関東学生争覇戦(争覇戦)が2日間にわたって行われた。今大会は対戦する双方の大学が規定の頭数の馬を出し合い、互いに騎乗し合って勝ち点を奪取するトーナメント方式のもので、早大は1部校として出場。昨年の6位、そして一昨年の5位という成績を上回ることを目標に挑んだものの、初日の専大戦で敗北し、早くも5位以下が確定してしまう。しかし、その後はチームで団結して翌日麻布大に勝利。5位でこの大会を終えた。
「まずは1回戦に勝つことが本当の最大の目標で、そしてそこで勢いがついてそのまま去年や一昨年を超えていける結果を出すのが目標でした」(山口ありさ主将、文構4=東京・恵泉女学園)。4年前の争覇戦では63年ぶりの優勝を果たし、その翌年も2位という好成績を収めていたものの、ここ2年間は初戦を落とし、下位に甘んじていた。今年こそは上位へ。そう意気込む早大馬術部の前に立ちはだかったのは、6月に行われた関東学生競技大会三種目総合で2位に入った強豪・専大。自馬で確実に勝ち点をつかみたいところであったが、3人馬中勝ち点を獲得したのは減点0のパーフェクトな走行をした石山晴茄(スポ3=茨城・つくば秀英)・タニノマティーニ組のみ。貸与馬で2つ勝ち点を取り3—3としたものの、総減点差で616—346と大きく離され敗北し、翌日の5位決定戦に回ることとなった。
1回戦で減点0の走行をした石山とタニノマティーニ
5位決定戦の相手は、前日の1回戦後に行われた5位以下決定戦の勝者・麻布大。「絶対意地でも勝たなきゃいけない」(山口)。部員一同が初日の悔しさを胸に試合に挑んだ。前日唯一減点0で走行した石山は、この日もタニノマティーニに騎乗。「もう少し2走行目でいいタイムが出せたら良かった」と語ったように納得のいく走行ではなかったが、それでも昨日に引き続き減点0でまとめた。また、山口が3月以来久しぶりにペアを組んだ稲帥で、大沢暁音(スポ1=茨城・真壁)が貸与馬でクリアラウンドし勝ち点を獲得。1回戦同様貸与馬に騎乗した山下大輝(スポ2=宮城・東北)は、テンポ良く障害を飛び越えていくことを意識し、結果的に相手選手を上回るタイムをマークした。1回戦とは打って変わり、5位決定戦では多くの選手がミスのない走行をした早大。4—2で麻布大に勝利し、最終成績を5位とした。
5位決定戦で好タイムを残した山下
当初の目標こそ達成できなかったものの、最後に勝ち切れたことは選手それぞれに収穫をもたらしたに違いない。来週には全学習院対全早稲田定期戦が迫っている。11連覇を達成し、『覇者ワセダ』の底力を見せることができるか注目だ。
(記事、写真 宇根加菜葉)
結果
▽1回戦
●早大3(総減点616)—(総減点346)3専大
○福田かおり副将(スポ4=神奈川・公文国際学園)—永末奈々 フェアリーパウダー(専大)
●大沢—中西由宇 稲純(早大)
○武井梧右(スポ2=東京・東農大一)—西野翔 ミミ・ジャンディーユ(専大)
○石山—丹治翔 タニノマティーニ(早大)
●山下—近藤直人 リバーソウル(専大)
●山田雪乃副将(文4=群馬・渋川女)—楫川徳都 稲翼(早大)
▽5位決定戦
○早大4—2麻布大
○大沢—伊藤大輝 麻駿(麻布大)
●下愛理彩(社3=東京・早実)—大川翔吾 稲純(早大)
●山田—濱崎結 セレブウィーク(麻布大)
○石山—大町彩花 タニノマティーニ(早大)
○山下—外川ひかる ウエストヘブン(麻布大)
○山口—中井花 稲帥(早大)
最終結果
優勝 日大
2位 専大
3位 明大
5位 早大
コメント
山口ありさ主将(文構4=東京・恵泉女学園)
――今大会では部としてどのような目標を持っていましたか
まずは1回戦に勝つことが本当の最大の目標で、そしてそこで勢いがついてそのまま去年や一昨年を超えていける結果を出すのが目標でした。
――山口選手は5位決定戦のみの出場となりましたが、どういった意識を持って臨まれましたか
1回戦で自分は出場してなくて貢献できなかった分、5位決定戦で確実に勝ちにいこうって気持ちはあったんですけど、久しぶりに乗る馬だったので緊張もありました。昨日1回走行してみたらうまく息が合わないところもあったので、きょうはギャップを詰めながら、あとは攻めつつも、事故が今回多かったのでそういうことがないように丁寧に走行しようと心掛けました。
――稲帥との走行はいつ以来になりますか
3月の六大学(東京六大学競技大会)以来です。
――1回戦で負けた後、5位決定戦で勝てたことについては
そこは絶対意地でも勝たなきゃいけないなというふうに思っていたので、他の部員も昨日の悔しさを持って勝つ気で挑んでくれて、本当に勝てて良かったなと思っています。
――来週の全学習院対全早稲田定期戦(早学戦)への意気込みをお願いします
今10連覇していて、11連覇の期待も懸かっている中で、学習院の方も今度は負けないという強い気持ちで挑んできてるので、気を絶対抜いてはいけないなというふうに思っていて、もちろん勝つことは前提の気持ちでやりながらも、この早学戦を機会に後輩や部全体の技術や団結力を上がるような試合になったらいいなと思っています。
石山晴茄(スポ3=茨城・つくば秀英)
――1回戦、5位決定戦ともにタニノマティーニに騎乗しました
マティーニは元々担当していた馬で、ちょっと自信がありつつも気難し屋さんなので、気分でどう結果が変わるのかはわからなかったのですが、どっちもちゃんと帰ってこれて良かったかなと思います。
――馬の調子はいかがでしたか
馬の調子はベストではなかったですけど、悪くはなかったと思います。
――1回戦も5位決定戦も減点0で走行できたことについては
馬自体は減点が付くような馬ではないので、もう少し2走行目でいいタイムが出せたら良かったなというふうには思ってます。
――勝ち点も両方取れましたが個人的にはいかがですか
でも2走行目は運が良かったか悪かったかっていう・・・。普通にいってたら負けてたので、ラッキーかなという感じはしますけど、1走行目はマティーニが頑張ってくれていい走行ができたのは良かったです。
――満足感としてはあるのですね
そうですね、あると思います。
――来週には全学習院対全早稲田定期戦(早学戦)がありますが意気込みをお願いします
早学戦では自分の馬に他の先輩や同期も乗ります。一生懸命みんなで上にいけるように頑張れればなと思います。
山下大輝(スポ2=宮城・東北)
――1回戦、5位決定戦ともに相手の大学の馬でしたね
1回目は得意なタイプの馬で、2回目はあまり経験したことのないタイプの馬だったのですが、その時(試合中)に自分が考えたことはできたかなと思っています。
――1回戦は障害の落下が2つありました
1回目の人の走行を見て、その上で自分が乗ってみた時に自分がすごく好きなタイプの馬で、軽く乗ればいい馬だったので、軽いタッチでやれたのは良かったんですけど、練習馬場の3分間の間にそのままで良かった馬の状態を自分なりにもう少し変えた方が小さい回転ができるんじゃないかと思い、調整して馬のかたちが変わってしまい、それであんまり結果として良くなくなりました。それが敗因です。
――それを受けて5位決定戦はどのように挑まれましたか
きょうは結果としては良かったんですけど、止まるタイプの馬にはあまり乗ったことがなかったので、止まらないように乗れたのはいいんですけど、それを必要以上にやってしまったかなって。結果だけを見れば良かったけど、内容はもう少し改善するところがあったと感じています。
――前に乗っていた麻布大の選手が減点0で走行しており、タイムを上回らなければ勝てなかったことについてはいかがですか
基本的にタイムを速く攻めようと思ってたわけではなくて、とにかく止まらないようにいいリズムで強めに一個一個(障害を)飛んでいたら結果的に速くなりました。
――来週の全学習院対全早稲田定期戦への意気込みをお願いします
今度は自分の馬というのもありますし、しばらく試合がなかった期間に自分の馬をいろいろ調整しているので、それを試すいい機会というか、どれだけ自分と担当の馬が成長できたかというのを確かめるのも含めて、もちろん勝つことを前提に頑張りたいと思います。