現体制最後の試合 接戦となるも惜しくも準優勝

馬術

 この試合をもって4年生が引退となる全慶應対全早稲田定期戦。2日間にわたってホームとなる早大東伏見馬場で開催され、1日目には馬場馬術競技L1課目及びS1課目と現役小障害飛越竸技(小障害)が、2日目には高校戦、OB戦とともに現役中障害飛越竸技(中障害)が実施された。2年連続の優勝を目指す早稲田は初日の3種目を制し勢いに乗るも、2日目に慶應に勝ち点で並ばれ、競技規定により勝利を飾ることは叶わなかった。

L1課目で1位を獲得したマギー絵莉加と稲彩

 第1競技の馬場馬術競技L1課目には4人馬が出場。マギー絵莉加(政経3=東京・国際)と稲彩のコンビが最終得点率62.467%となりトップとなったほか、青田尚宏(人4=奈良北)とグランダーマも60パーセントを超える得点率を記録して3位に入る。3人馬が出場した第2竸技の馬場馬術竸技S1課目では、添川セレナ(政経4=東京・東学大国際中教校)とカプチーノAのコンビが最終得点率62.628%で2位と早稲田勢で最上位となったほか、吉田光佑(スポ3=東福岡)とロッキーロイヤルも僅差で3位と続いた。第3競技の小障害には、6人馬が出場。坂藤仁美(教3=順天)とプリンチペスコ、熊田泰希(法3=早実)とデクスターの2コンビが減点なしでジャンプオフに進出し、坂藤は1位、熊田は3位という成績となった。以上の3種目で早稲田は勝ち点7を獲得。「初日に全勝して勢いをつける」という目標の通り、勝ち点3の慶應をリードして1日目を終えた。

小障害でジャンプオフを制した坂藤仁美とプリンチペスコ

 そして迎えた2日目。第4競技の高校戦と第5競技のOB戦を落とした早稲田は、勝ち点を2点リードした状況で最後の中障害を迎える。3人馬が出場し、鶴見汐花(スポ2=栃木・佐野日大中教校)と稲嵐がジャンプオフに進出した一方で、髙田雅(人3=大阪女学院)とプリンチペスコが総減点4で4位、吉田とアイシングラーが総減点12となるなど勝ち点を積み重ねることができず、全競技を終えて両校の勝ち点が並ぶこととなった。同点の場合は中障害の結果によって勝敗が決定されるため、早稲田はあと一歩のところで優勝を逃した。

 今年最後となる試合を勝利で飾ることはできなかった早大馬術部。悔しい結果となったものの、全日本学生馬術大会や関東学生馬術競技大会といった大舞台の経験者の多くは新体制のチームに残る。この経験を胸に、さらなる研鑽を重ねていくことを期待したい。

(記事 齋藤すず、写真 有川隼翔、横山勝興)

結果

▽第1競技 JFE馬場馬術競技L1課目 2013(2021年更新版)

○早稲田2−1慶應

優勝 マギー、稲彩 最終得点率62.497%

3位 青田、グランダーマ 最終得点率62.000%

5位 牛尾、稲翼 最終得点率59.400%

6位 髙田、如月 最終得点率59.133%

▽第2競技 JFE馬場馬術競技S1課目 2013(2021年更新版)

○早稲田3−1慶應

2位 添川、カプチーノA 最終得点率62.628%

3位 吉田、ロッキーロイヤル 最終得点率62.435%

5位 鶴見、稲彩 最終得点率58.589%

▽第3竸技 現役小障害飛越竸技(100cm)

○早稲田2―1慶應

優勝 坂藤、プリンチペスコ 減点0 タイム56.13 JOタイム33.62 総減点0

3位 熊田、デクスター 減点0 タイム54.63 JOタイム31.76 総減点4

6位 牛尾、アイシングラー 減点4 タイム53.46

7位 森、稲嵐 減点4 タイム54.66

45秒E 伊藤、稲煌

二反抗E 吉實、ラトゥールブリエ

▽第4競技 高校生障害飛越競技

●早稲田1−2慶應

▽第5競技 OB障害飛越競技

●早稲田1―2慶應

▽第6競技 現役中障害飛越竸技(110cm)

●早稲田1―3慶應

2位 鶴見、稲嵐 減点0 タイム69.50 JOタイム30.59 総減点0

4位 髙田、プリンチペスコ 減点4 タイム68.88

6位 吉田、アイシングラー 減点12 タイム69.91

▽最終結果

優勝 慶應義塾大学

2位 早稲田大学

(勝ち点は同数となるも、競技規定により現役中障害飛越競技の結果から勝敗を決定)

コメント

牛尾哉太主将(人4=兵庫・福崎)

――1日目のチーム全体の結果を振り返っていかがですか。

チームの結果としては、L1課目もS1課目も小障害も勝って、今日の競技は全勝することができたので、明日に向けてかなり勢いをつけることができたと思います。

――L1課目でのご自身の演技を振り返っていかかですか。

稲翼という馬と出場させていただきましたが、結果が59.400%で、今までの中で最高得点を出すことができたので、そこは一つ満足していいます。ただ、自分の目標としていた60%に少し届かず、演技中にイレギュラーなことが起こって、点数を下げる要因となってしまったところは、少し後悔が残っているところです。

――小障害についてはいかがですか。

アイシングラーという馬と出場しましたが、最終障害で落下があって、減点4という形になりました。去年の早慶戦と同じ結果になってしまい、悔しくて仕方がないです。

――早慶戦にはどのような気持ちで臨まれましたか。

4年生の私たちにとっては引退試合で、一味違うような特別な試合ですし、4年間で捧げてきたものを全てここで発揮しようと思って臨みました。全体としては、ここで代替わりするので、1年間の総括みたいな立ち位置だと思います。

――主将としての1年間を振り返っていかがですか。

非常に大変で頭を悩ますことも多かったんですが、振り返ってみると非常にやりがいのある仕事ばかりで、来年から社会人としても役立てるような人間になり、人間としても大きく成長することができたのかなと思っています。

――馬術部での4年間を振り返っていかがですか。

大学から馬術を始め、早慶戦に出させてもらえることは、目標にはしていましたが、「現実と理想は違うよな」という風に思っていました。それでも、努力を続けていく中で、早慶戦の出場という目標を果たせたというところは非常に満足しています。ですが、結果は悔いの残るものになりました。

――最後に、後輩の皆さんへのメッセージをお願いします。

全日本(全日本学生馬術大会)や関東学生(関東学生馬術競技大会、関東学生女子馬術競技大会)の主戦力のメンバーは、来年もほとんど残っているので、今までよりさらに上を目指していけると思うので、これからも頑張ってほしいなと思います。

森玲旺那副将(社4=神奈川・桐蔭学園)

――まず小障害の方から感想をお願いします。

個人としては本当に最後の大会だったので優勝することが目標だったのですが、自分の中の甘さから最後にツケが回って結果が出なかったです。甘さが出たのは自分の中でのやり切った感です。関東幹事長という試合を運営をしている団体の長をやっていたのですが、3週間ほど前にそれが終わって自分の中でやり切った感につながって緩みが出てしまったかなというところですね。それが今回の結果につながりました。ただチームとして初日の三戦すべてに勝ってよかったです。

――4年間の振り返りをお願いします。

実のある大学生活にしたいという目標は、結局留学や馬術部で関東管理者のトップや副将だとかを務めることで達成に近づけました。精神的にも身体的にも成長できたと思います。ですが、全体的には悔いが残りました。自分が燃え尽きやすい性格で1年生の時に優勝して以来、自分の中で燃えたぎるものがなくなっていました。4年生になってから試合馬のジョルジオ・アルマーニを預かることになったのですが、本気になることができず役を解かれたこともありました。馬術部の生活面では未練や悔いの残るものではありました。

――副将として1年を振り返っていかがですか。

主将が全体をまとめてくださったので、副将としての目標はチームとしての結束を高め意見を言い合える環境を作ることを掲げていました。最後の方には下級生からも意見が届くような部活になってきたと思うので、成し遂げることができました。

――最後に、後輩へのメッセージをお願いします。

良い成績を残して先輩のミスを拭ってもらったので、今後の期待が高まります。私たちが果たせなかった六大学優勝に向け挑戦していって欲しいです。

添川セレナ主務(政経4=東京・東学大国際中教校)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか。

カプチーノAとS1課目を出させていただいて、私自身も馬も最後の大会だったので有終の美を飾れるようにと思っていましたが、最後に得点に響く大きなミスをしてしまったので少し悔いが残る形になったと思います。ただ、審判の方やお世話になった方には良かったねと褒めていただいたので成果を挙げることができたとも思います。馬の調子は、今まで乗ってきた中では一番元気で、前向きな状態で、一緒に頑張ってくれました。

――馬術部の4年間を振り返っていかがですか。

私はいろいろな馬に乗せていただく機会に恵まれて1年の時から馬場馬の稲彩を担当させていただいて、レベルの高い馬に高い頻度で乗せていただくことがあったので基礎的にも自分の力になりました。その後も競技馬をはじめとしてさまざまな馬を任せていただき、自分で考えたりいろいろな経験をさせてもらうことが多かったです。その点で様々な機会に恵まれたことを感謝しています。カプチーノと1年間ずっと頑張ってきて怪我も多かったですが、ここまで一緒に来ることができて良かったと思います。どの馬も性格が違って様々なことを学ばせてもらいました。

――主務としては1年間いかがでしたか。

正直なところ就任前は主務の仕事についてあまり内容が思い浮かんでいませんでした。実際は試合後まで毎回忙しくて,一番事務作業が多い役割だったので根気強さが求められました。それでも自分のスキルアップとしては有意義な仕事でした。

――最後に後輩へのメッセージをお願いします。

ありきたりですが、馬術は馬がいなければできないスポーツなので馬を何よりも最優先にして、活動にこれからも真摯に取り組んでいって欲しいなと思います。

伊藤悠貴(スポ4=三重・津)

――1日目のチーム全体の結果を振り返っていかがですか

「初日全部勝って勢いつけよう」という話はしていたので、個人の目標は達成できなかった部分はあったかもしれませんが、結果としてとりあえず勝って、明日の高校戦、OBOG戦、中障害につなげられたのはすごく良かったと感じています。

――ご自身の小障害での演技を振り返っていかがですか

馬(稲煌)の調子も良くなくて、自分もずっと不安な気持ちで今日を迎えたので、あまり高い目標を持てていなかったところは、良くなかったところだと思います。それがやはり馬にも伝わったのかな、と思っています。失権という形に終わり、内容的にはもう少しいいものを作り上げることはできたのかな、という後悔は残りました。

――早慶戦にはどのような気持ちで臨まれましたか

本当にこれが最後の引退試合で、今までやってきたこと、色んなOBさんや色んな人に教えてもらったことをここで全部発揮できるというのが、一番の良い演技をするということだったと思います。ですが、(結果が出ず、)プレッシャーと自分がうまくできないというもどかしさが自分の中ではすごくつらかったです。やりきれなかったですし、改善点はどんどん浮かんできます。それでも、「できることをやろう」というつもりではいたので、その点については精一杯やれたと思います。

――馬術部での4年間を振り返っていかがですか

実は2年生のときまでフェンシング部にいて、2020年1月に馬術部に移籍して、馬術部で活動したのは2年間でしたが、どちらも「やりきったな」と思っています。それぞれの部で早慶戦に出させていただいて、「本当に人に恵まれたな」というのが実感としてありました。結果がついてきたかどうかについては、自分として納得のいかない部分はありますが、これだけいろいろな機会を与えてもらったというのは満足しています。

――最後に、後輩の皆さんへのメッセージをお願いします

自分は2年間しか馬術部に所属していなくて、もっと馬のことを知りたかったというのはありますし、もっと大きな試合に出たかったなというのは、後悔としてありました。ですが、大学1年生のときから馬術を始めている選手たちはみんなそのチャンスがあると思います。なので、自分が使える武器を精一杯活用して、一番最後まで満足できるような形で、4年生の早慶戦を迎えてくれるのがベストだということをお伝えしたいです。

青田尚宏(人4・奈良北)

――はじめに、各競技の感想をお願いします。

昨日まで本当に良くなくて不安な気持ちが大きかったですが、今日は馬の調子もとても良くて希望が持てました。実際、うまくいったのでうれしかったです。

――馬術部での4年間はご自身にとってどのようなものでしたか。

大学に入ってから馬術競技を始めたので全てが新しいことばかりでした。ここまで来られたのは、いろいろな人の存在が大きかったです。チームの一員として今日できた事はすごくうれしかったです。

――最後に後輩へのメッセージをお願いします。

毎日がんばって悔いのないように練習していって下さい。