大物ルーキーの活躍ぶりが光る!来季に向け実り

自転車

 全国各地を巡って開催されてきた学生自転車競技のシーズンを締めくくるのは、第12回明治神宮外苑クリテリウムだ。唯一都心で行われるこの大会には多くの観客たちも観戦に駆け付け、普段とは違った賑わいを見せていた。早大からは8名が出走し、男子クラス1で小野寛人(スポ1=神奈川・横浜)が個人4位入賞、女子では小泉夢菜(スポ1=埼玉・浦和工)が2位で表彰台に上った。

 この日早大勢で最初に躍動したのは女子のルーキー小泉だった。今大会には「優勝するつもりで臨んだ」という小泉は、序盤から逃げに乗り、5人で先頭集団を形成する。後続の集団とは実力差もあり、次第に距離を離していくと最後は5人だけが残り優勝を争う展開に。「ゴール勝負で勝つ自信はあった」と最後のスプリントに勝負をかけていたが、一歩及ばず。試合後、小泉は悔しそうな表情を浮かべたが堂々の2位に輝き、表彰台では笑顔がこぼれた。ことし一年を「一人暮らしも上手くいかず、試合でも全然結果を残せなかった」(小泉)と振り返り、来季以降の飛躍を誓った。

今年度最後のレースで2位に入った小泉

 
 そしてメインレース。男子クラス1の大学対抗レースには、孫崎大樹(スポ3=京都・北桑田)、納家一樹(スポ2=東京・八王子桑志)、小野の3名が出走した。「今回は個人総合よりチームとしての成績を目指していた」と話した小野が1周目から先頭を引っ張ると、4周目には逃げに乗り、オランダ・アムステルダム大選手2人と中大、明大の選手と共に5人の先頭集団を形成する。「孫崎さんが集団を止めていてくれたので、楽に逃げられました」(小野)と、エースのアシストが期待のルーキーの走りを支えていた。このあと次第に後続集団との距離を離していき、半分を過ぎたころには最大で32秒の差がつく展開に。後続集団の中では残り6周から孫崎が一人で勝負を仕掛ける。この仕掛けは集団に吸収されたものの、くすぶっていた後続集団の口火を切った。のこり5周を切ると先頭集団ではスプリントを意識して、先頭交代が消極的になる。後続集団から飛び出した◯大選手の追い上げを受ける中で小野は、集団につかまる可能性も考慮して積極的に先頭に立ち、気持ちの入った走りを見せて後続を寄せ付けない。最後は先頭集団5人のスプリント勝負となり、先頭に2人を送り込んだアムステルダム大に及ばなかったものの、小野は4位入賞。レースを振り返り「最初の逃げに乗り切れたので楽しく走れた」と話した小野は、とびっきりの笑顔で走り抜き、復調の兆しを見せた。 

小野は僅差で表彰台を逃した

  

 この大会をもって今年度の戦いが幕を閉じるが、選手たちは既に来年度を見据えている。チームプレーにこだわりを見せてきたエースの孫崎は今大会を「少人数の中でもチームプレーができていた」と振り返り、「来年に向けてチームとして動けるという確証を得た」と話した。孫崎を筆頭に、今回結果を残した小野や悔しい思いをした1,2年生たち全員がチームの一員として輝ける一年を期待したい

(記事 佐々木一款 写真 喜柳純平)

結果

▽女子

小泉夢菜 2位
池田ゆめこ DNF 

▽クラス3

萩本拓也 DNF 

▽クラス2

片野陸 27位
山本真寛 15位 

▽クラス1

小野寛斗 5位 

孫崎大樹 12位 

納家一樹 DNF 

コメント

孫崎大樹(スポ3=京都・北桑田)

――今大会の位置づけは

個人優勝と、メンバーの状態も良かったので学校対抗の方も意識してレースに挑みました。

――調子の方はいかがでしたか

自分の調子は良いのできょうも全然楽で2018年に入ってからはずっと調子が良い感じです。

――作戦はありましたか

序盤はアタック合戦になると予想していたので、僕、小野を中心に3人で台頭していって逃げに必ず乗る展開を作っていましたが、思いのほかアタック合戦にならずに、むしろ自分たちから前半は仕掛けるような展開で作戦は絶対的に逃げに乗るという方向でいきました。

――レースを振り返って

序盤は宣言通り、納家の方は思ったように上りきれませんでしたがずっと小野と僕とで必ず逃げにはどっちか入ってむしろ集団が停滞していたので2人でカウンターアタックのように片方が捕まったらもう片方がいくのをずっと繰り返して、その結果小野が行ったタイミングでうまく逃げが決まったので序盤は良い展開になりました。

――逃げた集団との差はなかなか詰まりませんでした

僕としては個人の順位は捨てて学校対抗を意識していたのですが、前の逃げにアムステルダムの選手が2人いて中央、早稲田、明治が1人ずついたので逃げを追うために他の大学は足を使っていたので自分1人で追いかけて追いつければすごく良い展開になるなってことでラスト6周は自分1人で行って、追いかけましたが自分が行くと集団がなぜかいつものように追ってくるのでできれば納家に動いて欲しかったですが、いなかったので逃げてもらう分には全然良かったのですがただ、学校対抗を考えると優勝はなくなるのがあったので、なんとも言えない、追いつきたいけど追いつきたくない小野をそのまま逃がしたいのもあったので、難しいと言えば難しいのですが良い展開だったといえば良い展開でした。

――上位2名にはオランダの選手も入りました

そんなに強いわけではなかったですが、小野はそこまでスプリント力があるわけではないの逃げた5人の中でビリにならなかったのは良かったと思いますし、あの逃げに1人じゃなくて2人乗れたら1番良い展開だったと思います。

――これで今シーズンは最後となりました。ことし1年を振り返っていかがでしたか

今までずっとこの3年間インタビューでチームプレーについて話したと思うのですがその中で1位か2位を争うほど少ない人数の中でチームプレーが出来ていたと思うので最後の大会としては来年に向けてチームとして動けるという確証を得たので、来年が楽しみになりました。

小泉夢菜(スポ1=埼玉・浦和工)

――今大会の目標はありましたか

今回は優勝をするつもりで臨みましたが、結果的に優勝出来なくて悔しいなと思います。

――調子はいかがでしたか

調子は悪くなくてこの試合のために波を作って波のピークを持ってくるようにしていたので、自分の今の実力派出せましたが練習が足りないなと思いました。

――レースを振り返って

迷わないで自分で行くと決めたところから、行けなかったところが悔いの残るところではありましたが、自分の中で積極的に今出せる力は出せたかなと思います。

――終盤には5人の集団で走っていましたがどんなことを考えていましたか

出来る限りみんなの足を削って最後のゴール勝負に持ち込みたいなと思っていました。ゴール勝負で勝つ自信はあったので、それができなくて悔いは残りましたがレース展開などはうまくいったと思います。

――このレースでことし最後の試合となりました。1年を振り返っていかがでしたか

ことし1年は大学に入学してから全然結果を出せなくて練習や1人暮らしでご飯を作ったりだとかは最初の方はうまくいかなくて、競技パフォーマンスも落ちてしまったのでそれが高校時代からやってこなかったからこういうことになってしまいましたし、来年は今良い状態を保てているので状態のままもう少し練習と知識を入れて、練習とご飯など1人暮らしをして生活を充実させたいと思います。

小野寛人(スポ1=神奈川・横浜)

――神宮外苑クリテリウムへの意気込みを教えてください

冬からずっと距離とか乗ってて、今回は僕も孫崎さんも調子が良かったので、個人総合優勝よりはチームの成績をかけて戦っていました。

――はじめての神宮外苑クリテリウムで観客も普段より多かったと思いますが、何か違いは感じましたか

大学で何回かクリテリウムを走っているので、速さが変わるだけでほかはあまり変わらないかなと思ったんですけど、みんながコーナリング下手くそだったので、そこで稼いでいました。足を使わずにうまく走れたので、良かったかなと思います。

――きょうはどんな作戦で試合に臨みましたか

最初は、日大、日体大、明大、中大などの有力大学が乗ったら、3人のうちの誰かが必ず乗ると決めていました。最初に逃げに乗って、最後でスプリントという作戦だったと思います。

――逃げに乗った5人の中での駆け引きはいかがでしたか

最初はずっと5人でペースを引いて、集団とのタイム差を離すという感じでした。ラスト5周になるとみんなスプリントを意識しだしてあまり引かなくなって、捕まる可能性もあったので僕が長めに引いて、その中でスプリントに備えると言った感じでしたね。最後はアムステルダム大の選手が2人いたので、一人に(スプリント?勝負?)をかけられました。そこにつけば優勝もあったのかなと思うんですけど、2人いたのであれが最善だったのかなと思います。

――2回目、3回目のポイント周回を取っていましたが、意識していましたか

最初はあることを知らなくて、5周目でベルが鳴ったときはなんだろうって感じでした(笑)。その時に次は10周だなと。逃げ切ることも意識していたので、いい位置にいたら足を使わずに取りに行こうと思ってたんですけど、明大のワタナベケイタくんが取りに来ていたので「これは競うしかないな」と思って、意識して取りに行けてたので良かったと思います。

――きょうはとても楽しそうに走っていましたね

いやー逃げられたんで(笑)。集団の中で縮こまって息潜めてるよりも、逃げに乗った方が楽しいですね。集団も孫崎さんが止めていてくれたので楽に逃げられて、楽しかったので良かったです。

――オランダの選手はいかがでしたか

スプリントがあるのはわかってたんですけど、備えてたからか平坦が思ったより引けなくて。強いかなと思ってたんですけど、想像より弱かったですね。コーナリングとかの走り方もそこまで上手くなかったので、強さは感じなかったです。

――ことし一年を振り返っていかがでしたか

最初に大学に入った時は全然調子も上がらなくて、調子の上げ方も練習の仕方もわからなかったんですけど、後半になるにつれて早稲田大学自転車競技部として練習をして、4位なんですけどいい形で終われたので、来年のインカレに向けて頑張って行きたいと思います。