8月6日、7日の2日間で全日本学生選手権オムニアムが開催された。今回の大会には学生だけでなく日本のプロ選手やオリンピックの経験もある海外の選手もエントリー。そんなハイレベルな大会に早大からは山田拓海(スポ3=長野・飯田風越)、中野大詞(スポ2=岩手・柴波総合)、大仲凛功(スポ1=愛媛・松山学院)、大蔵こころ(スポ1=愛媛・松山学院)の4人が出場した。
マディソンに臨む山田と中野
初日の男子マディソンに出場した山田と中野。予選では序盤から積極的な走りを見せると最初のポイント周回を1着で通過し、5ポイントを獲得する。その後もポイントを積み重ね、最終周回も1着でフィニッシュ。合計19ポイントを獲得し予選を2位で通過した。迎えた決勝は120周であったため様子を見ながら臨んだ2人。しかし、序盤から上手くポイントを重ねることができず結果は5位に終わる。「お互いの良いところが生かせなかった」(山田)、「交代がうまくいかず、ポイント周回でポイントが取れなかったことが課題」(中野)とレースを振り返った。
最後のスプリントで強さを見せた大仲
男子オムニアムには早大から大仲が出場した。初日に行われた予選のポイントレース。「思ったようにレースは上手くはいかなかった」と振り返る大仲であったが、終始集団の前方に位置取り、3回目のポイント周回で初めてポイントを獲得する。さらに最終周回ではスプリント勝負を制し1着でゴール。合計ポイントでも1位となり翌日の決勝に向けて、弾みのつくレースとなった。初日の勢いのままに臨みたい決勝であったが、一転して厳しいレースが続く。1種目目のスクラッチはハイペースなレース展開となる中、大仲は逃げを試みるが集団から抜け出せず、全体9位でレースを終える。2種目目のテンポレース、3種目目のエリミネイションでも流れに乗れないまま4種目目のポイントレースに突入。大仲は序盤から積極的に仕掛け逃げを図るが、集団に逃がしてもらえず。その後徐々に集団から遅れ始めると、再び集団に追いつくことはできず無念の途中リタイアとなった。
決勝では思った走りができず「力不足でした」と振り返る大仲、インカレに向けてさらなる成長を誓う
大蔵は、ケイリン・マディソン・スプリント・オムニアムと行われた全種目に出場。初日のケイリンは、久しぶりの実戦ということもあり「自分から動くとかできず、安全策を取ってしまった」と全体8位で終える。続くマディソンは明大の選手とのペアで臨んだが、1ポイントしか獲得できない展開が続き5組中4位でレースを終えた。2日目のスプリントでは自己ベスト更新を目指したものの及ばず。オムニアムでは1種目目のスクラッチから流れをつくれず、その後の3種目も狙ったレース展開とはかけ離れてしまい最終順位は12位。全体として悔しい結果に終わった。
「いつも通りの走りができなかった」と悔いが残るレースになった大蔵、インカレまでに様々なレースを分析し自分の走り方を模索する
1ヶ月後に控えるインカレの前哨戦として臨んだ今大会。しかし早大勢は課題が多く残るレースとなってしまった。それでも「何がいけなかったのかを見つめ直すことができたので良かった」(大蔵)とインカレ前に修正点が見つかったことは好材料だ。インカレでは再び今回の種目に挑む選手も多くおりリベンジが期待される。悲願のインカレ優勝に向けて、早大自転車部の勝負の夏が始まった。
(記事 髙田凜太郎 写真 大日結貴、髙田凜太郎、星野有哉、石崎太一)
結果
▽男子マディソン予選
山田・中野 1組2位 決勝進出
▽男子マディソン決勝
山田・中野 5位
▽男子オムニアム予選
大仲 2組1位 決勝進出
▽男子オムニアム決勝
大仲 DNF
▽女子ケイリン
大蔵 8位
▽女子マディソン
大蔵 4位
▽女子スプリント
大蔵 9位 13秒20
▽女子オムニアム
大蔵 12位
コメント
1日目
山田拓海(スポ3=長野・飯田風越)
――本日のコンディションはいかがでしたか
インカレの前にどのくらい自分たちが走れるのかというところで、リハーサルとしてチャレンジをしたのでしっかり仕上げてきたわけではないのですが、自分のコンディションはまずまずだったかなと思います。
――本日は先日のレースで良い結果を残せた中野選手とのマディソンでしたが手応えみたいなものはありましたか
少し恐怖心はあるのですが前回よりもスピードが少し上がっていたので、その上で無事に走り終えることができたのは良かったと思います。
――予選では積極的にポイントを取りに行っているような印象でしたがどのようなレースプランでしたか
決勝につなげるためにまずは予選を上がるという目標であったので、とりあえず取れるポイントは取ってという感じで臨みました。
――続いてハイペースとなった決勝はどのようなレースプランでしたか
120周という周回だったので様子を見ながら行くという感じだったのですが、想定していたよりもあまり上手くいかずにレースが終わってしまったなという感じがあります。
――どのような想定をしていて、どういったところが上手くいかなかったのですか
スプリントは中野の方が優れているのでポイント周回は中野で行かせたかったのですが、それが逆になってしまってお互いの良いところが生かせなかったと思います。
――ラスト20周ではポイント周回のスプリントで相手を抜き去るシーンがありましたが振り返ってみていかがですか
ここは行くしかないなと思ったので気合で行きました。
――今日のレース全体を通じての収穫または課題みたいなものはありましたか
最終的な僕たちの目標はインカレでの優勝なのでそこに向けて良いリハーサルになったのかなと思います。今回はあまり上手くいかなかった部分もあるのですが、インカレ前にこの課題が分かったのでそこに生かせたらなと思います。
――ここ最近はトラックに出場される機会もありますが手応えはいかがですか
高校生のころからトラックレースは何度か走っていたので、時々参戦するくらいなのですがやはりロードとは違った厳しさがあって奥が深いなと思います。
――1ヶ月後に控えるインカレに向けて意気込みをお願いします
今年は総合的に見ても良いメンバーが揃っていて、あわよくば優勝も狙える位置にいるのではと思っているので、これから残りの期間合宿なので煮詰めていって良い順位を報告できるようにこれからの1ヶ月過ごしていきたいなと思います。
中野大詞(スポ2=岩手・紫波総合)
――本日のコンディションはいかがでしたか
ここ最近は本調子ではなかったのですが、しっかり走りきることができて良かったと思います。
――先日のレースでペアを組んだ山田選手とのマディソンでしたが、手応えはいかがでしたか
今回は交代がうまくいかず、ポイント周回でポイントが取れなかったことが課題だなと思うのですが、ハイペースで走りきれたことは9月のインカレに向けては良い感じになったと思います。
――予選では序盤から積極的にポイントを取りに行っている気がしたのですが振り返ってみていかがですか
予選は積極的に行けたが、体が重くてきつい部分がありました。決勝ではペースは速かったが、ポイントは取れなかったので悔しかったです。
――決勝は惜しくも5位となりましたがレースを振り返っていかがですか
力的には表彰台を狙えたので悔しいなと思います。
――今日を通じて得た収穫や課題は
速いペースで走りきれたことが収穫だと思います。課題としてはポイント周回の時に調整をして、ポイントが取りにいけるところでは取りにいくことができるようにしたいです。
――改めてマディソンというレースに手応えは得られましたか
インカレでは優勝を狙っていますし、今回の大会に他の大学もインカレメンバーで出てきているので優勝を狙うために頑張っていこうと思います。
――1ヶ月後のインカレに向けて意気込みをお願いします
僕は短距離のスプリント、中距離のマディソン、長距離のロードと、様々な種目に出るので、全てにおいて早稲田大学が総合優勝とれるように貢献できればと思います。
大蔵こころ(スポ1=愛媛・松山学院)
――今日のケイリンのレースを振り返ってください
ケイリンは久しぶりのケイリンっていうのもあって緊張感とか不安になってしまうことが多かったです。そのためなかなか自分から動くとかできず、安全策を取ってしまいました。もっとこういう機会を活かして挑戦した方が良かったなという後悔があります。
――マディソンでは再び明大の方とペアを組まれていました。レースを振り返ってください
今回のマディソンは、前回(全日本学生トラック)走った時よりは交代とかできてたんですけど、全然レベルの差やスピード感が違ったため、タイミングが上手くいかなくて何回か失敗してしまいました。また、ポイント周回でのポイントが1ポイントずつしか取れなくて思うようには行きませんでした。
――本日の収穫を教えてください
周りの選手との力の差を感じたので、課題が見つかったことが今回の収穫です。
――今大会4種目にエントリーした経緯や意図を教えてください
もともと、オムニアムとマディソンだけ出るつもりだったんですけど、ケイリンとスプリントに人が足りないということで、出てみることになりました。でも一番はオムニアムなので、明日は海外の選手に負けないように頑張りたいと思います。
――明日の意気込みをお願いします
明日のオムニアムでは初めて4種目(ポイント、テンポレース、エリミネーション、スクラッチ)を一日でレースすることになります。とても厳しい戦いになると思いますが、頑張りたいと思います。
大仲凛功(スポ1=愛媛・松山学院)
――明日のオムニアムに向けた予選ということで今日のレースはどのような狙いで臨まれましたか
明日に向けて体力を残すという面で、計算上1回1着で(ポイントを)取ってしまえば予選は上がれると予測はしていたので、けどそれだけじゃダメなので1年生だしアグレッシブな走りをしようと思って、レースの中盤から逃げの動きを積極的に作ろうと心みたのですが、ポイントレースの中で10キロという距離は短いので、みんなそれなりに体力もあるし体力があればスピードもおのずと出るし、僕が逃げを作ってもすぐに封じ込められたので思ったようにレースは上手くはいかなかったのですが、最後1着取れたのとずっと前々で展開できたのは良かったかなと思います。
――序盤から集団の前方にいた中で、最初の2周回はポイントを取ることができなかったのですが、焦りみたいなものはありましたか
焦りというのはそんなになくて、僕はちょっとしたスプリントが他の中距離選手に比べ長けていると思うので、そこの面では心配はしてなかったです。
――3回目のポイント周回で初めてポイント獲得となりましたがどういったレース展開に持ち込めたことが要因でしたか
正直なところそこまで3周回目にポイントを取ろうという気ではなかったのですが、前々で展開して最後ラストスプリントで絶好の位置取りを取りそこから1着取れるようにと心がけていました。
――最終周回では法大の選手とのスプリント勝負を制しての1着となりましたが何か意識していたことはありますか
抜かれても抜き返す位の気持ちで諦めないことと、ゴールした後1着だと楽しいのでそれを想像しながら走っていました。
――予選1位通過ということで勢いを持って明日のオムニアムに臨めると思います。意気込みをお願いします
予選同様積極的に逃げの展開をつくり出せるようにしっかりとまたアグレッシブな走りを展開していきたいと思います。
2日目
大蔵こころ(スポ1=愛媛・松山学院)
――この2日間をどのように振り返られますか
この2日間は正直に言って、いつも通りの走りも何もできずに終わってしまいました。それでも課題が多く見つかって、ハイレベルな戦いの中で何がいけなかったのかを見つめ直すことができたので良かったです。
――本日はスプリントとオムニアムの2種目に出場されましたが、まずスプリントを振り返ってみていかがでしたか
スプリントは元々得意ではなかったので、自己ベスト以上のタイムを出せればと思って走ったのですが、なかなか思うようにはいけずにバンクも重く感じてしまい、自己ベストより1秒以上遅いタイムを出してしまったので少し後悔はあります。
――続いてオムニアムを振り返ってみていかがでしたか
オムニアムは種目ごとであったので力で勝負できていたのですが、今日は人数がいつもの倍以上の人数で位置取りが難しかったのと、もがいても前に出れないというところにすごく苦戦して、なかなか上手く走れませんでした。
――4種目の中で特に悔いが残った種目はありましたか
特にというか全体的に今日は悔いが残ってしまって、最初のスクラッチから良い流れがつくれなかったです。
――1ヶ月後に控えるインカレに向けて意気込みをお願いします
今回は(オムニアムに)初挑戦で全然頭でも考えられず動きも思うように動けなかったので、後1ヶ月しかないですが自分のできることをやって、特に世界のレベルのレースや今までの学生のレースを見て分析して、もっと自分の戦い方を見つけてインカレでは優勝目指して頑張りたいと思います。
大仲凛功(スポ1=愛媛・松山学院)
――この2日間を振り返っていかがでしたか
力不足だなというのが正直なところで、次回インカレでオムニアムにまた出場するのでしっかり修正をかけていきたいと思います。
――序盤のスクラッチやテンポではある程度やれると感じていたのか、それともまだまだ足りないと感じていたのかどちらでしたか
手応えはなくて力不足だなとしか感じなかったです。
――今回の大会は学生だけでなく海外の選手なども出場していたハイレベルなレースを振り返ってみていかがでしたか
今回は海外の選手が来ていたのですが海外選手は一部だけでほとんどが学生の選手で、今までトップを走ってきた選手たちと走ったのですが、ただ力不足だなと感じて、インカレでまた同じところで走るので次は同じ土俵で戦えるようにパワーとか持久力とかをつけて挑みたいなと思います。
――今回は悔しい結果に終わってしまったと思いますが、インカレに向けてどのように修正していきたいですか
インカレの会場の鹿児島の根占バンクは一周333㍍なので、バンクに対する恐怖心というのは少なくなると思うので、目一杯(ペダルを)踏めるとは思うのですが、ハイスピードなペースというのは慣れなかったので練習からハイペースなところを練習して何とかカバーしていきたいと思います。