【連載】自転車インカレ直前特集『風』 第3回池上あかり×石田唯×大蔵こころ

自転車

 第3回は、池上あかり(スポ3=福岡・祐誠)、石田唯(スポ2=京都・北桑田)、大蔵こころ(スポ1=愛媛・松山学院)による早大自転車部女性対談が実現。1年生ながら様々な大会で活躍する大蔵選手、昨年のインカレでも好成績を残した石田選手、そして早大自転車部に所属しながら競輪選手としても活躍する池上選手。3人の日頃の様子からインカレへにかける思いなど、様々な側面に迫る。
※この取材は8月17日にオンラインにて行われたものです。

自分の中の意識を変えていくことができた

1年生にして複数の大会で表彰台に上る大蔵

――池上選手は現在、競輪選手として各地を転々とされていますが、寮に帰った時とかに話したりしていますか

池上 結構(寮に)いないので、あんまり会っていないという感じですね。  

――石田選手と大蔵選手は普段から話す機会は多いですか

大蔵 遊びに行きたい場所とかを話したりして、予定を立てたりしています(笑)。  

石田 8月に川越で花火があるので、それに行こうという話はしました。  

――普段はどこに出かけたりするのですか

大蔵 ご飯食べに行ったりとかはよくします。  

――池上選手は各地を転々としている中でここに行って楽しかったみたいな場所はありましたか

池上 そんなに色々なところはまだ行けてなくて、そこで観光とか美味しいもの食べたりする人もいると思うんですけど、面倒臭くてホテルにこもっているので、あまりないです(笑)。  

――本日まで合宿でしたが振り返ってみていかがでしたか

池上 (競輪選手としての活動もあるので)行けたら行こう思っていたのですが、コロナにかかってしまい行けなかったです。

石田 私は6月の初めにけがをして、久しぶりのトラック(の練習)だったんですけど、思ったより走れて久しぶりに合宿に行けて楽しかったです。  

大蔵 私は8~10日と15~17日で合宿があって、8~10日は長野県のバンクで練習だったのですが、長野県の競輪選手の方にバイクペーサーをしてもらって、(普段)できないようなトレーニングができたのでインカレに向けての練習になりました。  

――今回の合宿で重点的にやった練習などはありますか

石田 私は3キロの個人パシュートだけに出場するので、最近はそれに向けての練習ばかりしていて、今回の合宿も一定のペースでラップを刻む練習とかスタートからどのくらいのスピードにのせるとか、ペース配分の練習とかをたくさんしました。  

大蔵 私も3キロの個人パシュートの練習をして、最初の合宿でバイクペーサーの方とペースをつくる合宿をしてから、今回の合宿では単独でも自分で決めたペースで走れるようにする練習をしていました。  

――池上選手は今回のインカレで3種目にエントリーされていますが

池上 そうなんですよね…。今すごく遅くてやばいです(笑)。  

――マディソンでは大蔵選手とのペアで出場されますがいかがですか

池上 いや。もうそんなに練習ができてないです(笑)。  

――マディソンの経験はありますか

池上 1回あるのですが、その時もそこまで練習せずにやって身についたという感じじゃないので、今回もそんな感じになってしまうと思います。  

――大蔵選手はいかがですか

大蔵 今年からマディソンという競技をやり始めて国際トラックカップとかで明治の渡部選手とかと一緒にできて、少し経験できたので練習が少なくても頑張っていきたいと思います。  

――合宿の話に戻るのですが、今回の合宿を通じて手応えみたいなものはありましたか

石田 けがをしてから練習を始めたのが1ヶ月前くらいで、その時はインカレに向けてというよりは素のパフォーマンスに戻せるように練習していたのですが、それで今回の合宿で実際に走ってみると結構パフォーマンスが戻っていて、これから後2ヶ月あるので、もう少し調子を上げられればなという感じでした。 

大蔵 私は今回の合宿では、3キロを1回計って自己ベストは出せたんですけど、自分の中では納得できないタイムというか走りで、自分のいつもの最初突っ込んでしまうという癖がやってもやっても直らなくて、でも今回の合宿で新しい課題というかここを直せば良くなるというところを見つけられたので、インカレまでは後2,3週間しかないのですが、自分の中の意識を変えていくことができました。  

自転車が楽しいなと思えるようになった

全日本学生クリテリウムに臨む石田

――ここからは一人一人について詳しく伺っていきます。まず池上選手は昨年競輪学校に通われて今は競輪選手となりましたが、何かきっかけはありましたか

池上 コロナが流行って試合とかが1回なくなったじゃないですか、それでどうしようかな暇だなみたいな感じだったんですよ。大学も行けないという感じだったから、地元の福岡で練習していたら、そういえばもうすぐ競輪学校の入試が締め切りだよという話になって、なんかなれば良いじゃんと言われて、なるかあみたいな感じです(笑)。  

――競輪学校での経験を通じて得られたものはありましたか

池上 練習をしても全然タイムが良くならなかったので、そういうことってあるんだなと思ったのが一つと、集団生活だったので楽しいところもありつつきついなというのがありました。  

――石田選手や大蔵選手から見て競輪選手として活躍されている池上選手はどう映っていますか

石田 大学生活しながら競輪選手としての活動をするのはすごく忙しいと思うので、すごいなと思っています。  

大蔵 私は一度競輪選手を目指そうと思っていた時期もあったのですが、諦めたというか自分の専門種目とはまた違う種目だったので、競輪選手として活躍されている池上さんとか中野慎詞さん(令4スポ卒)とかを見てすごいなという気持ちはあります。  

――大学生活と競輪選手としての活動を両立するコツみたいなものはありますか

池上 そんなに忙しいとは思っていないのですが、休み休みやることが大切だと思います(笑)。  

――石田選手は今シーズンどのようなシーズンとなっていますか

石田 今シーズンが始まってから全然結果も出なくて自転車自体も嫌になっていた時期があって、その時期に練習中にけがをして、けがをしたことをきっかけにしばらく自転車から離れられる時期ができて、逆に良いリフレッシュ期間になって、今は実走、ロードとかトラックとかが久しぶりに自転車が楽しいなと思えるようになって、モチベーションも前よりも上がっているので良い感じかなと思います。 

――大蔵選手はそもそも早大に進学したきっかけみたいなものはありましたか

大蔵 私は高校1年生のインターハイの時に、自転車部の前監督の鈴木監督に走りを見てるよと言われて、元々高校に入学した時は競輪選手を目指して練習をしていこうと思っていたんですけど、監督に声をかけていただいたのをきっかけに大学進学も考え始めて、後、今3年生の山田拓海さん(スポ3=長野・飯田風越)が地元で一緒に走ってくれたりしてつながりもあり、拓海さんの進学先が早稲田ということもあって私も目在したいなと思うようになったのがきっかけで、そこから高校2、3年の時は早稲田に進学できるように頑張ろうと思いながら競技に励んでいました。  

――山田選手とのつながりがあったのですね

大蔵 地元のチームの練習に拓海さんが参加してくれたりして、強い選手だったので憧れもあって入るきっかけになりました。  

――早大での1年目をここまで振り返っていかがですか

大蔵 入ってからは種目が変わったり高校生から大学生になって戦う選手が変わったりして、最初は結構不安だったのですが、東日本トラックで自分が思っていたより良い結果を出すことができて、インカレに向けて頑張っていこうとなっていたのですが、木祖村のロードで3位になったこととかこの前の国際トラックのオムニアムとかで強い選手とのレベルの差を感じたり本当に課題をとても多く抱えていて、その中で自分の目標に対して向き合いながら今はインカレに向けて頑張っている感じです。  

――池上選手からは2人の活躍はどのように映っていますか

池上 自転車部のインスタを見て、2人とも速いからすごいなと思っていて、この間のマディソンも4位ですごいと思いました。  

――今シーズンは思うような走りができないとインタビューでお聞きすることもありますがいかがですか

池上 多分唯ちゃんも落車しちゃったからなかなか練習できなかったと思うし、私もコロナになってしまってタイムも伸びていなくてやばいという気持ちはあります。でも、とりあえずけががなくできればなと思います。  

大蔵 私は高校生の時と生活が変わり、高校生の時は部活として毎日練習があって、もっと大人数で女子も早稲田より人数も多くて、毎日練習が組まれた中でやっていたのですが、今は自分で(練習などを)考えるようになって上手くいかないなと思うような部分も出てきてしまっているので、それが思うような走りができていないというところに繋がっていると思います。  

石田 確かにシーズン始まって調子も良くなくて結果も出せなかったし、そこからけがもあって伸びなかった時期もあってあまり良いシーズンだったとは言えないのですが、今は調子が上がっているので大学としても一番大事なインカレで良い結果で終われれば、全部良くなるかなと思います。  

自転車部自体仲が良い

競輪選手としても活躍する池上

――ここから少しプライベートの話を伺っていきたいのですが、オフの日にやる趣味みたいなものはありますか

石田 それこそこころちゃんとご飯に行ったり、近くのアウトレットに服買いに行ったりします。  

大蔵 買い物が元々好きなので、何も買わなくても色々見に行って欲しいなと思って帰ってきたり(笑)、オフなのに寮にいるのがもったいないなと思ってしまって、ずっと唯さんとどこかに行ったり一人でぶらぶらしたりします。とりあえず電車に乗って大きいショッピングモールとか行ったりして、後は甘いものを食べに行きます。  

池上 最近、コロナでずっと部屋にいたりして外にいる機会の方が少なくて、オフの時も私は逆に外にいるのがすごく面倒くさいなと思うタイプなので、一生家にいますね。  

――家で何かされたりしますか

池上 あまり動いてないです。ずっとYoutubeでゲーム実況を見ています。大学1年の時にゲームにはまりすぎて徹夜をしてしまうことがあって、さすがにこれはまずいなと思って人が(ゲームを)やっているのを見てゲームしたという気持ちになっています(笑)。  

一同 (笑) 

――普段は1日どのくらい練習されますか

大蔵 外に行けば3、4時間とかで、室内だと短い時は1時間くらいで終わったりします。 

石田 同じ感じです(笑)。プラスして体幹トレーニングしたりとか自重でスクワットしたりとかします。  

池上 私は競輪場に行ってバンクで2、3時間練習します。  

――仲の良い選手はいますか

池上 私は浪人して入ったので、小野豪太(スポ4=岐阜・鶯谷)や佐藤威吹(スポ4=岩手・柴波総合)は(学年が)一個下になるんですね。その上(1年)休学して今になるので私の同い年の人がみんな卒業しちゃって、ちょっと大変なことになっていますね(笑)。  

石田 自転車部自体仲が良いので、学年・男女問わずすごく楽しい雰囲気でやらせてもらっています。違う学校では明治の渡部選手と仲が良いです。  

大蔵 部内では唯さんと中学生の時からも知っていた仲なので、入ってからもずっと優しくしてもらっていて、後は同期の大仲凛功は高校から一緒で、中学からも少し面識があって今も同期としていてくれて心強い部分はあります。早稲田には今同期の女子の選手がいないので、他校だと日体大の大野ふきめさんが小さいころから仲良くしてくれているので、今も遊びに行ったりします。  

――お互いに聞きたいこととかありますか

池上 そうですね。寮ってすごく寮費が高いんですよ。なので大丈夫かなという…(笑)。これは気になります。  

石田 これは仕方ないです(笑)。お父さんに頑張ってもらうしかないです。  

大蔵 逆に池上さんは短期間しか寮に帰ってこないじゃないですか。寮費とかってどうなってるんですか。  

池上 そうなんですよね。 4月の時点では寮にずっといるつもりで引っ越したんだけど、まだ授業がフルオンデマンドでどうにかなると後で知って、じゃあ引っ越さなくても良かったんじゃないかなとなったけど、その時にはもう遅くて、お疲れって感じですね(笑)。 

――インカレに向けての話に戻るのですが、チームの雰囲気はどのような感じですか

大蔵 個々の目標に向かってみんなが頑張って練習していると思います。 

石田 去年と比べて合宿の回数も多いですし、男子の団抜きの選手層も厚くなっていて去年よりも良いタイムが期待出るのかなと思っていて、個人的に団抜きをすごく楽しみにしています。  

――インカレで勝ち抜くために必要なことは

石田 高校の時はみんなでやっていたのでチームの練習についていけば良かったですけど、大学では自分で考えてやらないとだめなので、一人一人がしっかり目標をもって練習に取り組むことが大事だと思います。  

池上 練習すること。後はインカレ前にけがとか病気がなく迎えられることが大事だと思います。  

大蔵 やっぱり勝つためには自分のモチベーションを上げて自分の意識を高めることが一番大事かなと思います。後、石田さんがさっき言ったみたいに大学は自分で考えてやっていかなきゃいけず、池上さんが言った通り自分で練習しないといけないので、今日は練習いいやと思ったら練習しないとなっちゃうから、自分が何を目指してどうやって頑張っていくかを考えながらやることが大事だと思います。  

――ここからインカレまでに取り組んでいきたいことはありますか

池上 私は短距離専門みたいな感じなんですけど、実は前まで長距離をやっていて、養成所でも短距離の練習したのは良いものの結局長距離だったみたいな感じなので、今回スプリントとかは高校から自転車やってきたのですが出るのが初めてで、スプリントは1対1でやって駆け引きとかもあって大丈夫かなという感じなんですけど、まずは500のスタートが遅いので練習しようと思います。  

大蔵 私はインカレに向けて後2週間で、後2週間だったら今から(新しいことを)練習してもとなってしまうので、今まで通りとにかく体調を崩さないように自分が今出せる一番高いパフォーマンスをインカレで出せるようにしっかり調整していきたいです。  

石田 残り2週間なので、ここから頑張ってもあんまり強くなることはないと思うので、こころちゃんが言ったことと同じみたいになるんですけど、しっかり調整して自分の最高のパフォーマンスを出せるようにしていきたいと思います。  

――インカレでのキーマンは誰ですか

石田 1年生のこころちゃんと同期の大仲凛功君はロードもトラックも強いので活躍してくれるんじゃないかなと思っています。  

池上 団抜きは良いかもみたいな感じのことを言っていたので、団抜きの人たちを見るのは楽しみですし、そこのメンバーの人たちの他の競技を見るのも楽しみです。  

大蔵 私も男子の団抜きがメンバーみんな強いと思うので楽しみです。  

――最後にインカレに向けての目標をお願いします

大蔵 私は3キロIP(インディヴィジュアルパシュート)とオムニアムとロードとマディソンの4種目に出るので、全種目で絶対に表彰台に立つことと一番は3キロのIPで優勝することが目標です。  

石田 私は今回3キロにしか出ないのでその一本に集中して、今年こころちゃんには一度負けているのでインカレでは負けないように頑張ります。  

池上 やったことのない種目で今の人たちがどのようなタイムを出すかわからないのですが、自分がベストを尽くしてどうにかできるように。それで500とかスプリントは個人種目なので、何かあっても自分の責任にできるのですが、マディソンはそうはいかないので足を引っ張っらないように頑張ろうと思います。  

――ありがとうございました!

(取材、編集 髙田凜太郎 写真 髙田凜太郎、自転車部提供)

◆池上あかり(いけがみ・あかり)
 福岡・祐誠高出身。スポーツ科学部3年。最近豆腐をいっぱい食べているという池上選手。ごまダレをかけて食べるのがとても美味しいそうです!

◆石田唯(いしだ・ゆい)
 京都・北桑田高出身。スポーツ科学部2年。小さい頃は本を読むのが好きだったという石田選手。最近は図書館に行き、本を読みなどその雰囲気を堪能しているそうです!

◆大蔵こころ(おおくら・こころ)
 愛媛・松山学院高出身。スポーツ科学部1年。シャインマスカットを食べるのが好きだという大蔵選手。合宿の合間に実家に帰った際、シャインマスカットを食べることができて嬉しかったそうです!