ルーキー狩野堂々の2位

フェンシング

 秋晴れの心地よいこの日、駒沢の地では真夏さながらの熱気を帯びた関東学生選手権(関カレ)が開幕した。厳しい夏の練習を乗り越えて迎えたシーズン初戦の種目は男女フルーレ個人。女子はルーキー狩野愛巳(スポ1=宮城・仙台三)が2位、男子は仙葉恭輔(スポ4=秋田南)、山口理伎(創理4=東京・早大学院)のベスト16が最高順位となった。

 待ちに待ったフェンシングのシーズンが開幕。その大会で光を放ったのがワセダ期待のルーキー狩野だった。リオ五輪を目指す狩野は2回戦から準決勝まで相手に5点差以上をつける横綱相撲の試合展開。国際大会からの帰国直後という状況を感じさせず決勝へと駒を進める。相手は共に世界の舞台で戦っている同級生の宮脇花綸(慶大)。切磋琢磨(せっさたくま)し合うライバル同士の試合に注目が集まった。試合序盤から中盤にかけて、ペースをつかんだ狩野は連続で点を奪取する。しかし、8-4とリードで折り返して迎えた終盤戦で両選手の意地がぶつかる。宮脇が巻き返しを図り3連続ポイントを取ると負けじと狩野も3連続ポイントで突き放す。さらに加点したい狩野だったがここから宮脇の怒涛(どとう)の攻撃に見舞われる。体力が落ち、動きが鈍った隙を突かれまさかの6連続ポイントを喫した。巻き返す力はなく12-15で惜敗。後半体力面と精神面のコントロールが課題となった狩野だったが「互いに出せる力は出せた」と前を向いた。また、永瀬夏帆(スポ3=宮城学院)は3回戦で一本勝負に勝つなど勝負強さを見せベスト8に入った。

決勝戦で果敢に攻める狩野

 男子は苦戦を強いられる形となった。4年生が意地を見せたいところだったがベスト16止まり。昨年の全日本学生選手権(インカレ)でベスト8に輝いた仙葉は順当に勝ち上がったが4回戦で一本勝負の末に敗退となった。また山口も2回戦15-13の接戦を制し意地を見せたが勝ち切れず、4回戦敗退で終えた。また、1年生の竹田陸人(社1= 神奈川・法大二)は1回戦で圧勝したが2回戦で先輩の仙葉に敗れ、気を吐くことができなかった。

得点を挙げ喜ぶ仙葉

 良い面も悪い面も浮かび上がった今大会の個人フルーレ。多くの選手がインカレでの上位進出を意気込んでいる。有言実行となるのかワセダ剣士に注目だ。また、リオ五輪を目指し世界ランクのアップを目指す狩野の活躍からも目が離せない。

(記事 山田周史、写真 三上雄大、松本理沙)

コメント

永瀬夏帆(スポ3=宮城学院)

――ベスト8という結果でしたが、いまのお気持ちはいかがですか

ベスト8に入ったメンバーから考えたら個人的には良かったかなと思います。でも目標はベスト8だったのですが、そこに入ったら次のベスト4を狙うという気持ちでいたので悔しいです。

――今大会の目標はベスト8だったのですか

個人は最低限ベスト8には入るという目標でした。結果的にベスト8になれたのは良かったのですが、そこから次に切り替えることができませんでした。

――今回のトーナメントの当たりに関してはいかがでしたか

他と比べたら良い山だったので上位を狙うしかないという感じでした。でも勝ちやすい当たりではあったのですが、その分「勝たなくちゃ」というようなプレッシャーもありました。

――ベスト8を懸けた試合を振り返っていかがですか

あの試合は自分が行きたいときにコントラアタックを合わせられて点がつかないというような点の取られ方が多かったです。そこで攻め方を思い切り変えれば良かったのに中途半端に変えてしまったので、そこは反省点です。

――相手に14点目を取られたときに「迷ってしまった」とおっしゃっていましたがどのようなことを迷ってしまったのでしょうか

相手の陣地の方でプレーをしていたときに、やることを何も決めていないのに中途半端に出てしまって相手にやられてしまったからです。あの試合は迷って点を取られてしまう場面が多かったです。

――ですが最後の一本勝負では勝つことができましたね

あの場面は本当に緊張しました。でもリーグ戦(関東学生リーグ戦)の団体戦でも最後に一本勝負になることがあってその経験があったし、今回もそういったイメージでやっていたから一本取れて良かったです。

――準々決勝では早大の狩野選手と対決しましたがどのような意識をして挑みましたか

格上だけど勝てないわけではないというような気持ちで試合に入りました。でも実際に試合をしてみると何を仕掛けても相手が対応してくるので戦うプランが立てられなかったです。例えば、この技で点を取れるという自信がないので、次何をすればいいのだろうと迷っている状態のまま攻めてしまって終わるということとか。1本1本の勝負の中でこれをする、そのために何をするという計画が立てられなかったのがダメだったなと思います。

――以前、「ベスト16からベスト8に行くまでに厚いカベがある」というようなお話をされていましたが、今回ベスト8に輝くことができた理由はどのようなところにあると思いますか

今回は山が良かったというのもありますが、今季から普段の練習で男子や新しく入った1年生とも戦うようになりました。練習相手からアドバイスをもらったり、試合を見て学ぶことが以前よりも多くなったと感じています。

――最後に次に控えているフルーレ団体戦に向けて意気込みをお願いします。

実力的にも上位を狙えるメンバーだと思うので、優勝目指していきたいと思います。

狩野愛巳(スポ1=宮城・仙台三)

――帰国して間もない中での2日間連続の試合ですが疲れは

きのうの疲れも残っていて、体の状態はあまり良くありませんでした。ですが、試合をしていく上で集中できるようになりました。法大戦も最大限集中してプレーすることはできたので、やることはやったかなという感じです。最後は団体戦での一本勝負は高校時代までずっと個人で試合してきたので、あまり経験したことがなく、背負うものの大きさを感じました。勝った時の喜びを想像するよりも、負けたときの不安の方が大きく、最後にビビッてしまいました。そこは相手との経験値の差を痛感しましたし、大学という枠で戦っているといううプレッシャーも感じてもっと経験を積んでいかなければならないと思いました。

――一本勝負はプライオリティがつきました

攻めなくて良かったのですが、攻めて点数を取っていたので攻めていこうと思っていました。ですが、最初に白ランプがついてしまったことで迷いが生まれてしまって。最初からやることは決めていたのですが、点数にならなかったことで動揺があったのでそこは悔いが残っています。

――きょうのを振り返ってください

1試合目は少し慎重になってしまって、もっと点数を開いて次の人に回し、流れを作りたかったという反省があります。2試合目は最後の十数秒の間に2点取られてしまったのがチームとって大きな痛手だったと思います。チームが良い流れできていて、最後の十何秒でもう少し取りたいという気持ちと迷いが試合に出てしまったと思います。格下の相手であれば点数は取られませんが、同じくらいの力量だったので油断と迷いが自分を苦しめたと感じています。準決勝はきのうちょうど当たっていて勝利した相手でした。最初の方は点数を取ることができていたのですが、3回目のときに反対側のフレーズを取られてしまい、流れが切れてしまいました。これは外的な要素もあるし、そこで切り替えられなかったことへの自分の反省もあります。やはり団体戦の応援であったり、自分だけではないという周りの存在があってそういったところが影響されてしまったなと思います。

――準決勝は序盤は大きくリードされる展開となりました

あそこまで点差が開いていたので、詰められるだけ詰めようという意識でしたが詰められる自信はありました。それが自分のやるべきことだと思っていましたし、取られてしまったときはしょうがないと割り切って、相手に5点取られるまでにどれだけ点数を取り返すことだけを意識していました。

――その中で最終回り、36-36まで追いつきましたが、そのときの心境は

35-36まで追い上げて、残り15秒くらいだったので絶対に追い付けるとは思っていました。実際に追い付いたあと普段ならすぐ試合が始まるのですが、きょうはなかなか休憩が終わらなくて、そこでお互いにいろいろ考えてしまって。自分はそこの休みがとても精神的に重荷になってしまったのと、きのう試合で戦っていますし遠征にも一緒にいっていたので手の内を知られている相手でプレッシャーと迷いが出てしまい最後勝ち切ることができなかったと思います。

――3位決定戦では勝利し、3位という結果に終わりました

リーグ戦に(遠征などがあり)出ていなかったので、今回初めて全部の大学と試合して、もちろん法政と戦うのも初めてだったので自分の中でどこまで戦えるのかというところがテーマでありました。チームとしては安定して競ることができなかったので、そこは次に生かして圧倒的に負けたわけではないので惜しかった分次こそは必ず勝てると思っています。決勝が専大だったとしても勝てるチャンスもありますし、次は初めてではないので作戦やプランを立てて勝ちにいきたいです。

――インカレは(海外遠征のため)団体のみ出場されるということですが、意気込みをお願いします

絶対優勝します!