男子エペも日大に優勝譲る

フェンシング

 関東学生選手権(関カレ)は男子エペの決勝で幕を閉じた。決勝のカードはワセダ対日大。春は日大に一度も勝てず関東学生リーグ戦や全日本王座決定戦の優勝を逃したワセダは途中12点のリードを奪ったものの42-45で逆転負けを喫した。

今回大量の得点をチームにもたらした西森

 春からどんどん力をつけていく男子エペ陣は、初戦を45-21で突破する。2回戦の相手は中大。トップバッターの津江碧(スポ2=山口・岩国工)が1-5と苦戦を強いられるが、西森健太(教3=香川・三本松)が前日個人戦で惜敗した水口紘希(中大)相手に1点を詰め3-6。西森はその後2順目で7-7に追いつく。徐々にリードを広げたワセダは、最後に津江がしっかり決め22-19で勝利した。準決勝の法大戦では、ワセダのスタイルである「1つのセットで小さなリードを重ねて最終的に大きな差にする」(西森)の戦い方がはまる。44-34と順当に決勝へ駒を進めた。

45点目を取られた瞬間座り込んでしまう津江

 決勝は6月の全日本王座決定戦と同じカード。相手は今季一度も勝てていない日大だ。鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)が3-1でスタートすると、3セット目の西森が落ち着いて点を重ね12-7に差を広げる。5セット目で西森が一気に23-11と12点のリードを奪い、勝利がワセダへ傾いたかと思われた。勝負に絶対はない――。まさにその通りだった。点差ができたことで津江の心にできた余裕は油断に変わる。6セット目、相手のペースに持ち込まれた津江はそれを立て直すことができずに5点差に詰め寄られる。3順目の西森もその流れを変えることができずに28-26で鬼澤へ。鬼澤が逆転を許し、29-30で最終セットを迎える。津江は序盤ほとんど点を取れずに相手の気迫にのまれ6点まで差が広がるも、なんとか持ち直す。しかし、最後は追いつくことができずに42-45で試合終了。すぐそこまで来ていた優勝は目の前で散っていった。

 関カレを通して男子は日大にフルーレ、サーブル、エペの3冠を許し、そのうちのフルーレとエペで2位に甘んじた。全日本学生選手権(インカレ)で日大を克服しなければ、優勝の2文字はない。インカレに向けてワセダはどう生まれ変わるのか。そして、日大をどのように克服するのか。フルーレ陣、エペ陣共に全員がインカレで優勝することを誓った今大会。この悔しさを必ずインカレでは晴らしてほしい。

(記事、写真 川嶋悠里)

※フェンシングの団体戦は3人、または4人の選手が交代で出場し、1試合当たり3分という持ち時間内で争う。あるいは3分以内にどちらかが先に5得点先取すると、そこで次の選手に交替となる。最終的には9試合戦い、45点を先取、または持ち時間が終了した場合は得点が高い方が勝ちとなる。

※エペ:全身が有効面となる上に、両選手が同時突きをすると両者にポイントが与えられる。より慎重な攻め方が求められるため、時として両者が睨み合ったまま時間が過ぎることは稀な話ではない。

結果

▽男子エペ
早大〔鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)、西森健太(教3=香川・三本松)、小野弘貴(社2=東京・早稲田)津江碧(スポ2=山口・岩国工)〕 準優勝
1回戦:○45-21東北大
2回戦:○22-19中大
準決勝:○44-34法大
決勝:●42-45日大

集合写真

コメント

鬼澤大真(社4=茨城・常磐大高)

――関カレを終えてのお気持ちをお願いします

悔しいの一言です。フルーレもエペも勝てる試合を落とてしまったという感じだったので余計に悔しいですね。

――きょうのエペ団体も優勝を強く意識して臨まれたでしょうか

そうですね、優勝する気満々でみんなで頑張ろうと言っていました。リーグも王座も負けているので余計に勝ちたかったのですが、こういう結果になって悔しいです。

――日大との決勝戦を振り返ってください

流れは悪くなかったのですが、最後回りのひとつ前で自分が出るところで踏ん張り切れなかったのが悔しいところです。また、点差を詰められてみんなが焦り出してしまったところで4年生としてもっと何かできのではないかなと思います。焦る前にもっと声を掛けるなり何かできたのではないかな…と。そのまま試合に入り過ぎてしまったので、一回冷静になることが必要でしたね。

――勝利した3試合では思い通りの試合ができたでしょうか

自分のペースでできていたかなとは思いますね。みんなが自分の試合をしていました。だからこそチームも勝てたのかなと思います。

――その他に関カレで感じた課題や収穫はありますか

今回のエペはみんな良い戦いができていました。技術うんぬんよりも一本への執念というか、絶対に自分のポイントにするという気持ちが大事になってくると感じました。

――閉会式後には他大の4年生と集合写真を撮る場面もありました。いよいよラストだというお気持ちはありますか

もう全部の試合が最後なので。結果が出ればそれに越したことはないですけど、後悔しないように今までのフェンシングを全部ぶつけてそれが結果につながって…つながらなかったとしても後悔がないようにできれば良いかなと臨むようにしています。

――最後にインカレへ向けて一言お願いします

個人も団体も優勝します。もうそれだけです。

西森健太(教3=香川・三本松)

――まず、個人を振り返っていかがですか

個人は優勝した水口(紘希、中大)という選手に負けたのですが、高校の後輩で、結構手の内は知っていたので、一本勝負で延長戦になったときも自分の作戦通りだったのに、最後は自分のミスでやられてしまいました。結局一本勝負ってリスクがあるので、そこはもう少しアグレッシブに動いて点数を動かすというか、そういう試合運びができればもう少し楽かな、と。優勝するにしても、もっと幅広い相手に工夫して戦えないとダメかなと思うので、そこはインカレに向けてしっかり調整していきたいと思います。

――西森選手の個人戦はロースコアの試合が多かったですが、それは西森選手の戦い方が関係しているのでしょうか

そうですね。最初は出方をうかがって、後半に自分の思うポイントを重ねてそこで勝つというのが結構多いです。当たった選手も身長が高い選手で、自分は身長が低いので、その差を埋めるためにも時間を使って距離の出入りを増やさないと、単発で出てしまうと大きい選手にすぐ負けてしまうので、時間をかけて相手を分析して戦うという感じですね。

――では、団体の感想を聞かせてもらえますか

きょう個人的には調子が良くて、点数も重ねることはできたと思うのですが、欲しいのは優勝なので、それだけです。

――中大戦や決勝は西森選手のセットで点を取ってくるという展開が多かったですね

もうワセダのスタイルは、1点ずつ重ねていくというもので、1つのセットで1点のリードを重ねて最終的に大きな差にするというのがうちの戦い方なので、それが最後できなかったのが悔しいですけど、インカレはそれを忘れず頑張ります。

――では、インカレに向けて最後に一言お願いします

勝負に絶対はないので、絶対優勝するとは言いませんが、必ず優勝します。

津江碧(スポ2=山口・岩国工)

――今大会振り返っていかがでしたか

悔しいですね。

――まず個人戦のお話を伺いたいのですが、ベスト8が懸かった試合で逆転負けを許してしまいました

日大の4年生の小野先輩(健太)の負けてしまったのですが、何回もやったことがある相手で、昨年の全日本(選手権)で当たっていて、そのときは自分が勝っていたので、そのイメージがあり過ぎて逆に、気持ち的にもこの間も勝っているし…というのがありましたね。序盤は本当に調子が良くて大差でリードしていたのですが、やはりそこからちょっとした気の緩みというか、自分のプレーが相手にもバレるようになって、そこを改善しなければいけなかったのに頭ではわかっていても体で動けていないところがありました。それがもっと早く気付くことができていれば、負けることはなかったかな…。でもそれは終わった後の話なので。

――では、団体戦は

自分がまず(決勝の)2回り目の試合で相手の1年生の山田(優、日大)は一緒に日本代表で遠征とか行っていて手の内とかも知っているような相手で、しかもきのう個人戦で当たっていて、個人戦では勝っていたのに、団体であれだけやられるというのは、その前に点差が結構あったこともあり、自分の気の緩みが出てしまったのかな…。

――西森選手がその前に作った流れに乗るというよりは

どちらかというとそれを守って、自分は安全にというか、後ろにちゃんとつなごうというのが、逆に向こうのペースに持ってかれてそれにずるずる自分も持っていかれてしまいましたね。

――最後のセットは巻き返しているところもありましたが

最後はマイナス1点で回ってきて、すぐに追いつくことができて、正直あそこでいける!と思ってしまったんですよね。そこからまた少し離されて、追いついて…、流れ的にはそこまで悪くはなかったと思うのですが、途中どこかで集中が切れてしまいました。自分の中ではこれは絶対に良くないなという流れがわかって、そのときはもう遅かったです。次はインカレがあるので…。いままで何回も日大には負けてきているので、本当にもうインカレでは絶対にやり返してやりますよ。見ていてください。