石山・吉田 惜しくも準決勝進出かなわず

馬術

 11月16日、5月に開催された関東学生選手権大会9位の吉田光佑(スポ1=東福岡)と関東学生女子選手権大会5位の石山晴茄副将(スポ4=茨城・つくば秀英)が、それぞれ全日本学生選手権大会(選手権)と全日本学生女子選手権大会(女子選手権)に出場した。全国から実力者が集いしのぎを削る今大会、吉田・石山は1回戦を突破したものの、一歩及ばず2回戦で敗退となり、2日目進出はかなわなかった。

2回戦の吉田の演技

 選手権・女子選手権において、選手たちは4人ずつのブロックに分けられる。ブロックごとに同一の貸与馬に乗り、上位2名が勝ち上がる方式だ。2日間かけて行われる大会初日の1回戦・2回戦は馬場競技である。全日本初出場である吉田は、ドーノダルチェーロに騎乗するほかの選手たちを観察し、自身の演技に生かすことができたという。「あまり反応がよくない」馬だったとしつつも63.070パーセントで通過する。石山は、試合後に「ものすごく緊張しました」とコメントしていた1年生のころから時を経て、経験に裏付けられた余裕を見せた。ベルナルドMに乗るにあたって明大の選手からもらったその動画と比較して、普段よりコミュニケーションをとっている馬ではないことによる悪手はあったものの、ブロック内トップの成績となった。

 吉田・石山両方が2回戦進出を決めた後の抽選会で、2回戦の石山の出番は一番になった。石山自身が若干の緊張に見舞われる中、貸与馬ダイナも落ち着きを失った状態であった。5分間に馬の状態に気を払う余裕はあまりないまま本番を迎える。演技開始直後は順調だったものの、ミスをするとそれ以上ミスを増やさないように気が急いてしまうという、自身の傾向が表れた試合だったと石山は語った。一方吉田はブロック内最後の出番だった。すでに3人の選手が鞠風を乗りこなす様子を見た吉田は、「正直全然勝てる気がしなかった」という。緊張しやすい性格だが、自身の実力を出し切る機会だととらえることで気負わずに臨むことができた。石山は59.649パーセント、吉田は64.737パーセントでブロック内3番目の得点率となり、惜しくも準決勝への道は断たれた。

2回戦の石山の演技

 1年時に獲得した2位以上の成績を目指していた石山にとって苦い結果となった。吉田は大会プログラムに綴った「日ごろの成果を発揮し」たいという抱負を実現する形となったが、悔しさも残っている。石山は早慶戦での勝利を、吉田は来年以降の飛躍を誓った。

(記事 日野遙、写真 日野遙)

コメント

石山晴茄副将(スポ3=茨城・つくば秀英)

――前回以上の成績を目指されていたということでしたが、どのような練習をされていましたか

どんな貸与馬に当たるかがわからなかったので、早慶戦をひかえていることもあり、とりあえずいつも自分が乗っている馬で姿勢など基本的なことをしっかりやるように気をつけようと思っていました。あとは自分の関東(学生女子選手権大会)の時のビデオを見て経路を振り返って、「どんな感じだったかな」とイメージトレーニングし直すことはやってはいました。

――1回戦のベルナルドMはどのような馬でしたか

すごくいい子でした。たぶん若い子だと思います。前日のくじでベルナルドに乗ることはわかったので、明治の選手によかった時のビデオを見せていただいて。ビデオ通りには乗れませんでしたが。反応もよく、よく動くし、じっとおとなしくしてもいられる子なので、自分が余計なことをというか、変な風にコントロールしようとしなければ、少しおさまってくれたかなと思います。そんなにコミュニケーションをとれている馬でないので、やりすぎちゃったというか。

――2回戦のダイナは

本当はすごくいい子だと思いますが、雰囲気に飲まれていたのかコーチの人も「今日はいつもよりも落ち着きがない」と言っていました。一番をひいちゃったので馬がバタバタしちゃって全然集中力が無くて、他の馬などをすごく嫌がったりしていました。そこは「自分に落ち着かせられるほどの力があったら」「もう少し馬をリラックスさせてあげられたら」と思いました。たった5分しか乗れないので経路の科目の中のものを確認することに必死になってしまっていて、馬を落ち着かせてあげることに思考が強くならなかったのが反省点かなと思います。

――馬について以外で1回戦・2回戦のご自身の演技を振り返ってみていかがですか

正直なところ確実性がないかなと。いつも入場して始まりの方は悪くないのですが、一個悪いことが出てくるとどんどん焦ってしまって、「ちゃんとやらなきゃ、ちゃんとやらなきゃ」ってなるところがあとあと悪い面に出る感じがあります。そういうところを落ち着いてできたらまた結果は違ったのかなと思います。ダイナのときは全体の中の一番だったので正直少し緊張したのですが、緊張というよりは、自分がミスをしてしまったところをほかの選手が失敗しなかったら確実にほかの選手よりそこで点数が下がってしまうので、「何とかこのあとミスをしないように」とか「見栄えがよくならないと」っていう焦りが出てきてしまいました。見栄えとかをあまり気にしないで、すっと馬に任せられるところは馬に任せて乗っていけたらもっと上手に乗れたかもしれません。

――前回の1年生の時の試合より成長した点はありますか

1年生から4年生にかけて、知り合いがすごく増えてきたので、昔より情報量はたくさん得られるようになりました。成長かはわかりませんが(笑)。さっき緊張って話が出ましたが、1年生のころはそれこそ、この試合がどういう試合かもわからず、今回は吉田と二人で出ましたが、自分一人だけが全日本に残ってしまったので、誰に何を聞いたらいいのか、どういうことをしたらいいのかが全然わからなかったんです。何もわからないままただ緊張して出ていたので、そのあたりのやり方と余裕がでてきたのは成長かなと思います。最終的に結果は1年生の時の方がよかったんですけどね。

――早慶戦に向けて一言お願いします

早慶戦は自分が入ってからずっと慶應に負けているので、最後、自分が4年の代で絶対に慶應に勝つっていうのは100パーセントだと思っています。そのためには、まずは自分がすごくいい馬に乗せていただいているので、自分の乗る馬で確実に優勝をとって一番高いポイントをとりたいなと思っています。

吉田光佑(スポ1=東福岡)

――試合中はどんなことを感じましたか

2回戦がすごくうまい選手たちと当たったので、その人たちより上に行けるように馬をうまく動かそう、動きをよく見せようと思ってやりました。

――1回戦を振り返っていかがですか

1回戦の馬(ドーノダルチェーロ)はあまり反応が良くない馬でした。それで同じブロックの選手たちにもきっとよくないところがあるだろうということで、周りの人の演技を見て、自分も失敗しないように注意していました。

――2回戦の演技はいかがでしたか

最後に乗ったんですが、(先に乗り終えた)ほかの3人がすごく上手だったので、もう正直全然勝てる気がしなかったです。もう、自分が今できることをやろうと。持っているものは出せたので、悔しいですけど今の実力かなと思います。

――2回戦でブロックのほかの選手が強かったということですが、そういうときには緊張されますか

します。僕はすぐ緊張するタイプなので、固まっていつもの演技ができないことはよくありますね。でも、今回はいつもより気楽に行けました。たぶん、本当に前の三人がすごくよかったので、もう、今できることをやろうと思っていたからだと思います。

――今回に向けて練習されていた点はありますか

全日本学生からこれまで短い間だったので特にないです。言い訳ではないですが、練習もあまりできていなかったので、全然ないですね。

――今後の意気込みを一言お願いします

今の自分より、来年、再来年もっと上に行けるように頑張っていきたいと思います。