女子サーブルは無念の3位

フェンシング

 ついに全日本学生王座決定戦(王座)が開幕した。全国から強豪校が一堂に会し、日本一のチームを決めるこの大会。早大フェンシング部女子からはエペとサーブルが出場した。女子エペは1回戦で中京大を45-41で退けるも、2回戦で日体大に敗れる。迎えた3位決定戦では一本勝負をものにできず、4位に終わった。一方の女子サーブルは専大との2回戦でまさかの敗退。3位決定戦では45-30と日大を圧倒したが、優勝を目指していただけに悔しい結果となった。

 フルーレの試合が長引き予定より遅れて試合を開始した女子エペ。それでも選手たちは戸惑うことはなかった。中京大との1回戦、第1セットで山根司(スポ2=香川・三本松)が5-0と大量リードを奪う。ルーキーの伊藤由佳(スポ1=栃木・宇都宮中央女)と山村彩和子(教1=岡山・玉野光南)は王座初出場という緊張から固さが目立ったが、2周目からは互角の試合を展開。第8セットで山村の思い切りの良いプレーで38-38に追いつくと、続く山根の7ポイントでカウントは45-41。女子エペは久しぶりの勝利を手にした。「一本一本を楽しんでやる」(山根)と臨んだ日体大戦では終始リードを許してしまう。時間を使い粘るものの、最後まで逆転することはできなかった。3位決定戦の相手は関東学生リーグ戦(リーグ戦)で一本負けを喫した日大。序盤の遅れを巻き返し一本勝負まで持ち込んだが、一瞬の隙を突かれ敗れてしまった。

点を挙げ喜びを表現する山根

  続いて登場したのは女子サーブル。リーグ戦を全勝優勝で終えた勢いのあるチームが掲げた目標は「王座でも優勝すること」(弘瀬智子、スポ5=高知・追手前)。しかしその目標は早くも達成できないものとなってしまった。2回戦はリーグ戦のときに45-36で勝利を収めた専大との対戦。試合は優勢と思われたが、真所美莉(スポ4=宮城・仙台南)が第1セットで4点差をつけられる。続く弘瀬、舟山佳穂(教3=山形・米沢興譲館)も悪い流れを断ち切ることはできなかった。「取り急いでしまった」(弘瀬)と自分たちのペースをつかめないまま28-45で敗戦。不本意な結果に選手たちはやりきれない表情を露わにした。直後に行われた強豪・日大との3位決定戦では気持ちを切り替え、第2セット終了時点で6-10と点差をつけられるも第3セットでは舟山の6連続ポイントで14-15と逆転。第4セット以降は真所、弘瀬共に調子を取り戻し、セットを終えるごとに日大を突き放す。45-30で勝利し、表彰台に滑り込んだ。

ポイントを奪えず悔しい表情を浮かべる真所

 エペ、サーブル共に今回の結果は満足できるものではない。試合で良い結果を残すためには、今大会を通じて浮き彫りになった課題を克服することが先決だ。個々のレベルアップ、そしてチームとしての団結力をより一層高めるために、今後も練習に励む。

(記事 松下優、写真 川嶋悠里、松下優)

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。

結果

▽女子エペ

早大〔渡辺咲(文3=大分・岩田)、山根司(スポ2=香川・三本松)、伊藤由佳(スポ1=栃木・宇都宮中央女)、山村彩和子(教1=岡山・玉野光南)〕

4位

1回戦 ○45-41中京大

2回戦 ●32-45日体大

3位決定戦 ●39-40日大(一本勝負)

▽女子サーブル

早大〔弘瀬智子(スポ5=高知・追手前)、真所美莉(スポ4=宮城・仙台南)、舟山佳穂(教3=山形・米沢興譲館)、安富結(スポ3=香川・三本松)〕

3位

2回戦 ●28-45専大

3位決定戦 ○45-30日大

コメント

弘瀬智子(スポ5=高知・追手前)

――きょう1日の感想をお願いします

専修大学の方がしっかり調整してきたというのと、自分たちが流れを変えられなかったというのがありました。次の関東大会の方に切り替えていこうかなと思っています。日大との試合では前の人がちょっと悪くても次の人がカバーすることができたので、前の試合よりは良かったかなと思います。

――王座での目標はどのようなものでしたか

やっぱり優勝ですね。優勝が目標だったんですけど、至らないところが多かったのかなと思います。

――試合内容を振り返ってみていかがですか

2回戦では取り急いでしまったところがあって、気持ちが先行しすぎて足が止まってしまったりしていましたね。でも、3位決定戦では少し落ち着いて取り組めたかなと。個人としても全体としても、自分の間合いをとって相手を飲み込めていたと思います。

――専大との差はどのあたりに感じていますか

気持ちですね。相手の勢いにおされてこっちが引いてしまったので。自分たちのチームは前に出た方が強いので、その気持ち的な面で普段の練習から前を向くことが必要だと思います。

――3位決定戦にはどのように臨みましたか

「絶対勝とう」とかは誰も言わずに、もう楽しんで、ピスト全体を使って。この試合通して楽しむっていうことはずっと言っていたんですけど、一本一本自分のできることを精いっぱいやろうかという気持ちでいて、それが良い結果につながったんだと思います。

――第9セットを迎えたときはどのような気持ちでしたか

5本取ろうという気持ちでしたね。自分だけで戦っているわけじゃなくて後ろにいる子たちもいるので、その子たちの頑張りを無駄にしないように。もうとにかくメダルが欲しかったです、全員で。

――最後に、今後の目標がございましたら教えてください

次の試合は全日本の個人なんですけど、それは個人での目標なので、秋の関カレですね。関カレの団体戦です。みんなでしっかり優勝を見据えて練習して、しっかり取るところを取って、優勝できるように頑張ります。

山根司(スポ2=香川・三本松)

――きょう1日を終えてみての感想は

疲れましたけど楽しかったです。

――リーグ戦を終えてから王座までの調整はいかがでしたか

思ったよりも時間が全然なくて、初戦の中京大の対策は立てたんですけど、とりあえずそこに勝とうという感じで、あとはもう楽しむという感じでした。楽しむためにはこの大会が一番いいと思っていたので。

――では王座での目標はとりあえず中京大に勝つということだったのですか

はい。何位とかは考えずに、とりあえず中京大に勝つということでした。

――王座は初出場となりましたが緊張などはありましたか

緊張しました(笑)。楽しむって言っていたんですけど実際は緊張していて。伊藤とか山村とかも顔が強ばったりしていて、その緊張を楽しみながらできれば良かったんですけど…自分が一番緊張していて、でもみんなで緊張をほぐしながらできればいいなと思っていました。

――試合を振り返ってみていかがですか

個人的にはリーグ戦のときより一歩進めたかなと思っていて、でもチーム的にはまだ課題があったと思います。当分団体戦がないので、今日の負けた試合とかを生かして個人のスキルアップをできればと思います。

――課題を具体的に教えていただけますか

固くなっちゃったり、流れが悪かったり誰か一人でもそれに気付けたら状況を変えることができると思います。

――中京大戦では山根選手が最初に登場しましたが、最初から攻めていこうという意識があったのですか

最初にリードできたら楽な展開にできるのはわかっていたので、そこを自分が最初に出て、盛り上げて帰ってこれればいいなと思っていました。

――日体大戦に向けてはどんなことを話していましたか

リーグ戦のときに大差で負けていたので、そこを変えられるようにということと、自分は勝負にこだわらずに一本一本、一試合一試合を楽しんでできるように試合していました。

――日大戦ではリーグ戦と同じ一本負けという結果となりましたが

同じ一本勝負でも内容が全然違っていて、リーグ戦のときよりは成長できたと思っています。悔しいですけど…。

――では最後に、今後に向けて目標などをお願いします

個人の試合が多くなるので、その中でしっかりスキルアップしてまた団体戦で組むときにチームに貢献できるようにできれば良いかなと思います。