9月1日から4日にかけて鹿児島県で第 77 回 全日本大学対抗選手権(インカレ)が開催された。大きくトラック・ロードの2部門に分けられている今大会は、各個人の成績がポイントに反映され、その合計得点を各大学で競い合うかたちとなった。早大は初日からの3日間で行われたトラック部門を男子が8位、女子が4位で終える。最終日のロードと合わせて総合では男子8位のまま、女子が5位となり大会は幕を閉じた。
トラック部門の最初に行われた男子4キロインディヴィジュアルパシュート(IP)に大仲凛功(スポ1=愛媛・松山学院)が出場。いきなり2位に入る好成績を収めた。しかし本人は「タイムは納得いっていない」と振り返る。続く女子3キロIPには大蔵こころ(スポ1=愛媛・松山学院)とケガから復帰した石田唯(スポ2=京都・北桑田)が出場した。結果は大蔵が5位、石田唯が6位と、共に目標としていた優勝には届かなかった。大仲と大蔵は8月の大会に続き、4競技の合計得点を競う種目であるオムニアムに出場。大仲は予選のポイントレースを1位で通過する。その後、3競技目のエリミネーションでは5位に入るなどしたが総合10位でレースを終えた。一方の大蔵は2競技目のテンポレースを終え総合6位につけると、3競技目のエリミネーション、4競技目のポイントレースでそれぞれ2位に入り、総合順位も2位まで浮上。見事表彰台入りを果たした。
好成績を収めた大蔵
1日目の午後に行われた男子4キロチームパシュートには早大から山田拓海(スポ3=長野・飯田風越)、美甘星次郎(スポ2=鳥取・倉吉総合産)、大仲、神村泰輝(スポ1=東京・豊多摩)の4人が出場。インカレ前の練習から好記録が狙えるという手ごたえがあった中、結果は5位に終わった。2日目の男子チームスプリントには佐藤威吹主将(スポ4=岩手・柴波総合)、細田悠太(スポ4=鹿児島・南大隅)、諸隈健太郎(スポ3=高知工)が臨んだが、雨風が強く、厳しいコンディションの中、タイムを伸ばすことができずに7位でレースを終えた。3日目の最初の種目は男子1キロタイムトライアル。早大からは小野豪太(スポ4=岐阜・鶯谷)と諸隈が出場したが共にタイムは伸びず、小野が18位、諸隈が16位でレースを終える。「満足できる結果ではない」(小野)、「レースにまで(腰の)痛みを持ち込んでしまった」と悔いが残る結果となった。続く女子マディソンには池上あかり(スポ3=福岡・祐誠)と大蔵のペアが出場。限られた練習時間ではあったが「二人で協力し合えたことで、表彰台に上がれた」と3位に入る好成績を収めた。
チームパシュートに臨む4人
迎えた最終日にはロード競技が行われた。男子ロードには山田、石田眞大(スポ2=東京・豊多摩)、美甘、大仲、神村の5人が出場。アップダウンが多く、路面も濡れている厳しいレース環境の中、早大では唯一、集団から抜け出した大仲が5位でフィニッシュ。他のメンバーは完走とはならなかった。女子ロードには早大から大蔵のみが出場。5位フィニッシュとなったが、「実力の差を感じ、課題が見つかった」とレースを振り返った。
大会終了後の集合写真
(記事 髙田凜太郎、写真 自転車部提供)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
結果
▽男子4キロIP
大仲 2位 4分34秒282
▽女子3キロIP
大蔵 5位 3分55秒887
石田唯 6位 3分58秒716
▽女子スプリント予選
池上 7位
▽男子スプリント予選
諸隈 10位
川村 19位
▽男子4キロチームパシュート
山田・美甘・大仲・神村 5位 4分18秒239
▽男子チームスプリント
佐藤・細田・諸隈 7位
▽女子オムニアム
大蔵 2位
▽男子オムニアム
大仲 10位
▽男子ケイリン
佐藤 10位
▽女子500メートルタイムトライアル
池上 6位 39秒114
▽男子1キロタイムトライアル
諸隈 16位 1分7秒303
小野 18位 1分7秒429
▽女子マディソン決勝
池上・大蔵 3位
▽男子マディソン決勝
山田・美甘 DNF
▽女子ロード
大蔵 5位
▽男子ロード
大仲 5位
山田 DNF
石田眞 DNF
美甘 DNF
神村 DNF
コメント
佐藤威吹主将(スポ4=岩手・柴波総合)
――当日のコンディションはいかがでしたか
当日のコンディションは、体も軽くいい感じでした。特に不安要素はなく、全力で試合に集中することが出来ました。
――4年間の集大成とも言えるレースにどのような思いで臨まれましたか
今まで自分がしてきた練習を信じて、後は楽しむだけだという思いで臨みました。
今までは、緊張やプレッシャーで試合を楽しむ事が出来なかったので、最後は楽しく自転車競技に向き合いたいという思いが1番でした。
――高校時代からやっているケイリンは最後10位という結果に終わりましたが、振り返っていかがですか
高校から大学まで、全力で走り切れたので悔いはないです。最後の試合は予選からとても楽しく試合に臨むことができました。
仲間たちが応援してくれたり、サポートしてくれたりと結果以上に思い出に残るインカレになりました。とても楽しく幸せな時間でした。
――細田選手とのタンデムスプリントは最初にして最後の挑戦でしたがいかがでしたか
不安などもありましたが、怪我なく、楽しく終われたので出場してよかったです。色々改善点はあったのですが、その時のベストを出すことができました。順位は悔しいですが、タンデムの息の合い方は、他のどのチームにも負けていませんでした。
――主将として最後に部員に伝えたいことはあるか
競技をしていくと、結果ばかりに気を取られてしまうことがどうしても多いです。しかし、仲間との思い出や日頃のコミュニケーションなど結果以外にも大切な事は沢山あります。私は、同期にも恵まれて、たくさん支えてもらいました。今の部員と最後のインカレに挑むことが出来て幸せでした。とても楽しく、一生の思い出を作ることができ、感謝しています。なので、来年から結果も大事ですが、思い出なども大切に楽しくいい部活動を続けてください。
小野豪太(スポ4=岐阜・鶯谷)
――当日のコンディションはいかがでしたか
大会2週間前にコロナウイルスに感染し、自身のフィットネスレベルの低下を実感していましたが、最後のインカレということもあり、精神的な面ではとても意欲的に臨むことができたと思います。
――1キロタイムトライアルを振り返ってください
前日のタイム系種目の結果を見てあまりコースコンディションが良くないと感じたので、使うギアを少し低くして出走しました。スタートダッシュの掛りは満足できるものではありませんでしたが、中盤から終盤にかけての速度低下は抑えられたと思います。
――タイムを見た時の率直な感想は
自己ベスト更新を今大会の目標にしていたので、満足できる結果ではないと感じました。レース前の体調管理などに後悔が残るインカレになりました。
――4年間の集大成となったインカレにどのような思いで臨みましたか
大学での競技の集大成という覚悟を持って臨んだ大会でした。今の自分が持てる力は出し切れたのではないかと思います。自転車部としても、モチベーティブな雰囲気で臨むことができたと思います。
――後輩に伝えたいことはあるか
早稲田らしさを忘れずにこれからも頑張ってください。
細田悠太(スポ4=鹿児島・南大隅)
――当日のコンディションはいかがでしたか
当日のコンディションは身体的には良かったですが、天候が悪く路面のコンディションは悪かったです。
――4年間の集大成となるインカレにどのような思いで臨まれましたか
最後のインカレは精一杯楽しもうと思っていたので、リラックスして臨めました。
――出場された2種目を振り返ってください
タンデムは予選通過を目標としてましたが、あと一歩及ばず、悔しいです。後半に失速してしまったので、そこも反省点です。チームスプリントは雨と風が強く全体的にタイムが出ていませんでしたが、全力を出すことができました。
――思い残すことはありますか
4年間の集大成のレースで、優勝することができなかったので、悔しいです。しかし、全力で挑んだ結果なので満足しています。
――後輩に向けて残したいことは
後輩たちには、僕が優勝することができなかったので、ぜひ優勝してほしいです。
諸隈健太郎(スポ3=高知工)
――コンディションはいかがでしたか
初日のコンディションは、悪くは無かったです。しかし、後半になるにつれて腰の痛みが発生してしまい力が上手く入らない感覚がありました。
――チームスプリントを振り返ってください
チームスプリントについては、共に走ってくれた4年生の2人には本当に感謝の気持ちです。バンクコンディションが良くない中でも最善の走りで引っ張ってもらい、大きなミスなく走り切る事が出来ました。
――1キロタイムトライアルを振り返ってください
1キロタイムトライアルについては、前日からの腰の痛みが響きスタートから力が伝わらない感覚がありました。ケアをしたもののレースにまで痛みを持ち込んでしまった事が良くなかったです。
――今大会を通じて出た課題などはありますか
今後に向けての課題としては、単純にパワーが足りない部分が大きいため改善する必要がある事と、高いパワーをなるべく長い時間発揮出来るようにする必要があります。
――来年は最高学年となる中、どのように早大自転車部を引っ張っていきたいですか
短距離部門のリーダーとして部員をまとめて行きつつ、勢いのある中・長距離部門に負けないように自転車部全体を活性化させて行ければと考えています。
大蔵こころ(スポ1=愛媛・松山学院)
――女子IPは5位に終わりましたが、レースを振り返ってみていかがでしたか
3キロIPは、全日本からの疲れと鹿児島の暑さにコンディションを思うように合わせられず、前半いつも通り行ったのですが、早くにたれてしまい、自己ベストから遠いタイムになってしまいました。ですが、3キロは精一杯走ったので、これから自己ベストを伸ばせるよう頑張りたいです。
――オムニアムは2位に終わりましたが、8月の大会を踏まえて何か変えれたとこや成長したところはありますか
オムニアムは、国際トラックの反省を活かし、前々で展開していこうと思いました。さらにギアをかけて勝負しようと思いましたが、2種目目のテンポレースの1人逃げになった時に重く、足がいっぱいいっぱいだったのでエリミネーションからギアを落としたらうまくいきました。結果は2位でしたが、最後まで諦めずに走った結果なので悔いはないです。
――池上選手とのマディソンは練習期間が短い中で3位でしたが、表彰台に登れた要因は
マディソンは、ぶっつけ本番だったので、とにかく一生懸命走りました。二人で協力し合えたことで、表彰台に上がれました。
――ロードは路面も濡れ、アップダウンも激しいコースでしたが振り返ってみて
ロードは、とにかく先頭集団からちぎれないように走ることが精一杯でした。ラスト一周に入ったすぐの登りで千切れてしまったので、とても悔しかったです。ロードはとにかく実力の差を感じ、課題が見つかりました。
――早大での1年目も一区切りつきますがどのようなシーズンでしたか
学連のレースでは、高体連で経験できなかった種目ができたり、練習方法が変わったりで、新たな経験ができました。目標にしていたインカレ優勝ができなかったので、来シーズンに向けて頑張っていきたいです。
――来年に向けまた伸ばしたいところは
課題として、体が他の選手と比べて小さいので筋力をつけて、パワーに変えていきたいです。