女子フルーレ、1年の集大成見せ準優勝

フェンシング

 今季最後の団体戦となる全日本選手権(全日本)が開幕した。初日は女子フルーレが準々決勝で社会人相手に快勝。決勝こそ敗北したものの、準優勝という大躍進を見せた。一方の男子エペは準々決勝で敗戦。男女で明暗が分かれる結果となった。

 先週の全日本学生選手権(インカレ)ではフルーレの個人戦で優勝した真所美莉(スポ4=宮城・仙台南)。しかし女子フルーレ団体はインカレでも2回戦で敗退するなど、この1年間は納得のいく結果を残せていなかった。メンバー全員の学年が違うことから生まれる連携不足。だからこそ、準優勝という成績は真所にチームの成長を確信させた。

最後に団体でも有終の美を飾った真所

 その成長がもっとも表れたのが準決勝の和歌山クラブ戦だ。4点リードで迎えた第3セットで永瀬夏帆(スポ1=宮城学院)が連続で失点。続く尾上千尋(創理2=東京・田園調布雙葉)も得点を許し、15-15の同点に追いつかれる。ここで永瀬が先ほどのミスを取り返す活躍を見せると、その後も着実に得点し点差を広げた。終盤は相手の猛追を受けるも、永瀬、尾上が粘り34-33で最後回りの真所へ。「その時を楽しもう」(真所)。5連続ポイントで一気に勝負を決めると、相手の攻撃に対しても最後まで冷静な対応を見せた。終わってみれば45-35で試合終了。チーム全員で手にした勝利であった。

今季最後の団体戦も笑顔で終わることができなかった津江

 男子エペの初戦は中盤に逆転される苦しい展開に。このピンチに対し焦らず追加点を重ねていったワセダ。30-26で最終セットを迎えると、津江碧(スポ2=山口・岩国工)がこのリードを守りきり準々決勝へと駒を進めた。その準々決勝の自体校戦は終始リードを許してしまう。点数を取っても相手に取り返され、差はどんどん広がるばかり。「自分のプレーをするしかない」と最後回りの津江は確実に一本を狙いにいくも、結局30-45で完敗。男子エペは今大会をベスト8で終えた。

 準優勝は女子フルーレにとって好成績と言えるであろう。しかし決勝では社会人相手に22-45と実力の差を見せつけられた。「経験は積めた」(真所)。あとは強敵とも戦える実力をつけるのみ。男女共にこの大舞台での経験が、さらなる成長へのカギとなる。

(記事 廣瀬元宣、写真 川嶋悠里)

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※フルーレ:頭・両足・両腕を除いた胴体部への突きのみが得点となる。 両者がほぼ同時に突いた場合は、どちらの攻撃が有効だったかを主審が判定する。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は攻撃を防御してから攻撃しなければならない。

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

結果

▽女子フルーレ

早大〔真所美莉(スポ4=宮城・仙台南)、渡辺咲(文3=大分・岩田)、尾上千尋(創理2=東京・田園調布雙葉)、永瀬夏帆(スポ1=宮城学院)〕 準優勝

2回戦:○45-27山口クラブ

準々決勝:○45-42専大

準決勝:○45-35和歌山クラブ

決勝:●22-45NEXUS

▽男子エペ

早大〔鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)、西森健太(教3=香川・三本松)、小野弘貴(社2=東京・早稲田)、津江碧(スポ2=山口・岩国工)〕 ベスト8

2回戦:○39-33日体大

準々決勝:●30-45自衛隊体育学校

コメント

真所美莉(スポ4=宮城・仙台南)

――フルーレを終えていまのお気持ちは

正直ここ(決勝)までくるとは誰も予想していなかったので、インカレ(全日本学生選手権)にピークを持ってくるどころか全日本にピークを持ってきた自分たちってすごいのではないかと自画自賛してしまうくらいです(笑)。

――では準優勝という結果には満足されているということですね

はい!最後は勝てなくなかった、とは言えないですね。正直ボコボコにやられたので。あのレベルにまで到達するためには、もうあちらの努力の方が上でしたし、自分たちは元気でなんとかここまできたので。でも、正直結果はうれしいです。フルーレはずっとふがいなかったので。

――ふがいなかったと言われましたが、この一年間苦しかったからこそうれしいということですか

負けてきたからうれしかったというよりも、奇跡に近いんですよ。こう言うと本当に自画自賛になってしまうのですが、みんながこれまでいろんなこと考えてやってきた結果だと思うんです。100、いや300%くらいみんな頑張ってくれたと思うので、自分が抜けてからも、来年につなげられればと思いますね。

――専大戦は最後回りで連続失点を許したのですが、和歌山クラブ戦は見事に勝負を決めました。何か違いはあったのでしょうか

もともと専大は最後から2番目回りの選手がいままで最後回りだったんですよ。その子だったら割りと自分が得意としている選手だったのですが、きょうの最後回りの相手が不得意な選手で。でも他の2人が大分点差をつけてきてくれたので、自分は結果勝てばいいから、45点取らなくても勝てればいいからという気持ちでやっていたので、焦ってなかったです。点差近づいてきて、みんながビクビクしているのは肌で感じました(笑)。

――きょねんよりも落ち着いていると自分で思いますか

それは大分、悟り開いたのかなというくらい(笑)。昔に比べると全然焦らなくなりました。関カレ(関東学生選手権)くらいから緊張しても損するだけという考えに行きついたので。この4年間で、自分の場合は緊張が逆にマイナスに働いてしまうな、と。結果勝てばいいんだからその時を楽しもう、楽しんだ方がいいと、いままでの経験から思うようになりました。だから関カレ、インカレとかから楽しんでやれたらなと思っていましたね。

――これでフルーレは終わりですが、振り返っていかがですか

みんな学年がバラバラだったので、意思疎通とかがうまくいかなかったことがあるのですが、全日本はみんなすごく自分の役目を分かっていて、成長したなと思いました。個人戦では自分一人爆走していたのですが、きょういっぱい試合ができたので経験は積めたと思います。いままでは経験不足で負けたと思っていたので、いろんな経験をして自分の良いところ、悪いところやどうしたら勝てるのかということをきっと学んでくれたと思うので、絶対来年につながると思います。

尾上千尋(創理2=東京・田園調布雙葉)

――準優勝でした。いまのお気持ちを聞かせてください

全然実感がわかないというか、いまでも信じられていないといった感じです。

――今季最高順位でした。いままでの大会との違いは何だったのでしょうか

いままでまったく結果を残せていなかったのですが、いままではそれぞれまだ思い切ってできていなかったなと。今回はそれぞれが自分のプレーをできていたし、自分の役目をわかっていたと思います。リーグ戦、関カレ、インカレで得たことを生かせていたのではないかと思っています。

――尾上選手ご自身は、どのようなことが生かせたと思いますか

自分は結構リーグ戦のときなどは手堅く、自分の役割などを意識してできていたのですが、関カレ、インカレと自分らしいフェンシングができなくて、すごくビビったりしてしまうということが多かったんですね。でも、きょうはのびのびとできたのではないかと思います。

――真所選手と一緒に戦う最後の団体戦でした。どのような気持ちで臨みましたか

インカレが自分にとっては散々で、まだ全日本という機会が最後にあったので、(真所)美莉先輩とできるのも最後だし、自分のできることを思いっきりやろうと思って結果がこれだったので、嬉しいです。

――来季はどのように戦っていきたいですか

来年は美莉先輩が抜けてしまって、絶対的なエースがいなくなり、正直厳しいかなというのもありますが、残った3人で自分たちなりに頑張っていけたらいいかなと思います。

永瀬夏帆(スポ1=宮城学院)

――きょうの感想をお願いします

楽しかったです。

――準優勝という結果については

ここまで来れるとは思っていなかったので…。でも、美莉先輩が最後の試合だったので、思いっきりやろうと思っていました。

――準決勝では、「怖い」と話す場面も見られましたが

いままで大学の試合でやっていたのですが、青年の人はやり方が学生と全然違ったので、そこが怖かったです(笑)。

――最後の決勝戦はどのような気持ちで臨みましたか

最後は格上のチームだったので、できることはしようと思っていたのですが、それをさせてくれませんでした。目標1点ずつみたいな感じでやっていました(笑)。試合で1点2点くらいは取れたので、それを来年のリーグ戦とかにつなげていければいいなと思っていました。

――真所選手との最後の団体戦でした。どのような気持ちでしたか

終わった瞬間泣きました。美莉先輩にいっぱい教えてもらって、いままでずっと試合をやってきたので。それをインカレなどの大学の試合で結果が出せなかったので悔しかったのですが、来年は美莉先輩はいないですけど、美莉先輩の分も勝てるように頑張りたいと思います。

――今季1年を振り返っていかがですか

他の大学でも、戦い方によっては45点のリレーで勝てるところもあると思うのですが、自分は初めて45点の団体戦をやっていたので、戦い方がわからなかったりしました。でも、今回で学んだので、次につなげていきたいです。

――では、来年に向けてお願いします

来年は美莉先輩が抜けてしまうと、みんな守り型になってしまうんですよ。そこで、自分が点を動かせたり、本当にピンチのときは自分が点を取りにいかなければいけないと思っているので、そこを練習していきたいと思います。

津江碧(スポ2=山口・岩国工)

――きょうの結果を振り返ってみていかがですか

自体校(自衛隊体育学校)に負けてしまって…。正直勝ちたかったのですが、相手が強かったなと思っています。

――初戦の日体大戦は逆転されてから追いついてという試合でしたが、最後回りはどのような気持ちで臨みましたか

自分がここで決めなくては勝てないので、自分が決めるという気持ちだけでした。

――逆に、自体校戦は終始リードされて点差も大分ある中での最後回りでした

これは逆に開き直って、勝つためには一本ずつ取るしかないと分かっていたので。でも、相手も全日本の個人で優勝経験のある先輩でそう簡単に点数を取らせてくれないと思っていたので、正直厳しい部分があったのですが、自分のプレーをするしかないなという気持ちでした。

――全日本で社会人のプレーを見て、今後の課題が見えた部分があるのでは

個人としては、確実なポイントというか自分の決め技をもっと増やせたらなと今回の大会を通して思いましたね。他の選手はこういう大事なところで自分の技を出せるなと試合を見て感じて、そういうのが大事なんだと思いました。あと団体としては鬼澤さんとチーム組むのは最後だったのですが、新しいチームとして試合が始まるわけなのでそれに向けて、まずはリーグ戦に向けて頑張りたいと思います。