伝統の一戦で連覇を達成! 4年生の引退試合で有終の美を飾る

馬術

第75回全早稲田対全慶應義塾定期戦 11月30日・12月1日 神奈川県・慶応義塾大学日吉馬場

 第75回を迎えた全早稲田対全慶應義塾定期戦(早慶戦)が慶大の日吉馬場にて開催された。年に一度の伝統の一戦であり、この1年間馬術部を引っ張ってきた4年生にとっては引退試合となる。全部で6競技を行い、それぞれの競技で得た勝ち点の合計で勝敗が決まる。早大は6競技中4競技で勝利をおさめ、11―9で連覇を達成した。

稲彩と最後の演技に臨んだ中山明弥(文構4=東京農大第一)

 1日目は馬場馬術第3課目A(第3課目)、学生章典馬場馬術(章典馬場)、現役小障害飛越競技(小障害)の3競技が行われた。第3課目Aでは中島妃香留(スポ2=茨城・水戸葵)と如月が安定した演技で1位に。上位3人馬の合計得点率で慶大を上回り、先勝した。次に行われた章典馬場には4年生から糸山大樹主将(政経4=熊本・済々黌)と中山明弥(文構4=東京農大第一)が出場した。糸山主将は2年間コンビを組んだココドロと最後の演技に臨み、自己ベストを記録。3位に入った。中山明も点数には結び付かなかったものの、「4年間練習してきたことを出し切れた」と笑顔で演技を終えた。また、今年度の全日本学生大会の章典馬場で優勝した細野光(スポ2=東京・桐朋)とブリタニア7は、早慶戦でも圧巻の演技を見せ、1位に。またも早大は勝ち点を獲得し、勢いに乗った。1日目最後の小障害では、上位5人にそれぞれ5点から1点のポイントが与えられ、その総数が多い方に勝ち点が与えられる。3人が総減点0点のパーフェクトな走行を見せたが、タイム差で中山颯慈(教1=東京・早実)が1位、阿曽村里桜(国教3=神奈川・桐蔭学園)が3位に入り、8点を獲得した。2、4、5位には慶大の選手が入ったものの、獲得ポイントの総数で勝利し、勝ち点2を得た。これで1日目の勝ち点の合計は早大が7点、慶大が3点となり、リードした状態で2日目を迎えた。

ココドロと臨んだ章典馬場で自己ベストを記録した糸山主将

 2日目のはじめの2競技は、早慶それぞれから中高生とOB・OGが出場した。中高生障害飛越競技では慶大が、OBOG障害飛越競技では早大が勝利し、勝ち点の差は1日目と変わらず。この時点で早大の勝利が決まった。最後に行われた現役中障害飛越競技(中障害)では、早大から3人馬が出場。1つの減点のみで走行した細野とT.H.ムーシェの組と慶大の光成拓海選手とイヴェルの組が1位で並び、プレーオフへ。プレーオフで無失点の走行を見せた細野とT.H.ムーシェが見事優勝を果たした。細野は章典馬場と合わせて二冠と、全日本学生大会に続き、早慶戦でも力を発揮した。中障害では獲得ポイントで慶大に敗れたものの、全種目を終えた勝ち点では慶大に勝利し、見事連覇を達成した。

章典馬場と中障害で優勝した細野。写真は中障害に臨む細野とT.H.ムーシェ

 11月の全日本学生大会での3種目総合準優勝に続く、早慶戦優勝。昨年の早慶戦から1年間、4年生が主体となって作り上げたチームで有終の美を飾った。これから新しいチームが始動するが、この勢いに乗り、来年度のさらなる活躍に期待したい。

(記事 梶谷里桜、写真 廣野一眞、坂部翔子、田島凜星、井深真菜)

結果

▽団体成績

優勝 早稲田大学 11点

2位 慶應義塾大学 9点

▽第1競技 JEF馬場馬術競技 第3課目A

早稲田大学 勝ち点2

1位 中島、如月 最終得点率67.917%

2位 笠井、稲彩 最終得点率64.236%

6位 船田、稲炭 最終得点率56.806%

▽第2競技 学生章典馬場馬術課目

早稲田大学 勝ち点3

1位 細野、ブリタニア7 最終得点率66.975%

3位 糸山、ココドロ 最終得点率61.728%

5位 阿曽村、如月 最終得点率58.512%

6位 中山明、稲彩 最終得点率56.728%

▽第3競技 現役小障害飛越競技

早稲田大学 勝ち点2

1位 中山颯、稲嵐 タイム56.72 タイム減点0 障害減点0 総減点0

3位 阿曽村、イリス タイム59.78 タイム減点0 障害減点0 総減点0

6位 植本、デクスター タイム59.36 タイム減点0 障害減点4 総減点4

E 回、エメラルドフローラ

▽第4競技 高校生障害飛越競技

早稲田大学 勝ち点1

▽第5競技 OBOG障害飛越競技 

早稲田大学 勝ち点2

▽第6競技 現役中障害飛越競技

早稲田大学 勝ち点1

1位 細野、T.H.ムーシェ タイム62.16 タイム減点0 障害減点4 総減点4/JOタイム35.71 JOタイム減点0 JO障害減点0 JO総減点0

4位 中島、稲叶 タイム60.44 タイム減点0 障害減点8 総減点8

E 糸山、稲嵐

コメント

糸山大樹主将(政経4=熊本・済々黌)

――早慶戦の結果を振り返っていかがですか

現役生活最後の早慶戦、勝って終われたのでとても嬉しいです!

――1日目の章典馬場と2日目の中障害を振り返っていかがですか

1日目の賞典馬場では、自己ベストを出すことができました。全日本学生では不甲斐ない演技をしてしまったので、2年間コンビを組んだココドロと、今できる最高の演技ができてほっとしました。2日目の中障害は、普段乗っている馬と違う馬での出場となり、中々しんどかったです。ただ、下手くそな自分を乗せて頑張ってくれた稲嵐には感謝です。

――主将として過ごしたこの1年間はどんな年でしたか

とにかくしんどかったです。主将になってみて分かるしんどさが多くあり、歴代の先輩方のすごさを改めて感じました。

――今年のチームはどんなチームでしたか

今年は、例年よりも高い目標を持てたチームだったかと思います。

――大学で馬術をはじめてからこの4年間を振り返っていかがですか

沢山良い思いをさせてもらえて、本当に幸せな4年間でした!

――4年間共に過ごした馬へのメッセージをお願いします

これからもきっと、ふとした時に思い出すような、かけがえのない存在だったなと思います。大好きです。

――これからの馬術部を担う後輩たちに向けたメッセージをお願いします

馬の上から見える色々な景色は、誰しもは味わえない贅沢なものです。4年間、1日1日を大切に!

 

中山明弥(文構4=東京農大第一)

――早慶戦を終えて今の気持ちはいかがですか

11月には全学3種目総合2位、12月の卒部では早慶戦優勝という栄誉ある形で終わることができ、OBOGの先輩方や監督、コーチ、部員に感謝すると共に幸せな気持ちでいっぱいです。

――1日目の章典馬場を振り返って

点数には結びつきませんでしたが、4年間練習してきたことを出し切れた納得の演技でした!

――大学馬術部の4年間を振り返って

最初はただ馬と過ごせれば良いと思っていた私が、2年生の時に1頭の馬に出会い、何があっても達成したい目標を持てたところから、馬と向き合う責任と自分の成長への貪欲さを持つことができました。辛く苦しいこともありましたが、最後は色んな目標を達成することができ、後悔はありません。

――この1年間4年生としてチームを引っ張って来られたと思いますが、同期の皆さんはどんな存在でしたか

私にとって同期は何があっても、何を言っても自分を受け入れてくれる、肯定してくれる絶対的な心の支えです。

――4年間共に過ごした馬へのメッセージをお願いします

皆の頼もしい背中から見えた景色は一生の宝物です。不甲斐ないところもあるのにどんな時も一緒に頑張ってくれてありがとう。大好き!

――これからの馬術部を担う後輩たちに向けたメッセージをお願いします

生き物である馬と向き合う馬術部は、恐らく、段々と楽しいことよりも辛いことが多いように感じてしまうかもしれません。それでも、目の前にいる馬と積み重ねてきた時間は裏切りません。どんな時でも誠意には誠意を見せ、味方でいてくれます。そんな馬と出会い、人と馬の人生が幸せであることを願っています!