五十嵐が優勝を果たす

馬術

 総合馬術競技(総合)で争われた今大会。全日本総合馬術ヤングライダー選手権には五十嵐裕哉(創理3=新潟南)が出場した。初日の馬場馬術競技(馬場)では出遅れてしまうものの、2日目のクロスカントリー競技(野外)で1位となる。障害馬術競技(障害)でも、そのまま順位を守りきり見事に優勝。今大会での早大選手の優勝は史上初である。そのほかトレーニング競技にも3名の選手が出場した。

 「稲隆が来て初めての大きな大会だったので勝ちたいとは思っていた」(五十嵐)と言うように、新たな相棒と結果を残そうという強い思いを持って臨んだ大会であった。しかし、一番差が出ると感じていた馬場が上手くいかない。7名中5位という不満の残るスタートになった。2日目に行われたのは野外。ここで五十嵐と稲隆は本来の力を発揮する。唯一の減点なしで走行を終えて、一気に1位へと躍り出た。だが、2位とは僅差であったため、いまだ油断は許されない状況で最終日の障害を迎える。前日までの順位が低い順に出番が回ってくるため、五十嵐は最後に登場。障害を1つ落とし、タイム減点1もついてしまったものの、他の選手たちとは大きな差をつけての優勝となった。

見事に優勝を果たした五十嵐と稲隆

 トレーニング競技に出場したのは、長谷部悦郎主将(法4=埼玉・城西大川越)、大澤佳純(教2=神奈川・桐蔭学園)、畠山聖(スポ3=茨城・常総学院)の3選手。長谷部主将と大澤はこれまでとは馬のコンビを変えての参加となった。今月末に行われる関東学生でも総合に出場するため、そこに向けての経験を積むという意味でも重要な今大会。初日の馬場では苦戦を強いられる。特に大澤は馬をしっかりと動かすこともできず、「馬場をやる以前の問題でした」と語った。野外では畠山が減点なし、長谷部主将と大澤には減点はついてしまったが、失権となる選手も少なくない中で最後まで走行しきったというのは良かった点であろう。障害では大澤は一度馬に反抗され、大幅なタイム減点もつき、19位に終わった。長谷部主将と畠山は安定した走行を見せ、減点0でまとめる。その結果、それぞれ17位、8位となった。

いまだ手探りの状態が続く大澤と稲玄

 五十嵐の優勝という華々しい結果の裏で、全員が口を揃えて課題に挙げたのが馬場である。今月末の関東学生において全日本学生への出場権を得るためにも、「早稲田のピンチなところで、関東学生で一番頑張らないといけないのが馬場」(畠山)と選手たちの危機感も強い。これから日々の練習を通じて、人馬のコンビネーションをさらに高めていかなければならない。

(記事、写真 井上雄太)

結果

▽六大学総合順位

優勝 早大 123点

2位 立大  79点

3位 慶大  42点

▽新人馬場馬術

1位 長尾圭祐・稲武

3位 後藤寛佳・リアルヴィジョン

4位 三宅紘一・コーラルウィンド(政経4=アメリカ・Dulaney)

6位 暮地景介・稲麟(文4=神奈川・桐蔭学園)

▽学生賞典馬場馬術

4位 畠山聖・リアルヴィジョン

9位 長尾圭祐・稲武

▽複合馬術

1位 五十嵐裕哉・稲隆

2位 畠山聖・アイシングラー

5位 大澤佳純・稲帥

▽新人障害飛越

4位 大澤佳純・稲帥

5位 栗栖美和・稲斗

▽中障害C飛越

1位 畠山聖・アイシングラー

2位 長谷部悦郎・Gグラナダ

3位 五十嵐裕哉・稲隆

コメント

五十嵐裕哉(創理3=新潟南)

――優勝しての率直な感想は

稲隆が来て初めての大きな大会だったので勝ちたいとは思っていたんですけど、とりあえず勝ててほっとしています。

――今大会はどのような意識を持って臨んでいたのか

今回は調教審査で一番差が出ると思ったので、まずは馬場でしっかりと高い点数を出して、あとは丁寧に回ってこようということでやってたんですけど、調教審査が上手くいかなくてだいぶ出遅れたので、そこが反省です。

――2日目を終えて優勝の可能性が大きくなったが、どのような気持ちで最終日を迎えたのか

きょうは2位と1落差(※障害を1つ落とすことによる減点4の差)もなくて、3.6しか差がなかったので、とにかく丁寧に減点0で来ようとそれだけ考えて回りました。

――障害では相手の選手が失権になってからの競技となりましたが、気持ちに影響はありましたか

あまり期待はできなかったので、やれることはやったんですけど駄目でしたね。

――今月末の関東学生に向けて

関東学生は総合ももちろん全員で頑張っていかないといけないんですけど、あとはやっぱり馬場が厳しいところにいるので、調教審査もあまり良くなかったので、馬場を中心的に練習していきたいなと思います。

長谷部悦郎主将(法4=埼玉・城西大川越)

――今大会を振り返ってみて

今回は馬のコンビを変えての出場だったので、色々と学生戦に向けて経験を積めればいいかなと思っていて、初日の馬場はあまり良くなかったんですけど、全体的には折り合いをつけて回れたのかなという部分では良かったのかなというふうに思っています。

――馬場での減点が最終的な順位にも大きく影響したが、今後に向けて対策は

もともと馬場が得意な馬ではないですし、障害がメインの馬なので、その中でどの程度自分でごまかしていけるかなというのが大事になってくるので、学生戦までになんとか折り合いをつけて、いまより少しでもパーセンテージを出せればいいのかなと思っています。

――今月末の関東学生に向けて

まあ五十嵐(裕哉、創理3=新潟南)の優勝を含めて、次の関東学生に向けて新しい馬を2頭入れたので、そこで結果が出せれば一番いいのかなと思っています。

畠山聖(スポ3=茨城・常総学院)

――今大会を振り返ってみて

2日目と3日目のクロスカントリーと障害は問題のない馬なんですけど、ちょっと馬場で点数が取れなくて、まあ馬は取れるんですけど、僕の実力がまだ馬に追いついてなくて、そこが改善されないと点数的に上位にいけないので、全日本学生まではまだ半年ぐらいあるので、半年かけて徐々に1日目の調教審査でもう少しパーセンテージを取れるように練習していきたいなと思っています。

――今月末の関東学生に向けて

障害はきょうの馬で出ないといけなくて、あまり高い障害を飛んだことがなくてなんとも言えないんですけど、まあできる限りのことはやりたいと思います。馬場は関東はレベルが高いので、(全日本学生の権利を得るためには)そこが早稲田のピンチなところで、関東学生で一番頑張らないといけないのが馬場馬術なので、そこを頑張っていきたいなと思います。

大澤佳純(教2=神奈川・桐蔭学園)

――今大会を振り返ってみて

稲玄で総合馬術に出るのは初めてだったんですけど、かなり手探りの状態というか、まだどうしたら馬にとって良いのかとかが分かっていなかったので、全然駄目でした。

――先週の試合後に、馬場に関してはまだまだ未熟だというふうに言われていたが、今大会ではどのように感じたか

馬場はそもそも稲玄を動かせないというのがあって、動かないと他に何もできることがないので、まずは動かせるようにという馬場をやる以前の問題でした。

――今月末の関東学生に向けて

一番最初のステップとしては、馬を動かせるようになることで、それから馬場運動ができてくると思うので、まずはそこを解決したいと思います。