【連載】自転車インカレ直前特集『風』 第4回石田眞大×中野大詞×美甘星次郎

自転車

 第4回には、早大自転車部2年生から3選手が登場。法学部ながらロード部門で活躍する石田眞大(法2=東京・豊多摩)選手、今シーズンはトラックに力を入れている中野大詞(スポ2=岩手・紫波総合)選手、トラック・ロードの両部門をこなす美甘星次郎(スポ2=鳥取・倉吉総合産)選手の3人だ。インカレが近づく中で3選手が掲げる目標、1年目からの成長、後輩の存在など様々なことを赤裸々に語っていただきました。

※この取材は8月23日にオンラインにて行われたものです。

楽しいレースをしたい

男子マディソンに出場する中野と美甘

――早稲田での2年目のシーズンをここまで振り返ってください

美甘 1年生の時と変わりなく1年間過ごしたんですけど、1年間経ってみてちょっとは成長したかなと思っていて、それが大きいのは新しい後輩だったり先輩方との練習で、1年目とは環境が変わりましたけど、積極的に練習に取り組めて成長したかなと思います。  

石田 こちらは去年よりも勉強とかとトレーニングの両立にも慣れてきて、時間の使い方は上手くなってきていると思うんですけど、ただレースでの結果というのはうまくついてきてないので、そこはインカレでしっかり走れたらいいかなと思います。  

中野 1年生の時はトラック・ロードにおいて全く歯が立たずという感じだったんですけど、今年2年生になってトラックでは少しずつ入賞も狙えるかなという走りもできるようになってきたので、そこはいいかなと思います。  

――1年目と比べて特に成長できていると感じている部分はありますか

美甘 なんだろうな。1年目とは練習の取り組み方がかなり変わっているので、1年目の個人で行っていくかたちじゃなくチームでの練習が増えた今年の方が、自分もですけどチームとして成長できている年なんじゃないかなと思います。  

石田 僕は去年のレースはリタイアとかをしてしまうところが多かったんですけど、今年に関しては早稲田大学として出た大会はあまり結果を残せていないんですけど、外部の大会とかだとだいぶ完走率が高くて、しっかり走れてはいるなと感じているので、そこはだいぶ成長できているなと考えています。  

中野 去年はレースの回数が少なかったんですけど、今年何度かレースをこなせたことでレース勘や大学レースの走り方というのが分かってきて、レースで走る技術面は良くなってきたかなと感じています。  

――今自分が抱えている課題はありますか

中野 今ある課題というのはとりあえずこのけがを治すということなんですけど、真面目な話をすると自分がやっている種目でのレース後半でも失速しない持久力というのがこれから必要になってくると感じています。  

石田 僕はロードしか走らないんですけど、それでもアタックについていく短時間の出力というのは課題だなと思っていて、今年改善には取り組んでいたんですけど、まだまだそこは足りていない部分かなと思っているので今後も改善を続けていかないといけないと思っています。  

美甘 今インカレに向けてやっている団体追い抜きは去年も走らせてもらっているんですけど、それで自分の決まっている仕事が確実にできるかというのがまだ不安なので、そこはしっかり本番のインカレで仕事して終われたらいいなというのを課題にあげます。  

――これらの課題を改善するために取り組んでいけることはありますか

美甘 ひたすら練習します!  

石田 もうそれしかないですね。  

美甘 中野選手も練習ですか?  

中野 はい。  

美甘 練習ですね。よしよし。  

――石田選手はロードが専門ですが、ロードを走る上で意識していることや勝ち抜く上で必要なことはありますか

石田 意識していることで言うと楽しいレースをしたいなと考えていて、だから自分が後半不利になっちゃよなという時でも直感的にアタックしたりとかして、とにかく楽しく走れないと僕はやめちゃうので、そこは頑張って意識しているところで、勝ち抜くためにというのもさっき課題であげた短時間の出力がどうしても必要な部分だなと考えているので、そこを楽しみながら強化してレースを走れるようになったら、またさらに自分がレースを楽しめるようになってくると思います。  

――中野選手はトラックに力を入れているシーズンとお聞きしましたが、トラックを走る上で意識していることはありますか

中野 トラックのレースはすごくきついので、きついということを考えないように走ることと、走り方として無駄な力を使わないように休むときは休むであったり、行くときは行くというようなメリハリを持った走りをできればいいなと思います。  

――美甘選手はロード・トラックの様々な種目を走られていますが何か意識していることはありますか

美甘 今季やってみて結果が全然ついてきていないのが正直なところなんですけど、去年よりは楽しく走れているので、インカレとか今後もやっぱり楽しくロードレースもトラックレースも走りたいんで、それを目標としてやっています。  

(2年生は)チームの起爆剤

クリテリウムに臨む中野と美甘

――ここからプライベートなこともお聞きしたいのですが、まずはお互いの紹介をお願いします

中野 ちょっと美甘選手と仲悪いんですけど…(笑)。  

美甘 俺もだわ(笑)!  

石田 2人の関係性はすごくほほえましいですよ(笑)。  

――まず中野選手からお2人の紹介をお願いします

中野 まず美甘選手は本当に僕とバチバチなんですけど、その中ですごい面白い子ではあるんですけど、若干ぶっ飛んでるなと思うくらいすごいところがあるので、それが彼の良いところなのかなと思います。石田君に関しては、遠征の時しか会わないので、なかなかプライベートな面というのを突っ込んだりすることはできないんですけど、とにかく彼はすごい真面目で、大学のことであったり自転車のことというのをしっかり考えていて、すごいなと思います。(遠征先の)宿の中でもしっかり勉強しているし、自分にストイックなのかなと思います。  

――続いて石田選手お願いします

石田 中野君の言っていたとおり僕は遠征の時しか2人に会えないので、突っ込んだ紹介はできないのですが、美甘君は競技面で言ったら本当にすごい選手だと思っていて、登りも登れるし、(自分が)ロードレースしか分からないんですけど、登りで登ってスプリントで勝つという戦い方を確立している強い選手だなと、そしてすごく明るくてとっつきやすい人だなとも思っています。中野君に関しては本当にスプリント能力が高い、僕としては今弱点の部分なのでそこは参考にして目指さなければなと思っているので、一緒に走っていても頼もしいチームメイトですし、部内での連絡とか事務とかに関してもやってくれる、今2年生の中だと一番リーダーシップを発揮しているタイプの人で、すごい2人ともに言えるんですけど、明るくて話しやすいタイプだなとすごいいてくれてありがたいなという2人です。 

中野 ありがとうございます。  

――美甘選手お願いします

美甘 中野選手は相手からも言われたんですけどライバルです(笑)。結構キャラが似ていると思うので、2人でいるとめっちゃ楽しいですけど、ちょっとしたことがあるとバチバチなっちゃうので、そこは一生やっていかないとダメだなと思います。石田君は試合でしか会わないんですけど、法学部の本をずっと持っているので、(司法試験を)目指してもらって、ありがとうございます(笑)!  

一同 (笑)  

石田 後々顧客になっていただけるということで。 

美甘 よろしくお願いします(笑)!  

中野 星次郎君多分悪いことするんで(笑)。  

――お互いの紹介を聞いてみていかがですか

中野 いやあ、ドキドキしますね。  

美甘 けどちょっと、中野選手の方がリーダーシップあるというのは気に食わないですね。そこもバチバチやっていけたら良いと思います。  

――オフの日にされることはありますか

中野 そうですね。僕はオフの日はとりあえず寝ていることが多いんですけど、遊びに行くとなれば友達とどこか遊びに行ったりもしますし、それくらいですね。趣味というか去年から始めたいなと思っているのは登山なんですけど、なかなかシーズン中はいけないので、オフシーズンになったらいろんな山に登ってみたいなという感じです。  

――登ってみたい山はありますか

中野 登ってみたい山は…エベレストです。  

石田 おお(笑)。  

美甘 出た出た。  

――美甘選手はいかがですか

美甘 趣味はこれ(ゲームコントローラー)ですかね。やっぱり先輩方と一緒にやったり、限度守って楽しんでます。  

――特に好きな作品はありますか

美甘 今はもうAPEXしかしてないんですけど、FPSのゲームとかは好きです。  

――石田選手はいかがですか

石田 僕も結構休日というかトレーニングやってないときはゲーム。それこそ美甘君が言っていたAPEXとかだったり、麻雀のゲームとかもやったりします。後趣味と言ったらなんかこういうシャーペンとかをたくさん集めて所有欲を満たすという感じです。

中野 僕もあるんですけどこんな感じのペン。

美甘 雑魚いペン出すなよ(笑)。  

中野 マッキーとかですね。  

石田 ああ、良いなマッキー。  

美甘 (笑)  

――石田選手は法学部ながら自転車部として活動されていますが、自転車部に入部しようと思った経緯は

石田 自転車競技はすごい高校の時から好きで、それなりに成績も出していましたし、大学でも続けていこうというのはどんなかたちでも既定路線だったんですけど、ただ受験の時にスポーツ推薦みたいなのを取るか一般受験をするかという選択をする時に、やっぱり一般受験をやってみるのも経験なんじゃないと親に言われて、それで目指すなら早稲田かなというのでそれなりに勉強して運良く受かったのでこんなかたちになっています。  

――授業との両立は大変ですか

石田 1年目は結構苦労してましたね、今年に入ってから慣れてきたのか、後はオンラインの授業が多めということもあって、割と両立しやすくなってますね。  

――早稲田大学自転車の2年生はどういった学年ですか

美甘 大事だぞこれ。2年生…。  

中野 そうですね、2年生と言っても5人くらいいて、男の子2人はマネジャーと選手だけど同じ寮にはいなくて、(寮生の)2年生になると僕と美甘と女の子の石田(唯、スポ2=京都・北桑田)なんですけど、僕と美甘はよく一緒にいることが多いのであれですけど、2年生全体としてはみんな仲良いし集まった時はみんなでコミュニケーションが取れていると思うので、どの学年よりも雰囲気は良い学年なのかなと思います。  

美甘 一言で言ったらチームの起爆剤ですね。やっぱり、他のチームと比べるとチームが静かな方なので、他のチームの雰囲気とは違いますけど、2年生が暴れて先輩方が「おいおい」と言うのが早稲田大学2年生ですね自転車部の。  

石田  やっぱり2年生と言ったらこの美甘君と中野君中心で、この2人が盛り上げてくれていてやっていって、そうするとすごい明るくなるなというのはあります。やっぱり1年生、3年生はすごいロードの話だと強い選手がいる中で、ロードを走る中核を担っている(選手が)3人いるので、結果を出す上で大事なところに良いメンバー入っているなと思います。 

――後輩が入ってきて変わったことはありますか

美甘 中野選手どうぞ。  

中野 特に僕はいつも通りこういう性格なので、後輩だからといって変わることはないんですけど、何か変わったといえばご飯をおごるようになったくらいですね(笑)。 

一同 (笑)  

中野 他にはやっぱり後輩が入ってくると、後輩全員強いので、先輩として負けてられないなと思いますし、その中でも一緒に練習も連れていってもらったりして、自分たちも強くなれるチャンスなので、そこは良いかなと思います。  

美甘 去年は自分が1年生だったんですけど、自分がどうにかしてやろうと思っていて苦しんだ1年生でした。今は後輩に恵まれて、すごい自分の荷が下りて競技の取り組む姿勢みたいなのも変わって競技を楽しめているので、すごい感謝してますし、チームを引っ張ってもらえる強い1年生なのでそのまましっかり引っ張っていってもらって僕らが引きずり回される感じで、強くなっていけばベストかなと思います。  

石田 1年生の頃は自分の役割というのが自分の中であいまいになっていて、結構あやふやな展開をしてしまうレースとかもあったんですけど、1年生に強い選手が入ってきてくれて自分の中で自分が何をするべきかというのが定まってきて、それに向けた練習とかも考えてできるようになってきたので、そういう面では新しく強い1年生が入ってきてくれたというのはすごい良いことだなと思います。  

早稲田大学で良かった

オフでも仲が良い2年生

――早稲田大学に来て良かったなと思うことはありますか

中野 早稲田大学に入って、僕の高校というのはスポーツが強い部活は自転車部だけだったんですけど、早稲田大学という大学に入ると色んなスポーツ、競技の中でその競技のトップ選手がいますし、上の学年にはオリンピックに出場するような選手もいるので、他にもオリンピックの何かに携わっているすごい教授たちもいるので、良いところを吸収して自分の競技力を上げれるのにもつなげていけるので、すごい自分には良い大学なのかなと思います。  

美甘 一番に思うのは、他の大学の雰囲気を見ていると早稲田大学で良かったなというのは思って、雰囲気もですし練習面でも自分に一番合っているなというのは入ってからもすごく思います。  

石田 スポーツも勉強でもですけど、早稲田大学はすごい強い頭良い、意識が高い人が多いので、そういう中にいると自分も頑張ろうという意識が出てきて、それで自分自身成長できているなという感覚があるので、早稲田に入って良かったことはそれかなと思います。  

――ここ最近の合宿や練習での手ごたえはいかがですか

中野 そうですね。手ごたえは、こうやってけがをしてしまったので、ちょっと何とも言えないんですけど、けがする前の合宿では僕は非常に調子が良くて、今回は出場しない1キロのタイムとかもすごい伸びていたりするのでそういう部分では自分自身もすごく調子が良かったと思うんですけど、やっぱり、このけがっていうのが自分の中では一番大きいかなと感じているので、とりあえずはまず一日でも早くけがを直して、無理はできないですけどインカレに出れれば出たいですし、出れなかったとしてもその後の国体でしっかり結果を出せるようにこれから頑張っていきたいと思います。  

美甘 練習も去年より詰めていて、去年より良い走りができるかなと思っていて、一番はとにかくチームに貢献できる走りをして、今シーズンのインカレを終えれれば良いかなと思います。  

石田 最近は良い感じに体重も落ちてきて、パワーも上がってきてはいるので、全体として良い傾向でインカレに近づいてきたなと感じています。  

――重点的にやっている練習はありますか

中野 ギプスを外すことですね。今はケガしているのであれですけど、これから2週間自転車で運動できていない分体力も落ちていると思うので、自転車に乗って少しずつ体力を戻していきたいです。  

美甘 団体追い抜きでさっきも言ったように自分の仕事が決まっているので、やることは決まっているのでそこはしっかりできるように今後コンディションとかは気を付けてやっていきたいです。けど、今後も練習とかも入っているので、(腕をギプスで)真っ白にしないようにそこに気を付けてインカレに向けて頑張ります。  

石田 やっぱり会場の鹿児島となると結構暑くなるかなと思うので、その暑い中でレース強度の高い走りを長く出せるかというのは意識して少し前から暑い中で外で長い距離を走ったり、ダッシュ何本やれるかとかそういうのをやって、暑さへの耐性というのを体につけるようにはしています。  

――インカレでキーマンになる選手はいますか

中野 僕と言いたいところですけど、やっぱり長距離は3年生の山田拓海さん(スポ3=長野・飯田風越)と1年生の大仲凛功君(スポ1=愛媛・松山学院)がキーマンになってくるんじゃないかなと思います。どっちもロードではナショナルチームに入っていますし、トラックでもナショナルチームに入れるような力を持っている2人なので、その選手に頼りすぎるのも良くないですけど、2人が団体追い抜きであったりマディソンであったり、オムニアムという中長(距離)の種目を頑張ってくれることによって、早稲田大学内のチーム力というものもどんどん結果も良くなってくると思います。  

美甘 僕って言いたいところなんですけど、やっぱりラストイヤーの4年生がキーになるんじゃないかなと思いますね。最後の年ですし、みんなの先頭に立ってやってくれているのを後輩は見ているので、結果もそうですけど最後笑顔で終わってくれたらうれしいなと思うので、僕は4年生を挙げたいです。  

石田 僕は美甘君がキーマンになるんじゃないかなと思います。  

美甘 よっしゃー!  

中野 あれ、俺は?  

一同 (笑)  

石田 ロードの話しかしないんですけど、やっぱり3年の山田選手と1年の大仲選手、神村選手(泰輝、スポ1=東京・豊多摩)という強い選手がいる中で、彼らを上手くレース中温存させて最後の大事な場面で動かすというのが、ロードレースの中で大事になってくると思うので、そうすると彼らをサポートする中野君はけがなので、今一番力があるであろう美甘君と自分自身でどれくらい彼らの走りをサポートできるかなというのが大事になってくるんじゃないかなと思います。  

――最後にインカレに向けての目標をお願いします

中野 インカレではとりあえず出場ができればですけど、自分が出場を予定している短距離のスプリントと中距離のマディソンの面ではしっかりと自分の力を出し切って、スプリントでは予選通過、マディソンでは優勝を狙っていけるような走りをしていきたいと思っていますし、ロードでは僕は完走ということは厳しいかもしれないんですけど、できるだけ最後まで残って補給だったりチームのアシストという面で、しっかりレース中のサポートをしていけたら良いかなというのが僕の目標です。  

美甘 今年の集大成と言っても過言ではないのでインカレは、結果もですけど楽しんでやれたらなと思います。後、個人でできることは決まっているので、そこでしっかりチームに貢献できる走りをしてインカレを終えれたらと思うので、頑張ります。  

石田 自分は他の選手とは違ってロードだけで出るので、そこは集中力を高めて、くだらないミスをしないでしっかり自分の力を出し切るというのが目標で、そうする中でチームメイトの良い成績をアシストできるようにというのを頑張っていきたいなと思います。  

――ありがとうございました!

(取材、編集 髙田凜太郎 写真 髙田凜太郎、早大自転車部提供 )

◆石田眞大(いしだ・まひろ)
 東京・豊多摩高出身。法学部2年。早大だけでなく他チームとしての活動もしている石田選手。最近、一緒に練習している高校生を見て、「高校生元気すぎますね」と自分の老いを少し感じてしまったそうです!

◆中野大詞(なかの・だいじ)
 岩手・柴波総合高出身。スポーツ科学部2年。最近YOASOBIの曲をよく聞くという中野選手。好きな曲は「群青」と「もう少しだけ」だそうです!

◆美甘星次郎(みかも・せいじろう)
 鳥取・倉吉総合産業高出身。スポーツ科学部2年。動物が好きだという美甘選手。最近、猫カフェに行き、可愛い猫たちにとても癒されたそうです!