女子エペが3位で王座進出

フェンシング

 関東学生リーグ戦(リーグ戦)の3、4日目は、男子サーブルと女子エペが行われた。男子サーブルは主力2人を欠きながら、明大戦を制し1部残留を決める。昨季、1部昇格を果たした女子エペは、1、2年生のフレッシュなチームで一致団結し3位に。6月に行われる学生王座決定戦(王座)へ駒を進めた。

 今季から1部で勝負することになった女子エペ。昨季の大躍進の立役者だった4年生が抜け、新たに1年生が2人加わり若いチームで挑んだ。初戦の相手は日大。序盤からシーソーゲームでお互い一歩も譲らない中、勝負は最後の山根司(スポ2=香川・三本松)に託された。結局最後まで決着がつかず、一本勝負に。慎重になりすぎた山根は相手に隙を突かれてしまう。勝負が決まった瞬間、泣き崩れる山根。翌日、「負けてもいいから楽しもう」と2年生でチームを背負う山根は気持ちを切り替えた。東女体大戦でまたもや一本勝負を落としてしまうが、その後は2試合をしっかり勝ち抜き2勝3敗で大会を終える。だが、他に2勝3敗のチームが2校。他の対戦が終わるまで、最終順位がわからない大混戦となった。試合がすべて終了し、得点差によりワセダが3位に入り、王座出場が決定。メンバーたちはホッとした表情を浮かべ、部員たちとハイタッチした。

2年生ながらエースという大役を務めた山根

 男子サーブルは昨季メンバー入りし活躍した3年生2人が留学で抜け、苦しい戦いとなった。全敗で迎えた最終戦。相手は北川隆之介(スポ4=埼玉栄)が「明大しか勝負できないと思っていた」と語った明大。第2セットに北川が2点のリードを作ると、続く仙葉恭輔(スポ2=秋田南)と阿部がそのリードを守る。しかし、第5セットで仙葉は逆転を許すと北川も相手のペースに持ち込まれた。ここで食らいつかなければという場面で、先ほどリードを奪われた仙葉が7連続ポイントで反撃。その勢いをそのままに阿部が差を広げる。最終セット、北川は一本一本気を引き締め、何度も声を上げ自分を鼓舞。先に44点に乗せたが、相手も譲らず激しい追い上げで同点に。周囲が息を飲み見守る中、最後の一本を決めたのは北川。勝利の瞬間、部員全員が北川に駆け寄った。

最後は部員全員で戦った男子サーブル

 男子サーブルは主力がいないながらも、チーム全員で勝利を勝ち取った。女子エペは、入学したての山村彩和子(教1=岡山・玉野光南)と伊藤由佳(スポ1=栃木・宇都宮中央女)が2年生エースの山根をしっかり支え、勝利に貢献。王座では気負いせず、伸び伸びと戦ってほしい。

(記事、写真 川嶋悠里)

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

結果

▽男子サーブル

早大〔北川隆之介(スポ4=埼玉栄)、阿部凌(スポ2=島根・安来)、仙葉恭輔(スポ2=秋田南)、山本隼大(スポ1=香川・三本松)〕

1部5位

●28-45中大

●32-45日大

●34-45法大

●25-45専大

○45-44明大

▽女子エペ

早大〔渡辺咲(文3=大分・岩田)、山根司(スポ2=香川・三本松)、伊藤由佳(スポ1=栃木・宇都宮中央女)、山村彩和子(教1=岡山・玉野光南)〕

1部3位

●25-26日大(一本勝負)

●25-45日体大

●34-35東女体大(一本勝負)

○45-38日女体大

○44-28専大

コメント

北川隆之介主将(スポ4=埼玉栄)

――今大会の感想をお願いします

サーブル陣は、甘粕(貴大、社3=神奈川・サレジオ学院)と勇歩(佐々木、スポ3=静岡・沼津東)が留学に行ってしまい、層が薄い中で1部残留できたので、最低限の目標は達成したという感じです。

――明大戦は接戦でしたが、その時の心境は

自分にとっても4年生で最後だし、仲間たちが皆で一本一本繋げてくれたので、最後周りの時はみんながつないでくれた得点を無駄にしたくないという気持ちで臨みました。

――明大戦の前は皆さんでどのような話をされたのでしょうか

勝っても負けても、(甘粕と佐々木が)留学に行ってサーブル陣がいなくなってしまったので、俺らのせいではないともう割り切って、これ勝っても負けても俺らのせいではないと言っていきました。そういう話をして、リラックスして臨みました。

――終わってみて、他のメンバーはどのようなことをおっしゃっていましたか

明大以外の違うチームに勝ちたいという気持ちもありましたが、戦力的にも明大しか勝負できないと思っていたので、そこに向けて調整してくることができて、最後みんなで勝てたので、ホッとしたとみんな言ってしました。

――最後に秋に向けて一言お願いします

やはりサーブル陣は選手層が薄い中で練習とかもすごく大変だと思いますが、来年以降は(留学から2人が)帰ってくるので、帰ってきたときにしっかり戦えるように関カレ、インカレもしっかり結果を残せるように練習していきたいと思います。

山根司(スポ2=香川・三本松)

――王座進出おめでとうございます。今回の率直な感想をお聞かせください

本当に申し訳ないなと思います。後輩とかが頑張ってくれたから勝てただけなので、本当に使えなくてごめんなさいという感じです。

――2年生ながらチームを引っ張ることになりましたが、どうようなことを考えていましたか

きのうは本当に自分が取らなければという感じで、いろいろな先輩からは「2年生なんだからもっと思いっきりやりなよ」とか「取りに行かなくてもみんなで協力してやればいいんだよ」とか、気負わずにと言われていたのですが、やはり勝ちに行ってしまうところがあって、自分的には意識しないつもりでも意識してしまって全然うまくいかないという感じできのう負けてしまったので、きょうはとりあえず負けてもいいから楽しもうということを意識しました。きのうときょうでは気持ちが全然違ったかなと思います。

――1日目の一本勝負の後にメンバーで話し込まれていましたが、どのようなお話をされたのですか

何を話していましたっけ…。全然覚えてなくて(笑)。その時本当に悔しくて、個人的にすごく負けず嫌いなので、一本勝負に負けたことが悔しかったんです。しかもその前とかに後輩がちゃんと点を取ってきてくれたのに勝ちきれなかったのがすごく悔しくて…。そこは謝りましたかね、後輩に。でも、後輩も全然気にしていない様子だったので、そういうところに救われて、きょうも楽しくできたかなと思うので、本当に感謝しています。

――それでは、今回見つかった課題は

楽しむことが一番ということを知りました(笑)。課題としては個人的なスキルアップとメンタル的に引かないように、前に前にという。個人戦では、結構もういいやという感じで、負けても自分だし勝っても自分だしという感じなので、勝負にこだわらずにできる部分があるのですが、団体戦になるとやはり学校が懸かっているというのを変に意識してしまって駄目なので、そこのところをもっと楽に考えられるようにできればいいかなと思います。

――最後に王座に向けて一言お願いします

楽しみます!

山村彩和子(教1=岡山・玉野光南)

――王座が決定しましたが、感想はいかがですか

初日に惜しかった試合もありましたが2敗してしまったので、王座のことは全然考えていなくて、きのう良い流れでできた試合もあったので、それと同じようにきょうもチームで勝とうという話をしていて、その結果が王座。ついてきたという感じですね。すごくうれしいし良かったですが、チームで戦えたのが一番良かったかなと。次につながる試合ができたということが一番の収穫だったかなと思います。

――今回の目標というのは

きょねんは2部だったんですよ。それで、先輩たちが勝ってくれて1部に上がったチームだから、自分たちはまだ弱いので最下位くらいの気持ちで、挑戦者の気持ちで頑張ろうという話をしていました。

――大学では初めての団体戦でしたが、そのことに関しての感想はいかがですか

最初は緊張とかもあったのですが、私は応援の声がすごく好きというか頑張れるので、団体の方が自分的には楽しめるかなと。自分たちの前に男子のフルーレが優勝していて、そのときに周りの人の応援の声とか応援のしかたを知っていたので、戦っている人と戦っていない人の応援、全部ひっくるめて自分に届いてくる感じがして、それが戦いやすかったというか楽しめたので、緊張はしましたが、楽しめました。

――いままで団体戦の経験はありましたか

あります。ただ、いまやっているのは45本のイタリアンというやつなのですが、いままでは5本勝負を9回繰り返して、5回勝った方が勝ちという試合だったんですよ。そうではなくて大学での45本という試合はいままで3回か4回しか経験したことがなかったので、新鮮な感じでした。

――ご自身はチームでどのような役割をしようと考えていましたか

最後、2年生の先輩(山根)がエースで若いエースじゃないですか。やはりきついだろうから、先輩が少しでも楽に戦えるように、基本的に先輩が回る一個前に自分が回るようになっていたので、一個前までに頑張っていいような流れでもってきて最後先輩に頑張ってもらえるように、なるべくプラスで回せるようにということは考えていました。

――それでは、大学での目標などありましたら聞かせてください

今回ギリギリでリーグ突破して、4年間のうちで少しずつでもチーム力を上げていって、先輩が4年生になって自分が3年生になるときには、リーグ優勝を狙って王座でも優勝を狙えたらいいなと思います。個人戦でもことしジュニアという年代が最後なので、ジュニア層のワセダのみんなでちゃんと実力をつけて、世界とかアジア大会とかも経験できたらいいなと思っています。

――最後に6月にある王座に向けて一言お願いします

今回はチーム力で勝ったという感じだったので、やはり他のチームの方が慣れていると思うので、あとは気持ちと少しでも動いて1発目ではなくて2発目3発目を狙えるくらい、技ではなくて粘りというのをこれから6月までに身に付けていけたらいいかなと思っています。