【連載】インカレ直前特集 『頂へ』 第3回 孫崎大樹×中川拳×小野寛人

自転車

 3回にわたる全日本大学対抗選手権(インカレ)直前特集も最終回。今回はロード班から孫崎大樹(スポ3=京都・北桑田)、中川拳(スポ2=北海道・帯広三条)、小野寛斗(スポ1=神奈川・横浜)を迎える。今季の早大はチームとしてツールド北海道への出場がかなわなかった一方、個人では孫崎がツアーオブジャパン美濃ステージで一人逃げの見せ場を作り、観客を沸かせた。ラストイヤーの八田衛(スポ4=鳥取・倉吉東)も復帰して1年を経て調子を上げており、チーム状況は良好なようだ。ロード班をけん引する孫崎、昨年度インカレで3位入賞を果たした中川、初出場となる小野。それぞれの立場から今季を振り返り、団体追い抜きやロードレースのプラン、寮生活について語ってもらった。4日間にわたるインカレを締めくくるロードレース、176kmの戦いに挑む――。

※この取材は8月10日に行われたものです。

「自分の走りのスタイルは変えたくない」(孫崎)

孫崎

――今季を振り返って良かったレース、悪かったレースはありましたか

小野 高校から大学に移り、(レースの)距離も伸びてギア制限も解除されて、高校みたいにうまくレースに順応できなくてずっと苦しいレースが続いていました。いいレースはなくて悪いレースしかありませんでした。今のままだとインカレも完走するだけかなと思いますが、あとまだ少しあるのでインカレまで調子を上げていきたいと思います。

――ギアを一番重いものにしていると全日本学生選手権ロード(個人ロード)で言っていましたが、いつ変えたのですか

小野 インターハイ、国体を終えてからはレースがなくなったので、そのタイミングで変えました。ずっと大学のレースに合わせてきたんですけど、それでもやっぱり高校とは違うなと感じています。

――順応にはやはり時間がかかるものなのですね

小野 実際気持ちが半分理由としてあって、「今まだ自分は大学のレースに慣れていない」というその気持ちさえなくなれば走れるし、完走して20位以内も絶対入れるし、来年のポイントにもつながると思います。今段々調子も上がってきて他の大学生とも今の足なら渡り合えると思っているので、インカレでは来年のツールド北海道にも関わってくるので、一人でも多く20位以内に入ってポイントを取るのが目標です。

――孫崎選手、中川選手はどうですか

孫崎 自分もいいレースはほぼありませんが、強いて言うなら日本代表として行った欧州遠征では全てのレースで昨年の経験を生かして、しっかりといなきゃいけないところにはいられました。運と言ってしまうのもどうかと思いますが、むこうの(ヨーロッパの)レースは運もレースを決める要因の一つですが、それに恵まれずメカトラが多くて結果を残せなかった部分もあります。それがなければ昨年を上回る結果は十分残せたくらい調子も良く、レース展開も良かったです。春の調子を保ったままここまで来ているんですけど、なかなか結果に結びつかないレースばかりでした。これは1年生の時からの課題ですし、問題も分かっているんですけど、自分の走りのスタイルは変えたくないので、それでも勝てる力をこれからまだまだつけていかないといけないとは感じましたね。

中川 僕は去年の冬からウエイトトレーニングを取り入れたり、体幹トレーニングを以前に増してやるようにしてきました。その成果がタイムトライアル系の種目で出てきました。個人戦トラック(全日本学生選手権トラック)で4kmのベストタイムが出たり、ロードTT(全日本学生選手権個人タイムトライアル)でも去年と比較して上位に入れたので、その点はパワーアップした成果が出ているかなと思います。ただ、ことしは筋量が増えた分脂肪も増えて体重が重たいので、ロードレースはいいところがないです。インカレはうまく調整して臨みたいと思います。

――ウエイトトレーニングを強化したきっかけはなんですか

中川 ことしから岡島コーチ(伸平、昭48卒=熊本・済々黌)にやったらいいんじゃないかと言われてやってきました。

――孫崎選手も筋量を増やすように言われていますか

孫崎 自分は中川みたいに大きくはなっていないですけど少しは筋肉が増えました。

――今季、昨年までとの違いはありますか

孫崎 自分は去年シーズンオフを早めにして、その分乗り出しも早めにして、3月(欧州遠征)にピークを持ってくるようにしました。乗り込みの距離も1、2年の時に比べて月で300kmくらい増やしていて、その結果全然疲れませんし体の組成も全然違って絞れていて、無駄なものほぼない状態できているので、長い時間をかけてしっかりと体を作れたのかなと思います。

――何月から何月までの期間ですか

孫崎 12月、1月、2月、3月ですね。レースがほぼなくてただひたすら距離を乗っていました。

――日本代表としてツアーオブジャパン(TOJ)に出場しました

孫崎 その成果もあってか調子も全然落ちなくて。落ちてはいるかもしれませんが、落ち幅が抑えられるようになって、いけると感じたステージでしっかりと動けたし、きょねん失敗したステージではそれを補えるような走りができました。ナショナルチームとしてもチームで動くという意味では成長を感じられるレースでした。結果も目標だった総合20位以内に1人送り込めて、UCIポイントも取れたので良かったです。

――いけると感じたステージとは山岳ポイントを獲得した美濃ステージですか

孫崎 自分の中ではTOJが始まる前から京都ステージ、美濃ステージ、東京ステージの3つが今の自分なら動けて展開に乗れるレースだと思ったので、そのTOJが始まる前のミーティングで監督に伝えて、許可をもらっていました。京都ステージもスタート直後からアタック合戦に参加できたし、美濃ではさらに逃げを決めることができて、京都ステージも一度決まった逃げにも乗れたし、その後の勝ち逃げには乗れませんでしたが、狙ったステージはしっかり動けたので良かったと思います。

――反対に昨年リタイアした伊豆ステージは克服したと言えますか

孫崎 そうですね。(昨年は)初めてで本当にきついコースということは知っていましたが、いつも以上に緊張していたのもあって些細なミスでメカトラを起こしていました。絶対いけるという自信をつける練習をしてきたのもあって、メンタル面で余裕を持てたので改善できたと思っています。

――惜敗した全日本学生RCS第3戦・白馬クリテリウムラウンドについてはいかがですか

孫崎 RCSに久々に出場して、自分が今どれくらい走れるのかをインカレ前に見てみようと思って出たんですけど、自分が思っていたより走れたので良かったです。2日目のロードレースは自分の力で展開を作って、逃げもみんな諦めかけた中、TOJの経験を生かして逃げられると思って、なんとか周りの人たちといけると鼓舞しつつ、いい感じでその逃げが最後まで決まりました。TOJの経験を生かしたという意味ではすごくいい収穫が得られました。結果としては総合1位と同点で、1日目のポイントレースの結果が反映されて2位になってしまいましたが、実質総合1位を取れていたのはもったいないことをした反面、しっかりいいレースができたとは思います。インカレ前の最後のレースでいい感触をつかめたので良かったです。

――中川選手はシーズン前半ツールド北海道出場を狙ってピーキングしている印象でした

中川 そうですね。きょねんインカレが終わった時点でけっこういい位置につけていましたが、ロードレースは強くても何があるか分からないので、チームTTでいい順位に入って出場を確実なものにしたかったというのがあります。チームTTに力を入れていました。

――北海道選抜として出場されるそうですが、何回目ですか。

中川 2回目です。ことしのインカレから始まるので、インカレではしっかりポイントを取ってらいねんこそはと思っています。

――今季は3人の1年生がロード班に加わりました

孫崎 まだ練習量が足りないかなとは思います。まだ大学自転車競技界に入って間もないのはあると思いますが、チームで決めたことにはしっかり取り組んでくれています。そこはまだ僕らの指導不足もあったと思うので。1年生は1年生なりに何ができるか考えてくれているので練習量の少なさは少し目立ちますがメンタル面や他の部分ではいいと思います。

――夏休みに入りましたが練習はどうしていますか

孫崎 今は暑いのであまり長時間は練習できないですね。合宿でしっかり追い込んで、こっちに帰ってきたら高負荷のトレーニングよりは調整をしたいです。行ってもせいぜい100kmくらいですかね。僕らは埼玉の飯能方面に行って、秩父の手前の峠で折り返してます。正丸峠の隣の山伏峠というところです。

――今季は大町美麻ロードや夏の風物詩だった湾岸クリテリウムがなくなりましたが、影響はありましたか

孫崎 特に影響はないですね。気持ち的に湾岸クリテがなくなったのはちょっとショックですけど、それ以外は全然大丈夫ですね。

「拳さんにカレーうどん食べさせてもらいました」(小野)

小野

――小野選手は大学生活には慣れましたか

小野 やっと夏休みになって、高校の頃の休日と変わらず自転車に乗る日々が続いています。授業にも慣れてきました。僕は元々高校もスポーツのクラスだったのでそんなに変わらず楽しくやってます。

――小野選手はどのような経緯でワセダに来ましたか

小野 もともと僕は海外志望が強くて、ずっと高校のインターハイ終わるまでフランスに行くって言っていたんですけど、ちょうど関東大会で落車してしまい、ネイションズカップというドイツのレースに日本代表として出るはずでしたが出られなくなってしまって。そこてちょうど考える時間ができて、孫崎さんや中川さんもいましたし、ワセダに行くのもありだと思い直しました。今すぐ海外に行かなくても、もちろんそれでは遅いとは思いますけど、大学終わってからでも挑戦はできるなと思って、大学に入りました。これからの人生にも役立つと思って。

――スカウトされていたのですか

小野 高校2年生の時にいろいろな大学からスカウトが来ていたんですけど、大学の先輩に冗談半分で「大学入るならワセダでしょ」という話をしたら、その先輩が森先輩(浩輔前主将、平29スポ卒=神奈川・横浜)に言ってくれて、それで監督に呼んでもらいました。なので元々目を付けてもらってた訳ではないんですけど、そんな経緯で呼ばれました。

――ワセダ以外には考えませんでしたか

小野 もし大学でやるなら勉強ともうまく両立しながらやりたかったので、入るなら早稲田大学しかないと思ってました。

――春学期、履修して楽しかった授業はありますか

小野 器械体操が楽しかったですね。ハンドスプリングとかアクロバティックなのはできるんですけど、きれいな伸膝前転とか足を曲げずにやるものが全くできなくて、体固いなって(笑)。ハンドスプリングは勢いでできちゃうんですけど。

――孫崎選手はどのようなゼミに所属していますか

孫崎 体幹筋群の研究で、筋肉の動きによってどういう障害が起きるか、その障害の予防の研究です。自分は昔から腰が悪くて、自転車乗車時の腰の痛みが体幹筋とどう関わっているのかを知りたくて。体幹を鍛えれば腰の痛みが和らぐと聞くし、自分も骨盤を立てて乗る、寝かせて乗るとか色々試して和らぐように試しているんで、科学的に解明したいと思ってそのゼミにしました。中井さん(琢、スポ4=宮城・仙台二)と同じです。自分は教職を取っていて教育コースで、普通はコースのゼミに進むんですよね。自分はコースを超えて医科学コースのゼミに入ったんですが、同じ人はそんなにいないですね。ただそのゼミに行きたいと思って志望しましたね。

――中川選手はどのゼミに入りましたか

中川 僕は岡田ゼミ(岡田純一研究室)になりました。レジスタンストレーニングのゼミです。トレーナーコースのゼミです。

――他の体育会で仲の良い選手はいますか

孫崎 僕、ソフトテニスで大活躍してる船水颯人くん(スポ3=宮城・東北)と仲良しですね。基本ソフトテニスの子らとは仲良いです。きょうも勝ってましたよね。連覇ですよね。本当に強いなと思いますね。

中川 1年生で同じクラスだった人とは話しますが、めちゃくちゃ仲良いって人はいないかもしれません(笑)。

小野 学校でもけっこう自転車部で食べてるんで(笑)。意外とクラスっていうよりかは部で固まってるかもしれませんね。

――1年生の印象はどうですか

孫崎 個性が強いですね。個性強いよな?

中川 そうですね。

孫崎 小野は一人だけうるさいし、逆に他の男3人は全然うるさくなくて、まとまって部屋にこもってるような感じですね。女子選手の夢菜ちゃん(小泉、スポ1=埼玉・浦和工業)も自分を持った子なんでまたちょっと違うし。マネージャーの2人は頭が良くて、僕はばかにされるんです(笑)。というくらい賢いです。

――中川選手は後輩ができて変化はありますか

中川 僕は自転車部がなくて高校まで部活に入らず一人で活動していたのであまり後輩はいなかったんですが、まだ先輩らしいことはしてないですね(笑)。

――中川先輩と呼ばれているんですか

中川 そうですね。

孫崎 拳さんじゃない?(笑)

中川 親しみを込めてそう呼んでくれます。

――小野選手から見て先輩の印象はどうですか

小野 4年生は仲が良いイメージです。孫崎さんは高校の時から僕は知っていましたね。高校時代、怖いイメージを周りのみんなが僕に言ってきて「ああ、早稲田大学入ったら孫崎さん怖いんだろうな」と思っていたら実はすごく優しくて。思ってたのと違うなと。ギャップ萌えですね(笑)。拳さんはそれこそ見た瞬間「でか!」と思いました。もともと知っていて、僕が高校2年生の時のインターハイで僕は9位で表彰台に上がれなかったんですけど、眼鏡をかけた選手が表彰台にいて、それが5位の拳さんだったんですよね。まだその時は大きくなかったんですけど、もっと頑張んなきゃと思いましたね。去年の国体の時はそれほど感じなかったんですけど、部に入った瞬間すごい体格の人がいると思いましたね。今は日に日に過ごしている内に見慣れてきました。先輩たちはみんな優しいので過ごしやすいし、練習内容も意見したりできるのですごくいい雰囲気です。

――寮生活は高校からですか

小野 いや、大学からです。いまだに慣れないですね。ご飯を作るのがすごく大変で。けっこうそこのお弁当屋さんのマイキッチンに行って食べたりします。

――最近、稲輪館に食事が届くようになったと聞きました

孫崎 前までは1年生が何作るか自分で考えて買ってきて調理して出すだったのが、考えなくて済み、食材を買いに行く手間もなくなった感じですね。栄養士さんが考えたメニューが送られてくるので、湯煎して出すだけになりました。多少は手間も省けましたね。

――それは鈴木芳文監督(昭42商卒)の提案ですか

孫崎 いや、この問題はずっと前からあって。食当の制度だど夏場は食中毒も怖いし、1年生の負担が多くて結局それで勉強や練習の時間が削られているんじゃないかと言われてきました。宅食の方が楽だろうということで、住んでる学生たちで導入しようということになりました。

――中川選手は料理が上手だと昨年の対談でも話題になりました

中川 僕は料理好きですね。けっこうよくします。昼や夜は自炊なので。

――得意な料理は何ですか

中川 得意料理は親子丼ですね。

――中川選手の料理を食べましたか

孫崎 中川の料理は食事当番のしか食べたことがないので、親子丼は食べてないです。

小野 僕は一度カレーうどん食べさせてもらいましたね。

「ことしは孫崎さんを勝たせてあげたい」(中川)

中川

――団体追い抜きのエントリーメンバーを教えてください

孫崎 八田さん塩田さん僕、中川、小野の5人ですね。

――トラック合宿では何をしましたか

小野 段抜きのメンバーは5人いるなかでまだ4人に絞れていない状態で合宿に行って、誰が調子いいかで4人を決めました。そこでも以前の東日本に比べてペース配分が良くなってスピードもついていたので、団抜きとしてはいい感触ですね。

孫崎 今回のトラック合宿は団抜きの練習メインでした。個人種目がある選手も団抜きの練習が個人種目につながることもあるので。今までワセダの団抜きの課題はペース配分でした。1周ごとのページングと、速いスピードの中での隊列がまだ下手で、それをずっとことしの春先から練習してきました。今回の合宿ではその完成度がすごく高くなって、きれいな団抜きができていました。期間も長めで他の大学とも被ることなく競技場を独占してできていたので、いい練習になりましたし、しっかり追い込めたと思います。

――今までのワセダとは違いますか

孫崎 今まで見てきた中ではないですね。自分が2年間見てきた中で、ワセダではなくて自分の地元の京都に帰ると、レベルが高くて楽なページングだなと感じるんですけど、それが今回ワセダで感じられたので大きく変わったなと感じました。

――ページングを指摘したのは誰ですか

孫崎 自分が2年間やってきて薄々感じていたことでした。ことしは早めに準備していたので、しっかりやるならそういうところもやっていった方が絶対タイム伸びるという話をしてやってきましたね。

――団体追い抜きの目標タイム、順位はありますか

孫崎 4分20秒切りでだいたい17秒、18秒出して6位を狙っていきたいと思います。高すぎることもないし、うまく行けば出せるタイムだと思うので。ただその時の皆の状態にもよると思いますけど、そのタイムを出せば6、7、8位にはなれると思うので、入賞を確実にしてできれば6位がいいですね。まだはっきりと「この順位を取りに行く」というチーム力ではないので。でも入賞はできないことはないし、入賞しないと学校対抗のポイントもないので、そういうことも考えると妥当と言えば妥当だし、少し上を目指している、ちょうどその間くらいの目標設定です。

――トラックでは何に出場しますか

孫崎 ポイントレースと4km個人追い抜きです。

中川 僕も今回の合宿はずっと団抜きをやってきたんですけど、トラック合宿に入る前までの練習だと、僕がペースを上げすぎたり、逆に落としすぎたりしていました。でも、合宿ではあまりペースを乱すことなく走れたかなという印象が残ってるので、そこは良かったなと思ってます。完璧ではないですけど、ちょっとずつできるようになってますね。

――インカレを前にしたロード班のチーム状況はどうですか

孫崎 すごくいいと思います。雰囲気も例年に比べてしっかりインカレに向けてみんな目標をもってやれています。ロード班がほぼ団抜きのメンバーを占めているので団抜きに対してもいい意識でやれているのでロード班はすごく盛り上がっています。4年生も自分たちはツールド北海道に関係ないけどせめて最後チームに残せるものとしてツールド北海道のポイントを取れるように意識を相当して練習量も明らかにきょねんより増えているので、全体的にすごくいいと思います。

――調子が上がってきている選手はいますか

孫崎 自分の中では八田さん(衛、スポ4=鳥取・倉吉東)がすごくいいんじゃないかなと思っています。先日の白馬ラウンドでも、今までのRCSの八田さんの走りと白馬ラウンドでの八田さんの走りは全然別物に感じましたし、八田さん自身も好感触だったみたいで。初日のポイントレースは1位との優勝争いをしての4位に入ったので、八田さん自身もすごく好感触だという表情と声のトーンでした。八田さんにも自信がついていい感じなんじゃないかなと思っています。八田さんをはじめ上級生がすごくいいので、それに下級生が引っ張られています。

――他大で警戒している今季好調の選手やチームを教えてください

孫崎 京産大ですね。他はいつも通りというか。あとは日大がことし層が厚いので、日大と京産大が人数揃っていて動ける選手が多いですね。いつも(強豪は)鹿屋体大だったのが、ことしはその二校に流れが向かうと思います。京産大は基本的に自分たちから動かないので展開が読みづらいですね。

中川 やっぱり日大、京産大ですね、最近のレースを見ていて強いのは。他大にも個の力が強い選手はいるんですけど、やっぱり個人戦とか見ているとどこの大学も組織的に動いてくるので、駒を揃えているのはその2校だと思います。

小野 大学はその二校が最も席巻してるなと思います。個人でいうと同じ1年生の中大の尾形(尚彦)と京産大の吉岡(衛)は大学に入って優勝しているので、その二人に負けたくないと言う気持ちはありますね。もともと一緒に走っていたので焦りもあります。置いて行かれている感じがするので、しっかりインカレで決めてやろうかなと思っています。向こうはどう思っているか分からないけど、ライバル意識があって頑張りたいという気持ちです。

――インカレロードのプランを教えてください

小野 らいねんのツールド北海道の選考があるのでなんとしても20位以内に入って来年のポイントにつなげたいですし、欲を言えば表彰台狙いたいです。ですが今はまだその実力はないので、強い選手の後ろについて順位を狙いに行くことしないと、ことしは着には絡めないと思っています。ことしはポイント獲得を最低条件にしていきたいと思います。

孫崎 今ここにいる3人がポイント圏内に入れる力を持っているので、確実に20位以内に入りたいところです。4年生の八田さんも20位以内に入れると思っていて。ロードレースは何が起こるか分からないのでこの3人の誰かが着に入れなかったとしても、八田さんが20位以内に入っていれば結果オーライなので4人が20位以内に入る意識で行きます。上位3人分しかポイントは加算されないんですが、1人多く入ることによって他大に入るはずだったポイントが入らなくなるので、人数が多く20位以内に入る分には問題ないのでしっかり狙っていこうと思っています。個人戦の結果を見てもこの3人は問題なく走れば20位以内には入れそうなので、しっかり入ってポイントを取っていきたいところです。

中川 ポイントはもちろん僕も取れるように頑張るのと、きょねんはずっと集団にくっついて走って、孫崎さんに引っ張ってもらっていました。ずっと僕は集団待機で、最後にちょろっと行った感じだったので、ことしはつぶれないようにしたいです。ポイント圏内にはもちろん入るんですけど、孫崎さんや小野くんが走りやすいように、動くところでしっかり動いていきたいと思います。積極的に走っていきたいです。

――昨年インカレロード3位ですが、他大からのマークは懸念されませんか

中川 僕はきょねんそれだけなので、孫崎さんの方がマークがきついと思います。孫崎さんが行ったらみんなついて行っちゃうので、逆に僕がその隙を突けるような走りをできたらいいなと思っています。

――最後にインカレへの意気込みをお願いします

小野 インカレではポイントを取ること、レース展開を含めて大学のレースに慣れたいです。最後までチームに貢献できればと思っています。団抜きでも着に絡みたいと思っています。

孫崎 自分は今回個人種目で3種目出るので、今まで経験したインカレ以上に疲れると思います。でも、自分の中では3種目全部表彰台に絡めると思ってますし、なんなら3冠をやってのけても面白いんじゃないかと思っています。それを目標にしっかり体のケアとインカレでベストパフォーマンスを出せるような状態作りをして、3冠を目指せればと思ってます。

中川 きょねんのインカレロードでは孫崎さんにお膳立てしてもらったような感じで3位を取れたので、ことしは孫崎さんを勝たせてあげられるように立ち回っていきつつ、僕もしっかりポイントを取れるよう考えています。でも、やっぱり何が起こるか分からないので、チャンスが来た時にはもちろん僕も勝ちが欲しいのでその勝ちを狙っていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 曽祢真衣)

色紙にインカレへの意気込みを書いていただきました!

◆孫崎大樹(まごさき・だいき)(※写真中央)

1996(平8)年7月18日生まれ。170センチ。京都・北桑田高出身。スポーツ科学部3年。ヨーロッパでのレース経験が豊富な孫崎選手は、チームメイトへのアドバイスも的確。インカレでは果敢なアタック、積極的なレース展開に注目です

◆中川拳(なかがわ・けん)(※写真左)

1997(平9)年9月22日生まれ。171センチ。北海道・帯広三条高出身。スポーツ科学部2年。昨年度インカレでは1年生にしてロードレース3位。人一倍努力しているという声が聞かれるほど自転車競技にひたむきな中川選手。最近の得意料理は親子丼のようです

◆小野寛人(おの・ひろと)(※写真右)

1998(平10)年5月18日生まれ。175センチ。神奈川・横浜高出身。スポーツ科学部1年。昨年度国民体育大会少年の部ではロードレース5位に入賞。1年生にしてロード班の主要メンバーとなった小野選手は、キャップが似合う頼もしきルーキー。色紙では書道五段の腕前を見せてくれました