8月25日から27日にかけて千葉県のTIP STAR DOMEで第 78回 全日本大学対抗選手権(インカレ)が開催された。種目は大きく分けてトラックとロードがある。ロードは9月3日に鹿児島県で行われた。
早大は初日からの3日間で行われたトラック部門では男子が12校中10位、女子が大蔵こころ1人のみのエントリーながら9校中7位と健闘した。
トラック部門の最初に行われた男子4キロチームパーシュートに美甘星次郎(スポ3=鳥取・倉吉総合産)、中野大詞(スポ3=岩手・紫波総合)、大仲凛功(スポ2=愛媛・松山学院)、神村泰輝(スポ2=東京・豊多摩)が出場。16チームが出場し、14チームが決勝に上がれるが失格となり決勝には出場ならず。
続く男子スプリントには諸隈健太郎(スポ4=高知工)、川村峻輝(スポ4=京都・北桑田)出場し、結果は諸隈が10位、川村が15位と決勝進出とはならなかった。
女子3キロインディヴィジュアルパーシュートには大蔵こころ(スポ2=愛媛・松山学院)が出場。12人中3位の結果を見せ、翌日の3~4位決定戦に駒を進めた。続く男子4キロインディヴィジュアルパーシュートには大仲凛功(スポ2=愛媛=松山学院)が出場し、こちらも3位につけ、翌日の3~4位決定戦に駒を進めた。また男子1キロタイムトライアル決勝に出場した諸隈は16位という結果となり、初日が終了。
3キロIPで3位につけた大蔵
2日目には男子オムニアム予選が行われ、中野大詞(スポ3=岩手・紫波総合)が出場し落車のトラブルがあったものの7位という結果で決勝に進出。このオムニアムという競技ではエリミネーション、スクラッチなどの複数のトラック競技で獲得したポイントの累計で結果が決まる。次に行われた男子チームスプリント予選には諸隈、中野、大仲が出場し、19チーム中6位という結果を残す。4位までが決勝に進出というこの競技では惜しくも決勝進出を逃す。オムニアムの決勝で最初に行われた競技のスクラッチでは「すごく疲労があり、少し出遅れてしまった。」と16位という結果を残す。続くテンポレースでは12位という結果に。続くエリミネーションという競技は2周回に一度、最後に通過した選手が1名脱落するという競技である。つまり持久力や直前で一気に追い上げるスプリント力などが必要とされる。この競技では中野は12位という結果を残す。最後の競技のポイントレースを終えると、これまでのRCSでのポイントが加算され最終的な着順が決定されるため、ポイントレースではポイントの獲得や最終着順では4位という好成績をのこしたものの、オムニアム最終順位は16位という結果となった。この結果について、中野は「 1種目目のスクラッチで少し出遅れてしまったことをズルズル引きずってしまって良くない順位をとってしまったので、すごく反省しなきゃいけないなと思いました。」とレースを振り返った。
男子オムニアム決勝に挑む中野
また男子4キロインディヴィジュアルパ-シュートと女子3キロインディヴィジュアルパーシュートの3~4位決定戦が行われ、それぞれ大仲と大蔵が出場。結果は見事、どちらも3位を獲得し表彰台を飾った。この結果について大仲は「勝てたのは嬉しいし、それは素直に喜んでるんですけど、やっぱり自己ベストは出せてないし、最後の1キロは若干だれてしまったので、そこがこれからの課題である」と話した。
3日目に行われたのは女子オムニアムと男子マディソン予選・決勝。女子オムニアムには大蔵が出場し、まず行われたスクラッチでは3位という結果を残し、まだ1位の渡部春雅(明大)とはさほど差はつかず。次に行われたテンポレースでは落車トラブルが相次ぎ、4人の辞退者が出る中で6人中4位となる。午後に行われたエリミネーションでは、最後の周回まで残るも惜しくも渡部に勝つことができず2位という結果に。最後に行われたポイントレースでは、大蔵と渡部の優勝を目指した白熱の戦いが見受けられ、プラスワンラップを獲得し他の選手を寄せ付けないような2人の戦いは最後まで及んだ。ポイントレースでは最終的に大蔵は149ポイントとなり、総合2位に。優勝は逃す結果となったものの、見事表彰台に上ることとなった。
男子マディソン予選2組には中野・大仲が出場し、3位と見事予選を突破。続く決勝では110周回ともなる中、序盤にポイントを獲得しながらも、中盤から先頭集団に遅れをとり、マイナスワンラップ(周回遅れ)となってしまう。この要因について中野は「交代がうまくいかなかったところでロスが生まれて、マイナス20点(周回遅れ)につながってしまいました。」と話している。最終順位は6位となった。
男子マディソン決勝に挑む大仲と中野
また、9月3日に行われたロードレースでは女子個人ロードに大蔵が出場し3位に、男子個人ロードに神村、大仲が出場し、大仲が27位、神村が39位という結果を残した。ロードの女子総合成績は3位という結果となった。女子のトラック・ロードを合わせた総合成績は10校中5位、男子の総合成績は17校10位という結果となった。
(記事 長野雪華、写真 髙田凛太郎・長野雪華)
中野大詞(スポ3=岩手・柴波総合)
――このインカレの位置付けを教えてください
去年から一番の目標として準備をしてきた大会がこのインカレでした。
――どのような準備をしてこの大会に臨まれましたか
僕の中での目標はマディソンで優勝をすることだったので、そのためにたくさんいろいろなレースに出場してレース経験を積んだり、今年からロードの実業団のチームに所属したのですが、そういったところで距離を多く走ったりして、しっかりベースをつくってから勝てるような力をつけられるよう準備をしました。
――その中で最初はオムニアムに出場されましたが、振り返っていかがでしたか
予選の落車と、チームスプリントも走ったことですごく疲労が溜まっていて、 1種目目のスクラッチで少し出遅れてしまいました。それをズルズル引きずってしまって良くない順位をとってしまったので、すごく反省しなきゃいけないなと思いました。
――疲労のところの影響は大きかったですか
そうですね。すごく疲労はありました。後は落車をしてしまったことで体がちょっと固まってしまって、そこがうまく動かなかったかなと思います。
――チームスプリントでの手応えはいかがでしたか
僕の仕事は一走として何よりも速く駆け抜けることでした。僕自身、自己ベストを出せましたし、 良かったかなと思います。ただチームとしてミスもありタイムが出なかったので、そこは少し悔しかったなと思います。
――そして最終日は狙いとしていたマディソンに出場されましたが、まずは予選を振り返っていただけますか
予選はとにかく前日の疲労が抜けずにすごく大変で、もう体調も良くなかったので、 とりあえず予選を上がることだけに集中して、うまくポイントを取って休みながら走ることができたかなと思います。
――決勝はかなりのハイペースとなりましたが振り返っていかがでしたか
そうですね。すごくハイペースだったのと、交代がうまくいかなかったところでロスが生まれて、マイナス20点(周回遅れ)につながってしまいました。そういった少しの積み重ねがこういった大きなロスに繋がってしまってるので、そこを修正していきながら、またマディソンを走る機会があれば優勝できるように頑張りたいなと思います。
――インカレを通じての課題と収穫をそれぞれ教えてください
スプリントは得意なのですが持久力がないという面が一番の課題であって、マディソンもオムニアムも大事なところでレース展開についていけてなかったということが多かったので、そこはしっかりカバーしていければなと思っています。一番の収穫は、初めての種目でこんなにきつい日程で行ったのですが、今までのインカレに向けて練習などの積み重ねがあったから最後まで走り切れたのかなとも思いますし、その他にも来年からは短距離転向を考えているのですが、その前にチームスプリントの一走などですごくタイムが良かったので、そういった短いスプリントのところに関しては、すごくいい収穫があったかなと思います。
――次のインカレのロードに向けての意気込みをお願いします
インカレのロードは完走は難しいかもしれないですけど、 できるだけエースになってくるであろう神村(泰輝、スポ2=東京・豊多摩)、大仲(凜功、スポ2=愛媛・松山学院)の近くでしっかりサポートしてあげれればいいかなと思います。
――トラックは今年の学連の大会は一区切りだと思いますが、他の大会など今後のレースに向けての意気込みをお願いします
今年、最後に目標としているレースが国体です。今まであまり経験のないスプリントに出場するのですが、そこで良い経験を積んでしっかりと良い結果を出せるようにすることが目標です。来年以降、マディソンとかも走るかもしれないですけど、短距離転向を考えているので、出る種目においてはしっかりと今回の悔しかったことや課題を生かして、来年は優勝して早稲田の校歌を流せればいいかなと思います。
大蔵こころ(スポ2=愛媛・松山学院)
――今後、明治大学渡部選手をおさえて優勝を狙うには具体的にどんなところが必要ですか
今回感じたのは体格の違いとパワーの差であったため、重いギアも踏める体幹と高いパワーをつけることが必要だと感じています。
――スクラッチでは中盤に一度仕掛けたと思うのですが、その意図は
一度仕掛けてみて、周りがどのように動くかを見極めたかったのと自分では逃げることができるかを試すために行いました。
――次回大会に向けての目標を教えてください
週末にインカレのロードが控えているので、そこでも表彰台に立てるように全力で戦いたいと思います。
大仲凛功(スポ2=愛媛・松山学院)
――4キロインディヴィジュアルパシュートでの3位という結果に対して率直にどんな気持ちですか
今回1位だった朝日大学の 安達さん(安達光伸・朝日大)が今回で卒業されるんですけど、僕が高校のときから安達さんがずっと優勝してて、高校時代からずっと安達さんを目指してて、いつか勝てるように頑張ろうと思っていたんですけど、最後の最後まで一回も勝つことがでできずに終わってしまいました。それが悔しい反面尊敬がありましたね。今回の自分の走りとしては、予選はちょっと周りがタイムを落としていたので、やっぱり正攻法できれいにタイムラップきざんで回らないとこれはやばいなと思っていました。それでやっぱり正解だったので良かったですね。決勝の相手は最近速くなった相手で、その相手には勝ちきるという気合いで臨んだので、若干挑戦してやったんですけど、勝てたのは嬉しいし、それは素直に喜んでるんですけど、やっぱり自己ベストは出せてないし、最後の1キロは若干だれてしまったので、そこがこれからの課題であるし、上のトップ2人がダントツだったので同じ土俵に立っていなかったからそこが本当に悔しくて、同じ土俵で戦えるように次頑張ろうと思いました。
――この種目で優勝を狙うためにこれからどんなところを強化していきたいですか
具体的には力強く走るということができていないので、やっぱりパワー不足だから、やっぱりパワー系を強化しなきゃなと思い、ウエイトトレーニングとかしてしっかりやっていきたいかなと思っています。あと後半でだれてしまうところが課題でそれは去年からずっとそうなんですけど、それを割り切って前半に飛ばすのもありかなと思います。
――マディソン決勝では序盤はポイントが獲得できていましたが、中盤から先頭集団と離れてしまいましたがその原因は
交代局面で何個かミスがあって、やっぱり経験が少ないから、相手への気遣いとかも最大限できなかったところもつながっているのかなと思います。あとは、お互いトラックを3日間やってきて、体力を消耗していたというところも要因の一つにはあるのかなと思いました。やっぱり体力の回復力を高めるためにもベーストレーニングも大事だなと思いました。
――最後のインカレでしたが、どのような気持ちで臨みましたか
諸隈健太郎(スポ4=高知工) なかなか大学に入ってから自己ベストを更新することができなくて不調な日々が続いたので、最後の最後に自己ベストを出したいなと思って臨みました。
川村峻輝(スポ4=京都・北桑田) ラスト4年間の集大成なので、最後は楽しく取り組もうと思いました。
――実際のレースを振り返って
諸隈 結果から言うと悔いの残る結果にはなってしまいました。直前の合宿では良いタイムとか出ていたのですが、本番のインカレで調子を崩してしまうということになってしまったことは悔しいです。
川村 自分も1ヶ月間はめちゃくちゃ練習していたのですが、期間が足りなかったということもありますね。
――早稲田での4年間を振り返ると
諸隈 一言で言うと一瞬で終わってしまったなという感じです。なかなか上手くいかない日々が続きましたけどこれで終わりかといった感じです。
川村 自分も4年間一瞬でしたね。でも非常に自転車競技は楽しかったですね。
――では最後に後輩へのメッセージをお願いします
諸隈 次の代に向けて、優秀な後輩が揃っているので、インカレやその他全日本とかも期待していただけたらなと思います。今後も応援よろしくお願いします。
川村 後輩たちは楽しくやってくれたらいいかなと思います。