男子フルーレ、悔しさ残るも2連覇

フェンシング

 昨季の今大会で男女アベック優勝を果たしたフルーレ陣。男子は1日目を全勝で折り返し、昨季インカレで敗戦を喫した相手・法大に勝利。2年連続全勝優勝まであと一歩だったが、最後に日大戦を落としてしまい、悔いが残る2連覇となった。一方、女子は2つの一本勝負を制することができず5位に沈んだ。

法大戦でポイントを奪い雄たけびをあげる鬼澤

 昨季、関東学生リーグ戦(リーグ戦)、全日本王座決定戦(王座)、関東学生選手権(関カレ)で3冠を達成した男子フルーレ。チームの両雄、北川隆之介(スポ4=埼玉栄)と鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)が最終学年となった今季こそ悲願の4冠達成に燃える。明大戦を45-38で制すると、その後2試合で順調に勝利を重ね、1日目を終えた。2日目、最初に対戦したのはインカレで優勝を阻まれた法大。全員が良い集中力を保ち、少しずつリードを広げていく。第6、7セットで北川と仙葉恭輔(スポ2=秋田南)が2人合わせて8連続ポイントを奪うなど良い雰囲気で8セット目を迎える。ここで、北川が前セットの勢いをそのまま鬼澤に繋げたかったが、まさかの大ブレーキ。11点あった点差がいつの間にか2点まで詰められてしまった。そこで最後に鬼澤が奮闘する。相手の動きをしっかり見極め的確に隙を突き、終わってみれば45-35と大勝利。インカレのリベンジを果たし、残る日大との対戦も制して2年連続の全勝優勝か、と思われた。初戦以来のトップバッターを務めた北川が相手に押されながらも粘り、タイムアウトで鬼澤に託すと第2セットで逆転。だがあとが続かず、頼みの綱だった鬼澤も「優勝が決まっていたので、少し貪欲さが欠けていた」というように最後は6連続失点を許し37-45。選手たちはまさかの敗戦に肩を落とした。

日大との一本勝負に敗れ落胆する真所

 一方、昨季の主力が抜けフレッシュなチームで臨んだ女子フルーレは、初戦で優勝候補の法大を破り、その波に乗りたかったが、続く日体大相手に一本勝負を落としてしまう。1勝2敗で迎えた2日目。昨季までは2位以上だけに与えられた王座の出場権が3位のチームにも与えられる。そこで、なんとしてでも3位に食い込みたいワセダだったが、最終戦の相手である日大との一本勝負をまたもや取られ、結果は5位。一本勝負を両方制していれば、3位で王座に進めただけに悔いが残る。

 最終戦を終えた男子フルーレ陣はまるで優勝を逃したかのように意気消沈。女子も経験の差を見せつけられる結果となり、それぞれの課題が多く残った。男子は来月行われる王座、そしてその先に待つ4冠へ。女子は昨季取れなかった関カレのタイトルへ。しっかり軌道修正を行いたいところだ。

(記事 川嶋悠里、写真 佐藤拓郎)

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※フルーレ:頭・両足・両腕を除いた胴体部への突きのみが得点となる。 両者がほぼ同時に突いた場合は、どちらの攻撃が有効だったかを主審が判定する。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は攻撃を防御してから攻撃しなければならない。

結果

▽男子フルーレ

早大〔鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)、北川隆之介(スポ4=埼玉栄)、谷口裕明(スポ3=香川・三本松)、仙葉恭輔(スポ2=秋田南)

1部優勝

○45-38明大

○45-25中大

○45-19日体大

○45-35法大

●37-45日大

▽女子フルーレ

早大〔真所美莉(スポ4=宮城・仙台南)、渡辺咲(文3=大分・岩田)、尾上千尋(創理2=東京・田園調布雙葉)、永瀬夏帆(スポ1=宮城学院)〕

1部5位

○31-27法大

●33-34日体大(一本勝負)

●13-26日女体大

●29-38専大

●33-34日大(一本勝負)

コメント

北川隆之介主将(スポ4=埼玉栄)

――優勝おめでとうございます。いまのお気持ちを

きょねんも優勝して、追われる立場になった状況で優勝できたことはやはり難しいことなので、すごくほっとしているという気持ちが一番にあります。

――初戦は昨年通り一番目でしたがあまり奮わず、その後は鬼澤選手が一番目を務めることが多かったですが

自分が流れを作っていき、次にその流れを繋げていくというのがきょねんのチームのスタイルで、ことしもそのスタイルでやっていこうと思いましたが、自分の調子が上がりませんでした。あと、鬼澤がすごく調子が良かったということがあり、自分が出るよりは鬼澤が出て流れを作ってきた方がいいのかなと思って、チームのスタイルというものを試合の中で少しずつ変化させていったことが優勝に繋がったんだと思います。

――ご自身の調子が上がらなかった原因は

いまユニバーシアードの代表に選ばれていて、海外の試合を回っていて試合続きなので、やはり調整不足というのもありますし、追われる立場になってそのプレッシャーが良い方向ではなくて悪い方向でプレーに影響してしまったと思います。

――では、主将としてチームをどのようにまとめていこうと考えていましたか

チームの戦力的には、きょねんも3冠しましたし、本当に強いチームだと思うので、試合には4人しか出ませんが、あとの残りの3人も含めたフルーレ陣全員で勝とうということを意識していました。練習の中でも個人戦の練習だけでなくて、団体戦の練習も多く取り入れてより試合に近いかたちで練習を進めてきました。

――団体戦の練習というのは実際に団体戦の形式で練習するということですか

そうですね。3対3になっていろいろなチームを組んでやっています。自分と鬼澤が分かれてやったりだとかフルメンバー対サブメンバーでやったりだとか、フルーレ陣も人数も多くなってきたので、そういういろいろな変化をつけて団体戦の練習ができたということは、いいかたちで練習できたと思います。

――2日目の一戦目の相手はインカレで負けた法大でした。やはり意識はされましたか

そうですね。きょねん本当に悔しい思いをしたので、法大には負けないという気持ちがありました。その中で最初は全員で集中して、本当に集中力というものがすごく出た試合だったと思います。

――最後の日大戦では途中逆転されてからずっと追う展開でした。そのときの心境はいかがでしたか

追う展開になったときにやはり自分と鬼澤で(点差を)詰めていかないところでしたが、鬼澤しか詰められずに自分が逆に離されてしまったので、そこは修正しなければいけませんし、反省しなければいけません。キャプテンとして団体戦の戦い方というのをもう一度、自分自身にもチームにも再確認して王座に臨んでいきたいと思いました。

――今大会は昨年全勝優勝だったのが、ことしは最後に負けてしまいました。そこで見つかった課題はありますか

見つかった課題は3番手の仙葉と谷口、谷口はあまり調子が良くありませんでしたが、仙葉と鬼澤は調子が良かったので、調整という意味で自分が足を引っ張ってしまうことが多くありました。王座は自分が頑張って引っ張っていきたいと思います。リーグ2連覇というのは早大史上初※だと思うので、それは胸を張っていいと思いますし、王座でも2連覇目指して頑張りたいと思います。

――来週はサーブルに出場するということで意気込みをお願いします

サーブルはフルーレと違って、優勝を狙えるかと言われたら厳しいですが、王座がことしは3チーム出られることになったので、その王座出場に向けて、サーブル陣が少ない中でいかにどう勝てるかということが自分たちの課題となると思うので、王座出場に向けて頑張りたいと思います。

※早大フェンシング部が今大会男子フルーレで連覇するのは、1955~57年の3連覇以来、実に56年ぶりの快挙。優勝自体も昨年の優勝が55年ぶり。

鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)

――優勝おめでとうございます。感想をお聞かせください

優勝は嬉しいですが、ちょっと課題が残る優勝というか、チームの盲点が見えたかなという気もしています。だから、嬉しいと悔しさと半々ですかね。

――調子の良さが伺えましたが、ご自身の調子は

調子が良いというよりも、結構取りに行かなければいけない展開が多かったので、そこでリスクを少なくいかに自分のやりやすいところで勝負できるか、ということを今日は考えていました。そこに徹したから結構点が取れたのかなという風には思っています。

――今回は最初に戦って最後も戦うという順番が多かったと思いますが、順番というのはいかがですか

本当は上と下だと下がいいですが、上になることが結構多くて…。最初は少し苦手ですが、やるしかないのでやったという感じでしたね。でも、結果一発目はだいたいダメでしたね、毎回。

――一番目は苦手な理由は

なんかやりづらいんですよね。自分でもよくわからないですが(笑)。

――最後の方が得意だというのは

わからないですが、最後は最後ですごく緊張するのですが、やるしかないというか。一発目はふわっと入ってしまうんです。集中しきれていないというか。

――追い込まれてからの方が集中できるといことですか

そんな感じですかね。

――接戦の試合が多かったですが、どのように感じていましたか

接戦でしかも追うことが多かったので、それはそれで結構きつかったです。でも、自分なりに結構勝負ができて点も取れて良かったのですが、日大は3点差で回ってきて1点取って2点差になったあと、審判に思ったような判定をしてもらえず、それでちょっと自分の集中が切れてしまっている部分がありました。優勝が決まっていたので、少し貪欲さが欠けていたというか、自分に甘さがあったなとすごく思いました。そこはどんな状況であっても100パーセントやるということが大事かなという風に感じました。そこは自分なりにこれからの練習で、そういう力を付けていこうと思っています。

――では、2日目の1試合目がインカレで負けた法大相手でしたが、意識はされましたか

いや、あまり意識はしていなかったですけど、相手も結構かたいチームなので、みんなで「プラス1で頑張って回そう」という感じで挑みました。それで、粘って粘ってどんどん差をつけることができたので、最後誰かさん(北川)がちょっと追いつかれてしまいましたが、それは別に結果的には勝ったのでそういうときもあるかなという感じです。

――第8セットで追い上げられてからの最終セットの鬼澤さんの追い上げというのもすごかったですが

もうやるしかないというか、びびったら負けかなと。あとは全部足で動かしまくって勝負してやるという風に心がけたのが相手のミスを誘ったというか、自分のペースに持ち込めたのかなとは思います。

――3番手が試合ごとに仙葉選手と谷口選手と違いましたね

そうですね。3番手をお互いの調子を見て、結果使ったり使わなかったりしていて、チームとしては(3番手が)起爆剤という感じですかね。自分ともう一人(北川)は変わらないので。流れが悪いときとか、チームの雰囲気を上げたいときとか違う刺激という意味も込めて変えるのですが、そこでポンと出されて勝てるほど、相手も4年生3年生って経験が豊富なので、そんなに甘くはないですけど。そういう後輩のミスの分も上が取ってきてあげないとなとは思ったんですけどね…。

――このあとの王座に向けて意気込みをお願いします

リーグも優勝できたので、もちろん王座も優勝できると思います。というか、します。そこは任せてください。

――では、今大会はまだ来週に試合があります。来週に向けても一言お願いします

頑張ります。僕はエペなのですが、フルーレみたいに全力で頑張れればいいと思います。

谷口裕明(スポ3=香川・三本松)

――フルーレの2日間を終えての感想は

結果としては優勝できたのでうれしいですが、やはり最後日大に敗れてしまったことで課題が残るかなと感じています。次の王座で当たれば絶対に勝ちたいですね。

――今大会は谷口選手と仙葉恭輔選手(スポ2=秋田南)が出番を分け合うような形となりました。相手に応じた作戦という意味合いもあるのでしょうか

そうですね。今回は今までより出番が少なくなったのですが、相手に応じてというのもありますし、その日の個人の調子も影響していると思います。

――日大戦で感じた課題は

自分は3番手なので、なるべく取られないように失点を抑えてという戦いが求められると思います。そこがもうちょっとできればと感じています。きょうは自分が最初に出たときに取られてしまったので、そこが抑えられればと思いました。

――このリーグ戦を通じて得た手応えはありますか

来季は4年生が抜けて新しい体制になります。仙葉はどんどんポイントを取ってくれましたし、今後へ向けても良い試合ができたのではないかと思いますね。

――王座へ向けて

チーム全体で優勝を取りに行きたいです。個人としては自分もしっかりと試合に出て、1本でも多くポイントを取っていきたいです。

仙葉恭輔(スポ2=秋田南)

――フルーレの2日間を終えての感想は

4年生、3年生の先輩方に助けられながらも、目標としていた優勝という結果が残せてひとまず安心しています。昨季も同じメンバーで優勝しているので、今季も必ずという気持ちでした。結果に関しては全然オッケーだと思います。満足していますね。

――チームとしての戦いぶりの満足度は

チームとしては今まで練習してきたことをみんなが出せたと感じています。ただ相手がいる競技なので、自分がやろうとしていたことが相手にうまくはまらないということもありました。良かった点も悪かった点も知ることができたと思います。

――仙葉選手にとっては今までで最も出場機会が多かった団体戦でしたが、手応えはつかめましたか

早稲田大学のフェンシング部は日本でもトップクラスだと思いますし、そういった中で日々練習しています。試合に出てもいつも通りやればうまくいくと思いながらやっていました。活躍したとまで言えるかは分からないですが、うまくいったと思います。先輩方からも伸び伸びやるようにと言われました。

――昨年のインカレで敗れた法大戦でも出番が訪れました

法大は同い年でも4月にあった世界選手権に出場した選手がいたりと、たくさんの有名な選手がいます。自分としては名前負けしないように、気負いせず一生懸命立ち向かっていきましたね

――敗れてしまった日大戦について

日大には松岡選手という同郷の秋田の先輩がいて、小さいときから切磋琢磨してやらせてもらっていた存在でした。2個上なので、今は4年生の方です。村上選手という方も小さいときから知っていて、すごい選手だなと思っていた人です。そういった人たちに胸を借りるような気持ちで臨みましたが、もうちょっとうまく立ち回れたらなと感じました。(次こそは)倒しますよ!

――王座へ向けての意気込みをお願いします

優勝します!男子フルーレだけではなく早稲田大学フェンシング部として力を合わせて、みんなで優勝をつかみたいです。

真所美莉(スポ4=宮城・仙台南)

――今大会を振り返ってお願いします

OBの方々を含めていろいろな人から応援されていた試合で、きょねんと戦力の違いが結構あって、自分は試合に出ていましたが、ずっと3番手だったので、いきなり(今回は)最後回りになって、いろいろな困難ではないですが、あともう一歩という感じでしたね。自分がきのうも含めて一本勝負を取れていれば、王座出場できていたので、そこの詰めがちょっと甘いかなという悔いが残るような試合でした。

――昨年チームを引っ張っていた4年生が抜けた影響は大きかった

いや、もちろん戦力というのは一年一年変わるじゃないですか。それはどこの大学も買わないと思うので、そこだけではなくて、やはり気持ちの部分だったりだとか、他大学との経験の差だったりだとか、あとは自分が最後回りだったときに取ってこれた点数が取れなかったことが一番だと思います。他の2人3人は本当に頑張ってくれたので、2番目3番目の1番をサポートするような働きをすごくしてくれたので、そこは繋げなくて申し訳ないという気持ちでいっぱいです。秋に向けて頑張りたいと思います。

――4年生として新たなチーム作りで心がけていることはありますか

いまちょうどフルーレ陣が4人いて、1年生2年生3年生4年生と全員学年が違うので、風通しが下手したら悪くなってしまうと思うんですよ。上同士がいないので、下から上に言えないという風に風通しが悪くならないように、逆に1年生の視点、2年生の視点、3年生の視点、4年生の視点というのを生かしたチームができるように、お互いが持っている情報を共有していけたらいいと思います。自分だけがぐいぐい引っ張るのではなくて、皆で一つのチームを丸く作っていくということが目標ですね。

――最後の試合は接戦でしたが、何度も追い上げていましたね

相手のここで自分が取らなければいけないとか、ここだったらポイントが動くというところがあるので、そこまで作戦通りにいっていたんですね。だから、たぶん頭は勝っていたのですが、運びが…。そこの部分はやはりフィジカルと技術とかがまだ足りていない部分が、100パーセントではなかったですね。そういうちょっとしたことの積み重ねで点差は広がっていってしまうので、秋に向けてそこを重点的にやっていきたいです。私はもう一本勝負を取るという練習…。一本勝負を取るというのは気持ちだとは思いますけどね。頑張ります。

――1日目の流れだと終わりがあまり良くなかったですが

そうですね。終わりがあまり良くなかったですね。最初の法政戦は、法政大学が優勝候補だったので、勝ったことで流れはすごく良かったんですよ。けど、その次の一本勝負が取れなかったという。ここのチームには勝ってここのチームは苦しくなるけど頑張ろうと思っていたのがうまく合わなかったんですよね。

――1日目から2日目への切り替えというのはどうされたのでしょうか

2日目の方が、きょねんのリーグの順位で組まれているので、きついはずなんですよ。去年の2位3位なので苦しい戦いになるけど、ことしは3位以上が王座に行けるので、最下位で入れ替えの可能性もあるし、王座に行ける可能性もある。はたまた極論ですが、優勝する可能性もあるから、前を向いて上を向いていこうと。入れ替えが後ろに待っているではなくて、なくて、頑張れば優勝できるということで切り替えられたと思います。

――では、まずフルーレについて秋に向けての目標をお願いします

秋への目標は、秋だとリーグ戦ではなくトーナメント戦になるので、組み合わせはきょうの順位で決まるので、そこだけに絞ってやりたいです。もちろん優勝を目指したいですし。まず、いまの5位の時点なので、5位より順位をあげるために一チーム一チーム観察と研究と、ワセダなので頭を使って(笑)。夏合宿も経て、もちろん技術的な部分の向上も。あとは気持ちを経験を積ませて…。盛りだくさんですが、課題はいっぱいあるので、時間を使って頑張りたいと思います。

――最後に来週に向けて意気込みを聞かせてください

来週は種目が変わってサーブルなので、サーブルは全然優勝を狙えるチームだと思っているので、優勝一本で、フルーレの借りを返そうかなと思っています。