第76回全早稲田対全慶應義塾馬術部定期戦 12月6日・7日 早稲田大学馬術部 東伏見馬場
第76回を迎えた全早稲田対全慶應義塾定期戦(早慶戦)が早大の東伏見馬場で開催された。これまで部を引っ張ってきた4年生にとっては最後の試合となる。全6競技での勝ち点の合計で勝敗が決まる本試合。早大は3競技で勝利し、勝ち点合計11ー9で優勝を果たした。

賞典馬場で優勝した細野とバートエルJRA
1日目は馬場馬術3課目A(第3課目)、学生賞典馬場馬術(賞典馬場)、現役小障害飛越競技(現役小障害)の3競技が行われた。第3課目では中島妃香留副将(スポ3=茨城・水戸葵)と如月が1位に。去年に続き、安定した演技を披露した。4年生からは川島秀斗(社4=東京・早大学院)が出場。ワムウとコンビを組んで最後の試合に臨んだ。点数には結びつかなかったものの、「試合に出て、やり遂げられたのはよかった」と自身の演技を振り返った。上位3人の合計得点率は慶大が上回り、先勝を許した早大は次の賞典馬場に臨んだ。細野光(スポ3=東京・桐朋)とバートエルJRAが65%越えの演技で優勝。4年生の阿曽村里桜(国教4=神奈川・桐蔭学園)と如月、舩田大翔主将(商4=広島・広島城北)とココドロの2コンビも続いた。ここでは勝利を譲らず、点差は逆転。現役小障害に続いた。早学戦のこの種目で優勝した加藤凱也(法3=埼玉・早大本庄)とイリスが今回も優勝。中田仁菜(スポ1=東京・東農大一)とエメラルドフローラもタイム差で3位に。順位による総ポイント取得数で早大が勝利した。こうして6ー4のポイント差で初日を終えた。

現役小障害で優勝した加藤とイリス
2日目の始めの2競技は、早慶それぞれから中高生とOBが出場。どちらの競技も慶大が制したため、2ポイントの差が埋まり勝負は最終競技である現役中障害飛越競技(現役中障害)の結果次第となった。早大からは細野とバートエルJRA、中島と稲叶の2コンビが出場。早慶合わせて4組が減点0でジャンプオフへ駒を進める。ジャンプオフでは障害を落とすごとに減点が4入る他、最終順位はタイム差そのままで決まるためより緊迫した雰囲気に。そんな中でも早大の2組はそれぞれ減点0で再びクリアラウンド。タイムで勝った中島と稲叶のコンビが優勝した。そのまま、早大が順位ポイントの合計で勝り現役中障害の勝ち点を獲得。接戦となった早慶戦を制し、3連覇を決めた。
昨年の早慶戦から1年間、4年生を中心に作り上げたチームは最後の試合で優秀の美を飾った。これから新たなチーム作りが始まるが、勢いそのままにさらなる飛躍を期待したい。

早慶戦を終えた馬術部一同
※掲載が遅れてしまい、申し訳ございません。
(記事・写真 井深真菜 取材 綿貫龍之介、井深真菜)
結果
▽団体成績
優勝 早稲田大学 11点
2位 慶應義塾大学 9点
▽第1競技 JEF馬場馬術競技 第3課目A
早稲田大学 勝ち点1
1位 中島、如月 最終得点率66.667%
4位 中田、ココドロ 最終得点率66.833%
9位 ライシャシレガル(基幹理工2=Medan Independent School)、稲彩 最終得点率57.569%
10位 川島、ワムウ 最終得点率56.597%
12位 若松ひなた(人科2=大阪・プール学院)、稲炭 最終得点率54.930
▽第2競技 学生章典馬場馬術課目
早稲田大学 勝ち点3
1位 細野、バートエルJRA 最終得点率65.864%
3位 阿曽村、如月 最終得点率61.296%
4位 舩田、ココドロ 最終得点率60.309%
▽第3競技 現役小障害飛越競技
早稲田大学 勝ち点2
1位 加藤、イリス タイム48.90 タイム減点0 障害減点0 総減点0
3位 中田、エメラルドフローラ タイム51.24 タイム減点0 障害減点0 総減点0
E 阿曽村、稲爽
▽第4競技 高校生障害飛越競技
早稲田大学 勝ち点1
▽第5競技 OBOG障害飛越競技
早稲田大学 勝ち点1
▽第6競技 現役中障害飛越競技
早稲田大学 勝ち点3
1位 中島、稲叶 タイム65.04 タイム減点0 障害減点0 総減点0/JOタイム35.39 JOタイム減点0 JO障害減点0 JO総減点0
2位 細野、バートエルJRA タイム68.91 タイム減点0 障害減点0総減点0/ JOタイム36.95 JOタイム減点0 JO障害減点0 JO総減点0
引退コメント
舩田大翔主将(商4=広島・広島城北)
――早慶戦を終わって今の気持ちは
早稲田生としてもココドロと演技をするのも最後だったので感慨深いです。もうココドロに乗ることができないことは少し悲しいですね。
――章典馬場での演技を振り返って
速足の部分とピルエットは全学(全日本学生馬術大会)の時よりも良かったと思います。駆け足は最後の歩毎と伸長駈足のところはイレギュラーがあったのですが全体の質としては1か月前よりも上がっていると思いました。
――主将としてこの1年間チームを引っ張ってきました。振り返ってみて
関東までは結果が出せていなかったのですが、それ以降自分の心構えが変わりました。自分は大学から馬術を始めて今まで大きい試合に絡むことがなかったので、やっと今年結果が出て全学に出場したことでやりやすくなりました。
――関東がご自身の中でのターニングポイントに?
そうですね。関東で駄目なら馬を降りようと思っていたので。自分の中でもターニングポイントにしようと思っていましたし、結果的に全学の出場権を得られたことで残りの半年間がより充実したものになったと思います。
――4年間共に過ごした馬へのメッセージをお願いします
感謝の気持ちでいっぱいです。自分は不器用な方だと思っていたので、監督に指導していただくときも長くなってしまったし、いい運動をさせてあげられなかったなと思うのですが、馬たちのおかげで自分の人生が豊かになったと思います。実は競技中に最初の担当馬を亡くしたことがあって、やはり馬あってのスポーツだということを忘れないように責任感を持っていたい。後輩たちもそこを忘れないでほしいです。
――馬術部の後輩たちに一言お願いします
愚直に頑張ってほしいです。愚直に頑張っていたら周りもそれを見ているし、馬も答えてくれると思います。
ココドロと最後の演技をする舩田
川島秀斗(社4=東京・早大学院)
――早慶戦を振り返っていかがですか
自分はワムウという馬と2年生からコンビを組ませていただきました。最後の試合で乗せていただけたことに周りの皆さんに感謝しています。
――第3課目を振り返って
競技の結果としましては、馬のトラブルもあったのですがやはり自分の技術不足が響いてしまったので少し後悔もあります。ただ、試合に出ないことも考えられたので、しっかりとやり遂げられたのは良かったと思っています。
――4年間を振り返ってみて
自分は大学に入るまではチームスポーツをやったことがなかったので、初めて部活に入ってやってみて正直まだ慣れない部分もありました。ただ、ここでやってきたことは人生の中でも新鮮なことだったし、何より馬と出会っていろいろな競技をできたことは自分の中で経験になりました。これから自分は馬業界に行くので後40年くらい乗ることになると思うのですが、自分の考え方や価値観を変えてくれました。
――4年間共に過ごした馬へのメッセージをお願いします
2年生からコンビを組ませていただいて今回も乗ったワムウですが、自分の就職先はこの馬の実家です。自分がやる気が出ないときでもずっと一緒にいてくれて、支えになってくれました。自分がここまで来られたのはワムウのおかげだと思うので、これから恩返しのつもりでやっていけたらなと思っています。
――馬術部の後輩たちに一言お願いします
人によってこの部活で何をやりたいかは違うと思うのですが、その中でも周りと仲良く、時に切磋琢磨していってほしいです。一人で何かをするということは難しいと思うので、誰かの助けが必要になるときがくると思います。そんなときのために、チームで協力していけるようになっていってほしいなと思います。皆さん頑張ってください!
川島とワムウのツーショット
阿曽村里桜(国教4=神奈川・桐蔭学園)
――早慶戦での章典障害と小障害を振り返って
今回乗らせてもらった如月は2年生の時からコンビを組んでいました。初めて乗ったころは成績がなかなか残せなくて、3年生の時は如月が怪我をしてしまいました。4年生の時の関東は全学に一歩届かなくて、補欠の1位でした。長いこと乗らせてもらってるのに結果が出せなくて悔しい気持ちがありましたが、最後の最後で早慶戦ので3位を取って勝ち点に貢献出来て嬉しいです。ずっと得点率60%を超えることを目標に練習してきたので、最終的に61%を取れてよかったです。小障害に関しては、稲爽は本当に1週間前に初めて乗った馬だったのでなかなか難しかったです。私の技術及ばずで結果に結び付けられなかったのですが、いい馬なのでこれから後輩たちがたくさん成長させてくれたらなと思います。
――ご自身の4年間を振り返ってみて
私の同期は最初は多かったのですが、4年生の始めに結構辞めてしまっていて。私と主将が喧嘩をしたり上手くいかないことも多かったのですが、喧嘩しながらもだんだんお互いに歩み寄ることができるようになりました。私たちの学年は山あり谷ありの代だったと思うのですが、最後までやり続けることができて良かったし悔いはないです。
――4年間共に過ごした馬へのメッセージをお願いします
一番乗らせてもらったのは如月ですね。ずっと乗らせてもらっていたのになかなか成績を出すことができなくて、本当にたくさん悩みました。でも毎日毎日悩み続けたことが自分の中で大きな成長につながったし、こういう形で最後に結果を残せてよかったかなと思います。本当に如月にありがとうという気持ちです。
――馬術部の後輩たちに一言お願いします
4年間続けていると辞めたいと思うこともあると思います。馬のことや人間関係のことなどいろいろなことで悩むと思うのですが、それは全て自分の成長に繋がると思います。どんなにつらいことがあっても辞めずに続けていれば、後悔しないと思うので4年間続けてほしいなと思います。
如月と最後の演技を終えた阿曽村
コメント
加藤凱也(法3=埼玉・早大本庄)
ーー早慶戦振り返っていかがでしたか?
昨日は早慶戦というのは自分の中でも憧れの競技の一つで、そこに出場する事が出来てまず嬉しかったです。その中で自分も早慶戦で結果を出したいと思っていたので、まずは優勝という結果を出すことができて嬉しく思います。
ーーどういうところが優勝に結びついたと思いましたか?
ここ半年くらいエリスに乗せてもらっているのですが、馬(エリス)はポテンシャルがあるのに自分が馬の良さを出し切れていなかったのですが、早慶戦では馬の良さを出し切ることができたし、それと共に攻めた走行ができるように意識した事が結果に繋がったのかと思います。
ーー来年四年生という最後の年になると思うんですけど、意気込みなどはありますか?
今はエリスと共に中障害(110cm)競技に出ることを目標にしていて、今回のは100cmだったのですけど、競技のクラスが上がったところでいい結果を出すことを目標にやっていきます。
ーー4年生の引退した方々に対して何か残す言葉はありますか?
自分が馬術部に入った理由っていうのが、自分が1年当時の2年生で、今年卒業する先輩たちがいたからこそ、自分がこの部活に入ったので、入ってからも当時の2年生に凄いお世話になって指導していただいたり、部活の係の事も教えていただいたので、今回の早慶戦で早稲田の勝利に貢献できた事は嬉しいですし、4年生に自分たちの代が変わるんですけどこれからもいい結果を報告できるように、がんばっていきます。
細野光(スポ3=東京・桐朋)
ーー早慶戦振り返っていかがでしたか?
馬場ではできる限りのことをやろうと思っていました。技はあまり自信がなかったのですが、総合的に見れば勝ち目はあると思っていたのでそこのクオリティで勝負しようと思っていました。中障害で乗ったバートエルは、元々速い攻めた走りをする馬ではなくて、しかも総合馬です。でも最後にやってみようかなと思って少し攻めた走りをしてみました。スピードというよりもショートカットを意識してやっていこうという計画でした。通りたいところは取れたと思うのですが、全体的なスピードは中島に負けてしまいました。まあ、勝ちたかったけれどチームとしては勝てたのでいいかなと思います。
ーー新体制に向けての抱負をお願いします
来年の一番の目標は全日本学生での団体優勝です。今まで個人では3連覇だったり優勝だったりしていますが、チームとしても一体となってやっていきたいと思います。
中島妃香留副将(スポ3=茨城・水戸葵)
ーー早慶戦振り返っていかがでしたか?
初日で団体優勝を決められると内心期待していたのですが、取れなかったですね。最終的に中障害の結果次第になったので少し緊張感がありました。稲叶も万全の状態というわけではなかったのですが、最終的に早稲田の勝ちが決まって今は安心した気持ちでいっぱいです。
ーー次期主将とのことで、次のチーム作りについて考えていることは?
今早稲田には競技で活躍できる馬も人も足りないので、相変わらず少数精鋭になるとは思うのですが年度が替わる前に強化していきたいなと思います。来年は団体でも結果を求めていきたいと考えています。例えば全日本学生の団体3種目総合は来年から少しルールが変更になります。今までは出場人数分加算だったのが、来年度から上位3人分の合計になるのでうちにとっては凄いチャンスなので。私たちも最後の年だし部員にも少しわがまま言ってしまいますが、競技に集中させてもらえたらと思います。
中障害で優勝し早大を優勝に導いた中島と稲叶