ことしも特別な一戦が行われた。この試合が終われば、新体制となる馬術部。最後を勝利で飾りたいところであったが、そんなに簡単な戦いではない。1点リードで迎えた第6競技で慶大に逆転を許してしまい、接戦をものにすることができなかった。
第1競技、第2競技は馬場馬術(馬場)で競われた。第1競技にはこれで引退を迎える4年生たちが多く出場。特に1年間副将としてチームを支えてきた長尾圭祐(社4=東農大一)は、「馬も自分も100パーセントの力が出せるように」と強い気持ちを持って臨んだ。結果は5位と振るわなかったものの、4年間の集大成ともいえる演技であった。先輩たちが健闘する中、3年生ですでにエースの地位を確立している畠山聖(スポ3=茨城・常総学院)がしっかりとその実力を発揮して1位となる。もう一人のエース、五十嵐裕哉(創理3=新潟南)は第2競技に出場。五十嵐は見事に1位となるが、早大からもう一人出場した後藤寛佳(政経2=東京・早実)が「(日ごろの練習における)戸惑いみたいなものがきょうの結果に出てしまった」と思い通りの演技ができず、慶大に勝ち点3を奪われた。
1年間副将としてチームを支えた長尾と稲秀
障害飛越(障害)へと競技を変えて行われた第3競技の現役小障害飛越では思わぬ苦戦を強いられる。出場選手の中で最も試合経験が豊富な大澤佳純(教2=神奈川・桐蔭学園)が最終10番障害で馬の反抗により減点。その他の選手たちもなかなか減点0で走行をすることができない。ここでチームを救ったのは、第2競技で悔しい結果に終わった後藤であった。早大から唯一ジャンプオフに進出。普段障害の練習をすることは少ない後藤は「プレッシャーとかもいっぱいあった」と言うが、慶大の2選手を抑えるタイムで走行を終え、早大の勝ち点獲得に大きく貢献した。2日目となり、第4競技の高校生障害飛越、第5競技のOB障害飛越を1勝1敗として、迎えた最後の第6競技現役中障害飛越。五十嵐、畠山に減点がついてしまい、残るは長谷部悦郎主将(法4=埼玉・城西大川越)のみとなる。意地の走行でジャンプオフに進出したが、そこでは力及ばず。この結果、慶大に総合優勝を許すことになった。
予想以上の活躍を見せた後藤と稲隆
敗戦というかたちで新体制へと移行することとなった馬術部。しかし、後藤の活躍など来季に向けて明るい材料も多い。「らいねんは勝負の年だと思う」(長尾)と先輩たちからの期待も大きくなっている。その期待に応えるためにも、早大馬術部が新たな一歩を踏み出す。
(記事、写真 井上雄太)
コメント
長尾圭祐(社4=東京・東農大一)
――現役最後の試合となりましたが、どのような気持ちで臨まれましたか
馬はあまり上位を目指すことができない馬だったので、とりあえず馬も自分も100パーセントの力が出せるように頑張りました。
――実際の演技を振り返ってみていかがでしたか
一つ大きなミスをしてしまって、それはずっと後悔してしまうのですが、2ヶ月前までは運動ができなかった馬だったので、それを考えれば馬も復活して頑張ってくれたので良かったと思います。
――1年間副将を務められて感じたことや学んだことはありますか
一個上の世代の方々がとても強い世代だったので、いなくなってしまうというのはすごく不安だったのですが、結果1年を通して考えれば東京六大学大会で優勝することができたし、関東学生大会と全日本学生大会も自分は駄目だったのですが、みんなが頑張ってくれたので良かったです。副将としてはもっと色々とできることもあったのではないかと思うんですけど、また社会人になってから頑張ろうと思います。
――後輩たちにはどのようなことを期待したいですか
次に4年生になる人たちがずっと前からエースとして頑張ってきた子たちで、下の世代も育ってきているし、らいねんも上手な人が1人推薦で入ることも決まっていて、らいねんは勝負の年だと思うので、ぜひ良い結果を出してほしいと思います。
後藤寛佳(政経2=東京・早実)
――まず第2競技は悔しい結果になりましたが振り返ってみていかがでしたか
私は大学に入る前から馬術をやっているのですが、入る前はインストラクターの人が指導をしてくれるというのが当たり前だったので、大学に入って担当馬を持たせてもらって、自分で何もかも考えてやらなければいけないというのがとても大変で、その戸惑いみたいなものがきょうの結果に出てしまったかなと思うので、もっと研究して毎日向上できるように頑張っていきたいと思いました。
――第3競技ではワセダから唯一ジャンプオフに進出されました。プレッシャーもあったのではないですか
急遽障害に出場することが決まって、私は普段は障害の練習をしないので下手なのに、一番良い馬に乗せてもらって、そのようなプレッシャーとかもいっぱいあったのですが、結果を出せたのでそれで恩返しができたかなと思います。
――チームの勝ち点獲得にも大きく貢献しました。自信にもつながるのではないですか
ことしからレギュラーのようなかたちで試合に出場することができるようになって、初めてワセダの点数に貢献できた試合だったのですごく嬉しいです。
――今大会で4年生は引退となります。何か特別な思いはありますか
2年間一緒に活動をしてきて、だんだん上の代の人がいなくなるというのは不安が募っていくばかりですけど、これからは自分たちでもっと考えていかなければならないと思います。今回の試合もみんなで勝とうという気持ちでやっていて、いい4年生の引退試合にできたらいいなと思います。