【連載・第3回】『Challenger』渡辺咲×尾上千尋×永瀬夏帆

フェンシング

 ピストの上で弾ける笑顔――。これが今季のワセダ女子フルーレの象徴だ。学年は違うが、非常に仲良の良い渡辺咲(文4=大分・岩田)、尾上千尋(創理3=東京・田園調布雙葉)、永瀬夏帆(スポ2=宮城学院)の三人は今シーズン、いかなる相手にもあきらめず前向きに挑み、チームとして成長してきた。今回は全日本学生選手権(インカレ)を前に、いままでの振り返りをしていただくとともに、これからの意気込みを取材した。

※この取材は11月3日に行われたものです。

個ではなく三人の力を合わせて

頭脳派なプレーで得点を稼ぐ尾上

――関東学生選手権(関カレ)を振り返ってみていかがでしたか

渡辺 まず個人は2年生の時の関カレで勝った相手に競り負けてしまいました。4年生になってからの個人戦はずっとそうなんですが、実力のある選手にたいして、競って最後で負けてしまうという様な試合が多くて。今回も最後の残り20秒で同点から1点突かれて追いつけませんでした。せっかく良い勝負をしていても結果につながっていないというのが個人戦は悔しかったですね。団体戦ではやろうとしていたことは悪くはないと思うのですが、決めきれない場面が多かったです。個人にしても団体にしても、普段考えて練習していたつもりでも、どこか甘かった部分があったと思います。インカレ、全日本(全日本選手権)ではそのもうひと押しで競り負けないようにして結果につながるようにしたいなというのが、振り返って思うことです。

尾上 リーグ戦(関東学生リーグ戦)終わってから関カレまでの目標で私はアタックで一本を取れるようになりたいと思っていました。その点ではリーグ戦に比べたら自分から取りに行って点を取れるようになったというのが良かった点で、それは個人でも団体でも良かったことだと思います。個人では最後に負けた相手が(以前から)結構良く当たる相手でした。いつも15本勝負とかでも両方とも5点いかないみたいなロースコアになる選手だったんですが、その相手に対して結構アタックで取れました。でも結果としては結構な差で大敗してしまいました。いつもと違って相手もすごく攻めてきて、そこで前半でしっかり対応できずに離されてしまったというのが良くなかった点です。でもその中でもいままで取れなかったアタックでの点が増えたというのは練習の成果だと思うので、それをインカレでは生かしつつ、また戦い方も考えて15本勝負などの練習をして試合に挑めたらいいなと思います。団体戦では、アタックで点が取れるようになった分、自分のところで点を取ろうという気持ちが強く、上手くいったところもあったのですが、そこで上手くいかなかったときに立て続けに相手に取られる形になってしまい、最後の試合でもそこで自分が大きく取られてしまったので、そういうところも試合の中で自分で修正していけるようにしたいと思います。

永瀬 個人も団体ももうちょっとできたのではないかと思うところがあったかなと思います。個人は関カレ前の普段の練習であまり試合を意識した練習をしていなくて。自分は練習では色々試しちゃうんですよね。この試合でこういう風にして勝とうではなくて、これやってみようっていう練習をしていたので、いざ試合となったときに「何をすればいいんだろう」ってなってしまいました。組み立てができなくなっていて、いらないところで点を取られたりというのが個人でありました。 

渡辺  足止まってました(笑)。

永瀬  あっ!(笑)もっと足使って下がればいいのに点取りたいからいらないところで勝負しちゃって点を取られるのが多かったというのが個人の感想です。インカレまでは試合を意識して練習していかなければなと思います。団体は自分は三番手なので、リーグ戦とかよりは三番手の役割を果たせたかなと思うんですけど、もっと粘れたところもあったと思います。やっぱりいらない点が多くて、取られなくてもいいでしょっていうところでぽろっと取られてしまったりしました。そこを自分が確実に取って、先に取られないようにというのをやっていければいいなと思いました。

――今季一番印象に残った試合はなんですか

渡辺 私はリーグ戦ですかね。きょねん4年生だった真所先輩(美莉、平26年スポ卒)が抜けて、結構女子フルーレやばいんじゃないかと、2部に落ちるんじゃないかとプレッシャーもかけられていて苦痛のリーグ戦だったんです。その中で、女子フルーレのメンバーでは結果はどうなるか分からないけれど、私たちは粘って思い切りいくことが最善の結果につながると信じて、結構団結してやれたかなと思っていて。1日目に負けてしまって、崖っぷちだったんですけど、2日目はそれを引きずらずに接戦をみんなで勝てた、みんなでちょっとずつプラスにして勝てたというのは本当に大きかったなと思っています。リーグ戦は、思い切りやることだったり、みんなで粘ることだったり、そういう感覚が分かっていい試合だったと思います。やっぱり団体戦で勝つのはすごくうれしいなとリーグ戦で実感しました。

尾上 私もリーグ戦が印象に残っています。4年生の先輩が抜けて、この3人で挑む初めての試合だったので、周りからも「女子フルーレやばくない?」みたいに一番言われていたので、すごくプレッシャーを感じていて。でもその中でベストな結果ではなかったけれど、その時点のそれぞれの力は出せていたかなと思います。どうなるか分からなったし、どこで勝てるかも予想もつかない、団体の流れも分からなくという感じでとにかく必死でした。

永瀬 リーグ戦ですね(笑)。あまり試合がなかったっていうのもあるんですけど、関カレは2回しか試合してないですし。リーグ戦はとりあえずここだけはというところで勝てて安心したのと同時に上位3つの強いところにもうちょっとで勝てなくて、良いところまで行けたので逆にそれが悔しいです。だから悔しいのとホッとしたのと両方の感情があったのですごく印象に残っています。

――きょねんと比べてチームの中での変化はありましたか

渡辺 いまは私が一番上なのですが、きょねんは女子フルーレ個人で優勝されている先輩がいて、性格もプレースタイルも私とは全く違っていました。真所先輩は団体も得意でしっかり点をとってくる人で、大黒柱のような感じだったんですよね。その先輩が抜けたことによって、いまは私自身もみんなも危機感を持ってやっています。のびのびと思いっ切りやるのは大事なのですが、それだけではなくて、しっかり一人一人考えながらやっているのかなと思います。関カレ前はさっきかほまる(永瀬)が言っていたのですが、試合に近い練習をしていたのではなくて、一人一人じっくり考えながら技の研究をするというのが多くて。それが(試合で)プラスの面になることもあるんですけど、もうちょっと練習の時から試合と同じように追い込まれた状況を作っていたら良かったかなと団体では感じました。じっくり考えてやる練習ももちろん大事なのですが、試合を意識した練習もみんなで盛り上げてつくっていって、またそのリーグ戦前のような危機感を持って、インカレ、全日本に臨めるとすごくいいなと思います。

尾上 真所先輩はすごくアタックで取りに行ける人だったんですよ。でもこの3人はどちらかと言うと守りの中で取るプレーが得意だったので、バーッと取りに行ける人がいなくなってしまい、その心配が団体戦の中では結構ありました。やっぱり団体戦の中だと守って粘って取る人とアタックでばんばん取る人と、そういう役割があるんですけど、取りに行ける人がいなくなって、どうやるかというのが悩みでした。 

永瀬 そう、悩みでした!ほんとに!

尾上 美莉先輩いなくなってどうやって点取るんだろって。

渡辺 想像できなかったよね。プラスになるのかって。

永瀬 マイナス!?(笑)それはダメです!でも一つずつ稼いでいこうっていう作戦はありましたよね。

尾上 でも今年度入ってからみんながアタックで取れるようになったというのはあります。

渡辺 美莉先輩が抜けた分をどうやったら3人で補えるかって考えた結果、誰かが大量に取らなくても、みんながそれなりにアタックで取れなければいけないっていう風になったので、前よりは技術的な部分で工夫してやっていると思います。練習でファイティングやっているときも、前より簡単によけられなくて、前よりアタックが怖いなと思います。誰かがバンバン取って圧倒的な点差で勝つというのはこのチームではなかなか難しいけれど、一点を積み重ねていくというプレーを極めれば、強みが出るんじゃないかと思います。

――チーム内で意見の対立が起こることなどありますか

渡辺 去年からそうなんですけど、そんなにチーム内でばちばちする場面はあんまりないと思います。でも例えば、私が一番上なので練習メニューや団体戦の作戦などを考えたりすると、結構みんな思ったことを言ってくれます。

尾上 意見は言うけれどばちばちはしないよね。

渡辺 こっちの方が良いんじゃないかっていう意見は結構あるんですけど、私はそういうのもいいと思います。大黒柱というような存在がいないのでみんなで話し合いながらやれているかなと思います。

――ではこのチームの良いところは何ですか

渡辺 自分が練習で上手くいかないときなどに、一人の世界に閉じこもるのではなく、みんなにアドバイスを求めたりするんですよね。納得いかないときは積極的にチームメイトに話を聞いたりして、私自身一番上ですが後輩に聞いたら、良いところは良い、ここはもっとこうした方が良いなどはっきり言ってくれるので、そういうことを言えるのは良いことだと思います。 

永瀬 やっぱりみんな学年違うじゃないですか。だから全部の学年がいるので、自分の同期の意見も3年生にも分かってもらえるし、こうやって先輩とかと話しても、「いま2年生こんな感じなんですよ」みたいに全部の学年のことが分かるのがいいと思う。部活全体のことが分かる! あと団体の雰囲気も良い。誰かがダメな試合をしても暗くなったりはしないですよね。

渡辺 雰囲気がすごく良いと思います。良いアタックしたら、みんなで喜べるし、うざったいくらい盛り上げていく。そういう雰囲気が1点2点に繋がっていると思います。

「フェンシングは難しいからこそ面白い」(渡辺)

学年も性格もばらばらだか、仲のいい三人(左から永瀬、尾上、渡辺)

――フェンシングを始めたきっかけについて

渡辺 父が転勤になった際、(父の)隣の席に座っていた方がフェンシング界の人なら誰でも知っている日本フェンシング協会の方でした。私がちょうど小学校に上がるタイミングだったというのもあり、始めてみないかと勧めていただいたことがきっかけですね。

尾上 小さいころから体操教室に通っていたのですが、そこにフェンシングスクールがあり小学校に上がる段階でフェンシングをやってみないかと勧められて始めました。

永瀬 8歳離れた姉がいるのですが、その姉が高校の部活としてフェンシングを始めました。その試合を観に行ったときに「かっこいいな、私もやりたいな」と思い地元のクラブに入りました。

――フェンシングの魅力について

渡辺  それぞれの強みを活かしていろんなプレーができるところですかね。背が高い人は身長を活かせますし、背が低い人だったら俊敏性を活かせます。あとは運動神経の良い人だったら、その才能をいかすこともできます。いろんなプレーをする人がいるので、やっていても観てても面白いと思います。

尾上 相手との読み合いが一番の魅力だと思っています。中学生くらいの時にある試合で負けて、自分としては散々な結果でもうフェンシングは辞めたいと思うほどでした。あのときああすれば良かったというのをずっと考えてしまっているうちに、面白さが見えてきましたね。それ以来読み合いの楽しさを感じるようになりました。

永瀬 フェンシングをやるときの技や動きに陰りがないことです。例えば、左右二つのコースがあるとするとそのままストレートに右を狙う場合もあるし、左だと見せかけて右を狙う場合とがあるんですよ。考えれば考えるほど技がいっぱいでてくるので組み合わせ次第でいくらでもあります。それを考えながら発見していくことがフェンシングの魅力かなと思います。

 読み合いが入ってくると、無限ですね(笑)。フェンシングは難しいからこそ面白いです。

――ワセダを選んだ理由とは

渡辺 小学校からずっとフェンシングを続けていく中で憧れている先輩が何人かいて、その先輩たちが皆ワセダに進んだのでワセダに対して漠然と憧れがありました。高校3年生の途中まで国立大を目指していたのですが、大学でフェンシングを続けるのならやはり先輩のいるワセダしかないと思いました。勉強と両立しながらできるというのも大きかったですね。

尾上 大学では建築について学びつつフェンシングを続けたいという気持ちがありました。当時在籍していたクラブの先輩がワセダに通われていて、ワセダだったら両方できるというのを聞いて、という感じです。憧れの先輩がいたというのもあります。

永瀬 高校3年生の時期に進路を決めるにあたって、まずフェンシングをしたいと思いました。せっかく大学に行くのなら、勉強もできて自分で考えながらフェンシングのできるところに行きたいと考えたときに、ちょうど宮城県出身の先輩のいるワセダにしようかなと思いました。

――先ほどもお話にも上がりましたが学業との両立はいかがですか

渡辺  1、2年生の時は学部の授業に加え教職をとっていたため部活を早退したり休んだりして授業に行くこともありました。部活が強制ではない分、勉強にも集中できました。ワセダのフェンシング部は5か月ほどオフの期間があり、その間は種目ごとに集まって練習するという感じです。ですので、フェンシングと勉強の切り替えがうまくできましたね。

尾上 私の在籍している建築学科は勉強が大変なことで有名らしいのですが、実際学年が上がるごとに課題が増え、難しくなっていきます。一年生の時は「高校の授業なのでは?」というくらいに1日に5コマも授業があったりしました。そのため時間通りに部活に行けないので、他の人より練習時間が短かったですね。いまも授業や課題などで部活に行けないということもあるのですが、時間がないからこそ集中してやるように心掛けています。時間に余裕があるとだらけてしまうので時間を切り詰めて自分を追いこんでいます。今のところ何とか両立出来ているかな…。

渡辺 のっち(尾上)は大丈夫だよ。

尾上 これからが大変だと思うので、頑張ります。

――永瀬選手は所沢キャンパスから練習場に通っていらっしゃるということですが大変ではないですか

永瀬 大変です。部活に間に合うように授業を組むとなると1限から3限までに入れるしかなくて。早起きしなければならないのでつらいですね。朝苦手で…。

渡辺  試合の当日も寝坊してくることが多くて、電話してなんとか来るんです。

尾上 先輩に起こされるという。

永瀬 いやいや、頑張ってますよ。大丈夫です、はい。

一同(笑)

――大学生活はいかがですか

渡辺 フェンシング以外で、何だろう

永瀬 料理、料理!

渡辺 そうだね。料理が趣味と化してきていますね。

一同 おー!女子力!

渡辺 私の在籍しているゼミは2年生から4年生までずっと同じなので、そこがもう一つの部活のような存在です。大学でそのようなコミュニティができると思ってなかったので、すごく楽しいです。

尾上 授業行ってるか、ご飯食べてるか、課題やってるかしかないです(笑)。充実しています。最近新しいバイトを始めたので。

――何のバイトですか

尾上 スポーツジムのバイトです。そしてなぜかバイト先で筋トレをするという(笑)。テストがあったりするので。

一同えー!

尾上 ずっと東京に住んでいるのですが、幼稚園から高校までずっと同じ学校で。14年間という長い付き合いになる友達もいて。卒業して3年たちますが、いまだにみんなで会って遊んでます。とても楽しいですね。

永瀬 私はボーリングですね。趣味というか日課です。他大のフェンシング部の同期と集まって週に1回はボーリングに行ってます(笑)。最高スコアは160…いや、190です。

一同  すごい!

渡辺 フェンシング部の中にボーリング同好会がありまして。よく参加しているかほまる(永瀬)はどんどんうまくなってます。ボーリングを通じて他大の子とも仲良くなれますね。

――憧れや目標としている先輩はいますか

永瀬 たくさんいます(笑)。宮城出身の大久秀先輩(明大、平24卒)ですかね。試合の中でいろいろな動きをするので見ていて楽しいです。

 北川先輩(隆之介、平26年スポ卒)のフェンシングです。私と同じく背は高くないのですが、日本でもトップレベルの技術を持っていらっしゃいます。試合で練習の倍以上の力を発揮されるところに試合にかける情熱を感じます。自分の強みをいかしてプレーされてるところが素晴らしいです。

尾上 私も隆之介先輩です。私と同じく左利きのプレイヤーなのですが、左にしかできないような、左をいかしたプレーをされているので良いなと思います。

渡辺 特定の選手ではないかもしれませんが、ワセダのフルーレの先輩方の試合をみていて毎回ワセダを背負って戦っているという気迫が伝わってきていました。技術だけでなく気持ちの面で強い選手になりたいですね。

学年を越えた絆

チームのムードメーカーである永瀬

――お互いのフェンシングの尊敬しているところはありますか

渡辺 のっち(尾上)はやっぱり攻める技がすごく上手いです。攻めるのに無理せず大きく出過ぎずに確実にポイントを決めてくるんです。さらに攻める技だけかと思えば、こっちがちょっとでも攻めようとすると反撃してキック入ったところに合わせて突いてくるんです。だから自分の強いところを分かっていて、無理せずそれを徹底してくるので本当に頭脳派だなと思います。さすが建築家ですね。かほまるは、すごく剣さばきが上手いです。どこからでもよけられるし、どこからでも攻めれるし、そういう剣さばきが自然にできるって女子だとなかなかいないのでそれは本当に強みだと思います。あとは妥協しなければすごく動けると思います。

永瀬 なるほど。ありがとうございます!(笑)

尾上 (渡辺)先輩はすごく試合を想定してやっていてものすごくいいなと。最後の最後まですごく一生懸命突いてくるので、こっちとしてはけっこう怖いんですよ。練習の時でも最後までしっかり突いてくるので、最後って結構自分は弱くて、そこで頑張らなければと毎回思います。練習でも試合を想定していないようなときでも試合を想定してやっているのがすごく伝わってきて、見習いたいと思っています。私は練習のときに、技を試してそのあとの処理までちゃんとできないこととかあったりするので、すごいなと思います。かほまるは同じく剣さばきがすごいと思います。自分はそこが苦手で、手の扱いが下手で。自分はもともと右利きで、フェンシングだけ左でやっているので左手の指先の器用さが劣るんですよね。だからかほまるの剣さばきは高校生の時から見ててもすごいなと思っていました。フォームもすごくきれいなんですよ。ブレも少ないし良いなと思います。きれいですよね。

渡辺 そうだね。ふつう試合形式の練習になったら焦りとかあってフォームが崩れてしまうんですが、全然崩れなくて、どっしり構えてしっかりアームワークを実践してくれるのですごいです。

尾上 フェンシングもけっこう丁寧でちゃんとポイントを突いてきて、一つ一つの処理もとても丁寧ですね。

永瀬 咲先輩は、守りがめっちゃ固いところです。例えばリードされて先輩が守り続けるって決めたときには絶対に入らないんですよ。しかもそこからずっと守っていると見せかけていきなり前動作のないアタックが飛んでくるんですよ。

尾上 あと勝負強いところですね。一本勝負の時に自分が一点ビハインドの時でもしっかりそこを取ってくるし。

渡辺 多分負けず嫌いなんですよね。だから練習といえども絶対に負けたくない、1点取るみたいな。(笑)

永瀬 それはめっちゃ伝わってきます。最後まで一生懸命。練習でも捨てない。そういうところは自分もやらなきゃと思います。(尾上)先輩は一つ一つの技がすごく極まっている。先輩の技がはまると本当にはまってしまいます。

渡辺 本当に上手いね。

尾上 私はアタックで取れない相手に対しては距離があっていないので、一番距離が近くなるのが相手が攻めてきたときなんですね。距離が合わない相手に対しては攻めてきたところを狙っていったりして、そこから1点取ったりします。

渡辺 のっちはアタックも上手いんですけどそれと同じくらい反撃も上手くて、足元をくじくような場面で取れるのですごいと思います。

――チーム仲はどうですか

渡辺 フルーレ陣だけでなくワセダのフェンシング部自体がものすごく仲が良くて、他大からもうらやましがられます。もちろん最低限先輩後輩という関係はあるのですが、家族や仲間のような存在で風通しの良い部活だと思います。この仲の良さは先輩から受け継いできたものだと感じています。コーチがいないので、毎回自分たちで練習メニューを考えなければならなくて。そうした時に先輩から一方的になるのではなく、みんなで声を出してメニューを考えながらやっていこうという雰囲気があるのも仲の良さの表れだと思います。

尾上他の種目だと結構同学年が多いのですが女子フルーレは全員学年が違うんですよ。学年が違うからこそ言えることとかもあってそこが逆に良いところでもあります。

渡辺 本当にその通りで学年が違うからこそ意志疎通に関してはお互いが気をつけているというか。先輩だから、後輩だから、というのがないようにしてます。キャラが違うのがまた良いのかもしれません。

 

――ではインカレに向けていま取り組んでいることとインカレへの意気込みをお聞かせください

渡辺 考えてやっているつもりでも試合で緊張しちゃったりして、練習でやったことが試合ではできなくなってしまうので、今はみんなでジュースをかけて試合をしたり、逆転する練習、守り抜く練習などをして直接試合で生きるようなことをしています。本当に試合を意識して自分たちを追い込むようにしています。試合前から結果のこと考えてしまうと、もちろん固くなってしまうのですが、インカレは、学生の試合の最後ですし、結果につなげたいです。今季もうひと押しのところで競り負けてしまっているし、インカレは厳しい戦いも多いと思うので、競り負けないように試合の中でしっかりと思い切り勝負できるようにしたいです。

尾上 関カレ前は試合の練習はできていなかったので、いまはみんなで試合の色々な想定をしてやっています。負けているときや勝っているときなど、そういうときどういう試合をすれば良いかなどをやっているので、どんな状況でも対応できるように想定してインカレに臨みたいと思っています。インカレ個人では、大学入ってから上位に入れていないのでまずは上位を狙っていくことです。特にベスト8とかその辺りには絶対に入っていきたいです。団体戦も優勝目指してやっていきたいです。

永瀬 練習は先輩たちが言っていたように試合っぽく、手数多くを意識してやっています。インカレは勝っても負けても完全燃焼できなかったら絶対に後悔するので、燃え尽きてきます!

――ありがとうございました!

笑顔が絶えない女子フルーレ陣でした

(取材・編集 佐藤亜利紗、田々良智咲)

◆渡辺咲(わたなべ・さき)(※写真左)

1992(平4)年5月5日生まれ。152センチ。大分・岩田高出身。文学部4年。一人暮らし4年目の渡辺選手は料理作りもお手のもの。取材日の朝には家でトマトソースを作ってきたそうです!現在は春からの新居候補を探し中とのこと。

◆尾上千尋(おのえ・ちひろ)(※写真右)

1993年(平5)12月28日生まれ。158センチ。東京・田園調布雙葉高出身。創造理工学部3年。尾上選手は最近、新しいお店の開拓にはまっているそう。おすすめのお店を聞くと「らぁ麺やまぐちと蔭山!」と即座に答えてくださいました。

◆永瀬夏帆(ながせ・かほ)(※写真中央)

1994年(平6)7月13日生まれ。155センチ。宮城学院高出身。スポーツ科学部2年。試合前は緊張して話さなくなることも多いという永瀬選手。しかし、取材中は大きな笑顔と楽しそうな笑い声で終始和やかな雰囲気をつくってくださいました。