全日本選手権(全日本)、ワセダからは2日目に男子フルーレと女子サーブル、3日目には女子エペが出場した。男子フルーレは準決勝でロンドン五輪代表が二人所属するNEXUSに敗れるが、3位決定戦で全日本学生選手権(インカレ)の決勝でも当たった法大に快勝。最後を笑顔で締めくくる。一方女子は、サーブルが初戦敗退。エペは準々決勝で中京大に敗れ、ベスト8に終わった。
男子フルーレは初戦を45-17で突破。2回戦は北川隆之介(スポ4=埼玉栄)の母校・埼玉栄高と戦う。普段、鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)が務める最後回りを北川に任せるという場面もあり、45-20で先輩としての意地を見せた。準々決勝の中大戦では、1回り目で北川が1点も取れないなど苦戦。3セット目を終えた時点でスコアを6-15としたが、谷口裕明(スポ3=香川・三本松)がプレーでメンバーを鼓舞。連続ポイントで点差を4まで詰める活躍を見せ、形勢を立て直したワセダは45-36で準決勝に駒を進めた。
オリンピック団体メンバーの淡路卓と千田健太を擁するNEXUSとの一戦。主導権を握ったのはやはりNEXUSだ。ワセダは点差を広げまいと粘るが、最後は36-45で敗退。このチームで挑むラストゲームとなった3位決勝戦はインカレと同じカードに。インカレ王者としてここは負けられない。良いスタートを切ったワセダが終始主導権を握り、最終セットを40-24で迎える。差はあったものの、44点目を取ってから最後の1点がなかなか決まらない。「緊張していた」という鬼澤は、制限時間が残り4秒になったところで45点目を獲得。しっかり勝利で、最後を飾った。
最後の1点を決め、笑顔を見せる鬼澤
女子は2日目、サーブルは2回戦から登場。日女体大と当たった。関東学生選手権(関カレ)では快勝した相手なだけに順調にリードを守っているように見えたが、第5セットで逆転を許してしまう。そこからは日女体大のペースになり、38-45とまさかの敗退となった。3日目のエペは初戦、JFE選抜相手に接戦となる。しかし、インカレで大きな成長を見せた山根司(スポ2=香川・三本松)が5連続ポイントで流れを変え、33-20で勝利を収めた。続く中京大戦では、1、2セットでリードを奪うが、3セット目で追いつかれると、そこからは苦しい展開に。32-45で準決勝への道は絶たれた。
最後まで果敢に攻めた山根
今回の全日本では男女共にフルーレ陣は好成績を残したものの、他の種目は奮わず「不完全燃焼」(弘瀬智子、スポ5=高知・追手前)で終わった。これで4、5年生は一区切りとなり、今後は3年生以下の新しいチームで戦っていく。この全日本という大舞台での経験を生かし、来季も『ワセダらしい』戦いを見せてほしい。
(記事、写真 川嶋悠里)
※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。
※フルーレ:頭・両足・両腕を除いた胴体部への突きのみが得点となる。 両者がほぼ同時に突いた場合は、どちらの攻撃が有効だったかを主審が判定する。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は攻撃を防御してから攻撃しなければならない。
※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。
※サーブル:両腕も含む上半身への突きと切り(剣先ではなく剣の胴部分で相手の体に触れること)が得点となる。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は相手の攻撃を防御してから攻撃しなければならない。この攻撃権の奪い合いにより、両選手はピスト上を常に前後に往復し合うため、サーブルは3種目の中で最も全身運動が激しい種目だと言える。
結果
2日目
▽男子フルーレ
早大〔鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)、北川隆之介(スポ4=埼玉栄)、谷口裕明(スポ3=香川・三本松)、仙葉恭輔(スポ2=秋田南)〕 3位
1回戦:○45-17長崎クラブ
2回戦:○45-20埼玉栄
準々決勝:○45-36中大
準決勝:●36-45NEXUS
3位決定戦:○45-29法大
▽女子サーブル
早大〔弘瀬智子(スポ5=高知・追手前)、真所美莉選手(スポ4=宮城・仙台南)、舟山佳穂(教3=山形・米沢興譲館)、安冨結(スポ3=香川・三本松)〕 2回戦敗退
2回戦:●38-45日女体大
3日目
▽女子エペ
早大〔渡辺咲(文3=大分・岩田)、山根司(スポ2=香川・三本松)、伊藤由佳(スポ1=栃木・宇都宮中央女)、山村彩和子(教1=岡山・玉野光南)〕 ベスト8
2回戦:○33-20FJE選抜
準々決勝:●32-45中京大
関連記事
コメント
北川隆之介主将(スポ4=埼玉栄)
――3位という結果でしたが、どのように受け止めていますか
楽しく試合ができたし、このチームで臨む最後の試合だったので、3位という結果に満足はしてないですが、楽しく試合ができて良かったです。
――きょうはどのような意気込みで臨んだのでしょうか
きょねんは2位だったので、警視庁にリベンジしたいなという気持ちと、順当に行けば、準決勝で強い、オリンピック選手が2人もいるNEXUSと当たる組み合わせだったので、そこに合わせて、勝とうという気持ちで挑みました。
――では、そのNEXUS戦の感想をお願いします
オリンピック選手が2人いる中でも、自分たちにも勝機はあると思っていたので、自分が結構足を引っ張ってしまったのもありますし、もう少し技術が上がれば勝てない相手ではなかったので、悔しい気持ちはあります。
――中大戦でも序盤苦しい展開でしたが
中大はここ最近、自分が入学してから4年間、たぶん負けたことがない相手だったので、気持ちが次のNEXUSに向いている状態で臨んでしまった部分がありました。そこは3年生の谷口(裕明、スポ3=香川・三本松)に「先輩たち頑張ってください」とプレーで見せられたので、自分と(鬼澤)大真(社4=茨城・常磐大高)でこれはやばいなと思って、気を引き締め直しました。
――最後の3位決定戦はインカレ決勝と同じ法大が相手となりました
法政大学は4年間ずっとライバルとしてやってきた相手だったので、本当に最後にふさわしい相手でしたし、最後にふさわしい、自分たちらしい、ワセダらしいフェンシングで団体ができたかなと思います。
――では、2年間同じチームでやってきました。振り返っていかがでしたか
最初は自分と大真の2枚看板のチームだと周りから思われていたし、自分たちもそう思っていたのですが、3番手をどう育てるのかというのがすごく自分たちの中であって。谷口が順調に育ってくれて、団体の3番手の役割をすごく理解してくれたし、仙葉もベンチを盛り上げてくれるムードメーカーだし、出れば思いっきりやってくれるし、団体として、このチームが完成できたかなと思います。
――それでは、団体を共に引っ張ってきた鬼澤選手、そして女子では真所美莉選手(スポ4=宮城・仙台南)と2人の同期がいましたが、どんな同期でしたか
3人と少ない同期でしたが、いろいろケンカもしたし…。自分がキャプテンでやっていて、いろいろな意見とか、いろいろなことがあったのですが、自分がこういう性格なので、いろいろ苦労させたかなと思います(笑)。
――こういう性格というのは
適当というか、あまり何も考えていない…。何も考えていないわけではないのですが、どうにかなるだろうという感じでいってしまうので、それで結構「お前それはないだろう」と言われたりもしましたけど、比較的大真も結構その場のノリでいけるだろうという感じなので良かったです。(真所)美莉も悪いところは悪いとしっかり言ってくれるし、最高の同期だったと思います。ありがとうございました!
――では、ワセダで過ごした4年間はどんな4年間でしたか
自分は早稲田大学に入りたくて、ワセダでフェンシングをしている先輩たちに憧れて、高校時代自分と照らし合わせて、自分が大学にいったらこういう人たちになりたいなと思って入学しました。本当にフェンシング以外でも成長できる場だったし、どの大学よりも自分に合った大学だったと思っています。
――最後に後輩たちへ一言お願いします
来年は、自分たちはインカレを取ってリーグ戦も取って、プレッシャーがかかることになると思うのですが、みんな男子フルーレ以外にも強い選手がそろっているので、ワセダらしさというのを忘れないで全力でフェンシングに取り組んでもらいたいです。この結果でやっていれば絶対結果は残せると思うので、頑張ってほしいと思います。
鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)
――きょうを振り返っていかがですか
悔いはないです。やり切ったかなという感じですかね。
――大学生活、最後の大会でしたが、どのような意気込みでしたか
きょねん2位だったので、2位以上くらいの勢いでいこうと思っていたのですが、決勝に行く前に負けてしまいました。力の差もあって…。「悔いはない」は嘘ですね。やはり負けると悔しいので。でも、やるだけはみんなでやれたかなと思います。それで3位になれたので、良かった、という感じですかね。
――NEXUS戦、最終セットは追い上げていましたが
まぁ、厳しいですよね。でも、どんなに離されても負けるとは思っていないので、常に1本でも多くとろうとやっているのですが、現実はそう甘くはないですね。
――最後の法大戦はいかがでしたか
最後回りはだいぶ差もあったので、それはそれで楽だといえば楽だったのですが、やはりそれなりに緊張もして、でも最後だと思って44点取ってからは思い切りいってみました。
――では、このチームでやってきた2年間を振り返っていかがでしたか
みんなで周りをカバーし合って、結構良いチームだったと思いますし、僕はこのチームで大学生活を終われたことを一番誇りに思います。どこのチームに負けない強さと魅力があったと思います。
――北川選手とはずっと一緒にやってきました
お互いにふざけて、お互いに怒られて、お互いに勝ったり負けたりして、一緒にいた時間もすごく長くて…。ただただ楽しかったです。
――エペも同じチームで2年間やってきました。どんなチームでしたか
エペもあのチームだったら優勝できるかなと思っていたのですが、結局ずっと2位のまま終わってしまって、インカレも3位で、それは心残りですけど、エペのチームも自分はすごく大好きなチームで、あのチームでやれたからこそすごく楽しかったです。一番にはなれなかったですが、すごく良い思い出がたくさんできたかなと思います。
――では、両種目の後輩たちに向けて一言お願いします
頑張れとしかないですかね…。いままでは自分と隆(北川隆之介)がいたのですが、今度は一個下が一番上になって周りを支えなければいけないので、自分のことだけではなくてそういうことも考えつつ頑張ってくれれば、結果はついてくるのではないかなと思います!
谷口裕明(スポ3=香川・三本松)
――きょうの感想をお願いします
試合自体はそんなに悪くなかったかなと思っています。でも、まだまだ課題というか、強い先輩たちが抜けた後、僕が引っ張っていかなければいけない、もっともっと強くならなければいけないなと感じました。
――具体的にはどのような課題ですか
具体的に言うと、いつも先輩たちが点を取ってきて僕が守ってつなげるというパターンだったのですが、これからは僕も攻めて点数を取っていかなければいけないので、もっと攻めというか攻撃を強化していかないといけないと思いました。
――今回、中大戦では谷口選手が流れを変える場面もありましたが
とりあえず、全部の試合でプラス1でもいいからということを考えていて、最初の1点を取ったときにもう少し取れるかもしれないと感覚的に思って、柄にもなく攻めたりしてみました(笑)。この相手が得意だからというのではなくて、本当に感覚でここはいけそうだなと思いました。
――3位決定戦はこのチームで挑む最後の試合でしたが、どのような気持ちで臨みましたか
先輩たちとの試合がこれで最後だと思うと、ワセダらしく最後は楽しくやって終わろうかなという気持ちで臨みました。
――2年間このチームで過ごしていかがでしたか
僕は弱くて、先輩たちの足を引っ張ってしまっていて、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだったので、安心して最後に送り出してあげられれば良かったのですが、やはりまだまだですね(笑)。
――では、このチームで学んだ、来年に生かしたいことなどはありますか
このチームはみんながみんな同じくらい強さで、一人がダメでも他の人がカバーできるというのがすごく良いところだと思うので、来年は僕や仙葉(恭輔、スポ2=秋田南)が上級生として引っ張っていくと思いますが、そういうところを引き継いで、もっともっと自分たちらしくできればなと思います。
仙葉恭輔(スポ2=秋田南)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
楽しかったです。
――きょうは出るセットすべてで良い試合をしていたと思いますが
そうですね。先輩の期待に応えられたかなと思います。
――このチームでやってきた2年間の感想を聞かせてください
先輩たちがとても強かったので、特に4年生の先輩たちに引っ張っていってもらって、後ろをついていって気がついたら勝っているということが多かったですが、すごく楽しかったです。
弘瀬智子(スポ5=高知・追手前)
――初戦敗退でした。振り返っていかがですか
ふがいないな、の一言ですね。
――最後の大会でしたが、どのような気持ちで臨みましたか
あまり勝ちにこだわらず楽しんでやろうかなと思っていたのですが、やはり緊張していたのかな…。全体的に全然動けなかったので。私自身も全然動けなかったですし。不完全燃焼ですね。
――この1年間を振り返ってどんなチームでしたか
本当にすごく良いチームだったと思います。後輩もついてきてくれて、ワセダで良かったなと思えるようなチームでした。
――では、ワセダで過ごした4年間を振り返っていかがでしょうか
下級生のときはいろいろ先輩にも迷惑をかけて、そんなに良い結果も残せなかったのですが、いままでがあったからこそ、最後の年にリーグ戦やインカレでそこそこ良い結果が残せたので、本当にワセダに入って、このメンバーでやれて良かったです。本当に良かったです。
――後輩である真所選手も最後の年でした。先輩後輩ながらお互いに最後の年というのはどのようなものだったのでしょうか
一緒に戦える仲間がいるというだけで気持ちも楽ですし、こいつも最後だし一緒に勝ちたいなという気持ちもあったので、最後にもう1回やりたかったです。
――では、今後は3年生3人のチームになります。後輩たちへ向けて一言お願いします
3人とも力は結構あるので、優勝を狙えるメンバーだと思います。もっと自分に自信を持って頑張ってほしいですね。
舟山佳穂(教3=山形・米沢興譲館)
――きょうの試合の感想をお願いします
不完全燃焼というか、後悔が残る試合でした。
――具体的にどのような点で後悔が残ったのでしょうか
最初に自分が当たるのが北嶋さん(里穂、日女体大)という人だったのですが、前回の関カレのときに個人スコアで負けたので、最初のセットが勝負だと思っていました。きょうは、そこは結構良かったんですよ。そのあとの荒井さん(夏実、日女体大)とは前回戦ったときに、自分はコントルアタックという自分の攻撃権ではないときに攻撃を決めて点を取る技で点を取っていて、今回もそういうイメージでやったら、相手がちゃんと攻撃パターンを変えてきていて、それに自分が全然対応できなくて、そこからそのあとの試合も引きずってしまいました。自分の後半2試合がテンパってしまってうまくできなかったなと思います。
――先輩たちとの最後の試合でしたが、どのような気持ちで臨みましたか
1つでも多く試合をしたいなという気持ちで臨みました。
――今季、1年間を振り返っていかがでしたか
スタートがリーグ戦優勝で始まってすごく良いスタートが切れたのですが、最後がさっきも言いましたが、不完全燃焼というか、納得のいく結果で終わることができなかったので、成長できた部分もあるし、もっと頑張らなければいけないなという部分もある1年間だったと思います。
――ではこの1年の経験で、来季に生かしたいことはありますか
ことし1年間は先輩たちがいて、自分は3番手として伸び伸びとやるポジションだったのですが、来年からは自分たちの代で団体を組むので、伸び伸びしつつも、ちゃんと締めるところは締められるようにやれたらいいと思います。