女子サーブルが栄冠を手にした。「可能性があるあるとずっと言われていた」(真所美莉、スポ4=宮城・仙台南)中で長い間涙をのんできた女子サーブルが見事『全勝優勝』を達成。念願の頂点に輝いた。同じ日程で行われた男子エペは好調をアピール。優勝を果たした日大に最後追いつくことができなかったが、堂々の準優勝に輝いた。
ことしの女子サーブルは強かった。初戦を45-30で勝利すると、次の日大戦で大一番を迎える。最初にエースの弘瀬智子(スポ5=高知・追手前)が5-1で勢いをつけた。次の舟山佳穂(教3=山形・米沢興譲館)と真所美莉(スポ4=宮城・仙台南)もそのリードを維持するも、第4セットで舟山が相手に大量得点を許し、日大に20点目を先取される。弘瀬、真所もその流れを断ち切ることができない。そこで、舟山が前セットの借りを返すべく食らいつき、逆転に成功。だが、真所が日大に40点目を許してしまう。勝負は最終セットへ。序盤弘瀬が攻め込み43-39までひっくり返すと、次は相手の反撃。同点から先にポイントを上げたのは日大だった。追い込まれた弘瀬の頭によぎったのは「こいつらのために勝ちたい」という思い――。プレッシャーに負けることなく、残りの2点を冷静に決め、この戦いを制した。2日目は敵なしのワセダ。一人一人がリードを作り、絶対に主導権を握らせない。最後の法大戦では第7、8セットで舟山と真所がそれぞれ5連取。ワセダの勢いを止められるチームはなかった。
大一番で得点を決めガッツポーズする弘瀬
男子エペは昨年と同じメンバーで臨んだ。最年少ながらチームを率いるのは津江碧(スポ2=山口・岩国工)。初戦の相手は昨年の王者法大。前半は相手にリードを奪われ、一時10点近くの差をつけられた。しかし、第8セットで鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)が一気に得点を重ね、1点差で津江に託す。津江が逆転すると、逆に1点差まで詰め寄られるが、そこで時間切れ。逃げ切り、価値ある勝利を収める。その後、中大戦と専大戦で共に一本勝負を制し、チームの雰囲気は最高潮のまま1日目を終えた。2日目は日大相手に食らいつき、最後は津江が追撃したが、一歩及ばず30-32で負けてしまう。最後の日体大戦は着実に点を奪い勝利。準優勝というかたちで大会を締めくくった。
一本勝負を制し、安堵の表情を浮かべる津江
6日間に渡って行われた関東学生リーグ戦(リーグ戦)。ことしは学生王座決定戦(王座)に3位以上が進めることもあり、合計4種目が6月1、2日に行われる王座に進むことになった。女子サーブルと男子エペがそれぞれ健闘し笑顔で大会を終えることができたが、まだ戦いは始まったばかり。王座ではどんな活躍を見せるのか――。
(記事、写真 川嶋悠里)
※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。
※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。
※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。
結果
▽女子サーブル
早大〔弘瀬智子(スポ5=高知・追手前)、真所美莉(スポ4=宮城・仙台南)、舟山佳穂(教3=山形・米沢興譲館)、安富結(スポ3=香川・三本松)〕
1部優勝
○45-30日女体大
○45-44日大
○45-26日体大
○45-36専大
○45-20法大
▽男子エペ
早大〔鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)、西森健太(教3=香川・三本松)、小野弘貴(社2=東京・早稲田)、津江碧(スポ2=山口・岩国工)〕
1部準優勝
○41-40法大
○27-26中大(一本勝負)
○38-37専大(一本勝負)
●30-32日大
○45-31日体大
鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)
津江碧(スポ2=山口・岩国工)
真所美莉(スポ4=宮城・仙台南)
コメント
◆コメント
鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)
――大会が終わってみて感想はいかがですか
どの種目も実力以上の結果が出たのかなと思いますね。特にエペとサーブルは。サーブルも一本勝負で残留して、エペも2位になれるとは正直思っていまなかったので、結果的には良かったです。
――エペの今大会の目標というのは
きょねん4位だったので、3位以上くらいを狙っていたのですが、2位だったので…。しかも試合内容も思ったより日大も惜しかったので、逆に悔しいというかもう少し頑張れたのではないかなというのはありますね。
――エペはことし2年目のチームですが、昨年より成長したと感じる点はありますか
やはりきょねんがあってのことしなので。メンバーも変わっていなくて、きょねんうまく回せなかったというかうまくチームとして機能していなかった部分も今回はチームとして試合ができていたかなと思っています。それが一番の勝てた要因かなと思います。
――では逆に見つかった課題は
今回は勝てたから良かったのですが、リードされる展開がほとんどだったので、やはりそれを追いつくというか巻き返すのは結構厳しいので、そこをもっとリードして回せたら、もっと試合が楽に進められたのかなと思います。やはり最初の段階でしっかりリードして、なおかつそのリードをしっかり後の方まで繋げられるようになれるともっと違うのかなと思いますね。
――王座に向けて一言お願いします
王座は逆山で日大が上がってくると思うので、こっちも一つ一つ頑張って最後日大には今度は勝ちたいと思います。でも、もちろん目の前の試合を大切に頑張りたいなと思います。
津江碧(スポ2=山口・岩国工)
――今大会の感想をお願いします
とりあえず、王座に出場できるようになって良かったです。
――今回はどのような気持ちで臨みましたか
きょねんは惜しい試合がいっぱいあって、一本勝負とかで落として勝てれば王座に行けたという試合だったので、ことしは鬼澤さんが最後なので一緒に王座に行きたいなと思って、絶対に王座に行けるようにと、そこだけを考えて練習をしてきました。
――では、この大会の収穫やできた課題はありますか
最初法政戦で、硬くてうまくいっていなかったのですが、途中から自分一人、ではなくて自分が少しでも点を取ってきて、少しずつでもいいから返すという気持ちでやれば、自由にプレーできると思いました。それはたぶん皆もわかっていると思うので。ワセダにとって皆が少しずつ取って最終的に勝つという試合がいまできるベストだと思うので、もっともっとそこを突き詰めて王座で戦えれば、リーグの反省を踏まえてできるのではないかと思います。
――最後に王座に向けての意気込みを聞かせてください
頑張って優勝します!
津江碧(スポ2=山口・岩国工)
――今大会を振り返っていかがですか
今回は2回目のリーグ戦ということで、きょねんとはまた違う戦いになると思っていましたが、メンバー的にはきょねんと変わっていなくて、ことしは優勝を狙えるメンバーだと思っていました。結果を振り返ると、きのうは全部一本勝負という危ない試合でしたが、全部勝つことができて、きのうは良い流れだったと思います。きょうは日大戦で最後2点差で負けている状態で自分に回ってきて、正直相手も尊敬している強い先輩だったので、勝てるかなという不安もあったのですが、ベンチからも上からもワセダの先輩方、同期、後輩も皆応援してくれていたので、頑張ることができました。結果的には追いつくことができなかったので、日大に勝って優勝したかったですね。
――今回も最後回りを務めましたが、昨年と比べて成長したと感じる点はありますか
最後回りだから絶対に勝たなきゃというのがきょねんはあって、絶対俺がどうにかしなきゃと思っていたのですが、ことしは少し違ったのではないかと思います。先輩方が積み上げてくれた点数を自分があとはしっかり抑えればいいんだという気持ち的に余裕がありましたね。
――1日目から一本勝負が続きましたが、そのときの心境は
初戦はリーグ戦5連覇くらいしていた法政で、序盤は10点差くらいでボコボコに負けていて、正直やはり法政は強いなと思いながらやっていました。でも、7セット目から急に流れがこっちに来て、最後マイナス1点でほぼ追いついた状態で自分に回してくれたときは絶対にここは先輩やチームのためにも勝ってやるという感じでした。
――それでは、王座に向けて一言お願いします
もう王座も来週なので、この借りを返せるように日大に勝って優勝したいと思います。
真所美莉(スポ4=宮城・仙台南)
――優勝おめでとうございます。いまのお気持ちは
単純に嬉しいです。4年目にして初めてなので、本当に嬉しいです。
――ことしはどのような気持ちで大会に臨みましたか
絶対に勝ちたいという気持ちがやはりあったのですが、楽しもうかなという感じで、一試合一試合、自分のできることをできるように楽しんでやったら自ずと結果もついてくるかなと思ってやっていました。周りの仲間も皆強い子ばかりだったので、仲間のことも信頼して、チーム全体で戦っていけたらいいなと思っていました。
――日大戦では苦しい接戦の中、逆転で勝利されましたが、どのようなことを考えていましたか
最後の一本勝負の時には、後ろのベンチにいる子とか応援してくれている子が本当に近くにいてくれたので、こいつらのために勝ちたいなという気持ちがありましたね。43-43から44点目を先に取られてからは、こいつらのために勝ちたいということと自分ならできるかなと自信を持ってやっていました。
――その他の試合は結構点差をつけての勝利でしたが、その勝因というのは
やはり選手一人一人がお互いに信頼し合えていて、悪いところやいいところも全部把握していたので、それを存分に発揮できるように後ろでもしっかりサポートしたということがあると思います。あとは、上で応援してくれている子とかの力もあると思うんですよ。応援してくれている人がいると思うだけで結構力になるので、ワセダ全体で掴み取った勝利だとは思います。
――それでは、最後に王座に向けて意気込みをお願いします
いま結構良い雰囲気とか流れなので、このまま王座に向けて一週間ちょっとしかないのですが、しっかりいまから王座に気持ちを切り替えて優勝できるように頑張りたいと思います。
真所美莉(スポ4=宮城・仙台南)
――優勝おめでとうございます。感想を聞かせてください
全勝優勝はサーブルはもちろんのことフルーレでもしたことがないので、めちゃくちゃ嬉しいですね。4年生にして2種目中片方は駄目だったかもしれませんが、サーブルで行けたので。可能性があるあるとずっと言われていたのを達成することができたので、嬉しいです。
――それでは、フルーレが終わりサーブルに切り替える中で、心境の変化はありましたか
いや、特にないですね。きょねんはすごく緊張していたのですが、ことしは別にフルーレも含め緊張は良い意味でなくて、普通のままでした。フルーレばかり練習していたので、いつも通りいつも通りみたいな感じでやっていました。
――1日目の日大戦は接戦でしたが
こっちは初めての子もいるのに対して、相手は3人ともうまい子たちの集団で、日大はきょねんと(メンバーが)変わらないので、そこが劣っている部分だけど、逆に相手の出鼻をくじきやすいところだと思っていて、それがはまってくれました。自分は日大戦はボロボロで何もしてないのですが、2人が支えてくれて本当の団体戦ができたかなと思いました。
――それでは、王座に向けて一言お願いします
関西すごく強いんですよ。まず決勝まで一個は絶対に勝たないといけないので、それがたぶん専大か日女(体大)になるのかわからないですが、また結局関東勝負になると思うのですが、そこをリーグで勝ったからという気持ちでいくのではなくて、もう一回チャレンジの気持ちで臨めるようにいきたいかなと思います。