全日本学生選手権トラックはほろ苦い結果に

自転車

 7月2日、3日の2日間で、第62回全日本学生選手権トラックが行われた。会場となったのは静岡県の伊豆ベロドローム。木製トラックを持つ東京五輪でも使われた会場だ。そんな今大会に早大からも多くの選手が出場したが、厳しいレースが続いた。

 初日、最初の種目である男子タンデムスプリント予選。この種目では2人乗りの自転車を使うため、両者の呼吸を合わせることが鍵となる。早大からは佐藤威吹主将(スポ4=岩手・紫波総合)と細田悠太(スポ4=鹿児島・南大隅)のペアが出場したが、結果は10位。予選通過とはならなかった。その後スプリントを挟んで迎えた男子ポイントレース予選1組に美甘星次郎(スポ2=鳥取・倉吉総合産)が出場。しかし、結果は13位と決勝進出とはならず。続く女子のポイントレース決勝には大蔵こころ(スポ1=愛媛・松山学院)が出場し、結果は全体4位。「消極的なレースになってしまった」(大蔵)と優勝を目指していただけに悔しいレースとなった。午前中最後の種目はケイリン第1回戦。各組1位が1/2決勝に進める中、6組で出場した佐藤は3位と敗者復活戦へまわる。その後の敗者復活戦でも良い位置取りを取れず、1/2決勝進出とはならなかった。

男子スクラッチに臨む中野

 午後最初の種目は男子4キロインディヴィジュアルパシュート(ⅠP)。早大からは大仲凛功(スポ1=愛媛・松山学院)が出場した。タイムは4分29秒133と目標としていた4分30秒台切りは達成。順位も4位であったが、同時走行となった中大の伊藤恭に半周差を追いつかれてしまうなど「後味の悪い結果だった」と悔しさを滲ませた。続く女子3キロIPには大蔵が出場。3分49秒556と自己ベストの走りで2位に入る好成績を収めた。次に行われたのが男子スクラッチ予選。予選3組に中野大詞(スポ2=岩手・紫波総合)が出場すると、組内トップの見事な走りで順当に決勝へと駒を進めた。 

 迎えた2日目。1キロタイムトライアルに小野豪太(スポ4=岐阜・鶯谷)と諸隈健太郎(スポ3=高知工)が臨んだ。共に久しぶりの実戦となった中、結果は小野が12位、諸隈が16位と入賞とはならなかった。続く男子スクラッチ決勝に予選を快調な走りで通過した中野が出場。ペースが速く、なかなか「逃げ」を許してくれない膠着したレースに。中野自身も「逃げ」を試みるが、すぐ集団に吸収されてしまう展開が続く。残り5周になったタイミングで集団から2人が飛び出すし、それに追随するかたちで集団のペースも上がる。最後のスプリント勝負となるが、飛び出したまま1位をキープした上杉有弘(朝日大)が優勝。中野も最後まで懸命に漕いだが9位に終わった。

男子1キロタイムトライアルに臨む諸隈

 午後には男女マディソンが行われた。マディソンは2人1組でチームを組み、1人がコートの下段を走り、もう1人がコートの上段で休むという、2人が交代しながら行う種目。最終的に獲得した合計ポイントで順位が決まる。先に行われた女子の部には大蔵が明大の選手とのペアで出場。相手の選手とは小学校の頃からの知り合いという大蔵だったが、「取りにいかなきゃいけないポイント周回のところでゴタゴタになってしまった」と振り返るように、即席チームということもあり交代が上手くいかず、3チーム中2位となった。続く男子マディソン。早大からは美甘と中野のペアが出場した。初めてのマディソン出場ということもあり、とりあえず落車がないようにと心掛けていた2人。しかし、「交代が想像以上にうまくいかなくて」(中野)と結果は5位に終わった。

大蔵は小学校の頃からの知り合いと女子マディソンに出場した

 予選敗退など厳しい戦いが続き他校との差も感じた今大会。チームとしても個人としても納得いく結果を出せた選手は少ない。2カ月後にはインカレが控えている。「インカレではタイムの自己ベスト更新と、昨年の総合順位が8位だったのでそれを超えることができるように、部全体で頑張っていきたい。」と小野。今大会での経験を糧に、部全体でのさらなるレベルアップを目指す。

(記事 髙田凜太郎、写真 池上楓佳、髙田凜太郎)

結果

▽男子タンデムスプリント予選

佐藤・細田 10位

▽男子ポイントレース予選

美甘 13位

▽男子ケイリン

佐藤 予選敗退

▽男子4キロIP

大仲 4位 4分29秒133

▽男子スクラッチ予選

中野 3組1位 決勝進出

▽男子1キロタイムトライアル

小野 12位 1分6秒631

諸隈 16位 1分7秒126

▽男子スクラッチ決勝

中野 9位

▽男子マディソン

中野・美甘 5位

▽女子3キロIP

大蔵 2位 3分49秒556

▽女子ポイントレース決勝

大蔵 5位

▽女子マディソン

大蔵 2位※オープン参加

コメント

小野豪太(スポ4=岐阜・鶯谷)

――今回の大会に向けての目標を教えてください

今回は自己ベスト更新というのを狙っていました。前回の全日本選手権の会場はここ(伊豆ベロドローム)で、自己ベストを更新できた場所でした。そういう場所柄というものもあり、今回も自己ベスト更新を狙っていました。

――今回は小野選手にとって久しぶりの実戦だったと思うのですが、いかがでしたか

トラックは大会自体がそこまでないので、今シーズン最初の大きい大会でした。1キロタイムトライアルに出場して、自己ベストは5秒4だったのですが、今回は6秒6で。結果としてタイムは落ちてしまいましたが、シーズン初めにしては上出来かなと思います。

――1分6秒台という結果を改めてご覧になり、どのように感じていますか

昨シーズンのベストを更新できなかったことはもちろん悔しいです。まだシーズン初めですし、今回いろいろな課題点も見つかったので、まだまだ頑張っていけるかなという気持ちです。

――課題点が見つかったとのことですが、どのような課題が見つかり、それを今後どう改善していきたいと考えていますか

トラックは前半の爆発力という点がやはりまだ課題だと思っています。そこをもっと強化していけるような練習をしていきたいです。

――2ヶ月後にはインカレも控えていますし、これからシーズンはまだまだ続いていくと思います。どのように準備していきたいですか

これから合宿や練習を部内でこなしていって、インカレではタイムの自己ベスト更新と、昨年の総合順位が8位だったのでそれを超えることができるように、部全体で頑張っていきたいです。

中野大詞(スポ2=岩手・紫波総合)

――今回の大会に向けての目標はありましたか

スクラッチという種目では優勝を目指していました。また、マディソンは出場が初めてということもあって、自分がどれだけ走れるのかということの確認と、もし戦えるのであれば表彰台に乗れるようにしたいと思って走っていました。しかしマディソンは練習不足で上手くいきませんでしたし、スクラッチも残り5周からの位置取りミスで後ろに下がってしまい、目標に到達することができなかったのですごく悔しいです。

――ご自身としてはトラックに力を入れているシーズンだとお聞きしましたが、この結果をどのように受け止めていますか

今回は調子が良くて、今日も少しは戦えるかな、食らいついていけるかな、という感じでした。予選ではすごく調子が良くて、自分の思っていた通りの展開になったのですが、やはり決勝となるとそうはさせてくれなかったので 、これからいろいろな経験を積んで、どんな展開でもしっかり勝てるように頑張っていきたいです。

――スクラッチでは膠着した状態が続いていて、動かないレース展開であったと見受けられたのですが、実際どうでしたか

ペースが早くて、「逃げ」がなかなか作りにくい展開でした。自分からも何回か仕掛けたのですが、やはり逃がしてくれませんでした。

――マディソンは初めてとのことですが、美甘選手とのペアでどのように感じていましたか

練習も2回、ゆっくりしたペースでやっただけでしたし、レース形式というのも本当に初めてのことだったので、とりあえず落車がないように気をつけていました。交代が想像以上にうまくいかなくて、そういう部分で自分自身がいっぱいいっぱいになってしまっていたかなと思います。

――2カ月後のインカレに向けて、どのような準備をしていきたいですか

マディソンはインカレまでにあと2回レース経験を積むことができる予定なので、そこでしっかり考えながら練習をして、インカレでは優勝したいです。

大蔵こころ(スポ1=愛媛・松山学院)

――この大会での目標や狙いがあれば教えてください

ポイント(レース)と3キロ(インディヴィジュアルパシュート)で優勝するという目標でこの大会に来ました。

――ここ2日間のコンディションはいかがでしたか

コンディションは良かったのですが、ポイントレースでは消極的なレースになってしまったので上手く自分が思っているような戦い方ができなかったので、次は挑戦できるようにしたいのと、3キロは自己ベストが出て、最初から突っ込んでいったのですがやはり後半たれてきたというのが課題として見つかったので、それを改善できるように次に向けて頑張りたいと思いました。

――今お話にもありましたが課題が出たということで、その課題をどのように克服していきたいですか

重いギアに3キロだったら約4分間耐えなきゃいけないのですが、その持続力がなかったので、重い負荷でも長く漕げるように練習していきたいと思います。

――オープン参加となったマディソンは急遽ペアを組むことになりましたが、相手の選手とは面識があったのですか

小学生の頃からの知り合いの方で、ずっと面識はあったのですが、やはりぶっつけ本番ということであまり交代が上手くいかなくて、取りにいかなきゃいけないポイント周回のところでゴタゴタになってしまって上手くいかなかったので、次また8月6日、7日で走る機会があるので、それに向けて練習していきたいと思います。

――2カ月後にはインカレが控えていますがそこに向けて意気込みをお願いします

インカレでは3キロで絶対優勝するという気持ちで臨むとともに、オムニアム・ロードでも入賞、3位以上を取れるように練習に励んでいきたいと思います。

大仲凛久(スポ1=愛媛・松山学院)

――今大会の目標を教えてください

ここのトラックが結構タイムが出るということを予め知っていたので、自己ベストを更新、今までは(4キロインディヴィジュアルパシュートで)4分30秒台フラットが自己ベストだったので、30秒台を切るというのを目標で頑張っていました。

――東日本学生選手権トラックでは同種目で優勝されるなど、自信がついていた部分もありましたが

自信自体は正直なくて、他の安達光伸さん(朝日大)だったり、兒島直樹さん(日大)だったりそこの2人は高校生の時からずっと強かったりして、絶対勝つことは無いだろうなと思っていたので、その2人以外で何とか表彰台に乗れたらいいなと思いながら走っていました。

――大仲選手は4位という結果に終わりましたが、振り返られていかがですか

とりあえず自分の中での目標というのは達成できたから、そこは満足いくのですが、対戦相手の伊藤恭さん(中大)に横並びされたのが人生初めてな屈辱で、すごく後味の悪い結果だったというのが正直なところで、トップから9秒差で、9秒差がついたらたとえ4位でも争えていないので、インカレまでにせめて3秒以内には縮めたいなと思いました。

――6月から連戦続きでしたが、疲労の方はいかがですか

疲労自体はないとは思うので、それは多分大会結果には正直なところ(影響は)ないと思うので、とりあえず今持てる実力は出せたと思うので、そこからまたパワーアップして表彰台、1位は無理でも取れるように頑張りたいと思います。

――今お話にもありましたが、2カ月後のインカレに向けてどのような準備をしていきたいですか

とりあえずパワーアップするのと、後はトラック関係ないのですがロードとかで持久力とか、(開催地が)鹿児島ということで暑さとかも対策していかないとなと思います。