塩田、真夏のお台場でクラス2A優勝に輝く!ほか3名が入賞

自転車

 ことしもお台場で白熱のクリテリウムが繰り広げられた。今大会は、年間を通じて行われる全日本学生RCS(RCS)の中でも数少ない都市型レース。灼熱(しゃくねつ)の太陽の下、ワセダからはクラス1に4名、クラス2に5名の選手が出場した。クラス2Aでは塩田航平(スポ3=埼玉・栄北)が圧巻のゴールスプリントで勝利。クラス1への昇格を決めた。同じクラス2Aの八田衛(スポ3=鳥取・倉吉東)も4位と健闘。また、クラス2Bの中井琢(スポ3=宮城・仙台二)が3位、クラス1も孫崎大樹(スポ2=京都・北桑田)が4位と各クラスから入賞者を出した。

(記事 曽祢真衣)

★塩田、クラス2Aにて優勝!クラス1へ復活

ゴールし笑顔を見せる塩田

 クラス2Aのレースでは、クラス1復帰を狙う塩田が最終ストレートのスプリント勝負を制し、1着でゴールを走り抜けた。
このレースには塩田と、腰の治療を経てRCS第4戦・白馬ラウンドで復帰を果たした八田の2名が出場した。序盤は決定的な逃げの無いレースが展開されたが、日体大や順大の選手がアタックすると「ずっと前にいつづけることを意識した」(八田)と、八田を筆頭に先頭を吸収するなど積極的な姿勢が見られた。中盤に差し掛かると、塩田がカーブの内側を走行していた他大の選手と接触し、落車してしまうというアクシデントが発生。しかし終盤に復帰を果たし先頭集団に食い込む。最後の1周で順大がアタックを仕掛けるが、これも八田が追い上げ吸収。最後の直線では3番手の塩田が絶妙なタイミングで飛び出し、1着でフィニッシュ。「絶好の位置でスプリントができて良かった」(塩田)と振り返った。八田はラストスパートが少し遅れ、4着でフィニッシュ。「冬場の積み重ねがなかった分、踏ん張りが利かなかった」(八田)と語った。

(記事 坂巻晃乃介、写真 久野映)

★トラックで鍛えたパワーを武器に、中井が3位入賞!

普段はトラック競技を専門とする中井

 クラス2Bには3名が出場。レースは序盤に落車が発生し、ワセダは集団からちぎれてしまう。ふだんタンデムスプリントなどトラック種目に出場している中井にとって16キロのクリテリウムは「脚がなくなるぎりぎり」だった。しかしロードが専門の田中英祐(人2=宮城・東北学院)のアシストで集団に復帰。脚の消耗(しょうもう)を最小限に抑えることができ「大変助かりました」(中井)と振り返った。
中盤に近藤翔馬(法大)、海老本拓也(順大)らが飛び出す。ワセダはメイン集団で追走し、中井が残り1周回のホームストレートで一気に加速。「先頭の逃げも回収しようと思って走っていました」(中井)とトラックで鍛えたスプリントで追い上げる。惜しくも優勝争いには絡めなかったが、3位でスタート・フィニッシュ地点に帰って来た。

(記事 曽祢真衣、写真 喜柳純平)

★クラス1、孫崎惜しくも表彰台逃す

孫崎のRCS年間ランキングは現時点で7位

 最後を飾るのはクラス1。実力者たちが顔を揃えた。ワセダからは出走したのは4名。1周800メートルのコースを30周回する全24キロメートルのレースだ。昨年よりも短い周回距離に「コース的に見ると楽なのでその分激しいレース展開になると予想していました」(孫崎)と語る。
予想は的中した。序盤から各大学のエース級が飛び出す激しい展開に。しかし、脚のある選手が揃っている順大が徐々にレースをコントロールする。中盤は序盤とは打って変わって逃げが決まらないもどかしい状態が続いた。この状況の中、「集団の動きを見ながら自分が一番力を使わないポイントにずっといることができた」(伊藤)と話すように、伊藤、金子は虎視眈々(こしたんたん)とチャンスをうかがう。孫崎は何度か逃げ集団に加わりアタックを試みるも、すぐにチェックが入り集団に吸収されてしまう。このままゴールスプリント勝負になるかと思われたレース終盤、残り1周のベルが鳴る直前に日体大の小林泰正が一気にスパートをかけた。これには誰も反応できずそのまま独走を許す。孫崎は2位集団で良い位置につけ、表彰台争いはゴールスプリント勝負に。しかし、スピードのある実力者たちに惜しくも競り負け、結果は4位。表彰台を逃した。この結果に孫崎は「まだまだ自分の力不足を感じました」(孫崎)と悔しさを滲ませる。しかし、この悔しさはきっと次につながるはずだ。憧れのチャンピオンジャージを手に入れるため、ワセダは挑戦を続ける。

(記事 松澤勇人、写真 萩原大勝)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

チャンピオンジャージを着て表彰台に立つ塩田

表彰式での中井

(写真 大庭開)

結果

▽クラス1

孫崎大樹 4位

金子智哉 12位

伊藤和輝 13位

岩田宗也 DNF

▽クラス2A

塩田航平 1位

八田衛 4位

▽クラス2B

中井琢 3位

手嶋将大 DNF

田中英祐 DNF

伊藤和輝(スポ4=東京・昭和第一学園)

――このレース全体を振り返っていかがですか

自分は4年生なのでお台場のコースは4回走っているのですが、1年生の時はきょうと同じコースで、そこから2年間変わって、再びこのコースに戻ったというかたちでした。自分はこっちのコースの方が好きで、あとはシーズン中のクリテリウムの大会はこれがことし最後だったというのもあったので、結果を残せたらいいなと思っていたんですけれども、先週の白馬から平日にけっこう予定が入っていて思うように練習ができなくて。完走狙いのレースでした。

――逃げが決まらないレース展開でしたが、選手から見ていかがでしたか

レース前からこのコースでは逃げは決まらないだろうなと思っていたんですけれども、やっぱり何人かは逃げようとして吸収されてをずっと繰り返すレースでした。その中で集団の動きを見ながら自分が一番力を使わないポイントにずっといることができたので、結果にはつながっていないのですが、その点は評価できるレースだったと思います。

――東京六大学対抗競技大会(六大学トラック)が全日本大学対抗選手権(インカレ)の前に行われることになりました。六大学トラックへの意気込みをお願いします。

六大学トラックはいつも11月にやっていて4年生は出ないので、自分は今回は(個人種目は)出ないんですけれども、自分はインカレ前の合わせということで団体追い抜きのほうに出させてもらいます。インカレ前に伊豆ベロドロームで団体追い抜きの練習とタイム計測ができるのがそこなので、しっかりインカレの目標設定ができるように走りたいと思います。

金子智哉(商4=神奈川・相模原)

――きょうのレースを振り返って

きょうのレースは終始後ろを走っていて、全然積極的に走れなかったです。でも、最後にはいこうと思っていました。最後の方に前に出られたんですけど、最後のコーナーでびびってしまって、集団の先頭と離れてしまってスプリントに参加できなかったり、技術的なところで損をしていました。

――平坦かつ短いコースでした

スプリンター向けのコースだと思うので、自分としてはかなり苦手なコースだと思うんですけど、自分の持ち味生かして残り3周とかで飛び出せたらいいなとか思っていました。でも、実際は前に出るのが難しくて、できなかったので残念です。

――体力的には余裕がありましたか

体力的には最後まで余裕があったので、もったいないことをしたなと思います。

――もうインカレまで試合はありませんが、この夏はどのような練習にあてますか

夏合宿も控えているので、強度を上げていってインカレにピークをもっていけるように頑張りたいと思います。

――今季は長距離のレースで結果を残していますが、ことしもインカレで結果を出すことができそうですか

修善寺(日本CSC5キロメートルサーキット)は自分としても得意なレースなので、ちゃんと調子をそこに持ってこれたら上位は狙えると思います。期待しててください。最後に一花咲かせたいと思います。

手嶋将大(スポ4=千葉・国分)

――今回のレースを振り返っていかがでしたか

本調子であれば優勝を狙っていましたが、先週に腰を悪くして出るか分からない状態でありレースが始まって少ししてから腰の具合が悪くなり位置も後ろだったので、無理はしたくないと思い途中棄権をしました。せっかく出られたのに、完走もできず途中でやめることになりとても残念です。

――専門の1キロメートルタイムトライアルとは違い距離が短かったことはいかがでしたか

基本クリテリウムは1キロメートルタイムトライアルの選手であってもインターバルで練習を行っており、脚質的にも向いていたのでいけるかなと思ったが腰の具合が悪くどうしようもない結果となってしまいました。

――気温が高いというコンディションに関してはどうでしたか

あまり気にしていなかったが、普段は室内で追い込む練習をしているので暑さにより腰以上に内臓なども悪くなり、暑さにやられた部分があったことは否めなかったです。

――以前のインタビューで新しい練習を取り入れたとコメントしていましたがその効果はありましたか

一週間ほど練習ができていなくて、新練習はトラック強化のためであったのでクリテリウムで新練習が特別いきてくるということはありませんでした。

――次の六大学のレースに向けての意気込みを聞かせて下さい

インカレ前哨戦ということで体は良くないがいい調整をしてタイムも5、6秒上げたいです。インカレに向けてのステップアップとして、あまり時間もないですが、体と相談して無理をしてでもやっていきたいです。

塩田航平(スポ3=埼玉・栄北)

――優勝したことへの率直な感想を聞かせてください

嬉しいです。

――コースが一周800メートルと少し短いですが、走ってみていかがでしたか

きついコーナーがスタート・フィニッシュの後のヘアピン一か所だけだったので、比較的楽なコースだと思いました。

――落車してしまった時の状況を教えてください

コース内で曲がっている場所でスピードが出ているとちょっとアウトに膨らみ気味になるのですけど、そこで僕が人のアウト側に車輪をさしていたため、かすってしまい、バランスを崩して転びました。

――最後のスプリントを振り返っていかがですか

逃げていた順大の清水くんを八田が思いっきり追走して吸収してくれて。そのあとヘアピンの部分でまた落車があったため、僕の後ろからいなかったので、これはもうこの位置をキープしてスプリントするしかないと思いました。ちょうどその時3番手だったので、絶好の位置でスプリントができてとても良かったです。

――同レースの八田選手と事前に決めていたことなどはありますか

事前に決めていたことは特にないです。

――きょうはチームプレイが光っているように見えたのですが。それは即興ということでしょうか

そうですね。やはり同期なので通じ合うところがあったのかなと思います。

――六大学トラックに向けての抱負をお願いします。

今回は初めて伊豆ベロドロームで六大学トラックをやるので、どういう風になるのかはちょっと想像もつかないんですけど、六大学トラックでも優勝というか、学校としての勝利を目指して頑張りたいと思います。

中井琢(スポ3=宮城・仙台二)

――きょうのコースは昨年度大会より大幅に短くなりましたが、その点はいかがでしたか

仕掛けられるポイントがストレートは2回しかなかったのでそこをどう利用するかでした。2回のストレートが勝負所だと常に考えながら走っていました。位置取り、仕掛けるポイントを意識していました。

――うまくスプリントを掛けられたのはどこですか

最後の1周で前を走る逃げと15秒の差がありましたが、それを一気に詰めようと思って残り1周のホームストレートで掛けて追っていったんですけど勝ち切るほどの脚はなくて。正直なかなか厳しい状況でした。

――ふだんはトラック種目に出場していますが16キロは長く感じましたか

いえ、自分の中ではギリギリかなと。ちょうど脚がなくなるぎりぎりというところですね。

――最後の周で仕掛けるのはプラン通りだったのですか

逃げができていたら残り1回か2回のところで掛けて1人で追って先頭の逃げも回収しようと思って走っていました。

――最後は上り坂でした

最後が上り坂なのはやはりパワーのあるもの勝ちなので、そこはトラックで鍛えたパワーがあるので良かったかなと思います。

――暑さの影響はありましたか

特に感じませんでした。

――全体的なレース展開はいかがでしたか

序盤に落車が起きてちぎれてしまってそれを追うのに3周くらいかかり脚をかなり使ってしまって終始辛い状況だったのですが最後は我慢して掛けるしかないと思っていきました

――ワセダ同士の連携はありましたか

落車のあとに田中英祐くんに前に連れていってもらって大変助かりました。

――六大学トラックに向けて

インカレと同じ会場なのでインカレに向けて良いタイムを出していきたいです。インカレにつながる走りをしたいです。

八田衛(スポ3=鳥取・倉吉東)

――きょうの試合への意気込みを教えてください

7月から腰を痛めていまして、3月に手術をしたので、実走を始めて2ヶ月目の復帰2戦目ということで、完走できればいいぐらいの気持ちで走っていました。あと、きょうは怒りを込めて走ってましたね(笑)。

――レースを振り返っていかがですか

前にいるしかないコースだと思いましたし、先週の白馬と比べたら比較的脚のない選手でもチャンスがあるかもしれないと思ったので、ずっと前にいつづけることを意識しました。途中で逃げが生まれた時も追いかけるなどして積極的に動くように心掛けていました。後半から「勝てるかもしれない」と胸騒ぎがして、勝ちたかったんですけど、冬場の積み重ねがなかった分、最終周回での駆け出しが遅かったり、踏ん張りが効かなかったですね。

――800メートルという短いコースでしたがいかがでしたか

初めてでしたね。きょねんまでのコースと比べて目まぐるしい感じで楽しかったです。トラック選手には走りやすいコースかなと思いました。

――塩田選手との連携はありましたか

特に事前に決めてはなかったんですけど、放送を聞いているとどうやら連携を取れていたようで(笑)。結果的には良かったですね。

――復帰されるまでの過程を教えてください

手術後は本当に腰が痛すぎて治らないんじゃないかと、自転車をやめてしまおうかと思ったんですけど、足立一真さん(平27文卒)同期、先輩方の励ましや理解があって自転車を続けようと思うことができました。仲間に恵まれました。それから体幹トレーニングやストレッチを始めまして、3ヶ月前くらいにローラーに乗り始めて有酸素能力を高めていきました。そして2ヶ月前くらいに実走を始めて、最初は30分とかだったんですけど、少しずつのばしていって、今は100キロ乗っても大丈夫なようになりました。先週に初めてレースで腰を試そうということになったんですけど、やっぱりまだ腰が痛むので、これからは腰の機嫌をうかがいながらやっていく感じですね。

――今後の目標を教えてください

とにかく強い腰を作ることと、何かしらのレースで一勝すること。あとは今年の大きな大会は厳しいと思うので、4年生で有終の美を飾れるように地道な努力を積み重ねて行きたいと思います。

孫崎大樹(スポ2=京都・北桑田)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

ここのところ個人戦トラックからずっと表彰台に絡んできて今回もその調子を維持できていたので、今回も狙えるんじゃないかなと思っていました。チャンピオンジャージがとてもかっこよくて狙っていたというのもあります。中盤は逃げ集団にも加わって良い位置でずっと走れていました。後半になって順大が集団をコントロールしていたので、終盤順大が再びトレインを組んでゴールスプリント勝負に持ち込むかなと思って、少し後ろで休んでいた隙に小林泰正さん(日体大)に飛び出されてしまいました。そのあとは位置取りもそんなに悪くなく最終コーナーも4、5番手で突っ込めていい位置からもがいたんですが、明治の小林和希さん、法政の荒井佑太さんというスピードのある選手たちに競り負けて、5位に終わってしまいました。まだまだ自分の力不足を感じましたね。

――昨年よりも短い周回800メートルでした

コースが短いためスピードが上がりきるポイントがほとんどなく、すぐにコーナーに入ってしまうのですが、その点、前の方でなくても集団の後ろの方でコーナーをついて足を休ませることができました。コース的にみると楽なのでその分激しいレース展開になると予想していましたが、予想通りでしたね。

――レース後半ではなかなか集団から飛び出せない膠着(こうちゃく)状態が続きましたがそのときの心境や集団の雰囲気はどのようなものなのでしょうか

きょうのレースは、走れる選手が多くそろっている順大が完全にコントロールしていて、必ず順大中心に動いてました。逃げを作る動きをしたら人数が少ない分順大におさえられて終わってしまうと思ったので、その点、僕らも無駄なアタックができないことは分かっていたので順大をけん制しつつその隙をつこうという展開でレースを運びました。僕も行けるチャンスがあれば行こうという気持ちで待機していました。

――きょうは特に厳しい暑さの中でのレースでしたが、影響はありましたか

クラス1のときはだいぶ日も落ちていたので、暑さはほとんど気にせずレースに臨むことができました。

――次の六大学トラックではスクラッチで出場しますが、意気込みをお聞かせください

例年シーズンオフに開催されていた六大学トラックがことしはインカレ前にあるということで、他の大学も本気のメンバーを出してくると思います。僕自身はベロドロームで出場するインカレの練習も兼ねて、落車しないように、全力は出しつつも無理はしない程度に着実に六大学のトップを狙えるような走りをしたいと思います。