関東学生選手権(関カレ)は大会3日目を迎え、女子エペと男子サーブルの団体戦が行われた。早大女子エペは堅実な戦いぶりで順調に勝ち上がり、関東学生リーグ戦(リーグ戦)に続いて今季2度目の栄冠を手にした。一方、男子サーブルは1戦目の東大戦を45-29で勝利。ベスト4を懸けた2戦目の中大戦では好調な滑り出しをするも4セット目の甘粕貴大(社4=神奈川・サレジオ学院)で18-20と逆転を許す。そこから大きく点を引き離され無念の敗北を喫し、2回戦で姿を消すこととなった。
女子エペの初戦は実力ある法大との対戦。両者一歩も譲らぬ展開となる中、第6セットで山村彩和子(教2=岡山・玉野光南)が6連続ポイントを奪い、瞬く間に点差を広げていく。リズムに乗った早大はリードを保ったまま45点を先取した。「取るべきところできちんと点が取れたのが良かった」(山根司、スポ3=香川・三本松)と語るように続く準決勝の日女体大戦でも安定感を見せる。ここでも難なく勝利を収め決勝へと駒を進めた。
大事な場面で勝負強さを発揮した山村
決勝の大一番では日大と激突。早大は第2セットで5-10の5点ビハインドとなるも、なかなか差をつめることができない。しかし「負けるとは思っていなかった。まだ勝てると思っていた」(山根司)との言葉通り、選手たちはあくまでも落ち着いていた。19-23で迎えた第7セット。伊藤由佳(スポ2=栃木・宇都宮中央女)は時間を使った攻めで苦手な相手に対し点を与えることなく、同スコアで山村につなぐ。「目の前の一本一本に集中した」という山村は、追撃で4点差を覆し一気に流れを引き寄せた。25-24と僅差で最終回りを託された山根司は猛攻で大量得点を重ねる。残り時間数秒というところで45点目を奪取し、試合終了。昨年は同じ舞台、同じメンバーで涙をのんだだけに、成長の感じられるうれしい優勝となった。
得点しガッツポーズをする伊藤
リーグ戦に引き続き、頂点に立った女子エペ団体。今回の結果はチームワークの良さと強靭(きょうじん)な精神力のたまものである。「勝っていても負けていても我慢することが最終的な勝ちにつながった」(山村)と結成2年目にして自分たちの戦い方を確立することができたようだ。それぞれに見えた課題を克服し、いざインカレへ。3冠を目指した戦いが始まる。
(記事 佐藤亜利紗、写真 副島美沙子)
結果
※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。
※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。
※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。
結果
▽女子エペ(団体) 優勝
早大〔山根司(スポ3=香川・三本松)、伊藤由佳(スポ2=栃木・宇都宮中央女)、山村(教2=岡山・玉野光南)、千葉(スポ1=大阪・北野)〕
2回戦:○45-36 法大
準決勝:○45-30 日女体大
決勝:○45-36 日大
▽男子サーブル(団体) 2回戦敗退
早大〔甘粕貴大(社3=神奈川・サレジオ学院)、佐々木勇歩(スポ3=静岡・沼津東)、山本隼大(スポ2=香川・三本松)、竹下昇輝(スポ1=静岡・袋井)〕
1回戦:○45-29 東大
2回戦:●30-45 中大
コメント
山根司(スポ3=香川・三本松)
――団体優勝おめでとうございます。いまのお気持ちをお聞かせ下さい
ホッとしていてうれしいです。
――昨年は準優勝だった関東学生選手権(関カレ)ですが、今回はどのような意気込みで挑みましたか
きょねんの団体は結構ラッキーな上がり方で準優勝を取ることができました。しかも自分たち的にはよく頑張ったかなという結果でした。今回は狙い過ぎても良くないなと思っていたのですが、頑張れば優勝できるかなという位置にいたので、しっかりとそこを勝ち切れたことは良かったかなと思います。
――法大戦と日女体大戦を振り返って
2試合とも完璧な試合ではないと思うのですが、取るべきところできちんと点を取れたというところが良かったのかなと思います。あと、みんながしっかり自分たちのできる試合をした結果かなと思います。
――決勝の日大戦では序盤に点差をつけられ追う展開となりましたが
5点差くらいつけられたとき、多分みんな負けるとは思っていなくて、まだ勝てると思っていました。それが上手く試合に活きて、彩和子(山村、教2=岡山・玉野光南)がしっかりと最後の場面で点を取ってくれたことで、今までの試合の構成とは違うのですが、良い意味で自分たちの成長となる試合ができたかなと思います。
――最後の逆転はすごかったですね
最後に円陣を組んだときにここから巻き返せたら逆にすごいよねと話していました。自分たちは常にチャレンジャーなので、そこを忘れずに結果を出すことができて良かったです。
――今回の優勝の勝因はどこにあると思いますか
一つ目はみんながしっかりと自分のプレーをしたことです。二つ目はいままでこのメンバーで試合をすることが何回もできているので、その中で自分たちがどういときにダメか、どういうときに良いのかというのをきちんと試合前に話し合えたことかなと思います。
――個人戦の準優勝という結果についてはいかがですか
2年前も同じ相手と戦って2位だったんですよ。そのときは1年生だったし、自分的にも頑張ったかなという感じでした。今回はそのときと全然気持ちが違って、悔しいという気持ちのほうが大きいです。
――決勝で日体大の堀川選手と当たっていかがでしたか
相手がどうこうというよりも決勝は自分で試合をダメにした感じがあります。相手も強かったのですが、本当に自分に負けたなと思うので、もっとできたかなと思います。何回こんな試合をするのだろうと、試合後少し落ち込みました。
――全日本学生選手権(インカレ)に向けての目標は
自分の中で今大会は優勝という形で終わったのですが、自分のフェンシングがいまだによく分かりません。ことしの4月にアジアのジュニアの試合があったのですが、そのときから調子は落ちていると思います。自分のいけると思う日がなかなかなくて。きょうは、結果は出たのですが、不安な部分が多いので練習の中でしっかり自分のフェンシングをできるようにして、試合でそれをはっきりと活かせるように頑張りたいと思います。
――自分のフェンシングとはどのようなイメージですか
いまのフェンシングは大半が感覚でやっている部分が多いと感じています。自分の中で納得できる試合をというのを考えて自分の動きも相手の動きも分かった上で技を出していくのが自分が思っている理想の形です。
伊藤由佳(スポ2=栃木・宇都宮中央女)
――きょうの個人戦を振り返って感想をお願いします
個人戦は当たりが強いなと初めから思っていたので、自分のできることをやるというのと、あとは1本にこだわる気持ちを忘れかけているなという思いがすごくあったので、それを取り戻すためにも声を出して頑張ろうと思っていました。
――団体戦はいかがでしたか
自分の役回りとして、できるだけ点を取られないようにというのと固めていくという部分だったのですが、日大の最後回りの人とやったときにもう少し抑えられたかなというのはあります。結果的に先輩(山根司、スポ3=香川・三本松)と彩和子に支えられて勝つことができたので、インカレではもう少し頑張れるように努力したいと思います。
――決勝の相手は日大でしたが、いかがですか
準決勝で日体大が日大を後半追い上げていて、どちらが決勝にくるのだろうと思っていたのですが、自分たちとしてはどちらがきても強い相手というのは変わらないので、やれることをやろうという話をしました。
――決勝は前半に日大を追う展開となりましたが、いかがでしたか
相手の方が自分よりずっと上手なので、あわよくばプラス1点で重ねられたらいいなと思っていました。あとは、3番手の相手とは特に相性が合わないなと感じていたので、ここでまた点を取られても良くないなと思って、時間を使おうという感じでやりました。
――チームで勝ち取った優勝となりましたが、感想はいかがですか
素直にうれしいです。これをインカレにつなげていきたいというのがすごくあります。夏はリーグ戦(関東学生リーグ戦)があって王座(学生王座決定戦)がありましたが、王座でも準優勝に終わってしまったので、次のインカレで頑張りたいです。
――今回の試合で見えた課題はありますか
迷いながらやるといつも入っているポイントでも弱くなってしまったり、シングルで突けなかったり、というのをすごく感じる試合だったので、気持ちがすごく重要だなと思いました。守りながらも強気でどんどん手数を出す中で自分で試合をつくっていくということが今後も課題なのかなと思います。
――インカレに向けて意気込みをお願いします
もちろん優勝したいですが、とりあえず団体でも個人でも自分ができることをもっと徹底してできるように頑張りたいと思います。
山村彩和子(教2=岡山・玉野光南)
――優勝おめでとうございます。今の率直な感想をお願いいたします
初戦がとても重要だと思っていました。(対戦相手の)法大は強い選手が揃っているので、そこを乗り切ることができればという気持ちでした。インカレに出場することは決まっていたので、楽しんでプレーしようと話していました。ですので、法大戦を焦らず乗り切れたことは大きな収穫になりました。
――決勝戦では冷静にポイントを重ねていた印象でした
日大も強い選手が揃っていますので、取り急がず自分の取れるところを取ろうと思っていました。何かを考えてやっていたというよりは、目の前の一本に集中していた結果だと思います。
――個人戦の振り返りをお願いいたします
先のことを考えすぎてしまい、初戦に気持ちを持っていけていませんでした。インカレでは先のことよりも目の前の一本、一戦に重きを置いて行きたいと思います。
――インカレに向けて収穫はありましたか
相手に点を取られた時に全員が悪い流れを引きずることなく最後まで我慢することができたので勝ちに繋がったのだと思います。負けていても、勝っていても我慢することが大きな収穫でしたね。
――三冠のかかっているインカレの団体戦への意気込みをお願いいたします
王座戦(学生王座決定戦)の朝日大戦では点差的にあと少しのところで負けてしまいました。実力的には上の相手だったというのもあり、負けてしまったのだという感じでした。インカレは王座戦より出場大学が多いですので、そこで一戦一戦勝っていきたいです。最後に強豪と当たったときにきょうのように冷静に戦えればいいと思います。