルーレ陣は一人しかいなくて、自分が点数を取りに行かないといけないから、特に一日目とか怖かったです。他の2人、ベンチもいれて4人でやって、怖かったけど楽しかったかなというのはあります。
――新チーム初戦となりましたが、まずメンバーはどのように決められたのですか
正直ギリギリまで悩みました。フルーレ陣がいなかったので他の種目から出すしかなくて、その中でも例えば彩和子(山村、教4=岡山・玉野光南)はエペで使える技もあるし、フルーレで使える技がその中にあるからとか、サーブル専門の木村(結、社1=山口・柳井学園)は足が動くからなど、それぞれの種目の中でもフルーレでも生かせるところがある人を選びました。
――何度か試合の後、涙を流されていましたが悔しい思いが大きかったですか
悔しかったですね。負けたこともだし、私が取らなきゃいけないところで取れないから、負けたことと自分が内容的にもできないことが悔しかったです。
――すべての試合で最後回りでしたが、プレッシャーは大きかったですか
プレッシャーはありました。どういう点差でも勝たなきゃいけないので。2人がつないできてくれたというのを頭に入れてやっていました。
――収穫や課題は見つかりましたか
いつもは狩野(愛巳、スポ2=宮城・仙台三)がいたからまた別になるかもしれないですが、今後また最後回りになることがあると思うのですが、無駄な点数を取られることが多くて、点数を取られないように点数を取るということがあまり今回できなかったです。自分が5点取っても、相手も5点取っているから結局差が詰められなかったので、いかに自分が取られないで取れる、リスクのない技をチョイスしていくかというところを考えていきたいと思います。
――入替戦に回ることになりますが
絶対負けられないし、負けたくないので。一週間しっかり自分の課題と向き合って、狩野もいて、心強いのでみんなで勝ちにいきたいと思います。
――入替戦は向けて意気込みをお願いします
勝ちます、しかないです!