悲願の『優勝』を勝ち取った。全日本学生選手権(インカレ)も3日目、雪辱を果たすときだ。全日本王座決定戦、関東学生選手権(関カレ)では『優勝』を逃してきた男子フルーレ団体。順当に決勝まで勝ち進むと、法大相手にも臆することない。存分に力を発揮し、ついに輝かしい栄冠をつかんだ。一方女子は1回戦快勝するも、2回戦で惜敗。勝ち切ることができず、悔しい敗戦となった。
今季の悔しさを存分にぶつけた谷口
『優勝』という頂に向け、戦いが幕を開けた。個人フルーレ種目、前インカレ王者・北川隆之介(スポ4=埼玉栄)、今大会準優勝・鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)を擁するワセダは、圧倒的な強さで次々と敵を倒していく。中大との一戦となった準決勝。先陣を切って登場した北川が闘志あふれるプレーで5-1と大きくリードする。この流れに乗りたい鬼澤だったが、度重なる連続失点で10-9と試合は振り出しに戻されてしまう。しかし、これは団体戦だ。北川と谷口裕明(スポ3=香川・三本松)が鬼澤の不調をカバー。団体戦ならではの強みを見せる。『優勝』に向け心は1つ。確実に点を重ね、徐々に差を広げていく。落ち着いた試合運びで中大を寄せ付けず、45-33。決勝に向け良い弾みとなった。
優勝へ向け最高の展開で鬼澤に託した北川
迎えた決勝・法大戦。すべての悔しさをぶつけるのは今しかない。「インカレ優勝を実現して後輩に良い思いをしてもらいたい」(北川主将)という先輩としての意地。「4年生を一番上まで行かせてあげたい」(谷口)という先輩への感謝。そんな先輩と後輩の熱い思いが剣に宿る。北川と鬼澤が幸先よくポイントを先取。谷口も先輩からのリードを守り、第5セットを終え24-17とした。そんな後輩の勇姿を受け北川も果敢な攻めを披露し、あと1セットを残し40-31。『優勝』はエース鬼澤へと託された。「本当に体が動けなくなるまで動こう」(鬼澤)という気持ちで挑んだ45点へのカウントダウン。気迫がそのままプレーにも現れ、圧巻の5連続ポイントでようやく『優勝』を手にした。
これまで『優勝』まであと一歩届かず涙を飲んだ男子フルーレ団体。4年生にとっては最後の学生大会である。並々ならぬ思いを持っていたことは言うまでもない。これまでの険しい道のりを経て、成し遂げた『優勝』。今までの練習が報われた瞬間だった。この勢いそのままに、さらなる栄光に向け突き進んでほしい。
(記事 三上雄大、写真 川嶋悠里)
※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。
※フルーレ:頭・両足・両腕を除いた胴体部への突きのみが得点となる。 両者がほぼ同時に突いた場合は、どちらの攻撃が有効だったかを主審が判定する。また、先に攻撃をした方が「攻撃権」を持ち、防御側は攻撃を防御してから攻撃しなければならない。
結果
▽男子フルーレ
早大〔鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)、北川隆之介(スポ4=埼玉栄)、谷口裕明(スポ3=香川・三本松)、仙葉恭輔(スポ2=秋田南)〕 優勝
1回戦:○45-24関学大
2回戦:○45-22日体大
準決勝:○45-33中大
決勝:○45-31法大
▽女子フルーレ
早大〔真所美莉(スポ4=宮城・仙台南)、渡辺咲(文3=大分・岩田)、尾上千尋(創理2=東京・田園調布雙葉)、永瀬夏帆(スポ1=宮城学院)〕 ベスト8
1回戦:○44-25関西大
2回戦:●31-45法大
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コメント
北川隆之介(スポ4=埼玉栄)
――今日の試合を振り返って
学生の大会での最後の試合なので勝つしかないというか、自分がやるしかないという気持ちでやったのですが、大学4年間、全部を振り返って本当にいままで一番、最高の試合ができたと思います。
――主将としてのきょうの意気込みは
後輩たちにいい思いをしてほしい、ということが一番で、1年生のころは先輩の姿、背中を追ってやってきて、その結果、インカレ(全日本学生選手権)で優勝をしていて…。どうにかして、自分が4年生のときにもインカレでの優勝を実現して後輩に良い思いをしてもらいたいと思っていたので、その思いを胸に試合に臨みました。
――全日本学生王座決定戦(王座)、関東学生選手権(関カレ)では成し遂げられなかった優勝ですね
王座、関カレでは真剣に勝負して負けてしまいましたが、インカレでの優勝のために負けたのかなといまは開き直っています。
――きょうの試合では主将としての意地が見えました
ワセダという環境で後輩たちと共に練習してきて、その結果をぶつけるだけだと、試合は楽しもうという気持ちで試合に挑んでいました。
――残りの試合に向けて
まだサーブルが残っているので、ベスト4目指して、全員でまた頑張っていきたいと思います。
鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)
――フルーレ団体優勝、おめでとうございます!いまのお気持ちは
ずっと「インカレで優勝する」と言い続けて来たので、最後の最後で優勝できて本当に良かったです。
――今回のフルーレ団体にはどのようなお気持ちで挑みましたか
準決勝まですごい緊張でガチガチだったのですが、最後はいいやと思って。思い切ってやろうと前向きな感じで臨めたのが良かったですね。
――準決勝や決勝のはじめの方は相手に点を取られることが多かったと思いますが
そうですね。いろいろ考えすぎてしまって。そんなに考えていてはダメだと、もっと気持ちでぶつかっていかないとダメだと思って。
――それで決勝最終セットの5連続ポイントが生まれたということですか
最後は本当に体が動けなくなるまで動こうと思って、そういう気持ちで臨みました。(相手の攻撃を)欲しがらないようにというか、勝ち急がないように心がけていました。
――決勝の相手が日大ではなく法大でしたね
そうですね。日大が来ると思ったのですが、法大でした。でも、法大もそんなに弱いわけじゃなくて強いので、ちょっとどうなるかなと思いました。でも本当にみんなで最後は楽しくやろうと、その延長の結果を受け入れようという感じで臨んだので、別に実際どこが来ても良かったのかなというか、どこが来てもやるだけ、という感じでした。
――鬼澤選手にはたくさんの応援団がついていましたね
あれは呼びました(笑)。「最後だから見に来て」と言ったら、みんな来てくれました。
――応援団のためにも優勝できて良かったですね
はい!良かったです。呼んだかいがありました(笑)。呼んで優勝できなかったら、ちょっと寒いことになるので(笑)。
――応援でパワーはいただきましたか
いただきました!
――きょうの午前中に行われた個人エペではベスト8でしたが、いかがですか
こんなもんかな、という感じですね。フルーレの団体の方に意識が向いていたので。勝ちたくなかったわけではないですが、とりあえず良かったなという感じです。
――次は団体のエペが控えていますが
そうですね。エペはことしの王座も関カレも2位で、全部日大に負けているので。インカレくらい取ってやろうかなという勢いです!
谷口裕明(スポ3=香川・三本松)
――優勝おめでとうございます
ありがとうございます。
――個人としてきょうの試合を振り返って
自分的には悪くない試合だったと思います。先輩方が抜けた来年、僕が上級生になったときに点をもっともっと取っていかなきゃいけないと感じて、そういうところをもっと詰めていかなければいけないな、と思います。
――4年生2人と組んだ団体戦ということで意気込みは
学生の試合ではこのインカレが最後だったので、4年生を勝たせたいというか、一番上まで行かせてあげたいという気持ちでした。
――チームとしてきょうはどうでしたか
雰囲気もここ一番に良くて、試合でも実力を発揮できていました。
――インカレを終えたということで、全日本に向けてお願いします
全日本は先輩方と一緒に試合ができる最後の機会なので、先輩たちに笑って引退してもらえるように頑張りたいです。
真所美莉(スポ4=宮城・仙台南)
――個人サーブルについてお伺いします。3位という結果でしたが、いかがですか
そこまで行ったら、決勝まで行きたかったです。きょねんのインカレチャンピオンだったので、2連覇を阻止したかったというのがあります。阻止できるかできないかはさておき。
――ベスト4をかけた試合では、先輩である弘瀬智子(スポ5=高知・追手前)との対決でしたが、どのような気持ちで挑みましたか
何も気にしてなかったです。本当に道場で練習しているときみたいにやりました。逆に自分は緊張も何もしていないですし。見ていた人は「静かだね」とか言うと思いますが(笑)。
――フェンシングの特集取材の中で、弘瀬さんを「食ってやろう」的な発言がありましたが、本当に倒すことになりました
違いますよ(笑)。あれは「強い人をどこかで食ってきてね」ということです。例えば、去年のインカレチャンピオンを途中で食ってきてねという感じだったのですが、普通に間違えて先輩食べちゃったという。(笑)トーナメントの上がりの場所が悪かったんで、(3回戦のときに)次勝ったら当たるなと思っていました。
――準決勝では試合の流れがあまりつかめなかったようでしたが
相手が断然格上だったので。彼女はことしU-23でクウェートに一緒に遠征に行っていて、合宿とかで一緒に練習していたのですが、やはりそのときも実力は上だなと感じていました。自分がどこまでやれるかわからないですが、全然勝てない相手ではなかったと思います。すごく仲のいい相手で日頃から切磋琢磨(せっさたくま)している相手でした。今回は、仲のいい友達と結構当たっていて。準決勝で当たった福本かな(日大)という選手も仲が良くて。優勝した人も、準優勝した人も結構仲が良かったんです。サーブルでは、4年生が最後に優勝しているので、まあいいかなと。でも、2位には入れたかなと思います。
――フルーレ団体の結果についてはいかがですか
法大はフルメンバーではなかったんですよ。いま決勝までずっと見ていて、フルメンバーではないのに優勝したじゃないですか。仕方ないのかなと。やっぱり実力と経験の差がどうしてもある。こっちが150パーセント、200パーセントの力を出せば、勝てなくもないチームだというのは思いますが、やはりどうしてもそれが毎回できるわけではないので。来年の子たちに頑張ってほしいなという感じですね。自分がもう少し頑張れば、後輩をもっと楽にできたと思いますが…。自分があんまり安定してなかったので、関カレと一緒で。
――次はサーブルの団体が控えていますが
優勝ですね!
――期待しています
待っていてください。男子の優勝見たので。自分も…みたいな(笑)。男子はずっと負けていたので。きょねんは勝っていたのに、ことしはずっと負けていたから。個人も振るわなかったし2人(北川隆之介主将、スポ4=埼玉栄、鬼澤大真、社4=茨城・常磐大高)は。同期なので、団体で勝ってくれてよかったです。
――団体で男子フルーレと同じ感動をお願いします
目指せ、2冠!