4年生最後の公式戦を団体3位で飾る

馬術

 約1週間にも渡って開催されてきた全日本学生大会を締めくくる第56回全日本学生総合馬術競技大会(総合)。早大からはこれが最後の公式戦出場となる長谷部悦郎主将(法4=埼玉・城西大川越)など4選手が出場した。1日目に調教審査、2日目に耐久審査、余力審査が行われ、早大は昭和39年の第7回大会以来となる団体3位に輝いた。

 調教審査では、「落ち着いて演技をすることができなくて出遅れた」(五十嵐裕哉、創理3=新潟南)と語るように、思うような演技をできなかった選手が多かった。早大は第56回全日本学生賞典馬場馬術競技大会でも決勝進出者がいなかったように、馬場馬術競技(馬場)をあまり得意とはしておらず、仕方のない結果であったともいえる。2日目となり、まずは耐久審査が行われた。なんとしても団体で上位に食い込みたい早大。「かなり慎重にいった」(長谷部)とそれぞれがチームの勝利を意識した走行を見せる。特に畠山聖(スポ3=茨城・常総学院)はたった5名しかいない減点0を記録した。

野外で強さを見せつけた畠山とアイシングラー

 ついに迎えた余力審査。長谷部が最後の走行に臨んだ。途中までは順調に見えたが、最終11番のC障害で1落下してしまう。しかし、なるべく落下を少なくすることを目標としていた長谷部にとっては「充実感はあります」と満足のいく結果となった。次に登場した大澤佳純(教2=神奈川・桐蔭学園)は10番障害で2度の反抗があり、失権となる。団体は各大学の上位3選手の減点の合計で争われるため、これ以上のミスは許されない。より厳しい状況に立たされた早大であったが、ここで暫定では早大よりも上位であった明大の選手が失権。これで上位進出の夢が一気に近づいた。畠山と五十嵐は減点もあったが、それぞれ個人として7位、9位と健闘。この結果、早大の団体3位が決定した。

満足のいく走行となった長谷部主将と稲帥

 長い沈黙のときを経て、たどり着いた3位。それでも五十嵐が「トップを狙える馬なので」と語るなど、選手たちに満足の色はない。主力選手の多くはらいねんもこの舞台に立つ。いまだ見ぬ優勝を目指して――。もう戦いは始まっている。

(記事、写真 井上雄太)

コメント

児玉彰監督(昭59法卒=東京・早大学院)

――全日本学生大会を振り返ってみていかがでしたか

総合(第56回全日本学生賞典総合馬術競技大会)はわりと実力を発揮できたと思いますが、障害(第63回全日本学生賞典障害飛越競技大会)と馬場(第56回全日本学生賞典馬場馬術競技大会)は最初から厳しい戦いかなとは思っていましたが、いまはちょうど馬の戦力の入れ替えの時期なので、障害と馬場に関しては厳しい結果になってしまったということですね。

――総合の団体3位というのは第7回大会以来の素晴らしい成績だと思いますが

総合はずっとやってきてはいたのですが、なかなか上位が取れなかったんですけども、さくねん補強した馬がうまく働いてくれて、その結果3位ということで非常に久しぶりなので嬉しく思います。

――この大会を終えると代替わりとなりますが、新しいチームでの戦いに向けて

幸いほとんどの主力選手が残りますので、もう一度強化をして、らいねんは(全日本学生大会が)関西地区での開催になりますけども、しっかりと準備したいと思います。

長谷部悦郎主将(法4=埼玉・城西大川越)

――現役最後の公式戦となりましたが、どのような気持ちで臨まれましたか

最後だから結果を残したいという気持ちはもちろんあったんですけど、それよりも失敗しても成功してもこれで最後なのだなと思って臨んだら、逆に無駄な力みがなくなって適度な緊張感で、いいモチベーションで臨めたかなと思います。

――個人としての結果を振り返ってみていかがでしたか

団体で成績を取りたいというのがあったので、クロスカントリー(野外)はかなり慎重にいった部分があって、コース取りもストレートではなくてロングルートを選択したりとかして、かなり慎重にいったつもりだったんですけど、1個だけ人が油断して減点してしまったというもったいないミスがあったんですけど、全体的には馬との折り合いもいいイメージで回って来られたかなと思います。スタジアム(余力審査)のほうは馬も障害の2回走行にも使っていますし、1週間ずっと馬事公苑にいてかなり疲れていたと思うんですけど、頑張って足を上げてくれて、なんとか1落下で帰って来られて本当に良かったなと思います。

――団体3位という結果についてはどのように捉えられていますか

馬を補強したので、総合で成績を取りたいというのはありましたし、正直なところを言えばきょねんよりもかなり戦力ダウンした中で、人馬共にいまある戦力でよく頑張ったのかなと思います。

――長谷部主将としても有終の美を飾れたのではないですか

関東学生大会のときは余力審査でぽろぽろとミスが出てしまったぶん、全日本学生大会ではなるべく落下を少なくしたいなというのはあったので、それが克服できたという充実感はありますね。

――最後に、後輩たちに伝えたいことはありますか

馬のことは五十嵐(裕哉、創理3=新潟南)や畠山(聖、スポ3=茨城・常総学院)を中心に頑張っていってほしいと思います。あとはやっぱり僕自身が大学に入ってから馬術を始めたというのもあるので、大学から部活を始めた選手がもっともっとたくさん出てきて頑張ってほしいかなとは思っています。

五十嵐裕哉(創理3=新潟南)

――総合の個人的な成績について振り返ってみていかがですか

馬場はまず自分がミスをしてしまって、落ち着いて演技をすることができなくて出遅れたというのと、野外はぼろぼろで自分のミスもあり、全然うまくいかずにタイム減点がたくさんついてしまって、余力審査は障害のほうでも使っていて、きついかなと思っていた中、なんとか1落下で抑えることができたんですけど、やっぱり残念です。

――個人9位という成績でも満足はいきませんか

トップを狙える馬なので、自分がらいねんに向けてしっかりと練習したいと思います。

――団体3位という結果はどのように捉えていますか

これは棚ぼたで、他大がただ単に落ちていってという感じなんですけど、まあなんとか3頭が最後まで帰って来られて、早大は総合馬がちゃんといるのでらいねんは4頭すべてがそろって帰って来られたらなと思います。

――長谷部主将は今大会が最後の公式戦ということで、4年生は引退になると思いますが

4年生は選手としては長谷部さんしか今大会に出ていないんですけど、最後は長谷部さんが余力審査の走行も本当にいい感じで、それは良かったかなと思います。代替わりで、選手は長谷部さんがいなくなるというのはだいぶ大きいので、いまから本当に頑張って下の代を育てて、らいねんの関東学生大会よりも前に仕上げて、3種目で団体を組んで、全日本学生大会に出たいと思います。