関東学生選手権(関カレ)の2日目、男子フルーレ、女子フルーレの団体戦が行われた。男子は準決勝で日大を下し決勝に進出。法大に敗れ優勝には及ばなかったものの、準優勝を収めた。女子は1本勝負を制すことができず準決勝で惜敗したが、3位決定戦で勝利し、第3位となった。
東北学院、日体大を倒し順当に勝ち上がったワセダ男子フルーレ陣。準決勝はこの種目の強豪、日大。1セット目を5-3でリードしたワセダ。その後も接戦の中、リードを死守し5セット目を25-20で折り返す。しかし後半詰め寄られ、連続失点でついに逆転を許してしまう。そのまま迎えた最終セット、「頭の中にプランがあったので、ただそれを当てはめた。」と語る大型ルーキー松山恭助(スポ1=東京・東亜学園)が連続得点を決め再び逆転。熱戦の末、45-43で決勝戦への切符を手にした。決勝戦の相手は法政大学。しかし、1セット目に1-5で法大にリードを許してしまう苦しい立ち上がり。その後もリードを埋められず、徐々に引き離され36-45で試合を終了する。悲願の優勝まであと一歩という2位に終わった。
大活躍のルーキー松山
関東学生リーグ戦ではまさかの1部最下位の6位。残留は決めたものの今季の早大フルーレ女子団体のスタートは決して順調なものではなかった。雪辱を誓った関カレの舞台。ひと夏超えたワセ女は数段と強さを増して戻ってきた。1回戦を45-4と圧倒的な強さで勝利すると、続く2回戦でも狩野愛巳(スポ1=宮城・仙台三)の連続ポイントで流れをつくる。ベスト4へと駒を進めた早大は強豪・法大との一戦に臨んだ。序盤から防戦一方の展開となり、苦しい立ち上がり。第3セット目終了時点で5-15と10点差にリードを広げられた。しかし、悪い流れの中で海外での試合経験を積んでいる狩野が奮起し、2周目で5点差まで差を縮めて見せる。迎えた最終回りへ。尾上千尋(創理4=東京・田園調布雙葉)、永瀬夏帆(スポ3=宮城学院)が踏ん張り、29-32まで差を縮めると、勝利は狩野へと託される。「絶対に追い付けるとは思っていました」(狩野)。見事36-36まで持ち込み、試合は1本勝負に。狩野が攻めに出た突きに、白ランプが光る。無効面だった。「最初からやることは決めていたのですが、点数にならなかったことで動揺があった」と語った狩野。並々ではない重圧を背負った1年生は奮闘したものの、あと1点が取れなかった。だが続く3位決定戦では勝利を収め、インカレに向け良い弾みをつけた。
一本勝負に敗れ崩れ落ちる狩野
目標としていた優勝は果たすことができなかったものの、男子2位、女子3位と今後の活路は見いだせた収穫の多い大会だった。特に、松山恭、竹田陸人(社1=神奈川・法大二)、狩野愛巳(スポ1=宮城・仙台三)などフレッシュな活躍は今後のフルーレ陣の起爆剤になるだろう。次なる大舞台、全日本学生選手権でのフルーレの飛躍に期待したい。
(記事 辻本紗支子、三上雄大 写真 松本理沙、三上雄大)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
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結果
▽男子フルーレ(団体)
早大〔仙葉(スポ4=秋田南)、松山大(スポ3=東京・東亜学園)、竹田(社1=神奈川・法政二)、松山恭(スポ1=東京・東亜学園)〕
1回戦:○45-15 東北学院大
2回戦:○45-36 日体大
準決勝:○45―43 日大
決勝:●36-45 法大
▽女子フルーレ(団体)
早大〔尾上(創理4=東京・田園調布雙葉)、永瀬(スポ3=宮城学院)、狩野(スポ1=宮城・仙台三)〕
1回戦:○45-4 青学大
2回戦:○45-29 日体大
準決勝:●36-37法大
3位決定戦:○45-31日大
コメント
松山恭助(スポ1=東京・東亜学園)
――男子フルーレ団体2位という結果に対していまのお気持ちをお聞かせください
結果的には良かったのではないかなというのが自分のいまの気持ちです。もちろん優勝を狙っていて、関カレ(関東学生選手権)に向けて他の人とも「絶対に優勝したいですね」ということを言っていたのでそこに対しては残念な気持ちはあるのですが、自分たちにとってはベストな結果を出せたのではないかなと思います。
――松山恭選手としては今回が早大フェンシング部として挑む初めての大会でしたがどのようなお気持ちで挑みましたか
もともと僕はワセダに愛着があって早稲田大学という大学が好きなのでワセダのために戦えてまず光栄だなという気持ちがありました。きょうは初めてだったのですが、そこまで緊張せずに思い切ってできました。
――ワセダに愛着があるというのはどのような理由からでしょうか
昔からワセダクラブに所属していてそこで当時のワセダの現役の選手からアドバイスをもらったり可愛がってもらったりしていました。また、練習場所も大学でしたし、昔から愛着があって落ち着きますね。
――実際に大学のチームに入ってみて、チームの印象はいかがですか
今回早大からは個人戦でベスト8以上に行った選手はいなかったと思うのですが、僕が練習を共にする中で思ったのが、みんな個人で結果を出せていないだけであって能力をもっと引き出す可能性はあるなということでした。実際に僕以外の三人の選手のきょうの動きを見ても他の上位の大学の選手とも肩を並べるというかそれ以上のパフォーマンスをしているなと思ったので、その辺に関してはあまり不安はないです。
――試合の中で頻繁に選手を変えることがありましたが、どのような意図があったのでしょうか
先輩とも色々相談して選手を変えていました。チームでも相手との相性があるのでそういったことを考えながら、この場面でこの選手をいま出すべきかなと思ったときは自分で提案したりしました。
――松山恭選手は最後回りを務めていましたが、それに対してプレッシャーはあったのでしょうか
いや、全然ないですね。大学以外のシニアのA代表の試合でも最後回りはやっていないのですが、そちらの方がプレッシャーがあります。またそれだけではなくて、もともと小さいころから最後回りをやるのが慣れているのでそんなに緊張はないですね。
――準決勝ではその最後回りで逆転を果たしましたが、そのシーンを振り返っていかがでしょうか
そのときは自分の頭の中で色々なプランがありました。自分のフェンシングを分析してみると、頭の中でプランがあり頭がしっかり動いている状態なら体のコンディションが良くなくても結果はしっかりと出ることが多いんです。だから準決勝の最後などは頭の中でプランがあったので、そのプランをただはめるだけという感じでした。
――具体的にはどのようなプランだったのでしょうか
まずは点差があって負けていたので、最初に点を取られてしまった直後からは自分が失点した場面を頭に入れてプレーしていました。例えば、大きく前に出たところでやられてしまったというような部分を直して、自分の悪かった隙を潰して相手にアタックに行くということをメインで考えていました。あと、コースも色々やっていく中で混ぜながらやっていったので比較的相手のことも混乱させられたのかなと思います。
――準決勝で勝ち上がり、決勝は個人でもベスト8に輝く選手が多くいる法大との対戦となりました。試合をしてみていかがでしたか
ほとんどの選手が昔から僕自身、個人でも団体でも対戦していた選手だったので、強さは十分分かっていました。今回は勝てなかったのですが、これでみんなが相手のことを知れたと思うので、自分がいま何をすべきだとかそういったことが具体的に分かったと思います。団体戦は個人の力だけでは絶対に勝てないので、これからチームで話し合ってやっていきたいと思います。
――きょう決勝で勝てなかったのは何が足りなかったからだとお考えですか
僕を含めて1年生が二人いるというチーム構成でしたが、チームワークは割と良かったと思いますね。でも、もっと個人個人がリードしている場面のような場面ごとの戦い方を考えられればなお良くなるかなと思います。いまのチームの雰囲気もすごく良いし、僕もやりやすい環境ではあるのですが、より上を狙うのであればもっとチームワークを深めてお互いにコミュニケーションを取れればさらに良いチームにできるかなと思います。
――決勝では足を痛めていたような場面もありましたが
海外遠征から帰ってきた直後で連戦になっていたので疲労が出てしまいました。おととい帰国したのですが、関カレの団体戦には出たいという思いがあったので個人戦は出場を辞めて団体に絞って出ました。
――これからはやはりリオ五輪に向けての大会がメインになってくるのでしょうか
先日まで行っていた遠征での大会で2位になれたのでリオ五輪代表がグンと近づいてきました。大学の大会のタイトルももちろん欲しいのですが、色んな大会にベストコンディションで臨むというのは難しいので1つに絞ってやらなければいけないですね。ですが部活に所属している以上は自分が出せるベストは出さなければいけないと思います。きょうは最初の方とかも体が重い割にはよく動けていたので割と理想のフェンシングには近かったかなと思います。
尾上千尋(創理4=東京・田園調布雙葉)
――女子フルーレ団体3位という結果を振り返っていかがでしょうか
今まで私が団体で戦ってきた中で入賞するということ自体が難しかったので、久々の表彰台でした。ですが、準決勝でも惜しかったようにもっと上を狙えるチームだと思うので満足はしていないです。
――今回の目標は何でしたか
団体は優勝を目指していました。
――狩野選手が加わり関東学生リーグ戦(リーグ戦)とは違うメンバーでの団体戦となりましたが、チームの方針はどのようなものでしたか
今までは私か永瀬かで点を取りにいかなければいけないという感じだったのですが、狩野が結構点を取ってくることができるタイプなので、自分たちが取り急いで逆に点を取られないように点を守りながらプレーするというのを意識してやっていこうと話していました。実際は準決勝のように取り急いでしまう場面があったので、そこはもったいなかったかなと思います。
――準決勝はスタートから追いかける展開だったと思いますが、どのようなことを意識して戦いましたか
狩野が出てくるところは最初と真ん中と最後ということだったので、その間を上手くつないでいかなければいけないなと思っていました。最初の永瀬と自分のところで結構点を取られてしまい結局は追う展開になってしまったのですが、後半はみんなでしっかり少しずつ詰めるということができていたのでそういったところを最初から意識してプレーできていたら良かったなと思います。
――最終回りは流れが早大にあったと思いますが、最終回りを迎える前に何か考えていたことはありましたか
狩野が点数を取れていたのでここから少しずつ攻めていけば点差があっても最後には逆転できるのではないかと思って、個人としては取りにいくという方針から点を守って詰めていくという方針に変えました。最後に当たったのは個人戦で戦った相手だったのですが、そこでは大量に失点して負けてしまったので、その反省を生かそうと考えました。きのうは結構攻めにいって点を取られるというパターンが多かったので、きょうは相手を出させて誘ってというように攻めました。その結果きょうはプラスにすることができたので良かったと思います。
――その結果最後の最後で追いつくことができましたが惜しくも敗戦ということで、やはり悔しさが残りますか
そうですね、悔しい気持ちはあります。最後あれだけ競れた反面、前半の立ち上がりが良くなかったことを改めて感じました。
――今大会フルーレチームとして得たことはありますか
このメンバーで団体を組むことが入れ替え戦以来初めてなので、今回でチームの中での役割や戦い方が分かったかなと感じています。これからは狩野頼みにならずに自分たちもゲームをつくっていきたいですね。そういったことを学べた点において、今大会は大きな価値があったと思います。個人に関しては及ばない点があったので、個人戦は団体戦と戦い方は違うと思いますが、個人戦でも団体戦で良かったことを生かしていきたいなと思います。
――続くサーブル種目への意気込みをお願いします
サーブルは専門種目ではないのですが、個人としては去年インカレ(全日本学生選手権)でベスト16に入ることができたので、まずはそのインカレに向けてしっかりと自分のプレーができればいいなと思います。