前期の山場である関東学生三大大会の一つ、関東学生賞典総合馬術競技大会が開催された。ことしの前期はあまり思うように成績を残せていないワセダ。今回も団体で表彰台に登ることは出来なかった。個人では山田瑞希(創理3=栃木・立教英国学院)・稲師は棄権となってしまったものの、石山晴茄(スポ1=茨城・つくば秀英)・稲隆組が4位、工藤千明(人4=東京・三鷹)・アイシングラ―組が8位に輝くなど、各々収穫はあったようだ。
梅雨空の下始まった1日目、調教審査である馬場馬術競技(馬場)が行われた。高得点を出し2日目に弾みをつけたいところだったが、山田・稲師組は53.74%と沈んだ。その後、稲師の脚の怪我のため、山田は1日目で棄権してしまう。石山・稲隆組、工藤・アイシングラ―組はともに60%以上の得点率でまずまずの結果を残したが、「もう少し点数が取れるはずの馬だった」(石山)など、両者とも悔しさを語った。
演技をする石山と稲隆
初日とは大きく変わり、2日目は真夏のような天気で迎えた。耐久審査であるクロスカントリー競技(クロスカントリー)では、疲れに苦しむ人馬も多くみられたが、工藤、石山両組減点なしの快調な走りを見せる。午後に入りますます日差しが強くなる中、続いて行われたのは最終競技である余力審査、障害飛越競技(障害)。馬の調子やクロスカントリー走行時の怪我などでこの時点で多くの人馬が棄権しており、参加者は耐久審査の半分ほどになっていた。まず走行したのは工藤・アイシングラ―組。しかしまさかの1落下により減点4点がついてしまう。手痛い失点となり、8位に終わった。続いて石山・稲隆組が出場。馬の脚が障害に当たるなど何回か危ない局面も見られたが、減点なしにまとめ4位に輝いた。
コースを駆け抜ける工藤とアイシングラ―
今大会ではっきりと弱点が浮き彫りとなった早大馬術部。「馬場の点数で結構上位の人たちと離されてしまった」と工藤が語ったように、特に馬場で高得点を出せるか否かは、秋から始まる大会に向けてカギとなってくるだろう。夏を経て個人個人が成長した姿が見られることを楽しみにしたい。
(記事 吉田安祐香、写真 喜柳純平、佐藤詩織)
表彰式後の選手たち
結果
関東学生賞典総合馬術競技大会 団体結果
優勝 日大
2位 専大
3位 明大
5位 早大
関東学生賞典総合馬術競技大会 個人結果
4位 石山・稲隆
8位 工藤・アイシングラ―
関東三大大会 総合団体結果
優勝 日大
2位 明大
3位 専大
5位 早大
コメント
工藤千明(人4=東京・三鷹)
――今大会にはどのような意気込みで臨まれましたか
障害と総合に出る予定だったんですが、どちらもすごく能力のある馬に乗せて頂いて、人の方が未熟なところがあるので、馬の邪魔をしないように最大限の努力をして結果が得られればいいなと思っていました。
――アイシングラーとの相性は
アイシングラーはとても難しい馬で、野外は絶対に帰ってこられるんですけど、最後のスタジアムが少し難しい馬で緊張しました。あとは最初の馬場の点数で結構上位の人たちと離されてしまったところがあったので、次までにはもう少し馬場の練習をちゃんとして、総合は人がミスしないようにだけ気をつけたいです。
――馬場について振り返っていかがですか
私があまり馬場の練習をして来なかったのもあって、どういうところで見せるだとか、どういう動きをしたらいいかがいまいち分からなかったんですが、試合に出る回数を重ねるごとに良くなってきているので、練習して62、3%を超えられるように頑張りたいです。
――クロスカントリーでの走行はいかがですか
この間は1反抗してしまって、その前まではタイムが漏れていたんです。馬自体はタイムイン出来る馬で、2年前の先輩なんかは30秒くらい早く帰ってきていたので、目標はタイムインすることでした。あとは馬を障害に対して真っ直ぐに向けられたら絶対に飛んでくれるので、人がミスをしないように気をつけました。
――続いて障害はいかがでしたか
元気よく元気よくと思ったら、前半は間の歩数が5歩のところを6歩で行ってしまったりして、前に行くことだけになってしまっていたので…。上手くできるかは分からないですけれど、回数を重ねてアイシングラーの良いところを見つけていけたらいいなと思っています。
――今回の結果についてはどうお考えですか
ミスしてはいけないところはあまりしなかったので、少し雑なところだとか、細かいところを挙げるとキリがないですけれど、人が大きなミスをしなかったので、今出来ることを最大限やった結果かなと思っています。最後に障害で1落下してしまったので、それがなかったらもう少し良かったかなとも思うんですけれど…。馬に全部助けられたので感謝しています。
――今後への意気込みをお願いします
馬もこれから暑くなってくるので、じっくり休養を取ってあげて、アイシングラーはメインは総合の試合なので、秋の全日本学生に向けてもう少し馬場の練習をちゃんとしていきたいなと思います。
石山晴茄(スポ1=茨城・つくば秀英)
――今大会はどのような意気込みで臨まれたのですか
早稲田の代表として関東大会に出て、これから全国大会に出るかどうかが決まりますし、いい馬にも乗せてもらっているので、なんとか2頭とも通りたいという気持ちがありました。
――きょうは稲隆と組まれていましたが、組むにあたってなにか準備したり、気持ちの面でなにか心掛けたりすることはありましたか
そうですね。この大会に標準を合わせて、メニューを作り、朝、学校に行く前も後も絶対にそのメニューをこなそうと思っていました。それから、OGではありませんが、コーチに五十嵐さんと佐々紫苑さんにもついてもらって2人にもしっかり見てもらいました。
――今回の馬場を振り返ってコメントをお願いします
馬場はもう少し点数が取れるはずの馬だったので、本当に自分の力不足だなと感じます。もう少し準備がちゃんとできればと思いました。
――クロスカントリーについてはいかがですか
クロスカントリーはまだ1回しかクロスカントリーのコースをまわっていなかったのですが、前回よりはよく跳べていて、アプローチはできていました。少し早く帰ってきすぎた部分があったので、そこだけ悔いが残ります。
――障害について振り返っていかがですか
稲隆は障害が苦手な馬なので、満点で帰って来られたのは本当に嬉しかったですね。危ない場面も少々ありましたが、そこはよかったです。
――今回の総合結果について自己評価をお願いします
馬場がよかったらもっと上に行けたのにという悔いはありますが、入賞できて嬉しかったので、稲隆のおかげでここまで来られたなという気持ちがすごくあります。
――次の大会に向けて意気込みをお願いします
全国大会に向けてはまず、馬場の調整をしっかりすることと、馬の体調管理もまだ波があるので、自分ができることを勉強しながら頑張っていきたいと思っています。