大澤主将が全国への切符つかむ

馬術

 関東学生選手権(選手権)と関東学生女子選手権(女子選手権)が3日間にわたって開催された。それぞれベスト8入りすると全日本学生選手権、全日本学生女子選手権への出場が決まる。早大からは選手権に河野貴大(スポ2=東京・東農大一)、女子選手権に大澤佳純主将(教4=神奈川・桐蔭学園)を含めた5名が出場。他の選手が敗退していく中、大澤主将はベスト4まで勝ち進み、見事全日本学生女子選手権の出場権を獲得した。

 選手権に出場した河野は1回戦の障害飛越競技(障害)では総減点なしの丁寧な走りを見せ、部班競技を行う2回戦に進出。「悪目立ちせずに帰って来られれば」と無難に演技をまとめ、1回戦との合同結果で順位を決めるこの2回戦を突破する。いよいよ全日本学生選手権出場が懸かる3回戦は、貸与馬戦による馬場馬術競技(馬場)が行われた。「乗りづらいタイプの馬だった」と振り返るように、普段乗り慣れない馬の扱いに苦戦。それが得点にも響き、3回戦敗退。あと一歩のところで全日本学生選手権出場を逃し、悔しさの残る結果に終わった。

貸与馬での馬場に苦戦した河野

 女子選手権の1回戦を突破したのは大澤主将、工藤千明(人3=東京・三鷹)、山田瑞月(創理2=栃木・立教英国学院)の3名。2回戦では選手権同様、部班競技が行われたが、工藤と山田は得点が思うように伸びず結局大澤主将だけが3回戦へと駒を進める。3回戦以降は自馬ではなく、貸与馬に乗ることになるため難しい戦いが予想された。しかし3回戦の馬場では落ち着いた演技で、対戦相手を30点近く突き放す高得点で圧勝。ベスト8入りし、全国行きを勝ち取った。さらに上位進出を目指し、準々決勝に挑む。準々決勝以降は馬場と障害の合計点で競われた。障害では2反抗で失権となったが、対戦相手も失権となったため馬場の得点で上回った大澤主将がベスト4を決める。迎えた準決勝。確実に得点したい馬場で、ミスが出た。障害の走行を前に開いた得点差は30点以上となり、決勝進出は絶望的に。障害では堂々と走り切り、1落下に抑えたものの大差を詰めることはならず。ベスト4で大会を終えた大澤主将は「全日本ではもう負けない」と全国の舞台でのリベンジを誓った。

準決勝で障害に挑む大澤主将

 今大会で勝敗を分けることになったのは、やはり馬場だ。来月には関東学生大会が控えている。「団体で上位を狙いたい」(大澤主将)。今回得た課題を克服し個々が力をつけていくことで、自ずと目標達成は見えてくるはずだ。理想の結果を手にするために――。早大馬術部の戦いは続く。

(記事、写真 稲満美也)

コメント

大澤佳純(教4=神奈川・桐蔭学園)

――今大会はどのような意気込みで臨みましたか

個人戦なので、団体でなく個人で入賞を目指そうと思っていました。

――今大会までの練習で特に力を入れていたことはありますか

1、2回戦は貸与馬でなく自馬に乗ることになっていたので、普段通りにやろうと心掛けていました。

――1回戦の障害では最後の登場でしたが、精神面で影響はありましたか

最後だからどうというのはなく、いつも乗っている馬だったのでいつも通りにやろうと思っていました。

――2回戦の部班では3位と好成績でしたが何が高得点につながったと考えていますか

馬自体がとても良い馬なので、あとは馬がカリカリしなければ良い順位を狙えると思っていました。それがちゃんと本番でもできていたことが高得点につながったんだと思います。

――3回戦と準々決勝は貸与馬戦でしたが、馬との相性はいかがでしたか?

3回戦の馬場に関しては、馬との相性は良かったと思います。(手綱を)持つとカリカリするタイプだったので、自分は優しい乗り方で乗ろうと思っていて、馬との相性も合っていると思いました。準々決勝は、馬場に関してはどうしようもないというか、ただ運動するだけで精一杯でした。なので、相性以前の問題だったかなと思います。障害に関しては、馬場同様どうしようもなかったのですが、馬に負けない強い気持ちを持っていたので、結果的には失権してしまったんですけど、そこはしっかりできていたと思います。

――障害での失権の要因をどう考えてらっしゃいますか

失権の原因は、まず馬が障害に対して飛ぶ気がないというのと、障害を怖がっているというのがあったので、なるべく人間がいいアプローチをして、馬が怖くないように障害を飛べればいいと思ったのですが、私が1回乗っただけでは直せなかったです。要因は、元々馬が持っていた癖や障害に対する気持ちが一番だと思います。

――準決勝の馬場を振り返っていかがですか

大きいミスを4つして手応えは全然なくて馬場は負けだろうなとやってる時から分かっていて、そのミスは全部自分のミスだったので、一個一個もっと丁寧にやればよかったなと思います。

――障害で巻き返そうというお気持ちでしたか

馬場の時点で30点差をつけられていて、(対戦相手が)障害で6落下しないと追いつけない中で前段の選手が1落下(による減点)と早着減点だけがついている状態で私は勝ちがない中で障害を走ってたので、やる気がないわけではないんですけど、無理せず普通に帰って来られればいいかなと思ってました。

――全日本に向けてのお気持ちを聞かせてください

絶対負けたくないと思っていたので、負けたのがめちゃくちゃ悔しいので、全日本ではもう負けないように頑張ります。

――これから何を意識して調整していきたいですか?

関東(学生大会)が近いので、担当している馬が3頭いるんですが、それぞれ合う乗り方が違うので、それをしっかり自分が使い分けて、折り合いをつけていけるように、そして関東で、団体で上位を狙えるようにしたいです。

――関東学生大会の具体的な目標は

具体的には、障害は団体優勝を目指していて、三種目総合では団体を組んで全日本に行けるようにしたいです。

 

河野貴大(スポ2=東京・東農大一)

――今大会はどのような意気込みで臨まれましたか

個人戦なので、自分の実力を出し切りたいと思っていました。

――試合の中で意識したことはありますか

初めての馬に乗るので、基本を丁寧にやろうと(意識しました)。

――2回戦の部班を振り返っていかがですか

障害で結構良い順位につけていたので、無難に、悪目立ちせず帰って来られればと思っていました。

――3回戦は貸与馬戦となりましたが

馬場がもともと得意じゃなくて、その中でも(貸与馬が)乗りづらいタイプの馬だったのであんまりうまく乗れませんでした。

――ベスト16という結果についてはいかがですか

もう一回勝てば全日本に行けたので、悔しいです。

――課題は見つかりましたか

馬場のような正反動の動きを今まであまり練習してこなくて、苦手なので、そこを重点的に頑張りたいです。

――来月には関東学生大会が控えていますが、それに向けて意気込みをお願いします

今までやったことのない総合(馬術競技)に出させていただくので、今大会で課題となった馬場的な運動と経験の浅い野外走行を丁寧に丁寧にやっていこうと思います。