全日本大学対抗選手権(インカレ)直前特集。第1回は、トラックを専門としている3人を迎えて対談を行った。トラック長としてチームを引っ張る3年生の田中克尚(スポ3=岡山工)、ルーキーながら主要な大会で次々と結果を出している中野慎詞(スポ1=岩手・紫波総合)、そして九州からやってきたルーキー川副雷斗(スポ1=熊本・九州学院)の3人にお話を伺った。層の厚くなったトラックチームの雰囲気や、ルーキー2人にとっては初のインカレへの意気込みを語ってもらった。
※この取材は8月3日に行われたものです。
ただただ、強いというイメージでした(田中)
対談は明るい雰囲気のなか行われた
――新入生のお二人にお伺いしたいです。中野選手は紫波総合高校から早稲田大学に進学されました。毎年紫波総合から自転車部に入部していると思うんですけど、どういった経緯で早稲田大学に入学することを決められましたか
中野 色々な大学と迷ったりもしたんですけど、先生とか監督さんとか周りと相談しているときに、やっぱり東京オリンピックもここ東京でありますし、スポーツ科学の最先端をいっているといえばワセダで、自分が成長してく上で、心理的な部分などを相談をしたりするときに、役に立つ、というか。すごい先生もたくさんいらっしゃるので、自分が成長する上での環境を考えたときに、他の大学と比べてワセダが一番良いかなと思って決めました。
――大学を選ぶ候補としては、地方の鹿屋体育大学なども候補だったということですか
中野 早稲田大学か鹿屋体育大学かで迷っていました。
――最終的な決め手としては、学術的にワセダがスポーツのアプローチに長けているというところですかね
中野 はい。
――先輩が多くいるっていうのは、入ったときに心強さはありましたか
中野 特になかったです。
――川副さんは九州学院からいらしてると思うんですけど、九州出身の選手はOBたちを見ても少ないという印象はあるんですけど、大学はどういう経緯で決めましたか
川副 先輩の田中さんが、憧れの選手がいたので(笑)。田中さんが早稲田大学に入っているので、それを追うようなかたちにはなってしまったんですけど、まあそういうのもあり、同級生にも強い選手が入るので良い環境かな、と思いました。僕は早稲田大学か競輪学校で迷っていたので、そのまま競輪学校に行って選手になるよりは、セカンドキャリアとかも考えて早稲田大学に行こうかな、と思いました。田中さんがいるのが一番大きいですけどね(笑)。
――九州というと先日、大竹耕太郎(平29スポ卒、現ソフトバンクホークス)選手が先発されていましたが
川副 僕、大竹さんとライン友達なんですよ。整骨院が一緒で。
――地元のですか
川副 そうです。熊本の整骨院が一緒で、自転車のジャージとかもなぜか僕がもらいました。もらったからって言って、何枚かもらったりもしました。
――着ていますか
川副 着てません(笑)。あ、一回着ました(笑)。
――そこはアスリートの集う整骨院なんですか
川副 そうですね。
――田中さんは昨年の秋から、トラック長をされていますがいかがですか。慣れるのに難しい部分などありましたか
田中 一応、上に先輩がいたのであまり強く言えないというか、引っ張っていきにくいという感じがあって、女子の先輩が結構率先して手伝ってくれていたりしたので、その点はやりやすかったかな、というのは感じますね。
――それは池田選手(ゆめこ、スポ4=北海道・札幌旭丘)ですか
田中 はい。
――4月になってトラックには1年生も加わって、層が厚くなったと思うんですけど、1年生にはどうような印象を持ちましたか
田中 最初はただただ強いなぁっていう感じで、
川副 ありがとうございます(笑)。
一同 (笑)。
田中 最初はもう、僕が弱いっていうのもあって、本当についていけない感じだったので、ただただ強いというイメージでした。
――チームの刺激になっているな、という感覚は上級生としてはありますか
田中 中野くんは、特に大学に入ってから結構成績を出しているので、みんなもそれに影響されて頑張っている、というのはあります。
――ロードもトラックも今年はかなり好成績だな、というのはご自身たちが一番感じていらっしゃると思うんですけど、チームの雰囲気はいかがですか。これまでのイメージとしは、「個」が頑張るというのが早大には多いかな、というのはあったと思うのですが今年はどうですか
田中 今年は団体種目を結構メインでやっているっていうのがあって、全日本大学対抗選手権(インカレ)でも団体を主に狙っていて、団体で練習した成果が個人の種目にもついてくると思うので、みんなで競い合いながら一緒にやってきた、という感じですね。
――チームスプリントのメンバーは合宿後に決めるんですか
田中 もう大体決まっています。
川副 中野と田中さんと、安倍さん(大成、スポ2=岩手・紫波総合)です。
――チームスプリントは感触としては、いかがですか
田中 チームスプリントは結構、僕が足を引っ張っている感じがあって、1走は今のところ安倍くんなんですけど、速くて僕がついていくのが結構しんどくて、それでペースが少し落ちている感じがあるので、そこを合宿中に、まあインカレまでに詰めていってインカレは優勝を狙っていく、という感じですね。
――田中さんは何走ですか
田中 僕は2走です。
――インカレでのタイムの目安は設定されていますか
田中 45秒台です。
――それはどういう風にして決まったんですか
田中 一昨年、チームスプリントで優勝した時は、45秒にぎりぎり入っていたような気がしたので、それを第一の目標としてやっています。
――チームスプリントの指導は、塩原コーチですか
中野毎日来られるわけではないので、合宿とかになると丁寧にアドバイスしてくださるんですけど、普段は僕ら3人で、練習しています。
田中 一応、データを取っていて、もう一人コーチに岡島さんという方がいて、その人に練習方法だったり、パワーのデータを送ったりして、こういう感じで練習を行っていますということを報告して、アドバイスを受けてまた練習をやっています。
――チームスプリントは、トラック練習だったら1日に1回はやる、というような組み方はしているんですか
田中 結構バラバラで、みんながやるってなったらやっています。
チームスプリントは優勝を目指していく
中野はルーキーながら圧倒的な成績を残している
――高校までとの練習環境とは違って、コーチが遠方にいるという状況で自分たちで練習を考えていく、というスタイルだと思いますが、それについては1年生のお二人は慣れましたか
中野 僕は高校の頃から、先生が「自分で考えろ」という感じだったりとか、僕自身は高校の時にチームでは練習するんですけど、チームスプリントのメンバーだったり、短距離を引っ張って僕が練習を考えてやっていたので、そういうとこに関しては全く問題なくやっています。
川副 僕は逆で、言われたことをやっていただけだったので、来て最初は難しかったです。
――どういう風にそれは克服していったんですか
川副 もうそれは先輩の田中さんに一から教わって(笑)。ゼロだったのを一から少しずつ教えてもらいました。
――先輩たちの印象はどうですか
川副 優しいです。
――中野さんのうなずきが深いですね(笑)。
中野 優しくなかったらこんなに言えないので(笑)。
――みなさんの一番注力している種目としてはケイリンですか
中野 僕はスプリントです。
川副 僕はタンデムですね。
――昨年のインカレで安倍さんと中井さん(琢、平29スポ卒)が組んでいて優勝できなかった時に、中井さんが「これは後輩のために遺しておくんだ」という格好良い言葉を残していたので、期待しています
川副 安倍さんと、頑張ります(笑)。
――田中さんの注力している種目は何ですか
田中 スプリントです。
――ケイリンもエントリーはされますか
田中 いや、ケイリンはエントリーしていないです。
――田中さんは個人としては何に出場されますか
田中 僕はスプリントです。
――今の一番注力したい種目での目標、今のベストタイムと次に出したいタイムをそれぞれ教えていただきたいです
中野 僕は予選のタイムトライアルが10秒0っていうのがベストで、今目標にしているのは9秒8ですね。
――今期の国際トラックカップの時に10秒25だったと思うんですけど、それはかなり好調でしたか
中野 僕は、個人戦から3週連続で大会が続いていて、結構ぎりぎり、というか結構厳しい状態で、チームスプリントも棄権してしまうくらい、体力的に厳しい状況だったんですけど、そういう状況にしてはすごい良いタイムだったかな、と思います。
――今の持ちタイムの10秒0はどの時に出されたものですか
中野 全日本学生トラック個人選手権のタイムです。
――タンデムはいかがですか
川副 僕らは、伊豆ベロドロームでインカレがあるんですけど、ベロドロームで1回しか走っていないので、その時のタイムが13秒6だったと思うので、12秒台目指していければと思います。スプリントみたいに予選が最初にあるので、そのくらいを狙っていきたいです。
――合宿は伊豆と伊東でやると伺ったんですが
川副 その時にまた合わせる感じです。
――田中さんはいかがですか
田中 僕は、ベストが10秒5で、僕は予選で結構タイムをあまり出せない人なので、この前の個人戦の時も、予選落ちしてしまってインカレも予選をとりあえず上がることを目標にしてやっていて、ベストが10秒5なのでそれより速い10秒4は出してはおきたいな、という感じで狙っています。
――対戦の方が強いな、というイメージがありますが、対戦の方が得意ですか
田中 得意というわけではないんですが、とりあえず予選さえ上がっちゃえば、後はどうにかなるかなという感じなので、そこだけを気合入れえ、頑張っていきたいなと思っています。
――インカレに向けて、トラックのメンバーとして、また総合優勝に向けてどういう意気込みや思いを持っているか、お聞きしたいです
中野 僕は、もう負けるわけにはいかないので、とにかく優勝するだけです。
田中 チームスプリントは優勝を目指して、個人は中野くんがいるので優勝は厳しいかな、と思っているので(笑)。最低3位以内を狙って、決勝で中野くんと当たれるようにとは考えています。
――東日本学生選手権で当たっていましたよね。同士討ちって今までなかなか見たことがなかったですが、どうでしたか
田中 その時は、予選が1位2位上がりだったので、順当に勝っていけば当たるっていう感じだったのでそれほどでした。
――川副さんはいかがですか
川副 僕らは、中井さんが残してくれた優勝をしたいと思います。
――今年からインカレの日程が変わって、ロードとばらばらになりましたが、そういう時はロード班の人はいない、ということですか
川副 ロードもトラックもどちらも全員参加です。
――ありがとうございました!
(取材・編集 小林理沙子)
インカレへの抱負を色紙に書いていただきました!
◆田中克尚(たなか・かつひさ)(※写真中央)
1998(平10)年2月10日生まれ。166センチ。岡山工高出身。スポーツ科学部3年。1年生の2人に挟まれて、突っ込まれながらも、静かに微笑んでいる姿が印象的でした。インカレでは、中野選手と共に決勝に進出できるのか。目が離せません。
◆中野慎詞(なかの・しんじ)(※写真左)
1999(平11)年6月8日生まれ。175センチ。岩手・紫波総合高出身。スポーツ科学部1年。「優勝するだけ」と力強く語ってくれた中野選手。インカレでの活躍に期待がかかります。
◆川副雷斗(かわぞえ・らいと)(※写真右)
1999(平11)年9月8日生まれ。163センチ。熊本・九州学院高出身。スポーツ科学部1年。対談では持ち前の明るさで、場を盛り上げてくれました。昨年の先輩が果たせなかったタンデム優勝を目指し、走り抜きます。