男子サーブル団体と女子エペ団体が行われた全日本学生選手権(インカレ)3日目。男子サーブル団体は、準決勝で中大に敗れたのち、日大との3位決定戦にも敗北し、4位に終わった。一方の女子エペ団体は破竹の勢いで勝ち上がり、全14校の頂点へ。関東学生リーグ戦(リーグ戦)、学生王座決定戦(王座)、関東学生選手権(関カレ)の優勝に続き今季4個目のタイトルを獲得し、女王としての地位を確固たるものにした。
順当に準決勝まで勝ち進んだ男子サーブル陣は、強豪・中大との試合に臨む。第3セットの時点で8-15と、苦しい立ち上がりとなった。第4セットで佐々木勇歩(スポ5=静岡・沼津東)が4点差まで縮めるも、その後はじりじりと離されていく。最後まで追い付くことができずに45-29で黒星を喫し、3位決定戦に回った。負けられない日大との一戦。またしても、序盤から相手に先行されるかたちに。10点差で迎えた第6セット。甘粕貴大(社5=神奈川・サレジオ学院)が攻勢に出て、7点差まで詰めた。続く佐々木も粘りを見せ、31-35に。しかし、反撃もここまで。終盤は日大の勢いを抑えることができず、45-38で涙をのんだ。
粘りを見せた佐々木
シードの女子エペ陣は、2回戦、準決勝と次々に強敵を打ち破り、決勝の舞台へ。頂を争って矛を交えたのは日大。第2セットで一度同点とするも、その後は終始ビハインドを背負った状態が続く。互いに攻め手を欠き、ロースコアで第5セットを折り返すと、次に登場したのはポイントゲッターの才藤歩夢(スポ1=・埼玉栄)。「できるだけ点を重ねなきゃいけない」と積極的に攻撃を仕掛けて33-31とし、逆転に成功する。続く山村彩和子(教3=岡山・玉野光南)も「最後ぐらい自分の役割を果たそう」と4連取を果たして差を広げ、第9セットの山根司(スポ4=香川・三本松)へ。山根は怒涛(どとう)の追い上げに遭うもなんとか耐え切り、43-41で試合は終了。激闘を制し、創部史上初めての四冠に輝いた。
優勝を決め仲間から胴上げされる山根
「みんなそれぞれ(自分の役割を)果たせていた」(山村)、「優勝できたときは本当にうれしかった」と口々に優勝を喜ぶ選手たち。苦しい戦いもあった分、優勝旗の重みもひとしおだ。一方の男子サーブル陣は4位と悔しい結果に終わった。しかし、「健闘はできた」(佐々木)と主力を欠いた中では上出来の結果だったと選手は評価している。次に挑むのは全日本選手権。学生の枠を超えた大会で、早大の騎士たちはどのような戦いを繰り広げるのか。次戦も目が離せない。
(記事 佐藤諒、写真 松本理沙)
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結果
▽女子エペ
早大〔山根司(スポ4=香川・三本松)、伊藤由佳(スポ3=栃木・宇都宮中央女)、山村彩和子(教3=岡山・玉野光南)、才藤歩夢(スポ1=埼玉栄)〕 優勝
準々決勝:○45-27 明大
準決勝:○45-41 関学大
決勝:○43-41 日大
▽男子サーブル
早大〔甘粕貴大(社5=神奈川・サレジオ学院)、佐々木勇歩(スポ5=静岡・沼津東)、安部凌(スポ4=島根・安来)、山本隼大(スポ3=香川・三本松)、〕 ベスト4
2回戦:○45-38 関学大
準々決勝:○45-33 朝日大
準決勝:●29-45 中央大
3位決定戦:●38-45 日大
コメント
山根司(スポ4=香川・三本松)
――おめでとうございます!優勝したいまのお気持ちをお聞かせください
うれしいです!ほっとしている気持ちとうれしい気持ちが入り混じっています。
――ほっとしているというのは4冠が懸かっていたことも影響しているのでしょうか
大会が始まる前から色々な人に4冠と言われていて、自分の中では意識したくなかったのですが、結果を考え過ぎて勝ち急いでしまわないようにしたいなというのがあったので、そこは気を付けていました。
――決勝までの道のりを振り返って
最初の明大戦が山場だなと思っていました。自分たちはいつも試合にふわっと入って流れが悪いままずるずる引きずって勝てないというのがあったのですが、今回は相手が明大だとしてもしっかりと入ることができました。そして良い流れで終われたので良かったと思います。準決勝の関西学院大は結構競った展開で焦るところもあったのですが、結果として勝つことができたのはしっかり我慢できたのと、どこかでみんなが焦らずに勝ちを捉えることができていたからではないかなと思います。
――劣勢な状態でも差を広げられることなくついていけたというのが今回の特徴だったと思いますが
確かにそうですね。劣勢であってもついていくというのは、自分たちが過去に負けた試合を通して気づいたことがあってそれを生かせた結果ではないかなと思います。
――決勝に進出しましたが、決勝戦はどのような意気込みで挑みましたか
実は自分たち、初めてインカレ(全日本学生選手権)の決勝戦に行くことができたんです。それがうれしいなという気持ちもありましたし、チャレンジャーという気持ちを忘れずに挑みました。自分にとってはきょうが学生の試合が最後なのでどうせやるならしっかり楽しもうと思いました。
――試合開始直後、山根司選手の「楽しんでいこう」という声が聞こえてきました
楽しんでやったときは結果が出ているなと思ったので、楽しんでというのは意識していました。
――決勝戦は序盤から接戦で苦しい戦いとなりましたが、試合内容を振り返っていかがですか
確かに苦しい戦いだったのですが、後輩たちが本当に頑張ってくれたなと思います。苦しい中でも常にみんなで協力して楽しんでできたのかなと思います。
――最終回りはワセダのペースに持っていけましたね
最終回りに入る前の円陣でいま負けているけど、最後だし楽しんでやろうということと、自分たちはチャレンジャーであるということを忘れないようにやろうということを心掛けていました。そのときは負けるのが怖くなかったです。だからみんなで前を向いていこうという感じでした。
――最後回りはいかがでしたか
最後は結構点を取られて怖いなというのが一番あったのですが、後ろの声も聞こえていたので落ち着くことができました。あと、やっているものは距離とタイミングが良くなかっただけで自分の中でコースは見えていたので、自分自身焦っていたのですが、そこだけであと一歩詰めればいいんだな、微調整しようというちょっとした落ち着きはあったのではないかなと思います。
――勝利のブザーが鳴った瞬間泣き崩れていましたね
ずっと目指していたものだったのでそれを達成できたのがうれしかったです。あと個人戦で良い結果を残せなかった不安がずっとあったので、優勝という結果を残せたのが本当にうれしいです。みんなでこの結果を取れたのが本当にうれしかったですね。
――そのチームメンバーに対して何か言いたいことはありますか
あまり面と向かって言えないのですが、いつも本当に助けてもらったり、練習とかでもアドバイスをもらったり、自分の精神的にも支えてくれるメンバーなので本当にいつも感謝の気持ちを持っています。だから私がいなくなってからも大丈夫。絶対に伸びていくチームだと思うのでこれからも頑張ってほしいです。あと、こんな先輩を勝たせてくれてありがとうと言いたいです。
――山根司選手としては最後のインカレだったと思いますが
個人の結果が出せていないので自分としてはもっと考えることがあったり、甘いところがあったりすると思うのでフェンシングに生かすことはできないのですが、これからの人生に生かしていきたいなと思います。団体に関しては後輩のおかげで勝てたのでそこは後輩に感謝してあと少しですがフェンシングをしていく上でそこをしっかり修正していけるように頑張りたいと思います。
――4冠達成したお気持ちを最後にお聞かせください
創部史上初ということでいままで尊敬していた先輩たちもできなかったことを達成できたのは本当にみんなのおかげだなと思うので、たくさんの人に感謝したいと思います。
山村彩和子(教3=岡山・玉野光南)
――優勝しましたね
今までインカレ(全日本学生選手権)は決勝にもいけていなかったのでうれしいです。
――これで4冠となりました
4冠取れたっていうのは良いことだし、インカレで勝つっていうのが大切なことなので良かったと思います。
――きょう試合で印象に残ったものは
決勝の日大戦の8試合目でプラスだったのと、最後にそこで点差を広げて先輩に渡すっていうのは重要な役割だったのでそこが一番印象に残っています。
――あの場面では強気にいこうと考えていたのでしょうか
それまでがマイナスにしていて点数取れていなかったので、最後ぐらい自分の役割を果たそうっていう気持ちはあったんですけど、そこまで力んではなかったと思います。
――決勝では自分の役割が果たせたということでしょうか
そうですね。みんなそれぞれ果たせていたと思います。
――この大会で得たものは
もうこのチームで組むことはなかなかないし、全日本も次のチームのことを考えてやると思うんですけど、今までと違って良かったっていうのはないんですけど、特に関学の試合はいつも当たらない相手で、勝てるかどうか分からない状況の中でそれぞれが失点してもマイナスを小さめに収められたっていうのは、次の試合につながる収穫だったのかなとは思います。まあ、今までずっとやってきているので、新たに収穫っていうのは特にないですね。ちゃんと今までやっていきた経験を次につなげるように、試合の前に話し合うっていう感じですね。
――最後に、次戦に向けて意気込みをお願いします
全日本(全日本選手権)なんですけど、4年生が抜けるかもしれないのでそれを踏まえて団体でどんな回りをするのか作戦を練っていきたいと思います。
伊藤由佳(スポ3=宇都宮中央女)
――どのような意気込みで試合に臨みましたか
いつも勝ちを意識しすぎると空回りしてしまうのが今までの負けパターンなので、そういうことはあまり意識せずに、伸び伸びと一人ひとりがプレーできるように、我慢しながらも思いっきり挑戦できるよう強い気持ちを持って臨もうってことで、みんなで頑張ってました(笑)。
――きょうの試合を振り返って
< p>わたしは一試合目しか出てないんですけど、自分の役割として、いかにマイナスを少なく、なおかつ点差を大事に、次の人に繋げるかということを意識して、気持ちでは負けないように取り組みました。他の試合を見ていても、厳しい場面でもしっかり踏みとどまって点を取られすぎずに、ベンチからも声を出して、選手もその声を聞きながらプレーできたのがよかったかなと思います。
――準決勝、決勝と厳しい試合が続きましたが、試合中のお気持ちは
「負けるかも」とは全然考えていなくて。「まだ終わってないし」とか、「ここで点差開いていてもまだ可能性はあるから」と思いながら臨んでいましたね。周りの雰囲気もそういう感じだったし。
――気持ちは常に前向きだったのですね
特に決勝の終盤は、「泣いても笑っても最後だし、どうせなら楽しくやりましょう!」って感じでした(笑)。苦笑いだとしても笑っとく、みたいな(笑)。
――見事4冠達成しましたね
4冠、というより、インカレで優勝できたことが本当に嬉しいです。昨年は関カレ優勝できたけどインカレはだめで。どうしても優勝したい、でも気持ちがはやっちゃうと取れないかもしれないって思っていました。でも最後までチームのみんなが頑張ってくれて、それが一番嬉しかったです。
――来シーズンに向けての意気込みをお聞かせください
司先輩(山根、スポ4=香川・三本松)が抜けてしまうので少し厳しくなると思いますが、来年までに力をつけて今以上に安定感のある良いチームにしていきたいなと思います。頑張ります!
才藤歩夢(スポ1=埼玉栄)
――優勝しました
リーグ(関東学生リーグ)と王座(全日本学生王座決定戦)、関カレ(関東学生選手権)と優勝していたので今回も優勝するしかないっていう思いで臨んだので優勝できて良かったです。
――四冠は創部初とうかがいました
自分は1年生なのできょねんは出てないんですけど、初めて出て初優勝っていうのがうれしいです。そんなに4冠とかそういうことは意識しないで、普通にただ1つの試合として考えていたので優勝できて良かったです。
――準決勝は競りましたね
最初の入りは良かったんですけど、段々向こうがリードするかたちとなって、最後自分が出る7セット目に回ってきたときは7セット目で自分がリードしようという思いで自分が流れを作ったら先輩方も後から続いてくれると思ったので、とりあえず7セット目できるだけ失点しないで点を重ねるようにっていうのを意識してやった結果でその後先輩方も続いてくれたので良かったと思います。
――決勝、前2回の出番はどちらもビハインドを背負っている状況でした
1回目は最初なので無理にいかないで、取れるところで取るっていうのを意識していて、そんなに納得のいく試合ではなかったんですけど、少しプラスにできたので良かったです。2回目はちょっとしたミスはあったんですけど、1回目そんなにプラスにできなかったので、2回目はもっとプラスにしようっていうのは考えていて、少しはプラスにして流れをもっていけたかなと思います。
――3回目、まさに流れを変えましたね
そこまで向こうのペースというか、入りから向こうがリードした状態だったので、準決勝同様に7試合目の自分のところで流れを変えるしかないって思っていました。ロースコアだったので最後先輩が45点まで取るのを考えて、自分ができるだけ点を重ねなきゃいけないなと思っていたので、19-21で回ってきたんですけど、とりあえず30までは取りたいっていうのを試合前から考えていて、やってみていけそうだったのでドンドンいって、点を積み重ねることだけ考えていきました。
――優勝が決まったときのお気持ちは
最後ちょっと点を取られてしまってどうなるかっていうのは思ったんですけど、やっぱり先輩を信じて、やってくれるとは思っていたんで応援するだけっていう感じで見てて、優勝できたときは本当にうれしかったです。
――最後に、次戦へ向けて意気込みをお願いします
今回点が取れなかったときに自分で気持ちを下げてしまって、チームの雰囲気的には良くないと思うので、点を取られても前向きに試合ができたらいいなっていうのが団体戦の目標というか次からの課題にしたいと思います。
佐々木勇歩(スポ5=静岡・沼津東)
――一昨日行われた個人戦は2回戦敗退という結果でしたが団体戦はどのような意気込みで臨みましたか
個人戦が悪かったので団体戦ではやってやろうという気持ちで臨みました。でも、茂木(雄大、スポ1=神奈川・法政二)が別の大会に出ていて不在でその分望みは結構低いかなと思っていたのですけど、健闘はできたと思います。
――団体戦で印象に残った試合はありますか
最後の三位決定戦でもう最後だと思ったところでいい形で試合が出来て、流れを持ってくことが出来て良かったと思います。
――インカレ直前対談の中でもっと頭を使いたいと話されていましたがどうでしたか
頭を使おうとは思っていたんですけど個人戦では興奮しすぎて頭を一切使えなかったです。最後競っていた時に自分ではこうしていこうというプランがたてられていたのですが結果としては負けてしまって若干悔いが残ります。もう少し冷静になれたら良かったなと思います。
――留学されてその経験が生きた部分はありましたか
どうですかね…。留学中に強い相手と試合出来て、日本に戻って来たての頃は良かったのですが段々と日が経つに連れて日本のフェンシングに慣れてきてしまいました。留学先での感覚が失われてきて、しっかりとものに出来たことは無かったとは思います。もっとこうすればよかったなというのはあります。
――これで大学最後の大会が終わったと思うのですが率直にどのような気持ちですか
特に良いことも怒らなかったのですが悪いことも起きたわけでもなく妥当な結果だったのかなと思います。