4日間の熱戦を制し3位入賞! 全日本学生団体出場を決める

馬術

 2月末の関東学生馬術新人競技大会優勝、4月の東京六大学競技大会で優勝を果たし、好調を維持する早大馬術部。そんな馬術部は6月16日から19日にかけて関東学生競技大会(関東学生)に臨み、11月の全日本学生大会(全日本学生)の団体出場権を獲得する戦いに臨んだ。今大会は、4日間で関東学生賞典障害飛越競技大会(障害馬術)、関東学生賞典馬場馬術競技大会(馬場馬術)、関東学生賞典総合馬術競技大会(総合馬術)の3種目の大会が実施され、各大会での成績が関東学生での総合成績として算出される。また、この総合成績には反映されないが、中障害D飛越競技(中障害)もあわせて実施された。早大は1日目の障害馬術では13年ぶりの団体優勝。2日目の馬場馬術は4位に終わったが、3、4日目の総合馬術では3位と巻き返す。総合成績を3位で終え、全日本学生の団体出場権を確保した。中障害では、個人で吉實陽介主務(政経4=埼玉・昌平)、坂藤仁美(教4=東京・順天)がそれぞれ4、6位に入賞した。

 4年生部員が中心となって出場した今大会。1日目の障害馬術には早大から3選手が出場した。関東学生の障害馬術では、走行を2回行いその合計減点と合計タイムで順位を決定する。早大1組目となった鶴見汐花副将(スポ3=栃木・佐野日大中教校)と稲嵐は2回の走行をいずれも減点0で完走。続いて出場した髙田雅主将(人4=大阪女学院)とプリンチペスコ、吉田光佑(スポ4=東福岡)とアルボアの2組は減点0とはならなかったが、それぞれ6位、4位につけた。2回の走行でも減点0をマークした鶴見副将と稲嵐は、同じく減点0の明大の選手との決勝戦・ジャンプオフに進出。惜しくも障害物を1つ落とし、個人優勝とはならなかったが、2位につけた。3組がそろって上位につけ、障害馬術では実に13年ぶりの団体優勝を果たした。また、この日は今年度の大会からの開催となった中障害も実施。吉實主務とアイシングラーは障害減点を4点に抑えると、タイムでは全体で2番目の早さを記録し、個人で4位にランクインした。坂藤とココドロも障害物落下による8点の減点があったものの、全体で4番目のタイムをマークし、6位入賞。3種目総合成績には算出されないが、その実力を見せつけた。

障害馬術での団体優勝に大きく貢献した鶴見副将と稲嵐

障害馬術での団体優勝後、たたえ合う吉田とアルボア(中)、鶴見副将(左)、髙田主将

障害馬術では13年ぶりとなる団体優勝をかなえ、記念写真に納まる馬術部一同

 2日目の馬場馬術には、4組が出場。髙田主将と如月の組を筆頭に60%前後の得点率をマークしたが、日大、学習院大を中心に高得点率の選手が続出。全4組が15位以下の順位に沈み、団体成績では4位に。2種目を終えたこの時点で早大は3位につけ、4、5位の専大、慶大とはそれぞれ88、103点差。全日本での団体出場を懸けて予断を許さない中、3、4日目に行われる最終種目・総合馬術に臨むことになる。

 総合馬術は3日目の馬場馬術(総合馬場)、4日目のクロスカントリーと障害馬術(総合障害)の3競技を行い、各大学の上位3名の成績によって順位を決定。早大からは4組が出場した。鶴見副将とエオウィン、髙田主将とデクスター、坂藤仁美(教4=東京・順天)とココドロの3組はいずれも60%を超える得点率を記録する演技を見せたが、団体結果では4位に。特に、3位の席を争う専大はここで早大を上回る成績をマーク。団体出場権争いは緊迫した戦況が続く。

 そして、迎えた最終日。この日の戦いは4日間のなかでも最も早い朝7時からの開幕となった。最初に行われたクロスカントリーでは、前日の総合馬場で奮闘した3組が引き続き躍動。大幅減点を回避して2150mの走行を終えた。するとここで、ライバル・専大が出場選手の失権により大幅減点を喫し、流れは早大へ。全日本学生団体出場の可能性を高め、最終競技の総合障害に臨んだ。初日の優勝をはじめ、障害馬術競技を得意とする早大はここでも健闘。鶴見副将とエオウィンが先陣を切って減点0でコースを走破すると、それに続くように髙田主将とデクスター、坂藤とココドロも減点0で走路を駆け抜けた。勢いを失わなかった早大は総合馬術の総合結果で3位に。関東学生の総合順位でも3位の席を譲らず、2年ぶりの全日本団体出場権獲得を果たした。

クロスカントリーの走路を駆け抜ける髙田主将とデクスター

 今大会でも今季の好調ぶりを見せた。障害馬術で幸先よくスタートを切ると、馬場馬術、総合馬術でも大きく失速することなく安定した成績で3位入賞を果たし、全日本学生出場を決めた。早大馬術部の大一番はやはり11月の全日本学生。それ以前には学習院大との定期戦なども控えるが、その腕を落とすことなく得意の障害馬術を筆頭に大一番での快挙達成を目指す。

3位入賞を果たし、表彰台に立つ髙田主将(中)、鶴見副将(右)、坂藤

大会終了後、集合写真に納まる馬術部一同

※掲載が遅れてしまい、申し訳ございません。

(記事 横山勝興、写真 横山勝興、早大馬術部提供)

ポイント表
順位 1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位 11位 12位 13位 14位 15位 16位 17位 18位 19位 20位
ポイント 100 90 85 81 78 75 72 69 66 63 60 57 54 51 48 45 42 39 36 34
順位 21位 22位 23位 24位 25位 26位 27位 28位 29位 30位 31位 32位 33位 34位 35位 36位 37位 38位 39位
ポイント 32 30 28 26 24 23 22 21 20 19 18 17 16 15 14 13 12 11 10

※障害馬術:完走5点 参加点2点、総合馬術:完走10点 参加点2点、馬場馬術:45%未満または40位以下は参加点として2点

結果

▽団体成績

優勝 日本大学 1000ポイント

2位 明治大学 759ポイント

3位 早稲田大学 557ポイント

▽関東学生賞典障害飛越競技大会(障害馬術)

優勝 早稲田大学 総減点12 総走行時間425.33

個人2位 鶴見、稲嵐 2回走行合計減点0 2回走行合計タイム141.09 90ポイント

個人4位 吉田、アルボア 2回走行合計減点4 2回走行合計タイム145.36 81ポイント

個人6位 髙田、プリンチペスコ 2回走行合計減点8 2回走行合計タイム138.61 75ポイント

▽関東学生賞典馬場馬術競技大会(馬場馬術)

4位 早稲田大学 団体合計(上位3名)178.039

個人15位 髙田、如月 総得点率60.269 48ポイント

個人19位 坂藤、ココドロ 総得点率59.654 36ポイント

個人23位 鶴見、稲彩 総得点率58.116 28ポイント

個人24位 マギー、ロッキーロイヤル 総得点率56.346 26ポイント

▽関東学生賞典障害飛越競技大会馬場馬術(総合馬場)

2番 鶴見、エオウィン 総得点率63.84

12番 熊田、ビビアンリスト 総得点率57.46

23番 髙田、デクスター 総得点率60.94

34番 坂藤、ココドロ 総得点率65.65

▽関東学生賞典総合馬術競技大会クロスカントリー(クロスカントリー)

2番 鶴見、エオウィン タイム4:39 タイム減点8.4 障害減点20 総減点28.4

12番 熊田、ビビアンリスト 3反E(失権)

23番 髙田、デクスター タイム4:58 タイム減点16.0 障害減点0 総減点16.0

34番 坂藤、ココドロ タイム5:06 タイム減点19.2 障害減点0 総減点19.2

▽関東学生賞典総合馬術競技大会障害馬術(総合障害)

2番 鶴見、エオウィン タイム61.44 タイム減点0 障害減点0 総減点0

12番 熊田、ビビアンリスト クロスカントリーで失権のため記録なし

23番 髙田、デクスター タイム65.80 タイム減点0 障害減点0 総減点0

34番 坂藤、ココドロ タイム62.99 タイム減点0 障害減点0 総減点0

▽関東学生賞典総合馬術競技大会(総合馬術、最終結果)

4位 早稲田大学 団体合計(上位3名)173.3

個人11位 坂藤、ココドロ 60ポイント

個人12位 髙田、デクスター 57ポイント

個人13位 鶴見、エオウィン 54ポイント

失権 熊田、ビビアンリスト 2ポイント

▽中障害D飛越競技(中障害)

4位 吉實、アイシングラー タイム59.74 障害減点4 タイム減点0 総減点4

6位 坂藤、ココドロ タイム61.01 障害減点8 タイム減点0 総減点8

コメント

髙田雅主将(人4=大阪女学院)

――3位という団体成績を振り返っていかがですか

 どの種目も失敗しなければ3位以内は確実だと思っていました。年間の目標である『3位以内』を達成できたことは、ほっとしています。

――今大会の目標は団体3位以内を目指すというところでしたか

 団体3位以内はどの種目でも結果を取ることができたからだと思っています。あと、障害馬術(障害)の団体は今年は(優勝を)獲れるのではないかと他の大学の方からも言っていただいていたので、障害団体を獲ることを一番の目標にしていました。馬場馬術(馬場)と総合馬術(総合)も馬はそろっているので、(失敗が)何もなければ団体3位は獲れると信じていました。

――初日の障害馬術の13年ぶりの団体優勝を振り返っていかがですか

 馬は今年(早大馬術部に)来たアルボアと、元々スーパーホースだった稲嵐の2頭がそろっていて、あとプリンチペスコの3頭でした。確実な2頭がいた上でどれだけ私とプリンチペスコが減点を少なくして(ゴールに)帰ってこれるかが大事なところでした。チームで助け合いながら優勝をかなえられて良かったと思います。

――2日目の馬場馬術についてはいかがですか

 無難にいけたらなとは思っていました。少し調子が悪かった馬もいれば、それなりに点数が出た馬もいて全体的には失敗という印象にはなりませんでした。ですが、やはり全日本学生に向けて考えると、どの馬もレベルアップしないといけないと思っています。

――3、4日目の総合馬術についてはいかがですか

 確実な3頭だとは思っていたので、その通りにいけたと思っています。ですが、能力的にはより上を狙える馬たちだったので、3位より上の順位を狙えたかなという悔しさは少しあります。

――最後の全日本学生に向けて個人としての意気込みをお願いします

 今までやってきたことを全力で出し切ることは目標にしています。ですがどの馬ともまだまだ良い思い出や結果を残せるように普段からしっかり練習をしていきたいと思います。

――チームとしての意気込みをお願いします

 障害団体優勝を達成すると56年ぶりになるので、関東学生で優勝できたので、次は全日本学生で勝てるようにトレーニングを積んでいきたいと思います。他の馬場馬術、総合馬術もチームで補い合いながら、どんどん高みを目指していきたいです。

坂藤仁美(教4=東京・順天)

――大会を終えて率直な感想はいかがですか

 最後の総合障害では全員減点0で、良いかたちで締めくくることができて良かったと思います。

――今大会の目標としてどんなことを掲げられていましたか

 4日間同じ馬に乗ることになったので、馬の体調を崩さないように全ての競技を無事に終えることを意識していました。特に総合馬術は初めてのEV100だったので、大きなケガなく、そして前回よりも早く帰ってくることを意識していました。

――総合馬場では65%を超える得点率となりましたが、振り返っていかがですか

 もう少し点数が伸びるかなと思っていたのですが、つまずいてしまった部分もあったので、少し物足りない結果でした。

――総合馬術全体を振り返っていかがですか

 前回よりは馬を前に出しながらコントロールできたと思ったのですが、物足りないタイムでした。ですが、自分としては初めてのEV100だったので、まずは3種目無事に終えて帰ってくることができたのはとても嬉しいです。

――全日本学生に向けて意気込みをお願いします

 馬はとても経験豊富なので、今回のように馬と人の両方が良い状態のまま戦っていきたいです。

鶴見汐花副将(スポ3=栃木・佐野日大中教校)

――3位という団体成績を振り返っていかがですか

 1位、2位の大学が強豪なので今の早大には3位が当然の結果だったと思います。

――今大会の目標としてどんなことを掲げられていましたか

 まずは障害馬術の団体優勝です。あとは障害馬術の個人優勝も狙っていました。

――その障害馬術では個人2位、団体優勝という結果になりましたが、振り返っていかがですか

 団体に関しては良いチームワークで「これぞ団体戦」という感じでみんなで協力して獲れた1位だったので、良かったと思います。個人の方では最後のジャンプオフで攻めた結果の障害物1落下の2位という結果だったので、仕方ないかなと思っています。勝ちたかったは勝ちたかったのですが、守りに入った2位ではなく攻めた2位だったので後悔はありません。

――障害馬術は強みにしていきたい種目ですか

 障害馬術は大学に入る前から専門にやってきた種目で、大学入ってからも良いパートナー(馬)と出会えて、今でも自分の武器になっています。

――2日目の馬場馬術についてはいかがですか

 馬場馬術についてもできる限りのことはやり切ったので、団体成績は良くありませんでしたが、演技について悔いはないです。

――3、4日目の総合馬術についてはいかがですか

 私のペアの馬(エオウィン)は能力の高い馬なので、その能力を良い方向で生かしていきたいと思っていたのですが、クロスカントリーでは私の種目の経験が足りずに馬の邪魔をしてしまい、1反抗という結果になってしまったので、これを全日本学生につながる良い経験にしていきたいです。

――全日本学生に向けて意気込みをお願いします

 関東学生の勢いのまま全日本学生の障害馬術も団体優勝を目指したいです。3種目総合も3位以内入賞を狙いたいので、チームワークを高めてみんなで勝ち取りたいと思います。