日大のチームプレーに敗北 ツール・ド・北海道届かず

自転車

  ツール・ド・北海道出場を懸け臨んだ全日本学生選手権個人ロードレース(個人ロード)。ツール・ド・北海道はUCIアジアツアーの1つで、昨年は中川拳(スポ2=北海道・帯広三条)が北海道選抜として出場した。個人ロードは大学チームの推薦枠を争う最後の選考レース。例年5校が派遣されるため、推薦順位5位の早大は順位を落とすわけにはいかなかった。孫崎大樹(スポ3=京都・北桑田)、中川の二人が最終周回まで集団に残ったが、孫崎11位、中川42位で入賞ならず。レースは強者が揃う日大の独擅場となった。推薦順位も明大、朝日大に抜かれ7位に落ち、早大チームの出場はおあずけとなった。

  時折雨が降る中、レースは6人が中盤まで逃げた。一時は集団とのタイムギャップが2分半まで開いたが、集団は徐々にペースを上げ10周回目で一つに。齊藤瞭汰(日体大)が11周回目に単独で飛び出すと、追う集団は加速。ちぎれた岩田宗也(スポ4=広島城北)、八田衛(スポ4=鳥取・倉吉東)、山本真寛(社1=青森・八戸工一)は、100kmを超えたところでタイムアウトとなった。

集団の前方でレースを進める孫崎

 一方、集団では武山晃輔(日大)ら先頭の選手が齊藤を捉え、最終周回に武山、中井唯晶(京産大)がアタック。孫崎、中川は反応できず、集団スプリントで3位を狙う展開に。しかし、ゴール手前で日大の岡本隼はじめエース級3人に前方を占められてしまう。孫崎は右足首の負傷の影響もあり、3位の岡本から3秒差の11位でフィニッシュ。また、中川は最後の上りを目前に他大との衝突を回避し失速。不完全燃焼の42位に終わった。  

補給をうける中川

 孫崎はケガにもかかわらずレースコントロールに加わるなど、終始チームを鼓舞。ツアーオブジャパンを経て、チームの精神的支柱は一回りも二回りも強くなって帰ってきた。ツアーオブジャパン美濃ステージでは、序盤から山岳賞の初山翔(ブリジストンアンカー)と共に逃げ、果敢な走りで注目を集めた。山岳賞総合成績でも10位(日本人3位)に入り8日間の戦いを終えた。しかし、ロードレースがチーム戦である以上、孫崎、中川が単独で優勝を狙うのは極めて難しい。終盤まで他大のけん制をチームで分担できなければ、全日本大学対抗選手権でも数がものを言うということになりかねない。総合力は一朝一夕に向上するものではないが、1年生にして完走した小野寛斗(スポ1=神奈川・横浜)や復調しつつある岩田、八田に期待したい。

(記事 曽祢真衣 写真 喜柳純平)

結果

▽男子個人ロード

孫崎大樹 11位 3時間30分07秒
中川拳 42位 3時間30分22秒
小野寛斗 70位 3時間34分05秒
山本真寛 DNF
塩田航平 DNF
納家一樹 DNF
八田 衛 DNF
岩田宗也 DNF

コメント

孫崎大樹(スポ3=京都・北桑田)

――今大会の目標はありましたか

優勝を狙っていました

――レースを振り返って

展開的には逃げができて前半の有力選手が入った逃げには自分、中川、小野の上位に入れる可能性がある選手がしっかり反応をするようにしてそれもできていました。が、中盤集団が落ち着いた時に前半のアタック合戦の時に前に全然選手がいなくて有力選手以外の逃げも自分たちが反応することになってしまったので、その辺もっとチーム力を上げて反応していかないとインカレ(全日本大学対抗選手権)などは厳しいなというのは感じましたね。

――連携プレーはありましたか

そうですね。3人だけではなくチームで動くというのは最初から言っていたのですが、やっぱり皆集団の前方に上がってこれないので、人数が多くて道幅も狭いので難しいのですがそこをしっかりできるようになっていかなければなりません。こういう大会では日本大学などは人数をすごく揃えて戦っていたのでそれに対抗するには1人では絶対に無理ですので、その部分はしっかり修正してやっていければ良いと感じました。

――最後はスプリント勝負になりました

日本大学が人数をそろえていて完全にトレインを組んで、エースである岡本さん、沢田を発車させる形をとっていました。自分もそれが分かっていたので日本大学のトレインの1番後ろについていましたが、人数のいる日本大学がそのトレイン以外にも逃げていました。きょう優勝したのはその逃げたうちの1人ですが。それには対応しようとしてもできません。自分が行ったらマークされてるので、反応されてしまいます。そこを行きたかったのですが、最後に人がいなかったのでそこも人が揃っていないと戦えないというのはあります。ゴール前も自分は日本大学の人についていましたが怪我してた部分もあって言い訳にはしたくないですけど最後もがききれなかったところがあって、表彰台には遠くなってしまいました。そこは自分の責任なのでなんともいえないですね。

――怪我の影響もある程度はありましたか

ないとはいえなかったです。それでも全然走れましたし、最後までスプリントに絡むこともできていました。

――2週間前にはツアーオブジャパンの試合にも出場しましたが、何か収穫になったことはありましたか

そうですね。逃げができたりしても落ち着いて対応できますし、最後のゴールスプリントの位置どりにしてももともと自分が得意にしていましたが最近はさらに得意になりました。また攻めないといけないポイントと無理する部分ではないポイントなどもしっかりと見極めができるようになったので落車にも巻き込まれません。そういう危ないことにもなりませんし自分の行きたいところにも行けているのでそういったところでの経験がすごくいきていると思います。

――次戦に向けて

2週間後に全日本選手権があるのでこれは各大学が人数をそろえてこようと関係ないと思うのでチームで人数かけて戦ってくるところは少ないですのであと2週間しっかり治して、練習もして次こそは表彰台もしくは優勝をしたいです。優勝を狙っているので表彰台には必ず上れるようにはしていきたいと思います。

中川拳(スポ2=北海道・帯広三条)

――レース全体の振り返りを聞かせてください

きょうはツール・ド・北海道の出場権を決めるということで、20位以内に3人入れるっていう、おそらく僕、孫崎さん、小野くんの3人で決めようということでした。展開的にはおそらく前半はこのコースだと逃げが決まらないだろうということで、ただみんなで回して誰か一人が入ってチェックして必ず前に全員で固まろうとしていました。前半は良かったんですけど、後半になるにつれてあまり固まれなくなってきて。後半、決定的な逃げにも乗れなくて追走集団にいたんですけど、追走集団のスプリントも前で止めた選手が降ってきて、詰まってしまって。転ぶことはなかったんですけど、そこでスピードが死んでしまってもう全然もがくことができず、20位以内に入ることができなくて。結果的には孫崎さんしか20位以内に入っていないので、申し訳ないですね。

――位置取りが良ければ入賞の可能性があったということですか

そうですね。でもやっぱり、レースに出るからには優勝が欲しいのでそう考えると(逃げを)追走しなければいけなかったと思います。

――終盤、野本空選手(明大)らがアタックをしたという実況がありましたが決定的な逃げには至りませんでした

有力選手たちがばんばん行くんですけどスピードのある平坦なコースなのでやっぱり集団の力の方が大きくて、吸収を繰り返す感じでしたね。

――失速してしまったのはどの地点ですか

ラスト200メートルの坂の入口のところですね。もがくぞというところで起こったので不完全燃焼な感じですね。入れるはずの20位がそれによって終わってしまったので、すごく悔しいですし申し訳ないですね。

――全日本学生RCS第2戦・修善寺オープンロードを欠場し、全日本選手権チーム・ロード・タイムトライアルに調子を合わせたことについては

ロードレースはきょうみたいに勝てると思っても何があるか分からないので、チームTTだとやっぱりちゃんとコンディション整えていけば(好成績は)堅いと思います。今回はパンクとかもあったんですけど、ロードレースは本当に水物で何があるか分からなくて運の要素も強いです。正直なところ僕はチームTTでツール・ド・北海道を決めるつもりだったんですよね。なので、先週のその日にコンディションをばしっと決めていったんですけど、結果は7位ということで、対抗順位も一つ落としてしまって。急きょきょうまたいいコンディションで走れるようにしてきたつもりだったんですが、やっぱりチームTTに合わせてものすごく仕上げたので、その後は思うように調整できませんでした。きょうは不安な状態で迎えたんですけど、走り出してみたらコース的にもいけるかなと思いました。ですが、やっぱりロードレースは水物だなと。最後まで何があるか分からないので、きょう自分が最後にいた位置は悪かったですね。

――次照準を合わせるレースは何ですか

全日本選手権ですね。7月まで毎週レースがあるのでうまくコンディション整えて走れるようにしていきたいですね。

小野寛斗(スポ1=神奈川・横浜)

――どのようなレースプランでしたか

きょうは集団に残ってなだれ込みのスプリントで20位以内に入り、ツール・ド・北海道のポイントを獲得するのを目標にしていました。

――チームでの作戦はありましたか

後ろにいたらきついんで、前に前に足を使わずに周回をこなして、最後4人ほど残っていたらそこでみんなで上位に入れたらと思っていました。10位以内に2人、20位以内に1人は誰か入れればと。

――調子はどうでしたか

調子はすこぶる良かったです(笑)。ただここは補給ピットが短くて、補給を取る時に後ろにいてしまったので、それで追いつくのに足を使ってしまいました。経験不足が出てしまったのかなと思います。

――昨年の国民総合体育大会でもこのコースを走りました

国体の時は5位だったんですけど、国体の時とはコースが少し違って、裏のところがクリテリウムのようで、ストップアンドゴーが繰り返されていました。ちょっと国体とは違いましたが、アップダウンのあるコースだったので僕でもこなせるかなと思ってたんですけど、この結果でしたね。あまりうまく走れなくて、集団にも最後残れませんでした。

――大学のレースはレベルが高いですか

そうですね。まだ高校気分みたいな感じで走ってたんで。もうギアの制限はなくなったので確実に踏める人が強いので、まだまだパワーが足りないです。大学のレースに慣れていないことが大きかったです。

――次戦の予定を教えてください

再来週の全日本選手権です。そこも何度かジュニア日本代表の合宿で走っているのでコースは分かるんですが、すこくきついコースなのでサバイバルレースになると思います。脚を使わずに落ち着いていきたいです。