勝ち星あげ1部残留を決める

フェンシング

 勝てば残留、負ければ降格。1部の座をかけ争う関東学生リーグ戦(リーグ戦)の入替戦が青学大相模原キャンパスで行われた。5月20・21日のリーグ戦で1部最下位となった男子サーブルは、2部優勝の拓大と対戦。緊張した雰囲気の中で試合開始直後は相手に先制を許すも、すぐさま逆転する。後半はリードを広げ、45-35で勝利し、無事1部残留を決めた。

 この日、男子サーブル陣は絶対に落とせない一戦に挑んだ。相手は2部で優勝し、勢いに乗る拓大。油断は禁物だ。試合は佐々木勇歩(スポ4=静岡・沼津東)の先制点から始まる。だが、緊張から「力が入り過ぎてしまった」(佐々木)というように一挙に4失点を許し、1-4とされる。1本取られたら交代というところで佐々木は3連続得点でなんとか食い下がり、4-5で次の山本隼大(スポ2=香川・三本松)へと回した。山本が対戦するのは拓大のエース、中島昴也。手強い相手に対し、取って取られてのシーソーゲームを繰り広げる。8-9で迎えた場面、「もう1本取れる」(山本)と前へ攻め込み、ポイントを奪取。同点に追いつき、そのままさらに点を追加して10-9で逆転した。

流れを引き寄せた山本

  すると、チームの流れがワセダへと傾き始める。続く甘粕貴大(社4=神奈川・サレジオ学院)も「リードを守ろう」と焦らず確実に点を稼ぎ、15-13。中盤には佐々木や甘粕の4連続ポイントもあり、拓大との点差を大きく広げていく。最終の佐々木を迎えた時点でリードは8点に。佐々木は序盤の緊張もほぐれ落ち着いた試合展開を見せ、相手からしっかりと45点目をもぎ取り、勝利を飾った。最終スコア45-35で、1部の座を守り切った。

勝利を決めた佐々木

 リーグ戦では6位となり厳しい状況を経験した男子サーブル。「リーグ戦でダメだった部分をしっかりと修正できた」(佐々木)というように、今回は粘り強く冷静な戦いぶりを見せた。試合を重ねるごとに課題を見つけ、そこからチーム力が上がってきているのは間違いない。今回の経験をバネに次のリーグ戦では1部の舞台で躍動する姿を見てみたい。

(記事、写真 松本理沙)

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。

結果

▽男子サーブル 
早大〔甘粕貴大(社4=神奈川・サレジオ学院)佐々木勇歩(スポ4=静岡・沼津東)、山本隼大(スポ2=香川・三本松)、竹下昇輝(スポ1=静岡・袋井)〕 1部残留
(○45-35 拓大)

コメント

甘粕貴大(社4=神奈川・サレジオ学院)

――1部残留が決まりました。おめでとうございます。きょうを振り返っていかがですか

きょうの入替戦に臨む前からチームで話していたのは、拓大は全然油断ならない相手だということです。少なくとも自分はなのですが、負けるのではないかという不安もあったので。それでみんな気を抜くことなく戦えて勝てたので良かったと思います。

――2部で優勝した拓大相手に意識していたことはありますか

自分はリーグ戦(関東学生リーグ戦)で自分から何かを相手にさせて点を取るという意識が足りなくて。技術的な話になってしまうのですが、立ち会いの最初に同時突きが続くと点差が開かないんですよ。それでそこから試合を展開していこうと考えているうちに相手に仕掛けられて点を取られてしまうという展開が自分のやっていた中で多かったので、今回は自分から仕掛けました。それで自分から何か仕掛けて取られたら、それはしょうがないというのがチームの方針だったので、やることを決めて思いっきりやろうという気持ちで挑みました。

――序盤は僅差で緊張した試合展開でしたね

最初、勇歩(佐々木、スポ4=静岡・沼津東)が4-1で負けていて次相手に1点入ったら終わってしまうというところだったのですが、それでも勇歩を信じていたので最終スコアが4-5になって良かったなって。それでその次の隼大(山本、スポ2=香川・三本松)が相手のエースと当たる回りでした。2年前のリーグ戦では自分と勇歩が日体大と5位と6位を争ってあわよくば負けるというところで勝たせてもらった経験があって。そのときにいた隆之介先輩(北川、平26スポ卒)と3人で話していたのは序盤集中して、流れをつくってそのリード差を守っていく展開をしていこうということでした。追う立場になると焦って自分から崩れていってしまうタイプなので、序盤しっかりやろうと思っていたところで、難しい相手だったと思うのですが隼大がリードを取ってきてくれて、流れがこっちに来たのかなと思います。だから自分はそのリードを守ろうと思って精一杯やりました。

――最後までリードし続けることができましたね

作戦通りだったという訳では無いのですが、結果としてはリードを守って自分たちから崩れるのは止めて守りきろうと思っていたので良かったと思います。

――甘粕選手自身も声掛けなどたくさんしていてチームを盛り上げていたと思いますが

そうですね。リーグ戦のときは負けが込んでいて。相手が強いからなのですが、自分たちも弱くてそれでシュンとなってしまいました。奥村(祥大、教3=京都京大付)はいつも本当によく声を出してくれて。奥村を試合に出してあげることはできなかったのですが、それで負けてこっちがシュンとなっていたら申し訳ないので、自分たちからもっと盛り上がっていこうと思っていました。色んな人がわざわざ日曜日に集まって来てくれたから勝ちたかったので。

――きょうの勝利によってらいねんも1部での戦いができますが、いかがですか

きょねん入替戦を免れて1部で戦うことができたのですが、そのとき勇歩と自分がイタリアに留学させてもらっていてチームに迷惑をかけてしまいました。そのときに残ったメンバーの隆之介先輩、安部(凌、スポ3=島根・安来)、恭輔(仙葉、スポ3=秋田南)、奥村、隼大で戦ってくれて1部に残してくれたので、それでことし落とすわけにはいかないなと思っていました。だから勝利したことは本当に良かったですし、ありがとうございましたと言いたいです。そして、これで1部に残ってらいねんにつながったし、チーム力はこのまま上がっていくと思うので、らいねんのためにこの経験を生かして精一杯練習したいと思います。

――次の関カレまで期間が開きますが、その間どのような取り組みをしていきたいですか

山口先輩(友生、平24教卒)という方がいらっしゃって、その方がとてもサーブルが強かったのですが、結構指導しにいらっしゃってくれるので。監督はいらっしゃるのですが、技術的なコーチはいないので自分たちで、一本一本練習で取り組みながら考えたり、まず何が足りないのかというのを見つけたりしています。今回の大会ではそれぞれ課題が見つかったと思うので、それを改善していきたいと思います。

佐々木勇歩(スポ4=静岡・沼津東)

――1部残留となりましたが、きょうの結果を振り返っていかがでしたか

みんなすごく動きも良くて、リーグ戦(関東学生リーグ戦)で見られていた1本が少し甘かったり、もったいない取られ方をしてしまったりというのが本当に無くてとても良かったと思います。

――リーグ戦ときょうの違いはどこにあると思いますか

1本にかける思いがリーグ戦と比べると断然大きくて。リーグ戦終わってからも、入替戦ということで色んな方々から良い意味でも色々言われました。だからリーグ戦が終わってからの練習は気を遣いましたね。自分もケガをしていてほとんどファイティングも入れてなくて。

――リーグ戦から入替戦までの間にどのような練習をしてきましたか

リーグ戦では足があまり使えていなくて。プレーが中途半端な部分がありました。そういうのを前から意識していたのですが、もっとしっかり意識してそういう迷いのないプレーができるようにやってきました。

――きょうはケガの影響はありませんでしたか

きょうも痛み止めを結構飲んでいたので、ばりばり動けたのですが、最初はがちがちになってしまいました。

――最初4-5で相手に先制されてしまった場面もありましたね

そうですね。力が入り過ぎました。

――2巡目では4連続ポイントと流れを引き寄せたと思いますがいかがですか

次はすごく落ち着いてできました。みんなが、特に俺の次の隼大(山本、スポ2=香川・三本松)が流れを作ってくれて。それでみんな乗ってきて、自分も落ち着いてやることだけを意識してできました。

――勝負を決める最後回りの場面は緊張しましたか

いや、2年生のときも最後やっていて。試合における緊張というのは最後回りだからというのはほとんどないので大丈夫でした。

――きょう1部残留を決めたことで、佐々木選手にとって最後となるらいねんのリーグ戦も1部で戦うことができますね

ことしも結構リーグ戦は上位を狙えると思っていたのですが、全敗ということで、どん底まで行ってしまいました。入替戦で良い感じに勝ってきたので、しっかりこのままらいねんはリーグ戦優勝できるようにしたいです。まだワセダは伸びしろがすごくあると思うので。

――きょうの試合で得たことはありましたか

リーグ戦でダメだった部分をしっかりと修正できたというのはとても大きかったです。課題としてはフレーズ取ったあとのプレパラッションで相手が出てくるのに対してあんまりつけてないというところです。あと、最初の入りの固まってしまうところとか、そういうところですね。

――秋には関東学生選手権(関カレ)や全日本学生選手権(インカレ)がありますが、そこに向けての目標はありますか

関カレもインカレも優勝狙って取り組んで行きたいと思います。

山本隼大(スポ2=香川・三本松)

――お疲れ様でした。きょうの試合を振り返っていかがですか

自分の今回の課題が我慢して立ち合いプレ、アレ(合図)を逃げない、後ろに下がらない、前に前に行くというのが目標だったのでそれを実行することができました。そしてこの結果を得られたのでそれは本当にプラスかなと思っています。

――関東学生リーグ戦(リーグ戦)と入替戦での違いはありましたか

リーグのときは入替戦という、まだ後があるということで気持ちの緩みもあったのかなと思います。あと点の取り方とかも我慢をせずに自分のやりたいことをやってしまって、やらなければいけないことができていなかったので、そこが本当に大きく違うと思います。

――今回対戦した拓大はどのような印象でしたか

最後回りの中島昴也先輩(拓大)がはまれば本当に強くて、結構巻き返されてしまうことも多々あったと思います。ですが、そこさえ押さえてしまえば勝てるという自信がみんなあったと思うので。そこできちんと押さえられたなというのが印象ですかね。

――先ほど甘粕貴大選手(社4=サレジオ学院)も相手のエースと最初に戦った山本選手がそこで逆転してくれて流れに乗ったとおっしゃっていました

そこのところは5点5点の五分五分で良いと思っていたのですが、5点5点になったときにもう1点取れると思ってきちんと1点取れたのが本当に大きかったと思います。

――その相手の選手と当たる上で意識していたことはありましたか

我慢、我慢、そして前へ前へとしか考えてなかったです。前へ前へとやっていけば下がったときでもきちんと足が動くので。

――後半はリードを広げ、試合を終えることができましたね

向こうに最初点を取られても次1点取ろうとか、先の先まで考えずにいまの1本をきちんと取っていけるようにと徹底していたのでそれが大きいと思いますね。競って2点差をずっとキープできて最後に開けたというのはその結果だと思います。

――今後の目標をお聞かせ下さい

竹下(昇輝、スポ1=静岡・袋井)と一緒で僕もジュニアがまだあります。きょう本当はジュニアの選考会なのですが、これがあるから出られなくて。まだシニアでポイントを取って、さらに全日本選手権の個人戦に出られたらきちんとそこでもポイントを取って、できれば世界ジュニア選手権に出たいです。あと、次は関カレ(関東学生選手権)なのでそれでどこまで上に食い込めるか。個人でベスト4、団体でベスト8以上を目標にやっていきたいです。

竹下昇輝(スポ1=静岡・袋井)

――きょうは出場機会が無かったのですが、今試合をベンチで見ていていかがでしたか

やっぱり先輩方は強いなと思いました。やってくれるなと思いました(笑)。

――関東学生リーグ戦(リーグ戦)の方では試合に出場して、チームを勢いづけていたと思いますが

そういう役割だったのですが、個人的には1年生らしくないプレーをしてしまったかなという感じでした。

――1年生らしくないプレーとはどのようなプレーですか

思い切りの良さが出るのが1年生の良いところなのですが、変に緊張してしまって、あまり爆発できなかったかなというのはあります。

――これから試合に出ることも増えていくと思いますが、今後どのような取り組みをしていきたいですか

先輩方がみんならいねんも残るので先輩の持っているものをしっかり吸収してスタメンの座を勝ち取れるように頑張ります。

――今回で学んだことはありましたか

今回学んだことは、団体戦での我慢の大事さです。点差が開くとどうしても落ちてしまったりするので。負けていても点差を少しずつ縮めていくことだとか、1本ずつ取って我慢することだとか。きょうの試合もそうだったのですが、我慢していれば取ってくる人が取るべきところで逆転してくれると思います。そうすればうちに流れが来るのでそういった戦い方をするのはやはり大事だなと思いました。

――秋には団体戦だけでなく個人戦も控えています。それに向けての意気込みは

自分はジュニアの世代がことしで最後なのですが、実はきょうジュニアのランク戦がありまして。それに出られなかったのでちょっとジュニアの方は厳しくなってきているのですが、その分関カレ(関東学生選手権)などの個人戦で結果を残してインカレ(全日本学生選手権)に出たいと思います。