上位進出果たせず、無念の結果に

フェンシング

 JOCジュニア・オリンピック・カップ(JOC)2日目は、男子エペ、男子サーブル、女子フルーレが行われた。攻めの姿勢で勝負を進めるが、わずかに及ばない試合が続く。最高位がベスト16という結果に、選手たちは悔しさをにじませた。

 あと一歩だった。男子エペに出場した津江碧(スポ2=山口・岩国工)は、速い試合展開で初戦を制すと、3回戦でもペースを崩さず白星を挙げる。ベスト8進出を懸けた4回戦。相手にを許し、4-5で第1セットを終える。2セット目で津江が同点に追いつくと、そこからは互いに譲らず、9-9でマッチポイントを迎えた。開始とともに二人は同時に突くが、点灯したのは相手側のランプ。津江は、ジュニアとして戦う最後の大会をベスト16で終えた。優勝も見据えていただけに、4回戦敗退はまさかの結果だった。

 男子サーブルは、山本隼大(スポ1=香川・三本松)が健闘した。2回戦を勝ち上がると、3回戦は海外からの派遣選手であるディック・ジャドリン(オーストラリア)との戦い。2-9という窮地に立たされるが、後半粘りを見せ8-9まで持ち込む大接戦に。ラスト一本を取られ敗れたものの、外国人選手を相手に善戦した。それでも山本は、「結果には全く満足していない」と、さらなる飛躍を誓う。同じく男子サーブルに出場した安部凌(スポ2=島根・安来)は、順調に初戦を突破。続く試合では、前半主導権を握られるも、後半に大胆な切り込みでリードを奪う。だが、最後に相手の追い上げにあい、8-10で黒星を喫した。

相手の様子を見て攻め込む山本

 女子フルーレには、永瀬夏帆(スポ1=宮城学院)が出場。1回戦は熱戦だった。立ち上がりから激しい攻防が続くが、相手の動きを読み冷静に試合を運ぶ。しかし、第2セットで追い上げられると7-7でフルセットまでもつれ込む。一本勝負の重要な局面。永瀬は見事に点を勝ち取り、2回戦に駒を進めた。好調だった永瀬だが、2回戦では思うような試合ができない。流れをつかめないまま3-7で敗北し、目標であるジュニアの頂点を逃した。

緊張しつつも自分のプレーを見せた永瀬

 本来の実力を出しきることができず、惜しい結果に終わった今大会。今季の主要な試合を終え、気持ちは来季へと向かっている。勝利のためには、各々が課題と向き合い、克服することが不可欠だ。結実の春を迎えるために――。選手たちの鍛錬の日々が始まる。

(記事 副島美沙子、写真 松本理沙)

結果

▽男子エペ
津江碧(スポ2=山口・岩国工) ベスト16
2回戦:○10-4岸薫(埼玉・立教新座)
3回戦:○10-6瀧宮大介(新潟)
4回戦:●9-10中村豪(神奈川・法政二高)

小野弘貴(社2=東京・早稲田) 1回戦敗退

1回戦:●9-10小田康平(千葉・検見川)

▽男子サーブル

安部凌(スポ2=島根・安来) 3回戦敗退
2回戦:○10-3岩澤弘樹(同大)
3回戦:●8-10笹井大河(愛工大)

山本隼大(スポ1=香川・三本松) 3回戦敗退

2回戦:○10-4佐藤達也(群馬・沼田)
3回戦:●8-10DICK JADRYN(オーストラリア)

奥村祥大(教2=京都京大付) 2回戦敗退

1回戦:○10-2山北格也(岐阜・羽島北)
2回戦:●6-10山口開生(群馬・沼田)

▽女子フルーレ

永瀬夏帆(スポ1=宮城学院) ベスト16
1回戦:○8-7岡部麻衣(一本勝負)(聖霊女短大付)
2回戦:●3-7向井愛美(富山西)

コメント

津江碧(スポ2=山口・岩国工)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

今回の試合がジュニアの試合で最後の国内大会で、いまランキング的にも8位以内に入っていたのですが、結構最後になるにつれて、だんだん悪くなってきていて。今回の大会は、ここで勝たなければランキングも上げることができないというのがあったので、いつもと違った感じで、結構緊張しました。

――今回の大会の目標は

今回の大会で優勝しない限り、世界ジュニアに行くことは厳しいということは自分でもわかっていたので、優勝しかないという気持ちでやろうとは思っていたのですが、まさかあそこで負けてしまうとは思っていなかったです。

――最後の試合での一本勝負には、どのような気持ちで臨まれましたか

8-8になったときに、自分がシングルで点を取ったと思ったんです。これで、よし、9-8だと思って見たら、両方のランプが点いていて、両方に点が入っていて。うわ、と思いました。でもそこで負けではなくて、次一本取ればいいと思ったので、そんなに迷わずにいこうと思ったのですが、最後は運がなかったというか、かすった感じで(点を取られてしまった)。最後も、もう自分が勝ったと思ってランプの方を見たら、相手のランプが光っていて。自分でも、あれ、と思いました。

――今後どのような練習を積んでいく予定ですか

個人的には、練習の何かが悪かったということはないと思っています。試合のつくり方とか、そういう練習に取り組んでいけたら、試合にも活かせるのではないかと思います。

――来季の目標を教えてください

今季でジュニアの大会がすべて終わって、これからはシニア、あとは学生大会が残っているのですが、今季は4月からそんなに調子が良くなかったので、来年は優勝みたいな大きな目標ではなく、その前のひとつひとつの試合を勝つことを大事にしていきたいです。一試合一試合を勝たないことには、優勝にはつながらないということをこの一年で覚えたので。

――来季に向けて、意気込みをお願いします

来季からは勝っていけるように、ことしよりは良い成績を残せるように頑張りたいと思います。

山本隼大(スポ1=香川・三本松)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

調子は悪くなかったのですが、最後の試合は、序盤に相手の様子を見過ぎて、置きにいっていた感じがありました。5点で折り返してからの後半は、相手の距離もつかんだので盛り返したのですが、やられてしまったので。正直悔しいけど、結構満足はしています。

――結果についてはいかがですか

結果については全く満足していないです。

――目標は何だったのでしょうか

目標はベスト4入ることでしたね。

――外国人選手と戦ってみて、手応えはありましたか

手応えはありましたけど、それでも海外に行って勝ったことはないんですよね。5本の試合は勝ったことがあるのですが、10本や15本では無いんです。日本で初めて勝てるかなと思った試合で落としたので、それは悔しいです。

――最後に、今後の目標は

単純なことですけど、思いっきりいくこと。それが自分にとって必要だと思いました。これからの目標としては3月とかイタリアに行っている先輩が帰ってくるので、その先輩に教わりたいです。来年のリーグは1部に残ることではなくて、上を狙っていきたいです。

永瀬夏帆(スポ1=宮城学院)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

ジュニアのカテゴリーが最後だったので予選からがちがちでした。予選はそんなに競る選手がいなかったので大丈夫だったのですが、トーナメントに入っても結構力が抜けなくて。もうちょっとできたかなと思います。

――今回のベスト16という結果についてはいかがですか

満足はしていないですね。

――今大会の目標は

この大会は世界ジュニアの選考を兼ねていて、今までの私のランキングの順位が全然良くなかったので、ジュニア最後の代表を狙うには多分優勝しかなかったんですよ。優勝を狙っていたのですが、それにも届かなかったので、悔しいですね。

――トーナメントの最初の方は順調に勝ち進んでいたと思いますが

他の山と比べたら、まあまあ良い山だったので、いけるかなと思ったのですが…。最後に当たった選手は、今季ずっと当たっていて、ずっと負けていたので、本当は勝ちたかったです。今季3回くらい当たっているんですよ。3回目ということで、三度目の正直で勝ちたかったのですが、やられました。

――初戦、8-8の同点から一本勝負を行った場面はどのような気持ちで挑みましたか

とりあえず、ずっと負けていた選手とやるには、あの試合を取るしかなくて。しかも相手は高校生だったので、絶対に負けるわけにはいかないと思って、もうやることは決めていきましたね。

――試合のために先輩たちからはどのようなアドバイスがありましたか

全体的には、今までやってきたことに自信を持ってやれということでした。最後の試合の相手は結構強い選手なので、ずっと詰めるなとか、フェイントを出しとけとか、具体的なアドバイスをもらっていました。

――今後の目標をお聞かせください

近いうちに大きな大会が無いので、とりあえず5月のリーグの団体戦に向けて頑張りたいです。あと、試合後にOGの先輩とも話したのですが、このカテゴリーで世界目指すのはここで最後だったかもしれないけれど、大学でアンダー(アンダー23)とかユニバ(ユニバーシアード)とかがまだあるので、リーグの先も世界を見据えていければなと思います。