各大学から多くの下級生が結集し、実力を競い合う関東学生新人競技大会(新人戦)。その勝敗は、障害飛越競技(障害)のみで決される。早大からは、工藤千明(人2=東京・三鷹)と河野貴大(スポ1=東京・東農大一)の2名が出場。両者共に1回目の走行を減点なしでまとめた。そうして挑戦権を得た順位決定戦となるジャンプオフで、工藤は10番のダブル障害で1落下してしまい9位。その一方で、河野は順調に障害を跳び越えて減点なしの走りをしたものの、タイムで他選手に及ばず6位でこの大会を終えた。
障害を越えていく工藤と稲帥
確かな成長を感じさせた。工藤は昨年もこの大会に出場したが、馬の反抗もありジャンプオフに駒を進めることもかなわず、結果は14位。1年前は悔しさを味わったが、ことしは違った。1回目の走行では、全ての障害を跳んで減点なしの会心の走行をし、見事ジャンプオフに進出。そのジャンプオフでは1落下するも総じて落ち着いた走りを見せて、最終順位は、38人中の9位。試合を「久しぶりに楽しかった」と振り返る工藤の表情は明るかった。
「リラックスしていこう」。そう心掛けて挑んだ今大会。河野は危なげない走行でジャンプオフ進出を決めると、2回目の走行でも減点なしの丁寧な走りを見せた。しかし、タイムが振るわず。複数の選手が減点数で並んだ場合はタイムの早い者が勝ちというルールの下、河野の新人戦は6位で幕を閉じた。1日を通して落下なしで終えたものの、河野は満足しない。試合後は「もっと技術を磨きたい」と向上心を見せた。
安定した走行を見せた河野と稲嵐
代替わりを経て、新体制として始動した馬術部。五十嵐裕哉(創理4=新潟南)をはじめとする4年生という大きな存在を失ったことで戦力ダウンが懸念される中、今大会での下級生の健闘は明るいニュースになったことだろう。しかしそれすら序章にすぎない。新生馬術部の躍進はまだ始まったばかりだ。
(記事 稲満美也、写真 桝田大暉)
コメント
工藤千明(人2=東京・三鷹)
――昨年は14位に終わったこの大会ですが、今回はどのような意気込みで臨まれましたか
私が乗っている馬は最近調子が全く上がらなくて。前に1回(その馬と)試合に出た時は、コントロールが利かなくて失権してしまうくらい調子が悪かったので、この新人戦に向けて先輩に乗ってもらったりもして。馬の調子を上げて、まずは(ゴールまで)帰ってくるのが目標でした。この1年、同じ馬に乗ってるんですが、なかなか感覚がつかめなくて。感覚をつかむのと、なんとか「良かったね」と言われるくらいに帰ってくることができれば、と思っていました。
――きょうの試合内容についてはいかがですか
冬休みにあった北総新春ホースショーの頃からなんとなく感覚がつかめたのかなと思っていて、今回も1年前に比べると馬に合わせてスピード感を合わせられるようになったと思います。
――結果についてはどのように受け止めていますか
ジャンプオフまで残れたのは大きいと思います。いつもは1落下、2落下することが多いので。きょうも(ジャンプオフでは)ダブル障害のAで落としてしまったんですが、全体の流れはまあまあだったと思うし、先輩もそう言ってくださったので。だから、楽しかったです。久しぶりに、楽しかったです。
――今季の抱負をお願いします
このまま順調に行けば11月に(障害の高さが)130cmのコースを回ることになるので、それに合わせて馬の調子を上げていくのと、(馬を)邪魔しないで良い感覚でコースを回れるようにしたいです。
河野貴大(スポ1=東京・東農大一)
――落下なし、タイム減点なしと順調な走りを見せた1回目の走行を振り返っていかがですか
学生大会の中で一番(障害の高さが)高い130cmクラスの試合でも使っている馬だったので、満点で帰ってこなきゃというプレッシャーの中(減点なしで)帰ってこれて良かったです。
――ジャンプオフとなった2本目の走行に関してはいかがですか
馬に助けられてなんとか帰ってこれたという感じだったので、もっと技術を磨きたいなと思います。
――2本目の走行はタイムレースといういつもと違う面もありましたが
馬が早く障害を回ってこれる馬ではなかったので、きれいに帰ってこようと思っていただけに残念でした。
――この大会に向けて意識したことはありましたか
特にはないです。緊張せずリラックスしていこうと思いました。
――きょうは障害のみの大会でしたが、馬場馬術競技(馬場)と比べて得意不得意などはあるのでしょうか
馬場は得意ではないので、障害で頑張ろうと思っています。
――今季1年間を通して伸ばしたい部分は
全部ですね。
――今季の抱負をお願いします
すごく良い馬がワセダにはそろっているので、乗る人が邪魔をしないようにうまくなりたいなと思います。