特別な一戦を勝利で飾る

馬術
他を圧倒する得点を出した三宅とコーラルウィンド

他を圧倒する得点を出した三宅とコーラルウィンド

 2日間にわたって行われた全早稲田対全学習院定期戦(早学戦)。ことしは第60回記念大会ということで、天皇、皇后両陛下がおいでになるなど、例年以上に特別な大会となった。試合は最後まで両校が競った展開となる。しかし、ジャンプオフにまでもつれ込んだ最終競技で五十嵐裕哉(創理3=新潟南)が素晴らしい走行を披露。その結果、早大が見事に6連覇を達成した。

 第1競技、第2競技は馬場馬術競技(馬場)で競われた。普段あまり試合に出場することのない選手が多く出場した第1競技では三宅紘一(政経4=アメリカ・Dulaney)が1位となる。出場選手の中で、唯一6割以上の総得点率をたたき出す圧勝であった。続く第2競技でも畠山聖(スポ3=茨城・常総学院)が1位、五十嵐が2位と安定した強さを見せつける。馬場で最高のスタートを切った早大であったが、障害飛越競技(障害)となった第3競技では苦戦を強いられた。出場した3選手のうち、2選手が失権。完走した廣兼佑亮(政経3=福岡・久留米大付設)も「思った以上にうまくいきませんでした」と2つの障害を落とす結果に悔しさをにじませた。

総合優勝を決定づける走行を見せた五十嵐と稲隆

総合優勝を決定づける走行を見せた五十嵐と稲隆

 2日目の第4競技、第5競技はそれぞれ高校生、OBによって行われ、どちらも早大が敗戦。この時点で総合優勝を決定する得点の合計が同点となった。総合優勝を懸けた最終競技。先に減点なしの走行を見せたのは学習院大。プレッシャーの掛かる中、畠山と五十嵐も減点なしで走行を終え、勝負の行方はジャンプオフへ。そこで勝利したのは五十嵐であった。「雑な走行で全然駄目でした」(五十嵐)と本人に満足している様子はないが、これで合計得点は11-9となり、早大の総合優勝が決定。記念すべき大会で史上2度目の6連覇を果たした。

 先日の関東学生争覇戦(争覇戦)でチーム力の向上が課題に挙げられた早大。厳しい結果に終わった選手もいるが、「チーム全体としての力が問われる試合」(畠山)であった今大会で勝ち切ることができたのは収穫であろう。今後も全日本学生大会などが控えている。「結果を出すことにこだわって」(長谷部悦郎主将、法4=埼玉・城西大川越)。その決意を胸に次の戦いに備える。

(記事 井上雄太、写真 八木瑛莉佳、加藤千暁)

コメント

長谷部悦郎主将(法4=埼玉・城西大川越)

――第60回の記念すべき大会に出場する思いは

天皇陛下もおいでになるということで、いつもとは少し違う緊張感もあったのかなとは思いますけど、チームとして下級生や上級生、高校生やOBも出る試合なので、その中できちんと勝ち切るというのを大事にしていこうと思って臨みました。

――課題としていたチームとして戦うということに関して、うまく戦えたと思うか

本当は下級生だけで出た小障害に出ていた人たちが今後は中障害に出たり、次の障害のメンバーになっていったりするので、まずは小障害でしっかり結果を出してくれればいいかなと思っていたのですが、そこがうまくいかなかった部分はありました。でもそれは普段のレギュラーが他の結果でカバーするという形にはなったのかなと思います。結果はなんとか総合優勝することができたということは、一つ結果にはつながったのかなと思いますが、課題の克服という部分ではまた課題が残ったかなと思います。

――失権する選手も出る中で、勝ち切ることができたのは大きな収穫でもあるのか

個人の失権した原因であったり、課題であったりというのを克服するというか、何が問題だったのかというのを明確にしないとただただ失権するというのが続いていくと思うし、本当の意味での改善にはつながっていかないと思うので、そこは団体というよりも個人で問題意識や向上心を持って臨んでもらえればと思います。

――全日本学生大会に向けて、どのような点を強化していきたいか

関東学生大会での失敗があるので、チームでいかにして戦うかというのと、結果を出すことにこだわっていかないといけないのかなと。チームとしてそこは大事にしていかなければいけないかなと思います。

五十嵐裕哉(創理3=新潟南)

――第60回の記念大会に出場されることへの思いは

第50回の記念大会は負けていて、ここ数年は5年連続で勝っていて、また記念大会で負けるのは良くないので、なんとしても早大全体で勝てるようにと思って臨みました。

――プレッシャーも掛かる中、2走行を減点なしで終えた最終競技について振り返ってみて

一回相手に減点0が出た時点でやばかったのですが、畠山(聖、スポ3=茨城・常総学院)が減点0で走行したことで本当に気楽にいけたので良かったです。ジャンプオフは雑な走行で全然駄目でした。勝てたのは良かったですけど、もう少し上手になりたいなと思います。

――全日本学生大会に向けて、どのように対策していきたいか

そこに向けてあと2試合出て、苦手な馬場をもう少し頑張って、総合馬術では4位、5位に食い込んでいけるように頑張っていきたいです。

廣兼佑亮(政経3=福岡・久留米大附設)

――伝統ある早学戦についての思いは

天皇、皇后両陛下がいらっしゃるので全試合勝ちたかったです。あの馬で障害を落としたことがなかったので、思った以上に上手くいきませんでした。馬場が狭いのでコントロールしづらく、試合前から馬がずっといらいらしていたので走るのは想定していました。

――馬が走ってしまったのは普段よりも馬場が狭かったことも関係していますか

障害に向かうと走ってしまうのは前からなのですが、その前に手綱を使いすぎていらいらさせてしまったのも一因だと思います。

――第1競技、第2競技でワセダは多数入賞し得点を重ねることができましたが、第3競技では思うように得点を稼げませんでした

切り替えて試合に臨んでもらうしかないと思います。僕はもう試合に出ないので、サポートに回って周りが勝てるよう頑張りたいです。

――今後どのように修正をしていきたいですか

修正箇所が多すぎるのですが、普段の練習をしっかりと行っていきたいと思います。

畠山聖(スポ3=茨城・常総学院)

――第60回目という伝統ある大会に出場することについてどのように感じていますか

毎年出場しているのですが、ことしは天皇、皇后両陛下がいらっしゃるということで、いつも試合に出ていない人が出る種目もあって、チーム全体としての力が問われる試合だと思うので、みんなで頑張ろうという気持ちです。

――きょうのご自身の結果はどのように捉えていますか

3ヶ月ぶりくらいに乗った馬だったのですが、仕上がり途上にしてはまあまあだったかなと思います。まだ全日本学生選手権(全日本)まで1ヶ月ちょっとあるので、もう少しは良くなるかもしれないですけど、徐々に上げていきたいと思います。

――あしたの中障害に向けての意気込みをお願いします

チーム事情で、昔使っていた22歳の馬を全日本で最後にもう一度使うということで、あしたもその馬で出るのですが、馬も年齢的に高齢で少しかわいそうなのですが、最後の踏ん張りで馬にも頑張ってもらって、自分も頑張りたいと思います。