今回で70回目を数える東京六大学馬術大会が3日間にわたって東京競馬場で開催された。歴史あるこの大会では個人の成績をポイント化して大学ごとの総合点の高さで順位を決める。健闘した競技、うまくいかなかった競技の明暗が分かれてしまい、早大は明大に大差をつけられ総合2位という結果となった。
1日目は馬場馬術競技(馬場)からスタートした。新人馬場では1位に石山晴茄(スポ1=茨城・つくば秀英)、3位に下愛理彩(社1=東京・早実)、4位に福田かおり(スポ2=神奈川・公文国際学園)と早大勢が上位に食い込み、幸先のよいスタートを切る。新たに早大馬術部にやってきた稲薫とペアを組んだ石山は「新人馬場は大きなミスなく無難に帰ってこれたので自分と稲薫の最低限のことはできたかなと思います」とこの競技を振り返った。続いて行われた学生賞典馬場でも三川莉奈(基理3=東京・東農大一)が優勝し、順調にポイントを重ねていく。「純粋に今まではそこ(1位)まで行けなかったので、嬉しいという気持ち」(三川)
落ち着いた演技を見せる三川とカプチーノA
しかし、2日目、3日目に行われた複合馬術競技では苦しい戦いとなった。馬場では、山田瑞月(創理3=栃木・立教英国学院)が8位、石山が10位と出遅れてしまう。続く障害飛越競技(障害)で巻き返しを図りたいところだったが、山田は馬の反抗をとられてしまい減点、さらにタイムでも減点をとられ7位でこの競技を終えた。対する石山は障害減点、タイム減点共に0に抑え、4位まで順位を上げた。最後の競技である中障害には石山1人が出場。1走行目を減点なく終え、順位決定戦であるジャンプオフに進んだ。合計3名の選手がジャンプオフに進み、石山は2走目。しかし、第1障害を跳び超えることができず、そのまま落馬、失権してしまう。結局3位でこの競技を終えた。
障害を越える石山とゾビオン
総合2位で終わった今大会。結果が出た競技、思ったように結果が出なかった競技と様々だが、「今回は人数も少ない六大学という試合ですが、関東の試合になると選手も増えるのでその中で上を目指そうと思います」と三川が語るように選手の目は次の試合に向いている。次の公式戦は関東学生選手権大会。馬術部がさらに進化した姿を見せてくれることに期待したい。
表彰後の選手たち
(記事 佐藤詩織、写真 佐藤詩織、喜柳純平)
結果
六大学総合順位
優勝 明大 140
2位 早大 85
3位 慶大 62
新人馬場
優勝 石山晴茄・稲薫
3位 下愛理彩・エーデルシュタイン
4位 福田かおり・カプチーノA
学生賞典馬場
優勝 三川莉奈・カプチーノA
5位 石山晴茄・稲薫
7位 下愛理彩・エーデルシュタイン
複合馬術競技
4位 石山晴茄・ゾビオン
7位 山田瑞月・稲嵐
新人障害
5位 石山晴茄・タニノマティーニ
中障害
3位 石山晴茄・ゾビオン
コメント
三川莉奈(基理3=東京・東農大一)
――カプチーノAとご自身の調子はいかがでしたか
以前は足の調子も悪かったんですけど、調子も良かったですが、久しぶりの試合でどうなるかわからなくて、不安もありました。――演技を振り返って良かった点、悪かった点などあれば教えてください
指導していただいた方に助けていただいた部分もありました。今までよりも元気に馬が動いてくれて、それを完全に活かしきれなかったので、その状態に自分で持っていくことと、せっかく馬がいい状態で、もともとなんでもできる馬なので、もう少し馬の持つ能力を生かせればよかったなと思います。
――助けていただいた部分はどのあたりですか
人と馬のコミュニケーションの部分ですね。うまく人間が馬に伝えられないと馬もよくわからなくなってしまいます。馬との約束事というのを先に作ってもらえると乗ったときに乗りやすくなるので、そういうものを作ってもらうイメージですね
――結果的には1位に輝かれましたが、それについてはどのように考えていらっしゃるのでしょうか
純粋に今まではそこまで行けなかったので、嬉しいという気持ちと今回は人数も少ない六大学という試合ですが、関東の試合になると選手も増えるのでその中で上を目指そうと思います
――次戦に向けて意気込みをお願いします
練習でも色々な馬に乗る機会が増えたので、それを少しでも周りの人に上手くなったなと思ってもらえるようになりたいと思います石山晴茄(スポ1=茨城・つくば秀英)
――今大会は全種目に出場しましたがどのような準備をしていましたか
今回は頭数が多かったので、どの馬も手を抜かずにしっかり乗れるように意識はしていました。準備も4頭乗るからといって1頭、1頭手を抜かずに適当にならないように調整はしていました。
――稲薫との相性は
稲薫は1ヶ月前に来た馬だったので、馬自体のことを全然理解していませんでした。とりあえずは新人馬場だけの方をしっかり回れれば、学典の方は自分が慣れていなかったので、新人馬場だけはしっかりと帰ってこれるような方に持っていこうと考えてました。相性の方は結果としてはそんなに悪くはなくなってきたかなというのはあります。
――新人馬場の演技を振り返って
新人馬場は大きなミスなく無難に帰ってこれたので自分と稲薫の最低限のことはできたかなと思います。学生賞典の方はレベルが達していないにしろ、もう少しできたことはあったなと思っています。
――新人馬場では1位になりました
そうですね。1位に関してはまぐれです。関東とかになればもっとすごい人たちがたくさん出てくるので、今回はまぐれかなと思っています。
――学生賞典の5位の結果について
内容が悪すぎたので、なんとも言えないのですが今回は練習という形ではきていると思います。結果に関しては何も文句はないんですけど、内容がもう少しついてこれるようにしていきたいと思っています。
――八大学の馬場の演技を振り返って
元々ゾビオンが枠の中に入ったことがない馬だったのでまず、どうなるか分からないところから始まりました。思った以上に馬が暴れてしまったというのはやはりあったのですが、最低限の準備はもう少しできたのかなと思います。
――障害のタニノマティーニとの相性は
タニノマティーニは元々は自分の担当馬なんですけど、全然今回時間があんまりなくて準備が出来ていませんでした。でも馬自体がどの馬よりもいい馬なので、あそこで自分の雑な部分が出てしまったのがとても悔しいです。
――障害では反抗がありました
自分の雑な部分が原因だと思います。
――2日目からはどのように切り替えましたか
ゾビオンは元々障害馬なので、障害で実力を発揮できればいいなと思っていました。昨日が駄目だったので今日は中障害に向けての調整という感じでやっていました。
――障害を含めての結果は4位でした
内容がとても良くなくて、ちょっと馬に走られた部分と自分の感覚のミスがかなりあったので、4位に関しては結果よりも内容の方が気になりますね。
――中障害の走行を振り返って
1走行目が馬がやる気が出ていて自分の中でもつかめたものがあったので、本当はジャンプオフでそこを活かしたかったのです。しかし今大会は3日間全体的に自分の感覚が全く良くなくて、馬たちがどの馬もやる気があるのに自分の感覚がついてきませんでした。自分の駄目なところで馬を怪我させてしまったというのが本当に悔しいです。
――3位の結果について
ゾビオンの頑張りの順位なのかなと思います。もう少し上にはいける馬だったので少し悔しいですけど結果は嬉しいです。
――次の関東学生選手権に向けて
選手権は去年全日本まで行かせていただいてるのですが、きょねん全日本に行けたからといってことし関東に行けるとは全然思っていません。関東はすごい強い人達がたくさんいるので、気を抜かずに自分で努力して運も持っていきつつ、頑張っていこうと思っています。