勝負強さ見せた山村、復帰戦で2位に輝く

フェンシング

 熱戦を繰り広げ盛り上がりを見せる関東大学選手権(関カレ)も折り返しの3日目。女子エペと男子サーブルの個人戦が行われ、早大からは13名の選手が出場した。その中でもケガ明けの山村彩和子(教3=岡山・玉野光南)が勝負どころで強さを発揮し、決勝へ進出。惜しくも敗れたが女子エペ2位の座をつかんだ。才藤歩夢(スポ1=埼玉栄)と茂木雄大(スポ1=神奈川・法大二)はベスト8という若い息吹を感じる結果に終わった。

 女子エペは波乱のスタートとなった。前回大会で個人戦2位に輝いた山根司(スポ4=香川・三本松)がまさかの2回戦敗退。ことしこそは『優勝』と期待が膨らんでいただけに無念さが残った。そんな中、快進撃を見せたのが山村だ。5月にケガをしてから大学公式戦に出るのは初めてだったが、ブランクを感じさせない安定した試合運びで着々とポイントを積み重ねる。3回戦では最終セットで相手に追い付くと一本勝負へ持ち込み勝利をもぎ取った。才藤と直接対決した準々決勝でも緊迫したシーソーゲームを展開。最後の一本勝負を制すと、勢いそのままに準決勝も15-10とし、決勝まで駒を進めた。ここで1勝すれば女王の座をつかめる。プレ・アレの合図で運命の対決が始まった。拮抗(きっこう)した戦いを繰り広げ5-4で迎えた最終セット。逆転を許すも再び同点に戻し、手に汗握る状況が続く。だが、残り時間わずかとなったとき相手の突きが決まった。大きく座り込む山村。「時間がなかったので攻めるしかなくなった」(山村)と最後に攻撃を仕掛けるも相手をとらえることはできず、試合終了のブザーが鳴った。決勝は敗れたものの、山村としては大学に入って初めての入賞。今後に向け確かな手応えをつかんだに違いない。

決勝戦で敗れ苦笑いを浮かべる山村

 多くの選手が1回戦、2回戦で敗退してしまった男子サーブル陣。3回戦にはルーキーの茂木が進んだ。「ひたすら上位に行く」(茂木)という目標のもと、威勢の良いプレーで相手に襲いかかり、15-10で試合を制す。見事ベスト8進出を決めた。迎えた準々決勝では第1セットを3-8で折り返し第2セットへ。しかしここで茂木が足を負傷し一時中断。その間「リセットしろ」という仲間からのアドバイスで切り替えた茂木は、そこから同点にまで追い付く。だが、最後の最後で一歩及ばず敗北。「次こそは優勝してやる」(茂木)。強い誓いを立てピストをあとにした。

果敢に攻める茂木

 今まで個人戦では思うような成績が残せずくすぶっていた山村。今大会ではその殻を破ることができた。だが、その反面ラストイヤーの選手たちは満足のいかない結果に苦い表情を浮かべた。下級生に負けてはいられない。3週間後、最後の舞台で最高のパフォーマンスをするチャンスが待っている。4年間積み上げてきた全てを出し尽くすため準備あるのみだ。

(記事、写真 松本理沙)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

コメント

茂木雄大(スポ1=神奈川・法大二)

――今大会、個人ではベスト8、団体では4位という結果でしたが、大会全体を振り返っていかがですか

最低限の結果は残せたと思います。次の大会でも個人ではシードを獲得できたので良かったですが、ベスト8より上のレベルで試合がしたかったですし、来年こそは優勝してやると試合直後に思いました。

――今大会の目標は

僕は日本代表の遠征が入っていてインカレ(全日本学生選手権)に出ることができないので、上級生を食ってやるというか、ひたすら上位に行くことを目標にやっていました。

――ベスト8を懸けた3回戦はとても運動量の多い戦いとなっていましたが、試合を振り返っていかがですか

同じ1年生だったのですが、自分の体力が足りないのかなと思いました。

――準々決勝は1セット目で3-8と引き離されてしまいましたが、相手に圧倒されてしまったのでしょうか

いや、自分のマインドコントロールができていなかったですね。それは自分の課題でもあるのですが、少し焦ってしまって相手がすることに対して受け身になってしまいました。自分のフェンシングができなかったというのが前半は大きかったですね。

――後半ではどのように切り替えたのでしょうか

ベンチに世界で戦っていて経験豊富な恭助(松山恭助、スポ1=東京・東亜学園)に入ってもらってアドバイスをもらいました。リセットしろということを言われていたのですが、説得力がすごくあるのでそれに従ってプレーしていました。途中まで追いつけたのですが、最後でアイデア不足が響いてしまったかなと思います。

――アイデアの部分はこれからの課題でもあるのでしょうか

そうですね。あとは基礎的な部分が課題ですかね。落としてはいけない部分で落としてしまうだとか。自分の永遠の課題でもあります。

山村彩和子(教3=岡山・玉野光南)

――久々の大学公式戦でしたが、不安はありましたか

4月に手術をして完全復帰は8ヶ月後ということで、今回はインカレ(全日本学生選手権)につなげられればいいなと思っていたので、いざ試合当日になったら不安はありませんでした。ただ、試合の前日までは久々の試合で負けてしまった時にケガを言い訳にしてしまうのは嫌だということや、今回試合に出ることが良いのかなど、不安要素はいろいろとありました。

――団体戦で優勝を導いた要因は何だったのでしょうか

最終的に勝つために一本の重みを感じながら、次の人に良い流れで回せるように声を掛け合ったことだと思います。優勝はもちろんしたいですが、結果につながる内容の方を重視していたと思います。

――個人戦の話に移りますが、3回戦の大迫夏奈選手(日体大)との対決では第2セット目まで追う展開となっていました。第3セット目に入るときにどのようなことを意識したのでしょうか。また一本勝負で勝ったときの気持ちはいかがでしたか

終わってみて振り返るとあまり追う展開ということを意識していませんでした。自分の動きが2セット目までもそれほど納得がいかないというわけではなかったので、津江先輩(津江碧主将、スポ4=山口・岩国工)のアドバイスを聞いて失点を防ぐことを優先して対策を考えました。一本勝負は少し危ない内容だったのでラッキーだとは感じましたが、同時にほっとしました。

――準々決勝を振り返っていかがですか

後輩との試合だったのですが、どちらかはベスト4までに入れるということであまり勝つことにこだわり過ぎてはなかったと思います。ワセダ同士だとあまり応援もしてもらえないので…。ただ最後の1点は後悔のない動きを意識しました。

――決勝戦は試合終盤に攻め込んでいましたが、その場面どんな思いでプレーしていましたか

時間がなかったので攻めるしかなくなりましたが、かなり厳しいとは思いました。もう少し剣をなおして12秒で追いつく方法を考える時間を作ったり、その前に取られないようにしたりだとか、いま思えばいくらでも反省点があるので残念です。

――インカレに向けて意気込みをお願いします

3年間やってきたメンバーと心強い後輩の4人で組める最後の大学公式試合なので、団体で優勝できるようにしたいです。個人は1年生と2年生のときは自分自身ががっかりするような試合しかできなかったので、ことしは試合を楽しめるように気持ちを整えて挑戦したいです。

才藤歩夢(スポ1=埼玉栄)

――今大会を全体的にふりかえって

個人戦は山根先輩に負けてしまったので悔しかったんですけど、その悔しさをばねに、団体戦では絶対優勝しようと思って臨めました。しっかり気持ちを切り替えられたのでよかったです。

――個人でベスト8という結果について

もう少し上位にいけたかな、と思っています。ベスト4には入りたかった、というのはありますね。

――山村選手との試合後には涙が見られました

ベスト8まできたら同大学の選手と当たってしまうのは分かっていたけど、やっぱり負けたことが悔しかったし、1本勝負で勝てたかもしれない試合だったので悔しかったです。